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2018.05

  • 韓国
  • スマート社会
さらなる規制緩和と革新的サービス導入に向け、正念場を迎える韓国型FinTech
2015年の大規模規制緩和とスタートアップ支援を両軸に進められた韓国のFinTech促進の成果と課題が見えてきた。2017年末時点で政府での登録や発行物で把握されているFinTech企業は約300社で、FinTech企業数はこの5年間で5倍に増えた。参入の多い分野はモバイル決済・送金、P2Pレンディング、認証・セキュリティである。これにロボアドバイザーが続く。
 
規制緩和の一環で、資本金要件緩和、登録手続きの簡素化といった市場参入時のハードルを下げた。さらに、金融取引の認証時に利用を義務付けられていた、韓国独特の公認認証書の使用義務を廃止したことで、利用プロセスを大幅に改善したモバイル決済と送金サービス参入と利用が進んだ。金融、証券業界全体でコンソーシアムを結成してブロックチェーン導入の動きも進んだ。バイオ認証解禁で金融機関のバイオ認証導入ブームにもつながった。2017年は初めてのネット専業銀行としてICT業界のKTとカカオが主導するK-bankとカカオバンクが参入し、大きな話題を呼んだ。朴槿恵政権期から国がスタートアップ育成に力を入れだしたこともあり、大手金融機関はこぞってFinTechインキュベーション施設を充実化している。
 
依然として大きなムーブメントとなっているFinTechであるが、同時に課題も見えてきた。
*参入分野が偏り、新サービスの種類が限定的
*促進に力が入る一方、FinTechの成長速度が遅い
FinTechの形態やスピードは、市場ごとに金融インフラの環境が大きく異なるので正解は一つではない。しかし、韓国ではICT技術に強みがあるにもかかわらず、依然と規制の存在が新サービス参入のハードルとなっている姿が浮かび上がる。最近の大規模個人情報流出事故の影響から個人情報保護関連規制は強化傾向にある。また、大企業をけん制するための規制も存在する。ちなみに、KPMGが毎年世界の有望FinTech企業を発表する「2017年度FinTech 100」に選出された韓国企業はモバイル送金Tossの運営企業Viva Republica 1社だけである。
 
こうした背景から、さらなる規制緩和と新技術対応のスピードアップを図るため、金融委員会は2018年3月にFinTech総合対策第二弾として「FinTech革新活性化対策」をまとめた。これにより、FinTechに規制サンドボックス制度を導入する特別法制定、ロボアドバイザーやクラウドファンディングの規制緩和、モバイル決済活性化に向けたインセンティブ導入が進められる。