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2016.08

  • 韓国
  • 放送・メディア
有料放送市場の動向-IPTVがCATVを圧倒へ-

韓国の世帯の9割が、CATV、IPTV、衛星放送の有料放送に加入している。各プラットフォームの開始時期は、CATVが1995年、衛星放送が2002年、IPTVが2008年。事業者数はCATVが約90社、衛星放送がKTスカイライフの1社、IPTVが3社。IPTVは、KT、SKブロードバンド、LG U+の固定通信キャリア3社が提供するサービスで、韓国では、通信・放送融合サービス促進のため、IPTVに力を入れてきた経緯がある。KTスカイライフは通信キャリアKTの子会社であり、衛星放送とIPTVの融合サービスも提供している。

有料放送市場ではかつてはCATVが圧倒的強者であったが、現在は、通信キャリア3社が提供するIPTVが、携帯電話と組み合わせたバンドルサービスを強みとして急速に加入者を伸ばし、CATVの加入者が奪われている状況である。2015年下半期のプラットフォーム別加入状況(2015年下期6か月平均)は、CATVが1,380万人、IPTVが1,099万人、衛星放送が307万人で、有料放送市場におけるシェアはそれぞれ、50%、39%、11%。2017年までに加入者数でIPTVがCATVを上回りそうな勢いである。

現在の有料放送分野の政策面の動きとしては、CATV、IPTV、衛星放送を同じ有料放送サービスとして同一の規制を適用するため、放送法とIPTV法を、統合放送法として一本化する作業が進められている。IPTVの導入時にどの法律で規制するかについて、当時の省庁間の激しい管轄争いとなり、サービス開始時期が大幅に遅れた。その解決策として、IPTVを開始するために、放送法とは別途でIPTV法が制定された経緯がある。そのため、例えば免許圏域など、IPTVとCATVで規制の違いがあることが問題となっている。

さらに、CATV業界の梃入れが問題となっている。他社による買収を模索する動きも表面化している。CATV最大手CJハロービジョンのモバイルキャリア最大手SKテレコムによる買収計画の行方は注目の的であったが、2016年7月に公正取引委員会は合併・株式買収不許可の判断を下した。これにより、当面は買収を主な出口戦略と目してきたCATV業界は、通信キャリアによる買収の可能性が閉ざされることを懸念している。そのため、有料放送行政の管轄省もCATV業界梃入れ対策を近日中にまとめる意向を示唆している。