EUでは、デジタルTV周波数移行後の空き周波数800MHz帯(790-862MHz)を、2013年1月までに無線ブロードバンドに割り当てることを基本方針としていたが、実際の割当て手続きが遅延している状況であり、2013年7月24日、欧州委員会は、9か国について、割当延期を承認する決定を下した。
800MHz帯の割当て期限は、2012年3月に採択された「無線周波数政策プログラム(Radio Spectrum Policy Programme:RSPP)を策定する決定」(243/2012/EU)で規定されており、加盟国はこれを遵守することとされているが、これを実施した国は、2013年7月現在、加盟28か国中11か国にとどまっている。RSPPでは、800MHz帯の割当ての障害となる正当な理由がある場合、実施延期の特例(derogation)を認めることとしており、欧州委員会は、申請のあった14か国について延期事由の審議を進め、うち9か国について、軍が使用する帯域に関する調整ほかを理由に承認し、2か国については割当手続きなど組織上の問題が承認の理由として不十分であるとし申請を却下した。また残り3か国は継続審議となった。
今回、9か国の割当て延期を承認したことで、800MHz帯の無線ブロードバンド導入の日程が再調整されることとなったが、EU域内における無線ブロードバンドの統一市場の形成が後退することが懸念されており、欧州委員会は、今後、800MHz帯の早期割当てを、主要課題として検討することとしている。
★手続き実施済み(11か国)(2013年7月時点)
デンマーク、ドイツ、アイルランド、フランス、イタリア、ルクセンブルグ、
オランダ、ポルトガル、スウェーデン、英国、クロアチア
★延期申請と結果 (下表参照)
◇延期承認(9か国): スペイン、キプロス、リトアニア、ハンガリー、マルタ、オーストリア、
ポーランド、ルーマニア、フィンランド
◇延期却下(2か国): スロバキア、スロベニア
◇継続審議(3か国): ギリシャ、ラトビア、チェコ
表 申請国が承認を求めた割当て実施時期
実施時期(各国申請) |
実施国 |
2013年半ばまで |
リトアニア |
2013年末まで |
スペイン、オーストリア、フィンランド、ハンガリー、スロバキア 、チェコ (ベルギー、エストニア)(注) |
2014年半ばまで |
ルーマニア、ポーランド、スロベニア |
2014年10月まで |
ギリシャ |
2014年末まで |
マルタ |
2015年7月まで |
ラトビア |
2015年末まで |
キプロス |
2017年中 |
(ブルガリア)(注) |
(注)今回、特例措置の承認申請を行っていないが、ベルギー、エストニアは2013年末までに、ブルガリアは2017年中の割当手続実施を予定。