台湾の通信放送委員会(NCC)は、2013年9月~10月に、第4世代(4G)モバイル・ブロードバンド用の周波数オークションを実施した。700MHz帯、900MHz帯、1800MHz帯の総計270MHz幅(135MHz幅×2)を対象にしたもので、中華電信、遠傳電信、台湾モバイル、亜太電信の既存事業者のほか、新規参入者として国碁電子(鴻海)、台湾之星(頂新)の異業種2社が、【表1・表2】のとおり、各周波数ブロックを落札した。
台湾では、モバイル・ブロードバンドの導入政策が積極的に進められ、2007年にWiMAX免許が付与されたが、同加入者は13万7,000程度にとどまる(3G加入者は1,774万)など、モバイル・ブロードバンドの普及は伸び悩んでいた。今回のオークションの結果、今後、新しい競争環境の下で、LTEによるワイヤレス・ブロードバンドの普及が進展することが見込まれている。また、新しい競争環境におけるサービス価格の低下や収益率低下に対応するための設備共有等の事業者間協力の動向なども注目される。
オークション結果は以下のとおり。
(1)合計落札額は1,186億5,000万台湾元。最低落札額の計359億元の230%と大きく上回った。
特に1800MHz帯の価格が大幅に高騰。
表1 落札事業者の取得帯域幅と落札金額
事業者 |
取得幅 |
落札額 |
中華電信 |
35MHz |
390.75億元 |
遠傳電信 |
30MHz |
313.15億元 |
台湾モバイル(台湾大哥大) |
30MHz |
290.10億元 |
亜太電信(APT) |
10MHz |
64.15億元 |
国碁電子* |
20MHz |
91.80億元 |
台湾之星** |
10MHz |
36.55億元 |
* 電子機器受託製造業(EMS)最大手・鴻海(Hon Hai)グループ系
** 流通・食品最大手・頂新(Ting Hsin) グループ系
(2)免許有効期限は、2030年12月31日まで。開始時期は帯域により異なる。
(3)ネットワーク敷設義務として、免許事業者は5年以内に次を達成しなければならない。
-高速基地局(通信速度下り100Mbps以上)を、1,000局以上又は全基地局の80%以上敷設する。
-高速基地局によるカバレッジ範囲が、サービス区域人口の50%に達している。
表2 各周波数ブロックの落札結果
周波数帯 |
帯域(MHz) |
幅 |
(単位:台湾ドル) |
落札事業者 |
最低価格 |
落札額 |
700MHz |
A1 |
703~713/758~768 |
10MHz×2 |
46億 |
64.15億 |
亜太電信 |
A2 |
713~723/768~778 |
10MHz×2 |
46億 |
68.10億 |
遠傳電信 |
A3 |
723~733/778~788 |
10MHz×2 |
46億 |
68.10億 |
国碁電子 |
A4 |
733~748/788~803 |
15MHz×2 |
69億 |
104.85億 |
台湾モバイル |
900MHz |
B1 |
885~895/930~940 |
10MHz×2 |
16億 |
36.55億 |
台湾之星 |
B2 |
895~905/940~950 |
10MHz×2 |
21億 |
33.20億 |
中華電信 |
B3 |
905~915/950~960 |
10MHz×2 |
21億 |
23.70億 |
国碁電子 |
1800MHz |
C1 |
1710~1725/1805~1820 |
15MHz×2 |
22億 |
185.25億 |
台湾モバイル |
C2 |
1725~1735/1820~1830 |
10MHz×2 |
14億 |
100.70億 |
中華電信 |
C3 |
1735~1745/1830~1840 |
10MHz×2 |
14億 |
127.90億 |
遠傳電信 |
C4 |
1745~1755/1840~1850 |
10MHz×2 |
14億 |
117.15億 |
遠傳電信 |
C5 |
1755~1770/1850~1865 |
15MHz×2 |
30億 |
256.85億 |
中華電信 |