仏経済・デジタル化担当相Montebourg氏は、6月4日の元老院経済委員会で、携帯ネットワーク事業者を現在の4社から3社にすることで、通信市場の投資環境を改善するという構想を述べた。
同氏は3月に外資系ケーブル会社ニュメリカブルによる仏第2の総合通信事業者SFRの合併決定から、移動体通信市場での料金引下げ競争による通信事業者のインフラ投資資金減少と、経営の悪化した事業者の外資による買収を危惧している。同氏によれば、この事態を打開するには、国内事業者同士の統合により、過度の料金引下げ競争を抑制するとともに、インフラの維持コストを下げることが望ましく、インフラの統合により浮いた資金は新たなインフラ構築に回せるであろうという。
具体的には、旧国営事業者オレンジによる、総合通信市場第3位で、移動分野での料金競争で業績が悪化しているBouygues Telecomの吸収合併が構想されている。同相の通信業界再編のプロセスは三段階に分かれている。
- オレンジがBouygues Telecomを吸収合併する。
- Bouyguesの移動体通信網及び対応周波数の一部を新規参入事業者フリー・モバイルに売却する。
- フリー・モバイルの属するイリヤッド・グループが、オレンジから携帯ネットワークの再販を受ける代わりに、同社のルーラル地域におけるFTTH網構築プロジェクトに共同投資する。
経済相は、この計画により、ネットワーク投資を犠牲にして低価格競争をあおりたてていると評されるイリヤッド・グループに携帯ネットワークの維持管理と国家超高速ブロードバンド計画への参加を要求することができると考えている。
オレンジはこの計画に従い、5月からBouygues Telecomとの交渉を進めてきたが、株式買収額で折り合いがつかず、7月2日、交渉の中断を発表した。オレンジ社長によれば、同社が提示した株式買収額60億ユーロに対し、Bouygues Telecomは75億ユーロから80億ユーロを要求したという。