ドイツ通信規制当局(BNetzA)は、2013年7月、GSM帯域の再免許方針(「プロジェクト2016」)に関する諮問文書(BK 1-11/003)を発表し、2016年末に免許期限が切れる900MHz及び1800MHzの再割当、並びに700MHz(694-790MHz)及び1.5GHz(1452-1492MHz)の新規割当を、オークションによって実施することを発表した。また、サービス継続性の観点から、900MHzの2×5MHzを、既存の4事業者に確保する方針を示している。
しかし、欧州委員会が2014年7月に、テレフォニカ(O2)によるE-Plus買収を承認したことから、BNetzAは合併会社に対し、900MHz及び1800MHzについて、次のように電波の早期返還を要求することを検討している(2014年7月4日のBNetzA決定文書(注))。
免許期限の前倒し
2016年末に失効する、テレフォニカとE-Plusの900MHz及び1800MHzの免許期限を2015年末に前倒し、2014年末までに、オークションによる再割当手続きを開始する。
最低周波数保有量
テレフォニカ/E-Plusの合併会社が、2016年以降に最低限必要な900MHz及び1800MHzの周波数量は、2025年末が免許期限となっている900MHzの2×5MHz及び1800MHzの2×10MHzとする。
返還帯域幅
返還が要請されるのは、2016年末に失効する900MHzの2×5MHz及び1800MHzの2×34.8MHz(最大)で、政府の合意が得られれば、700MHz帯もオークションに含める。
ドイツのモバイル市場は、テレフォニカのE-Plus買収によって、4社体制から3社体制に移行する見通しが高まったことから、新規参入者への新たな電波割当に期待が寄せられ、実際、Liberty Global等が電波獲得に関心を示していると見られている。その一方で、テレフォニカ/E-Plusの合併会社が、返還した帯域をオークションによって買い戻すこともできる。
ドイツにおいて、900MHz及び1800MHzの再免許にあたり、免許更新ではなく、オークションによって再割当をする背景には、ネットワークマイグレーションによって電波の効率的な利用が進むことから、各事業者に対して周波数利用に係る戦略の見直しを促し、オークションを通じて効率的に電波再編を進めることで、事業者間の電波の最適配分を実現しようとするねらいがある。
表 900MHz帯及び1800MHz帯の事業者別の周波数保有比率(2014年7月)
帯域 |
免許人 |
免許期限 (年) |
帯域幅 (MHz) |
合計 |
帯域別/ 事業者別の保有比率 |
900MHz帯 (合計34.8MHz) |
O2/E-Plus |
2016 |
2×10 |
- |
28.8% |
T-Mobile |
2016 |
2×12.4 |
- |
35.6% |
Vodafone |
2016 |
2×12.4 |
- |
35.6% |
1800MHz帯 (合計70.2MHz) |
O2/E-Plus |
2016 |
2×34.8 |
2×44.8 |
63.8% |
O2/E-Plus |
2025 |
2×10 |
T-Mobile |
2016 |
2×5 |
2×20 |
28.5% |
T-Mobile |
2025 |
2×15 |
Vodafone |
2016 |
2×5.4 |
- |
7.7% |
出所: BNetzA資料をもとに作成
(注)http://www.bundesnetzagentur.de/SharedDocs/Downloads/EN/BNetzA/Areas/Telecommunications/TelecomRegulation/FrequencyManagement/ElectronicCommunicationsServices/Merger_Decision.pdf?__blob=publicationFile&v=3