ドイツ連邦ネットワーク庁(BNetzA)は2014年10月22日、同庁が2013年6月に発表した報告書「Strategic Aspects of the Availability of Spectrum for Broadband Rollout in Germany」(注1)に基づき、モバイルブロードバンド用途として700MHz、900MHz、1800MHz及び1.5GHz(1452-1492MHz)帯を、マルチバンドオークションによって割当てる方針の諮問文書を発表した。オークションにかけられる周波数量及び最低価格は以下のとおりで、900MHz帯については落札できる周波数量が1社当たり最大2×15MHz(ペアバンド)までの周波数キャップが課されている。
表1 オークションにかけられる周波数帯と最低価格
帯域 |
周波数量 |
1ロット単位 |
最低価格 |
700MHz |
2×30 MHz (ペアバンド) |
2×5 MHz |
7,500万€ |
900MHz |
2×35 MHz (ペアバンド) |
2×5 MHz |
1800MHz |
2×45 MHz (ペアバンド) |
2×5 MHz |
3,750万€ |
1.5GHz |
1×40 MHz (アンペアバンド) |
1×5 MHz |
1,875万€ |
900MHz帯及び1800MHz帯はGSMバンドとして割当てられたもので、2016年12月31日に免許期限を迎えるために再割当されるもの。各事業者の900MHz帯及び1800MHz帯の保有状況は以下のとおり。
表2 各事業者の900MHz帯及び1800MHz帯の免許保有状況
帯域 |
免許人 |
免許期限 |
帯域幅 |
900MHz |
O2/E-Plus* |
2016年12月31日 |
2×10 MHz |
T-Mobile |
2016年12月31日 |
2×12.4 MHz |
Vodafone |
2016年12月31日 |
2×12.4 MHz |
1800MHz |
O2/E-Plus |
2016年12月31日 |
2×34.8 MHz |
O2/E-Plus |
2025年12月31日 |
2×10 MHz |
T-Mobile |
2016年12月31日 |
2×5 MHz |
T-Mobile |
2025年12月31日 |
2×15 MHz |
Vodafone |
2016年12月31日 |
2×5.4 MHz |
※テレフォニカ(O2)によるE-Plus買収が2014年7月に欧州委員会により承認されたことから、O2とE-Plusの免許を統合して掲載
出所: ECO REPORT 03, THE LICENSING OF ‘MOBILE BANDS’ IN CEPT, 6 October 2014をもとに作成
700MHz帯(694-790MHz)は現在地上デジタルTV(DVB-T)に使用されているが、連邦政府が策定した「デジタルアジェンダ2014-2017年」において、2018年までにブロードバンドの全国カバレッジを達成するために700MHz帯を使用することが提言されており、連邦政府と州政府との間の合意が待たれているところ。700MHz帯のバンドプランはAPT(Asia Pacific Telecommunity)に準じることが検討されており、703-733/758-788MHzを移動業務に配分する方針で、733-758MHzの25MHz幅はセンターギャップとして確保する。なお、センターギャップの一部はLTEを活用した公共安全ブロードバンド向けにPPDR(Public Protection and Disaster Relief)に配分することが検討されている。
700MHz帯についてはカバレッジ義務が課されており、最低10Mbpsの下り回線速度のサービスの世帯普及率を、免許付与後3年以内に、全国で98%、各州で95%、都市で99%を達成しなければならない。
注1: Strategic Aspects of the Availability of Spectrum for Broadband Rollout in Germany
http://www.bundesnetzagentur.de/SharedDocs/Downloads/EN/BNetzA/Areas/Telecommunications/TelecomRegulation/FrequencyManagement/ElectronicCommunicationsServices/DemandIdentificationProceedings/StrategicAspects.pdf?__blob=publicationFile