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2014.08

  • アイルランド
  • 電波関連
アイルランド、周波数政策の全面見直しへ

アイルランドの通信・エネルギー・天然資源省は、従来の周波数政策を全面的に見直す作業を進めている。2012年には「国家ブロードバンド計画」が発表され、2015年までにダウンロード速度70Mbpsのブロードバンド・サービスを人口の50%に普及させることが目指されているが、無線分野でも第四世代(4G)移動通信以降の無線通信サービスがその一端を担うことが期待されている。

政策面では、無線ブロードバンドの普及を促す新しい周波数政策の枠組みの構築が進められており、2014年7月には、従来の周波数政策の問題や検討課題に関する意見を通信事業者等の利害関係者から求めるコンサルテーション文書「Consultation on Spectrum Policy Priorities」が、同省から発表されている。同省は、今後の無線ブロードバンド等の普及に伴い周波数への需要増加が見込まれるなか、新たに策定される周波数政策を通じて、次の2点を実現するとしている。

  • ワールドクラスの通信インフラ、技術、サービスの水準に遅れることなく、市場競争を通じて、経済発展や市民生活の質の向上に貢献するように周波数の効率的利用を推進する。
  • 公共の利益や公共サービスに資する幅広いサービスの提供に必要とされる周波数資源の量的確保を図る。

コンサルテーションでは、下表の通り、3つのカテゴリーについて意見を求めており、EU方針への対応などにも言及している。

(1)現行の政策の問題点や優先的に検討すべき課題など政策全般に関する意見、(2)具体的な割当て帯域や、特定の割当て制度・手続きなどの関する意見、(3)現行の法令・規則に関する意見を求めている。

通信・エネルギー・天然資源省は、2014年9月まで意見を募集し、利害関係者からの回答を踏まえ、今後取り組みが必要な政策課題の特定とその手順を策定していくこととしている。

主な意見募集事項
政策全般 (1)現行政策の問題点及び発生しつつある問題点
(2)現行政策に必要とされる改善点
(3)勘案するべき他の政策
(4)中期的(3-5年)に取り組むべき周波数政策の優先事項
(5)周波数取引から生じる利益の一部の国庫収納など
特定事項 (1)UHF帯(470-790MHz)に関するEU方針と将来の利用形態
(2)周波数割当て手続きの見直し
(3)既存割当てを維持するべき周波数ブロック
(4)周波数利用料の料金水準
(5)免許期間(単年/複数年)
(6)2013年9月に発表されたEU単一市場文書における域内周波数調和方針への対応*
法令 (1)現行の法的枠組み**
(2)通信省と独立規制機関の所掌事務の切り分けの明快性
(3)通信大臣による政令の発出権限の有効性
(4)現行法制度でカバーされていない問題点
*EU 'Connected Continent:Building a Telecoms Single Market'において、欧州単一市場の構築のため、無線通信分野では、周波数割当ての域内調和を強化することが提言されている。
**現行法では、1926年無線電信法で無線局免許及び周波数利用を規定、「2002年通信規制法」で独立規制機関(ComReg)を規定。2007年放送法で放送規制機関(BAI)を規定している。
出所:DCENR,コンサルテーション文書