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2013.11

  • ブラジル
  • セキュリティ、プライバシー
ルセフ大統領、過剰な通信監視の中止を求める国連決議案を提出

2013年9月、米国家安全保障局(NSA)がブラジルのジルマ・ルセフ大統領や政府関係者の電子メールや通話記録を傍受していたほか、国営石油会社ペトロブラスのネットワークに侵入し情報収集していたこと、グーグルやフェイスブックが保管するブラジル人ユーザの個人情報を閲覧していたことが明らかになった。

この報道を受け、ルセフ大統領は、国連に過剰な通信監視活動の中止を求める決議案を提出したほか、ブラジル議会にユーザデータの国内管理を義務付ける法案を提出した。

ルセフ大統領は9月24日の国連総会で声明を発表し、「米国による通信監視はブラジルの主権を侵害する行為で全く容認できない」と強く批判した。また、同氏は、インターネット・ガバナンスの国際的枠組みを確立することを提案し、サイバー空間が諜報や他国のシステム攻撃等の武器とならないような条件を確立すべきとした。

11月7日には、ルセフ大統領は、NSAの監視対象のひとりに選ばれていたドイツのメルケル首相とともに、過剰な通信監視やデータ収集などプライバシーを大幅に侵害する行為の中止を求める決議案を、国連総会に提出した。

この決議案は、通信監視による人権侵害に強い懸念を示すとともに、このような人権侵害を止めるための対策を取り、国際的人権保護法に基づく適切な国内法の制定により人権侵害を防止するよう呼びかける内容となっている。同案は、国連総会第三委員会で11月末までに修正について採決した後、12月に総会で採決にかけられる見込み。

一方、国内では、ルセフ大統領は、ブラジル議会に対し、ブラジル国内ユーザのデータは国内で保管することをオンライン事業者に義務付ける法案を採択するよう求めている。同法案は、プライバシー保護、ネット中立性、オンライン事業者のためのセイフハーバー・ルール、オープンガバメント、インターネット上の市民権を強化するために2011年に作成された「Marco Civil」と呼ばれる包括的法案に追加する形で盛り込まれており、早ければ11月中旬にも下院で採決されると見られている。

ただし、ユーザデータの国内管理義務付けに係る条項については、議会内でも反対の声が多く、ルセフ大統領と連立を組む同国最大政党のブラジル民主運動党(PMDB)もこの条項は支持していない。