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2014.10

  • ブラジル
  • 事業者のM&A・国際展開
テレフォニカがGVT買収で合意、通信業界再編の引き金に

欧州通信大手のスペイン・テレフォニカとテレコム・イタリア(TI)による仏メディア大手ビベンディのブラジル子会社GVTをターゲットとした買収合戦は、9月19日、テレフォニカがGVTを買収することで最終合意に達した。

ビベンディは現金46億6,300万ユーロと、テレフォニカのブラジル子会社VivoとGVTの合併で誕生した新会社の株式12%を受け取る。また、合意の一環として、ビベンディは、テレフォニカが所有するテレコム・イタリアの株式5.7%を、ビベンディの株式4.5%と交換する。

GVTはブラジルで急成長を遂げているブロードバンドプロバイダ(250万のブロードバンド加入者を保有)で、TIとビベンディは数か月前から提携や買収を視野に入れた話し合いを進めていたが、テレフォニカが8月初めビベンディ/GVTに(現金と株式の組み合わせで)67億ユーロで買収を提案した。これを受けて、TIは28日、テレフォニカを上回る70億ユーロの対抗案を提示したが、テレフォニカが同日、買収額を74億5,000万ユーロに引上げた。

欧州では以前から、大きな市場統合の波が訪れると予想されているが、現状では停滞状態が続いており、テレフォニカ、TIともに急成長を遂げる南米での事業拡大に向けて、GVT買収を競う形となった。

ブラジルのブロードバンド市場は、加入者数トップのアメリカ・モビル傘下のクラロが32%、2位のOiが27%のシェアを獲得している。テレフォニカがGVTを買収すると、Vivoと合わせておよそ30%を獲得することになり、上位2社と比肩できる。一方、TIのブラジル子会社TIMはブロードバンド市場の1%未満しか占めていない。

一方、携帯電話市場は、Vivoが加入者シェアトップの29%を獲得し、TIMが27%、クラロが25%、Oiが19%を占めている。

有料テレビ市場のトップは、Netとエンブラテルを傘下に持つアメリカ・モビルでシェア53%を獲得している。2位はSkyブラジル(ディレクTVグループ)で29%、3位はOiで4.8%、4位はGVTで4.2%、5位はVivoで3.4%。

ブラジルでは、価格競争の激化を受けて、業界統合の動きが模索されている。携帯電話市場では、9月30日に開催された4G向け700MHz帯の周波数オークションを睨んで、OiがTIMの買収に乗り出している。

現在ポルトガル・テレコムとの合併が進行中のOiには、買収に必要な資金が足りず、また独占禁止法の観点から単独での買収は非現実的であることから、アメリカ・モビルに共同買収を持ちかけており、買収後は2社でTIMを分割する計画である。

GVT買収に失敗したTIは、同社売上げの3分の1を占めるブラジル事業を手放すつもりはなく、ブラジル事業を強化するため、TIMを通じたOi買収の可能性を検討しているところである(10月8日現在、正式な買収オファーは打診していない)。