米国の連邦通信委員会(FCC)は、2013年7月23日、新たに4つの周波数帯(AWS-3)を、2014年秋に、オークションで割り当てるため、「規則制定提案及び命令に関する告示」を公表した。
今回、オークション規則案の公表に至った背景には、国防総省が、無人航空機(「Drone」)の操縦訓練などに使用している周波数を商用向けに明け渡すことを、受け入れたことが大きい。また、今回提案されたオークション計画は、ローカルTV局から回収予定の600MHz帯を携帯事業者に割り当てるためのインセンティブオークションに先立って実施されるもので、全国公共安全ブロードバンド網の整備費用の確保のために、少しでも多くのオークション収入を、予め確保しておくことが期待されている。
FCCは、上述の告示について、2013年10月16日までパブリックコメントを募集し、2014年春には、正式なオークション規則を公表する予定である。
以下に、オークション対象となる4つの周波数帯などについて示す。
(1)オークション対象帯域(Advanced Wireless Services:AWS)
[1] 連邦政府用帯域
1. 1695-1710MHz(15MHz幅):アップリンク/携帯
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連邦政府機関の周波数移転が困難な場合、「プロテクション・ゾーン」内では、連邦政府機関と共用ベースで運用。
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「プロテクション・ゾーン」外での民間利用は、連邦政府機関との周波数調整は不要。
2. 1755-1780MHz(25MHz幅):アップリンク/携帯
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連邦政府機関(主に国防総省)の周波数移転が困難な場合は、連邦政府機関と共用ベースで運用。
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FCCは、2010年3月に議会に提出した「国家ブロードバンド計画(National Broadband Plan)」で、2155-2180MHzとのペアバンドとして割り当てることを提案。
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2013年8月、上院商業委員会は、所属議員全員及び軍事委員会所属議員の一部が署名した書簡をFCC、国防総省、及び商務省に送付し、1755-1780MHzを2155-2180MHzとペアバンドとするFCC案を支持すると表明。
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国防総省によれば、周波数移転費用は約36億米ドル。
[2] 非連邦政府用帯域(商用帯域)
3. 2020-2025MHz(5MHz幅):アップリンク/携帯
4. 2155-2180MHz(25MHz幅、AWS-3):ダウンリンク/基地局
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2012年2月成立の「ミドルクラス減税及び雇用創出法(Middle Class Tax Relief and Job Creation Act of 2012)」に基づき、2015年2月22日までにオークションを実施することを規定。
(2)オークション実施時期
FCCは、2014年9月までに、オークションで割り当てる計画をNTIAに通知済み(2013年3月)。
(3)オークション収入の使途
全国公共安全ブロードバンド網である、FirstNet(First Responder Network Authority)整備費用に必要な70億米ドルを調達するため、オークション収入を「公共安全信託基金(Public Safety Trust Fund)」へ繰り入れ。なお、インセンティブオークションを含め、70億米ドルを超過したオークション収入は、赤字削減などに充当される。
(4)追加バンドの検討
FCCは、無線業界団体(CTIA)の要請を受けて、現在、放送補助業務(Broadcast Auxiliary Service: BAS)に使用されている2095-2110MHz(15MHz幅)を、1695-1710MHz のペアバンドとして割り当てることについても、パブリックコメントを募集。