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物流ワールドニュース

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海外主要国及び国際機関等における物流・郵便事業に関する最新の情報を定期的にホームページに掲載していきます。

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2011.12.05

  • 米国

【米国】新郵便改革法案の進捗状況

 USPSの2011会計年度は、51億ドルの損失となった。これに先立ち、USPSは2006年郵便責任・強化法(PAEA)で義務付けられている郵便退職者医療基金への納付金55億ドル(2011年度分)の拠出を拒否しているため(政府は支払期日の延期として処理している)、本来の損失は100億ドル超に達したことになる。
 PAEAが実施された時点から、すでに郵便を取り巻く状況の変化により赤字が増大し続けているUSPSの財務状況を改善するための新たな郵便法成立に向けて、現在、政府や上院下院での検討が行われている。
 USPSは9月、上院に郵便局の閉鎖・統合や人員の削減、土曜配達の中止、独自の医療保険制度の設立などを含む要望書を提出した。また、同月に政府が発表した予算案にもUSPSについて触れられており、政府も連邦負債軽減対策の一環として、土曜配達の中止、インフレ率を上回る郵便料金値上げを支持することを表明した。
 USPSから要望書を提出された上院では11月、超党派の郵便改革法案「21st Century
Postal Service Act((S.1789))」を上院国土安全保障・政務委員会で可決した。これには、USPSが「連邦職員退職年金制度(FERS)」に過払いした70億ドルを払い戻す、郵便退職者医療基金への前納金を80%に引き下げるといった項目のほか、今後2年間は週6日制郵便配達を維持し、この間に他の手段による十分なコスト削減が見られない場合、週5日制配達に移行することが認められている。
 上院よりも早く、下院では9月に共和党が支持する「Postal Reform Act of 2011(H.R. 2309)」(イッサ/ロス下院議員の郵便改革法案)が可決。この法案はUSPSへの公的資金投入を回避するためのものとされ、郵便退職者医療基金への前納義務や年金制度への過払い問題には全く対応していない一方、土曜配達の中止や郵便局・配達車両の広告スペース販売を認めている。また、上院案にはないUSPS財政改革を監督する新たな機関を設置する項目も含まれている。
 しかし、USPSのドナホー総裁は、上下院で提出されている郵便改革法案では2015年までに必要な数十億ドルの支出節減を実現できないとの見方を示している。
(国土安全保障・政府活動委員会HP 2011年11月、政府改革委員会HP 2011年9月等)

(ひと言)
 USPSの職員は、毎年の労使協定)により「ストライキはできない」「解雇されない」ことが合意されているため、USPSは人員削減ができない。また、USPSは1971年7月に政府行政部門の独立機関として発足しており、それ以降の退職者には連邦職員退職年金制度(FERS)が適用されている(ただし、所管の人事管理局(OPM)の制度の変遷により違いがある)。