2012.01.12
【米国】AT&T、T-モバイル買収を断念
AT&Tは、12月19日、390億ドルでのT-モバイル買収を断念したと発表した。同社はT-モバイル親会社、ドイツ・テレコムに対して現金30億ドルと10億ドル相当の周波数を含む違約金を支払わなければならない。またAT&T、T-モバイル両社が7年間のローミング契約を結び、両社セルラー・ネットワークを強化する新たな手段を検討していくことも明らかにされた。
オバマ政権になってもコムキャスト/NBCユニバーサル(NBCU)合併など大型企業合併はいくつか認可されてきたが、司法省は今回の買収については一線を引いた。AT&Tは既に合併阻止を求めた司法省の訴訟で手続の延期を申し立て、違約金の準備として40億ドルを計上するなど買収断念の兆しを見せていたが、行政を納得させるだけの資産売却もできないと判断し、買収断念を決めるに至ったと見られる。買収計画中止で、米国には全国規模の移動通信事業者が今後も4社残るが、ドイツ・テレコムは米国市場から撤退したい意思や今後米国での高速データ通信網構築に投資しないことを明らかにしているため、T-モバイルの将来は不明のままとなる。