2011.12.12
【米国】FCC、AT&T/T-モバイル合併計画分析報告を発表、合併に反対する内容
FCCは、11月30日、AT&TのT-モバイル買収計画を分析した109ページに及ぶ報告を発表。この中で合併がなされた場合、米国100大地区の内、移動通信市場で有意な競争が存続するのはネブラスカ州オマハのみとし、同計画がほぼ全ての米国都市で市場競争を制限し、料金上昇につながると結論付けた。
AT&Tはこの報告の公開に反対していたが、それを押し切ってFCCがこれを発表したことは、AT&TとT-モバイルにとって新たな打撃となる。FCCが両社合併に行政審判を仰ぐと示唆したのを受け、両社はFCCに提出していた合併申請を取り下げ。FCCもこれを認めている。
FCCは今回の報告で、独立事業者としてのT-モバイルの存在が失われることはAT&Tが料金上昇を独断する動機となり、ベライゾンやスプリントがこれに続く動機にもなると指摘。小規模な地域事業者がT-モバイルの代わりとなり、移動通信市場の統合を回避する力にはなり得ないとの考えも示した。さらに合併が移動通信網の品質を改善するというAT&Tの主張にも裏付けデータが提出されていないとして懐疑的。同社がT-モバイル買収を発表する以前よりLTEサービスの提供を計画していることから、LTEネットワーク構築にT-モバイルの周波数が必要という同社主張にも疑問を呈している。AT&Tは合併が数千人の新規雇用創出につながるともしているが、FCCはこれについても逆に雇用が失われるとしている。