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2012.10.23

  • 米国

【米国】米携帯3位のスプリント、ソフトバンクが買収

 ソフトバンクが米携帯電話第3位のスプリント・ネクステルを買収する方向で協議に入ったとする報道を受けて、スプリントは10月11日、ソフトバンクによる大規模投資の可能性について、現在協議中であることを認めた。ただし協議がどのような形にまとまるか確証はないとし、交渉がまとまるまでコメントを差し控えるとしている。一方、報道についてソフトバンクは11日、「憶測に基づいたもの。当社から発表したものではなくコメントはありません」という声明を発表した。米国では2012年10月月、業界第4位のT-モバイルが、第5位のメトロPCSを買収する計画を発表したばかりだが、今回ソフトバンクがスプリントの全株を取得するのか、3分の2に留まるのか、また、最終的に両社が合意するのかはまだ不明。契約が実現すれば、その総額は1兆円 (128億1,000万ドル) 超になると見られている。スプリントは、現在も2005年のネクステルとの合併から続く異なるネットワーク技術の統合、加入者減・売上低下への対応に追われており、同社幹部からはこれまでも「業界再編に加わりたい」との声は出ていた。

 以上のような報道があった直後の10月15日、ソフトバンクは、スプリント・ネクステルの買収で合意したことを発表した。同社はスプリント株の約70%を取得する。契約総額は201億ドルで、スプリントは米国移動通信市場の支配力を強める最大手2社、ベライゾンとAT&Tを追撃するために必要な資金を得ることになる。両社役員会は既にこの買収を承認しており、2013年中盤の買収完了を見込んでいる。なお、買収が実現するためには司法省とFCCの承認が必要で、スプリントは電気通信事業者に対する外資の出資率の上限規定の免除が公益に適うと行政を説得する必要がある。米国移動通信市場第3位のスプリントはこのため、買収がベライゾン、AT&Tとの競争力を増すということを全面に押し出すと予想される。

 しかし、ソフトバンクにとって米国市場への進出は大きなリスクを伴う。米国では欧州などに比べると、移動通信事業者が料金設定に力を持っており、データ通信売上は今後も成長が期待できるが、最も利ざやが見込まれる2年契約加入者の大半は市場の2大キャリアであるベライゾンとAT&Tが握っている。スプリントは近年、サービス品質についての悪評を払拭し、昨年はiPhoneの販売も始めたが、今もその規模はベライゾン、AT&Tの半分程度に留まっている。これまでの外国事業者の米国への出資を見ても、メキシコのカルロス・スリム氏は低所得層向けサービスで成功しているが、T-モバイル親会社のドイツテレコムは米国市場から撤退したがっているなど、成否は入り交じっている。