平成11年度自主研究報告書

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「インターネットの現状と課題」

RITE99-J05


【発行】平成13年1月

【研究担当者及び執筆分担】


目 次

要 約

第1部 インターネットの普及と発展

第1章 ウェブ・キャスティングの現状 ―インターネットの放送的利用へ―
 1−1 ストリーミング
  1−1−1 サーバー側
  1−1−2 伝送路
  1−1−3 クライエント側
  1−1−4 ストリーミングのコンテンツ(利用法)
 1−2 ウェブ・キャスティング
  1−2−1 ウェブ・キャスティングとは
  1−2−2 ウェブ・キャスティングの実際
  1−2−3 業界団体の動き
 1−3 利用者の実態
  1−3−1 イベント
  1−3−2 利用者調査
 1−4 最後に
 引用URL一覧
 付表

第2章 アプリケーション・サービス・プロバイダーの現状
 2−1 ASPの流行語化によるデメリット
 2−2 ASP分類の拡大化
 2−3 ASPの3分類法
  (1) アプリケーション・アウトソーシング
  (2) アプリケーション・ホスティング
  (3) ウェブ・ソーシング
 2−4 ASP別のトポロジー
 2−5 アプリケーション・サービス・メソッド
 2−6 サービス・レベル・アグリーメント問題
 2−7 セキュリティー、知的所有権の問題
 2−8 電話業界が注目するクエストのASP事業
 注

第3章 米国のVoIP市場の動向
 3−1 VoIP市場の現状と展望
  3−1−1 急成長をみせるVoIP市場
  3−1−2 今後注目される付加価値サービス
  3−1−3 急増する国際VoIPトラフィック、米国発ルートが中心
  3−1−4 VoIPが機器市場に及ぼす影響
  3−1−5 VoIP市場の今後を定めるサービス品質
 3−2 VoIP市場の牽引役
  3−2−1 新興VoIP専門事業者と卸売事業
  3−2−2 クリアリングハウス
  3−2−3 Web - to - Phoneサービス
 3−3 米国の主要VoIPサービス提供業者の概要、サービス内容と戦略
  3−3−1 Net2Phone
  3−3−2 ITXC
  3−3−3 iBasis
  3−3−4 DeltaThree.com
 参考文献及びURL

第4章 インターネット接続を容易にする無線LAN
 4−1 無線LANの普及とその背景
  4−1−1 利用が進む無線LAN:アクセス・ネットワーク構築手段としても期待
  4−1−2 無線LAN普及の背景
  4−1−3 日米における無線LAN利用周波数帯規制緩和の動向
  4−1−4 無線LANの国際標準規格とその高速化の動向
 4−2 無線LANの市場規模ならびに競合サービスとの比較
  4−2−1 市場予測
  4−2−2 ユーザー・ネットワーク構築手段としての無線LAN
  4−2−3 アクセス・ネットワーク構築手段としての無線LAN
 4−3 無線LANの開発動向
 4−4 おわりに
 参考文献

第5章 ドメイン名管理とインターネット・ガバナンス
 5−1 背景:インターネットの普及拡大と問題の噴出
 5−2 ドメイン名管理問題の経緯
  5−2−1 従来のドメイン名管理体制
  5−2−2 ドメイン名管理体制に対する批判と変革
 5−3 ICANNの組織体制
 5−4 これまでのICANNの活動
  5−4−1 一般会員選出理事の選挙
  5−4−2 gTLDレジストラの自由化
  5−4−3 ドメイン名紛争解決ルールの策定
  5−4−4 新TLDの増設
 5−5 JPNICにおけるドメイン名管理の変革
  5−5−1 紛争処理方針の策定
  5−5−2 汎用JPドメイン名の導入
 5−6 インターネット・ガバナンスの協調モデルの課題と意義
 参考文献

第6章 インターネット時代のデータベースと日本の戦略
 6−1 情報のデータベース化と日本経済
  6−1−1 情報のデータベース化
  6−1−2 データベースとビジネス・市場競争
  6−1−3 金融システムとデータベースと円の国際化
  6−1−4 暗黙知、形式知とデータベース
 6−2 ネットワークとデータベース
  6−2−1 データベースの歴史
  6−2−2 ネットワークの下位層のデータベース
  6−2−3 データベースとミドルウェア
  6−2−4 ネットワークの上位層のデータベース
 6−3 データベースと要素技術
  6−3−1 データベースの要素技術
  6−3−2 データベースと技術連関表
  6−3−3 データベースの社会的仕掛けと日本の戦略
 注

第2部 インターネットをめぐる社会的諸問題

第7章 欧米における電子商取引課税の動向
 7−1 はじめに
 7−2 OECDにおける電子商取引課税協議
 7−3 米国における電子商取引課税動向
  7−3−1 米国の売上税
  7−3−2 売上税執行上の問題点
  7−3−3 電子商取引への売上税適用 ―米国特有の電子商取引課税問題―
  7−3−4 インターネットで失われる売上税予測
  7−3−5 消費者の問題意識
  7−3−6 インターネット課税凍結法 ―The Internet Tax Freedom Act―
  7−3−7 電子商取引諮問委員会 ―Advisory Commission on Electronic Commerce―
  7−3−8 電子商取引諮問委員会報告書
  7−3−9 ACEC以後の動向
 7−4 EUの電子商取引課税動向
  7−4−1 VATの導入
  7−4−2 VATの特徴 ―日本との違い―
  7−4−3 EU予算の財源としてのVAT
  7−4−4 通信自由化が提起したVAT改正問題 ―原産地国課税から消費地課税へ―
  7−4−5 電子商取引とVATの問題 ―オンライン配信をめぐって―
  7−4−6 VAT指令案 ―クロスボーダー・オンライン配信への課税方針―
  7−4−7 欧州委指令案への反響
 7−5 日本の動向と今後の展望
  7−5−1 日本の消費税と電子商取引課税政策
  7−5−2 今後の展望
 注
 参考文献及びURL

第8章 サイバー犯罪とその課題 ―欧州サイバー犯罪条約案を中心に―
 8−1 はじめに ―なぜ管轄権が問題なのか?―
 8−2 サイバー犯罪に関する最近の事例
  8−2−1 データヘイブン構想
  8−2−2 反ナチス法の域外適用
 8−3 内国刑法の国家管轄権行使に関する国際法の諸準則
  8−3−1 属地主義
  8−3−2 属人主義
  8−3−3 受動的属人主義
  8−3−4 保護主義
  8−3−5 普遍主義
 8−4 欧州サイバー犯罪条約案の概要と反対論
 8−5 欧州サイバー犯罪条約案における管轄権規定
 8−6 おわりに
 注

付属資料 インターネットの普及状況


要 約

 本報告書は、現在のインターネットの現状を明らかにするとともに、インターネットをめぐるいくつかの社会的問題について考察したものである。本報告書は、第1章から第6章までの第1部と、第7章及び第8章の第2部と、全体で2部構成になっている。
 第1部では、現在までのインターネットの普及と発展について取り上げており、まず、インターネット放送、アプリケーション・サービス・プロバイダー、VoIP、及び無線LANといった各種サービスの展開に焦点を当てて分析している。また、ドメイン名管理におけるインターネットのマネージメントの問題、さらにはインターネットとデータベースとの関連性についても考察している。
 第2部では、インターネットをめぐる社会的な諸問題について分析を行っている。まず、インターネット上の商取引に対する課税の状況を、米国と欧州について取り上げて国内の状況と比較している。また、サイバー犯罪に対する法制度的な対策の動向についても検討を行っている。
 また、巻末の付属資料には、インターネットの普及状況を示すものとして、全世界及び主要国におけるインターネット・ホスト数、利用者数、及び普及率に関するデータを付している。
 なお、各章を通じて、本報告書では主に海外の状況について焦点をあてているが、必要に応じて、日本国内の状況を取り上げて、比較分析を行っている。

第1部 インターネットの普及と発展

第1章 ウェブ・キャスティングの現状 ―インターネットの放送的利用へ―

山田 隆 (国際通信経済研究所 第一研究部)

 パソコンや伝送路の高度化につれて、インターネット上での放送的利用すなわちウェブ・キャスティングが注目されている。第1章では、最初にウェブ・キャスティングを実現するストリーミング技術関係の動きを整理し、次いでウェブ・キャスティングの動向、利用者の実態について整理した。
 ストリーミンクでは、コンテンツ配信側のサーバーと受信側のクライエントとが共通したアプリケーションを利用しなくてはならないが、その分野ではRealPlayerが高いシェアを維持している。しかし、最近は、Windows MediaPlayerが追い上げており、しばらく前の「ブラウザー戦争」と同様の様相を示している。
 また、動画などのストリーミングでは情報量が莫大となるため、現在の伝送路や接続回線ではスムーズな視聴は難しい。伝送路については、IPマルチキャストやコンテンツ配信サービスによる対応が進められている。IPマルチキャストは、伝送路上のルーターがストリーミング・データのコピーを作ることで、サーバーの負荷軽減と軽快なストリーミング視聴を図るものである。コンテンツ配信サービスは、利用者に近い位置のサーバーに本来のサーバーのコンテンツをあらかじめ配信しておくものである。これらの利用により、ストリーミングのより快適な利用が可能となりつつある。
 ウェブ・キャスティングとは、ストリーミングを放送的に利用するものであるが、米国を中心としてかなりの数の提供サイトが登場している。検索サイトもウェブ・キャスティング専門のもののほかに、Yahooなど従来からのサイトがウェブ・キャスティングのコンテンツ対応を開始している。
 ウェブ・キャスティング関連の協会として、International Webcasting Association(IWA)が、関連事業者により結成されている。IWAは米国だけではなく欧州やアジアでも結成され、著作権処理などの制度的な整備に動くものと期待される。
 利用者の実態としては、接続回線の未整備もあり、オーディオ(インターネット・ラジオ)の利用が多いものと思われる。インターネット・ラジオには既存のラジオ局が提供するもののほかに、インターネットでのみ専門的な内容をラジオとして流すサイトもあるが、これらの人気が強い。インターネット・ラジオは、既存のラジオと同様、聴きながらパソコンやその他の作業をする者が多い。
 今後しばらくは、ウェブ・キャスティングは「ながら利用する」ラジオと、確認用の短時間の動画利用として使われるだろう。利用者の接続回線の伝送能力がさらに向上すれば、新たな展開が期待される。

第2章 アプリケーション・サービス・プロバイダーの現状

小池 良次 (ITジャーナリスト、www.ryojikoike.com

 アプリケーション・サービス・プロバイダー(ASP)は当初の期待ほど普及が進んでいない。それは、「不明確な定義」「企業の導入手法」「ネット環境の未整備」などの問題があるためである。
 ASPにおける混乱の一つはその定義の不明確さにある。流行語的な要素が強く、ASP企業を標榜するなど便乗しようというネット・ビジネスが多数出現した。99年5月に設立されたASPインダストリー・コンソーシアムは会員数750社を超えているが、ASPらしいサービスを提供している会員は20-25%程度である。
 ASPはサービス形態によって、(1)アプリケーション・アウトソーシング(Application Outsourcing)、(2)アプリケーション・ホスティング(Application Hosting)、(3)ウェブソーシング(Websourcing)の3つに分類できる。(1)アプリケーション・アウトソーシングは、基本的にホスティングをベースとした、基幹業務処理のアプリケーションをそのままアウトソーシングする手法である。(2)アプリケーション・ホスティングは、マイクロソフトのオフィースやエクスチェンジ・サーバー、アウトルック、アクセスなど汎用性の高いソフトをデータセンターにホスティングするサービスである。(3)ウェブソーシングは、経理やスケジュール管理など専用アプリケーションと関連データをネット上で提供するサービスである。
 定義が不明確であったこととともに、多くの企業は既に構築した企業システムをすべて手放すことに潜在的な危機感を持つことも、普及の阻害要因である。しかし、米国の一般企業は、企業内システムの一部分だけを利用する方向に進んでいる。その際、どこまでサービス・プロバイダーが責任を持つかを決めることが難しく、サービス・レベル・アグリーメント(SLA)問題と言われる。
 このような中、ベル系地域電話会社のUSウェストを手に入れ、ベンチャーから大手電話会社に変身したクエスト(Qwest Communications International)は、アプリケーション・ホスティングをベースとするデータ・センターを次期事業のターゲットとしているとみられる。電話会社にとってASP事業は顧客固定化の有力な武器であり、価格競争を回避できるメリットがあるため、クエストの動きは電話業界から注目されている。

第3章 米国のVoIP市場の動向

菊地 千枝子 (国際通信経済研究所 海外調査部)

 第3章では、米国を中心としたVoIP市場の全体像について述べるとともに、VoIP市場を主導している米国の主要VoIP事業者の動向についてとりまとめた。
 第1節においてはVoIP市場の現状と展望についてとりまとめた。
 第2節においては今後VoIP市場の牽引役として重要な役割を果たすと考えられる事業及びサービスについて考察した。
 第3節においては現在米国で主要なVoIP事業者として活動している4社をとりあげ、その概要及びサービス内容を紹介した。

第4章 インターネット接続を容易にする無線LAN

横山 邦江 (株式会社 情報通信総合研究所)

 第4章では、インターネットに接続する環境を構築していくうえで、有線LANを補完・代替するものとして、さらには、高速インターネット接続サービスとして、今後大きな役割を担っていくとの期待が高まっている「無線LAN」について取り上げる。無線LANは、国際標準化や相互接続性の向上が進められ、これまでよりも高速で低価格になっており成長期を迎えている。日本および米国における無線LANをめぐる規制、国際標準規格、他サービスとの比較、製品開発動向について概説する。

第5章 ドメイン名管理とインターネット・ガバナンス

北村 順生 (国際通信経済研究所 第一研究部)

 インターネットの急激な普及拡大は、様々な社会的な課題とともにいくつかのインターネットに内在する課題をも顕在化させている。中でも、インターネットの利用において基盤となるドメイン名の管理体制の問題は、誰がインターネットを管理するのかという「インターネット・ガバナンス」へとつながる重要な争点である。本章では、現在に至るドメイン名の管理体制の推移を紹介し、その結果設立されたICANNの活動やJPNICの変革の動きを概観することで、新しい情報通信メディアであるインターネットの管理をめぐる協調モデルの意義と課題を明らかにした。
 歴史的にみると、インターネットは利用者自身が運用や管理に参画する形で発展してきた。しかし、インターネットの拡大に伴い、従来のボランティア・ベースによる管理・運用体制の限界が露わになったことで、新たな管理システムの中核になる機関として登場したのがICANNである。ICANNでは、各国の政府や企業、市民団体、一般利用者等、インターネットに関わる様々な利害関係者間の意見の調整という重要な役を担っている。これまでにも、ドメイン名に関する紛争処理ルールの策定やドメイン名の登録システムの改革、あるいは新たなドメイン名の新設など、今後のインターネットのあり方を方向付ける重要な決定を行ってきた。そこで下された決定の枠組みは、日本国内向けドメイン名の管理を担っているJPNICの新たなポリシー策定にも大きな影響を与えている。
 ICANNの活動については、複雑な利害関係が絡むインターネットに関して、いかに民主的で公正な運営を行っていくか等、今後の課題も多い。しかし、ボーダレス化の進展により国境を越えた問題が続出する現代の社会状況下においては、ICANNの試みが持つ意義は大きい。ICANNでは、従来のような国家単位の枠組みを持つ国際組織とは異なり、民間主導の個別的な合意の積み重ねにより国際的な問題の解決にあたることを基本的な理念としている。この点で、ICANNは単にインターネットの管理・運用だけの問題にはとどまらずに、今後のグローバルな社会に対応した新しい協調モデルを提示しているとも言えるのである。

第6章 インターネット時代のデータベースと日本の戦略

菰田 文男 (埼玉大学 経済学部)

 本章では、情報通信ネットワークが支配的パラダイムになる時代に適応して、日本で新しい経済システムを作ってゆくためには、ネットワークの上にさまざまな分野でのデータベース化が必要であること、データベースは要素技術としての多様なソフトウェアの進歩に支えられているということを論じ、またそのための社会的取り組みが必要であるということを論じた。
 第1節「情報のデータベース化と日本経済」では、人の頭の中にある情報がビット情報となりコンピューターの中に蓄積されるようになるということの意味、そのことが市場競争にどのような影響を与えることになるのか、について述べた。
 第2節「ネットワークとデータベース」では、データベースの構造や性質がどのように変化しつつあるかを述べた。インターネットというオープンなネットワークは、異なる場所にある多くのデータベースを必要に応じて結びつける自律分散処理型の新しいアーキテクチャを可能にした。低コストで柔軟に組み替え可能な自律分散処理システムの優位性は明らかである。このようなデータベースがネットワークの中にどのように位置づけられるかを論じた。
 第3節「データベースと要素技術」では、データベース技術発展の基本的トレンド、および最先進国のアメリカと比較した日本の特徴を述べた。ついで、日本の経済システムにおけるデータベースの発展方向として、(1)業務の流れを正しく再編しデータベースを構築すること、(2)価値ある情報とは何かを明確にすること、(3)データベース構築のためのインセンティブの必要性、(4)日本のネットワーク環境の特長を生かす必要性について述べた。

第2部 インターネットをめぐる社会的諸問題

第7章 欧米における電子商取引課税の動向

三澤 かおり (国際通信経済研究所 海外調査部)

 第6章では、電子商取引の発達で生じた消費税課税の問題を取り上げる。インターネットが世帯に普及するにつれて、BtoC取引の増大が予測される。ところが、各国の現行の消費税制では、電子商取引に対応できないことが判明している。  まず、第1節では、ダウンロード製品の配信取引への課税の国際的な共通ルールが必要とされる背景を説明する。電子商取引への課税は国内のみでなく、グローバルな問題である。
 第2節では、課税の共通ルール作りがOECDで協議されていること、並びにOECDが打ち出した電子商取引課税の原則を紹介する。ところが、米国とEUは独特の内部事情を抱えているため、具体策では足並みがそろわない。
 第3節では、米国の消費税、売上税制の抱える問題と電子商取引への適用をめぐる議論を紹介する。現在の売上税制では、州をまたいだ電子商取引には課税ができない。そこで、米国では3年間の時限立法のインターネット課税凍結法が成立し、電子商取引への課税問題全般を検討した。しかし、各界で意見が二分し、議論は新世紀に持ち越された。  第4節では、EUの付加価値税、VATの電子商取引における問題点と、欧州委員会が打ち出したVATの新原則を概観する。欧州委員会は2001年6月末にもオンライン配信への課税の根拠となる新VAT指令を成立させたい考えで、指令案は現在閣僚理事会と欧州議会で審議継続中だ。
 第5節では、日本の動向とグローバルな電子商取引課税問題の今後の展望について述べる。

第8章 サイバー犯罪とその課題 ―欧州サイバー犯罪条約案を中心に―

一戸 信哉 (稚内北星学園大学 情報メディア学部)

8章は、サイバー犯罪の国際的規制に関する管轄権の問題を扱う。不正アクセス、違法コンテンツなど、インターネット上で行われる行為のうち、刑事的規制の対象となるものは、多くの場合、実行行為の開始から結果の発生までに、国境を超えることが少なくない。こうした場合には、関係国間の刑事実体法規の違いを克服すると同時に、関係国間の国家管轄権の競合を回避し、実効的な国際的規制を行う必要がある。本章では、現在欧州評議会で草案が作成されている欧州サイバー犯罪条約案を中心に、サイバー犯罪に関する国際的規制の現状と問題点について述べる。


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