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「インターネットの現状と課題」
RITE98-J05
【発行】平成12年3月
【研究担当者及び執筆分担】
目 次
第1部 インターネットの現状と可能性
第1章 インターネットの普及動向と将来への展開
1−1 はじめに
1−2 インターネットの発展経緯
1−2−1 ARPANETの開発
1−2−2 学術研究用ネットワークとしての広がり
1−2−3 インターネットの商用化と発展
1−3 インターネットの普及状況
1−3−1 インターネットにおける統計データの特徴
1−3−2 接続状況
1−3−3 ホスト数
1−3−4 国別ホスト数
1−3−5 利用者数
1−3−6 普及率
1−4 インターネットの将来に向けた取り組み
1−4−1 次世代インターネットの研究開発
1−4−2 インターネット・プロトコルの改良
1−4−3 ドメイン名の管理体制の変更
1−5 おわりに
第2章 ネットワークのIP化をめぐる米国通信事業者のグローバルな覇権争い
2−1 覇権は誰が握るか
2−2 IP化に向けた近年の米国通信事業者の合併・提携活動
2−2−1 伝統的通信事業者 –大型合併によりさらに規模を拡大–
2−2−2 新興通信事業者 –エンドユーザの囲い込みを進める–
2−3 構築が進む米国通信事業者のIPネットワーク
2−3−1 伝統的通信事業者 –既存網を活かしたIP網の構築–
2−3−2 新興通信事業者 –先端的なピュアIP網を構築–
2−4 展望と課題
第3章 インターネット料金
3−1 米国におけるインターネット利用料金
3−1−1 米国におけるインターネット接続の現状
3−1−2 ダイヤルアップ接続によるインターネット利用料金
3−1−3 DSL技術を用いたインターネット料金
3−1−4 CATVインターネット料金
3−1−5 インターネットTVによるインターネット料金
3−2 欧州におけるインターネット利用料金
3−2−1 欧州におけるインターネット接続の現状
3−2−2 ダイヤルアップ接続によるインターネット利用料金
3−2−3 DSL技術を用いたインターネット料金
3−2−4 CATVインターネット料金
第4章 インターネット利用者の状況
4−1 インターネット利用者の最近の状況
4−1−1 利用者数と普及率
4−1−2 インターネットへの接続方法:利用ISPの状況
4−1−3 インターネット非利用者の特性
4−2 欧州と米国の利用比較
4−2−1 インターネット利用者の性別と年代
4−2−2 ウェブの主な利用目的
4−2−3 ウェブ利用上の問題点
4−2−4 インターネット技術の利用経験
4−2−5 利用技術に関する利用者の自己評価
4−2−6 利用者の考えているインターネットの問題点
4−2−7 ウェップ利用によって置き換えられる活動
4−3 米国の最近の利用状況
4−3−1 生活意識の中のインターネット
4−3−2 コンピュータの設置場所とテレビ
4−3−3 インターネット上の活動
4−3−4 インターネットの家庭への導入
4−3−5 オンライン・ショッピング
4−4 利用者の今後
4−4−1 今後の利用者
4−4−2 今後の利用法
第2部 インターネットに関する社会的諸問題
第5章 商用化を目指したインターネットの進化と階層構造
5−1 新しい消費社会とサイバービジネス
5−1−1 経済構造の変化と情報通信ネットワーク
5−1−2 アプリケーション市場の成長と電子商取引
5−1−3 新消費主義の前提条件としての魅力あるサービスの低価格化
5−1−4 ソフトウェア主導の技術進歩の必要性
5−2 情報通信ネットワークの構造と進化
5−2−1 ネットワークの階層構造
5−2−2 アプリケーションの開花に必要なエージェント層
5−2−3 ビットウェイ層における棲み分け
5−2−4 回線の効率利用とハブ構造
5−3 インターネットの進化を支える技術群とソフトウェア育成の必要性
5−3−1 複眼的な研究開発戦略
5−3−2 知的ソフトウェアの開発と技術連関分析
5−3−3 組織から市場への研究開発システムの転換
第6章 インターネットの法総論 −ネット上の表現とその規制−
6−1 インターネット法をめぐる議論の構図
6−2 「公然性を有する通信」における表現の自由と規制
6−3 性表現規制と表現の自由
6−4 インターネット上の著作権侵害に対する対応
6−5 スパムメールと商業的表現の自由
6−6 インターネット犯罪に対する刑事管轄権行使
6−7 おわりに
第7章 インターネットに関するフランスの裁判例から
−ドメインネームをめぐる問題−
7−1 フランス社会とインターネット
7−1−1 はじめに
7−1−2 インターネット法の拡大
7−2 法律紛争の具体例:「アリス事件」
7−2−1 事件の概要
7−2−2 フランスにおけるドメインネーム問題
7−2−3 ドメインネームの法的位置付け
7−3 今後の動向
7−3−1 紛争解決の手段
7−3−2 むすびに代えて −アリス事件についての私見−
要 約
本報告書は、第1章から第4章までの第1部と、第5章から第7章までの第2部の2部構成になっている。第1部では、インターネットの現状と将来の可能性および将来性について、普及動向、通信事業者の動向、料金、そして利用者の側面からそれぞれ分析している。また、第2部では、インターネットをめぐる社会的問題に関して経済面および法制度面から検討しており、新消費主義型社会とエージェントソフトウェア、表現の自由と内容規制、および、ドメイン名の商事法的位置付けの問題に関して検討している。
第1部 インターネットの現状と可能性
第1章 インターネットの普及動向と将来への展開 北村順生(国際通信経済研究所)
第1章では、インターネットのこれまでの発展経緯、現在の普及状況、そして将来に向けたインターネットの動きについて紹介する。
インターネットは、1969年に実験を開始したARPANETをその起源とするが、当初は軍事目的により開発が開始されたものであった。その後、研究者たちの間で広く利用されるようになり、学術研究目的のコンピュータ・ネットワークとして広まっていった。こうした状況を大きく変化させたのは、1990年代以降に行われた商用化である。この結果、インターネットは一般の企業や個人の間でも利用されるようになり、急激な勢いで普及して現在に至っている。
現在では、インターネットのホスト数は全世界で7,000万台以上、利用者も2億7,000万人以上にのぼると見込まれる。ただし、その普及には大きな地域格差があり、インターネット発祥の地である米国での利用が圧倒的に多い。また、西欧や日本などの先進国での利用が多いのに比べて、アフリカやアジアの途上国での普及は大きく立ち後れており、情報格差の是正が大きな問題となっている。
現状における、将来のインターネットに向けた取り組みに関しては、技術的なものと運用上のものとに大別される。技術的な取り組みとしては、高速かつ高品質な次世代インターネットの開発と、新しいインターネットプロトコルの開発が挙げられる。また、運用面での取り組みとしては、ドメイン名の管理体制の刷新がある。ドメイン名の問題は、インターネット・ガバナンスという重要な問題とも関係しており、インターネットのあり方に大きな影響を与えると言える。
第2章 ネットワークのIP化をめぐる米国通信事業者のグローバルな覇権争い 菊地千枝子(国際通信経済研究所)
第2章においては、ネットワークのIP化をめぐる米国の通信事業者の活動についてとりまとめる。
まず第1節では、多くの通信事業者がネットワークのIP化に本格的に取り組むに至った背景とその取り組みの概要を紹介する。
第2節では、ネットワークのIP化を先導する米国の通信事業者が、IP戦略の一環として盛んに行っている、世界規模の合併・提携活動についてとりまとめる。ここでは特に、伝統的事業者としてAT&TとMCI WorldComを、新興事業者としてはQwest、Level 3、WorldPort、Viatel、GTS、Frontier(現Global Crossing)の活動とその特徴をとりまとめた。
第3節では、各事業者によるIPネットワークの整備の現状及び計画を紹介する。ここでは伝統的事業者としてAT&TとMCI WorldComを、新興事業者としてはQwest、Level 3、Frontier (現Global Crossing)をとりあげた。
最後に第4節では、ネットワークのIP化に取り組む通信事業者の展望と課題について述べた。
第3章 インターネット料金 横山邦江(情報通信総合研究所)
第3章では、欧米諸国におけるインターネット接続の方法および提供料金の現状について概観する。
第1節では米国における現状を紹介する。米国では、すでに非対称型デジタル加入者回線(ADSL)やCATV、インターネットTVによるインターネット接続サービスが提供されている。近年は、とりわけCATV事業者が提供するインターネット接続サービスの伸び率が高まっているものの、住宅用ユーザーの95%が未だダイヤル・アップで接続している。ダイヤル・アップによる接続をはじめ、ADSLやCATVを利用したインターネット接続サービスの料金と特徴について取り上げる。
第2節では欧州における現状を紹介する。欧州諸国では、ADSLサービスが1999年春以降に提供開始されたにすぎず、CATVインターネットも本格的に始まっておらず、これら広帯域アクセスの提供・普及は進んでいない。まず、ダイヤル・アップ接続に関して、市内通話料金(従量制)の料金比較、市内通話料金体系の定額制へ向けた取り組み状況、急速に普及が進んでいる無料インターネット接続サービスについて取り上げる。その後、ADSL、CATVによるインターネット接続サービスの提供状況およびその料金体系、加入者回線アンバンドルをめぐる議論について紹介する。
第4章 インターネット利用者の状況 山田 隆(国際通信経済研究所)
第4章においては、増加が著しいインターネット利用者の状況を記した。
インターネットの利用者数は、全世界で2000年1月現在で約2億5百万人と推定されている(調査時点前3ヶ月間にアクセスした人)。このうち、52.7%はアメリカ・カナダであり、25.8%が欧州、17.1%がアジア太平洋である。中近東、アフリカ、南米などでは、利用者数は数百万人以下であり利用は遅れているが、伸び率は低くない。
家庭におけるインターネット利用率は、日本11.0%、米国22.2%、欧州8.3%(EU15ヶ国)である。日本・欧州ともパソコンの世帯普及率は3割以上に達しているが、それらのインターネット接続の割合は米国の6割に対して、日・欧ともに3割前後である。
利用者の接続方法は、日本では比較的小さなISPを利用する割合が過半数であり、米国では全国展開しているISPの利用率が7割を越えるとみられ、欧州では電話会社系ISPのシェアが高い。無料ISPなどが出現しており、この状況は今後は急速に変化するものとみられる。
日米欧ともに、インターネット接続に関心の低い人々が存在する。通信コストや個人情報の安全性が課題として回答されているが、インターネットの有用性への認識不足もあるものと考えられる。
普及が進んだ米国利用者には、途上にある欧州と比較して、新しいシステムなどへの挑戦に必ずしも意欲的ではない一般の人々が多い。米国では利用者の性別や年代の偏りが解消されつつあるが、インターネットそのものに対する関心ではなく、実際的なメリットを得る傾向が強い。また、テレビ視聴などの既存の生活行動のいくつかは、インターネット利用に置き換わる傾向が強い。
普及の進んだ米国の利用者は、インターネット端末であるパソコンをテレビと同じ部屋に設置し、日常的・地域的な内容の利用が多くなっている。オンライン・ショッピング経験者は増加しているが、これらには活動的なライフスタイルの者が多い。
今後は、周囲の者とのコミュニケーションから利用開始し、課題解決的な利用というよりは情報消費的な利用が進むものと考えられる。この点では、インターネットのながら利用も増加すると予想される。
第2部 インターネットに関する社会的諸問題
第5章 商用化を目指したインターネットの進化と階層構造 菰田文男(埼玉大学)
インターネットの成長は電子商取引によってさらに加速されつつある。自動車や家庭電化製品などの耐久消費財に代わって、高度な新サービス財がネットワーク上で取り引きされることが「新消費主義型」という新しい経済成長パターンを生み出しつつある。インターネットが電子商取引に利用されるためための条件は、それが魅力あるサービス財を低価格で供給することを可能にするようになることである。そのためには、ハードウェアでおこなっていた処理をソフトウェアで行うことが必要である。ネットワーク技術はソフトウェア主導で進歩しなければならない。たとえば、ミドルウェア層とアプリケーション層の間にエージェント層という新しい層が生まれることを通じて、ネットワークかヒューマンフレンドリーにならなければならない。エージェントソフトウェアの進歩のためにはどのような技術が必要になるかは、科学技術データベースから作成される技術連関表によって解明できる。このような新しいソフトウェア開発のための経済システムの改革が必要になっている。
第6章 インターネット法総論 −ネット上の表現とその規制− 一戸信哉(国際通信経済研究所)
本章では、インターネット法の現状と課題について、とりわけインターネット上の表現行為と規制について取り扱う。インターネットの急速な普及は、表現の自由への新しい可能性を開くものとなったが、一方で様々な法的な問題を引き起こし、表現の自由との調整を要求している。本章では、1)性表現規制、2)著作権、3)スパムメールをとりあげて、これら諸制度が抱える問題点の現状を明らかにするとともに、刑事管轄権の国際的調整についても検討する。
第7章 インターネットに関するフランスの裁判例から −ドメイン名をめぐる問題− 本山 敦(愛知大学)
従来、サイバースペースの法的問題は、地理的にいうとアメリカ合衆国を中心に、内容的にはサイバーポルノや名誉毀損といった刑事法分野の紹介が多かった。本稿は、検討の対象国をフランスとし、かつ、商事法の問題としてのドメインネームを主題にしたものである。「アリスAlice」というドメインネームの割り当てをめぐって争われた実際の裁判例を具体的に紹介した上で、フランス法において、ドメインネームの商事法的な位置付けについてどのような論議が行われているかを紹介し、わが国の法制度への示唆を求めたものである。
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