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【発行】平成10年10月
【研究担当者及び執筆分担】
これまで当研究所では,欧米諸国を中心とした通信・放送に関する法制度の調査を実施してきた。しかし,最近はアジア諸国の経済的発展が著しく,多くの投資がなされている現実を踏まえて,今回からASEAN圏を中心とした通信法制の調査を実施することとした。
本報告書は「ASEANの通信法制」と題して,第一回目の調査対象国を「マレーシア」とした。現在マレーシアでは,2020年までに先進国入りをめざす国家振興策(VISION
2020)を掲げるとともに,その中で情報通信分野は優先度の高い重要事項として扱われており,各国から注目を浴びている。
本報告書は,第1部本編「マレーシアの通信制度の概要」と第2部参考資料編(主要法律の掲載)で構成されている。第1部各章の要約は次のとおりである。
まず,第1章はマレーシアの法制度一般について概説したものである。これは,第3章で説明する通信法制の理解を助けるために,基礎的な法知識(法のバックグラウンド)を提供することを目的としたものである。マレーシア法は,植民地時代の影響もあって,旧宗主国,特に英国の法制度と固有の法制度が混在している。また,多民族による文化的背景や宗教的な特性が法律にも反映されたものとなっている。
第2章においては,マレーシアの電気通信事情を紹介する。まず,2-1でマレーシアの電気通信の歴史を概観し,2−2では電気通信を政策的視点から取り上げた。2−2では,政府の政策決定機関や規制機関,さらに主な政策とその下で行われている各通信分野の実態について説明する。マレーシアの電気通信政策は,競争の導入をはじめとする自由化政策を実施したが,現在,東南アジアにおける通信のハブ化を推進している。2−3では,電気通信サービス及び事業者の動向について述べる。本節では,まず,先の電気通信政策との関連で加入電話・移動体通信の普及状況を述べ,さらに主要な通信事業者の活動状況を説明する。
第3章は,マレーシアの電気通信に関する主要法律を概説したものである。まず,電気通信に関する法体系を確認した後で,主要法規の内容について紹介する。最初に,電気通信に関する基本事項を定める法律として「1950年電気通信法」があり,同法は電気通信事業に関する政府の権限,免許制度,電気通信事業会計,電気通信設備の保守管理および罰則などを規定している。
また,「1985年電気通信事業法(承継法人法)」も取り上げたが,これは1987年に郵電省から事業部門が分離・独立して,Syarikat Telekom
Malaysia(現在のテレコム・マレーシア)が発足した際の根拠法である。同法の主な内容は,郵電省からの組織分離に伴う資産の承継や,株式の売却などが中心である。
その他,1997年7月に新たな法案が議会に上程されているが,同法案は現在の通信制度を抜本的に改革するものであり,特に通信と放送,さらにインターネットの領域を含む広範な内容である。この法案が成立すれば,「1950年電気通信法」は廃止されることになる。
なお,第2部の参考資料編では,「1950年電気通信法」と「1985年電気通信事業法(承継法人法)」の邦訳を掲載したほか,現在議会に上程されている「通信・マルチメディア法案」と「通信・マルチメディア委員会法案」の2法案を掲載した(英文)。ただし,同案は審議中のものであり,修正される可能性があることに留意されたい。
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