平成9年度自主研究報告書

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「インターネットの動向」

RITE97-J01S


【発行】平成10年12月

【研究担当者及び執筆分担】


目 次

第1章 インターネット発展の略史

1−1 インターネット発展の経緯
1−2 インターネット大衆化の要素:ブラウザーの開発

第2章 インターネット普及の概況

2−1 インターネットの普及状況
2−2 主要国におけるインターネット普及の比較分析

第3章 アプリケーションの動向

3−1 インターネット電話
3−2 電子商取引 −さらに強まる米国企業および政府のインターネット・ビジネスに対する影響

第4章 インターネットに関する法的諸問題

4−1 はじめに
4−2 インターネットによる契約問題
4−3 インターネットとデジタル署名
4−4 ネットワーク犯罪
4−5 プライバシー問題
4−6 インターネットと著作権
4−7 今後の課題

第5章 将来に向けたインターネットの展開

5−1 インターネットに関連する主要組織
5−2 次世代インターネット・プロトコル
5−3 ドメイン・ネーム・システムの展開


要 約

 本報告書は、現在のインターネットの世界的な動向について明らかにしたものである。1960年代末に始まったインターネットの歴史は、1990年代半ばから急速な発展をみせており、現在では世界的規模に拡大している。本報告書では、インターネットの歴史、普及の現状、アプリケーションの動向、法制度的問題、将来的な方向性などについてまとめている。

 第1章においては、現在までのインターネットの発展の略史を概観した。インターネットの発展は、1990年代半ばのビジネスや一般の利用つまり商用利用が開始される前後でその様相はかなり異なる。
 第1節においては、異機種のコンピュータを接続する米国のアーパネットの実験(1969年)から、インターネットは開始されたことを記述した。パケット網として開発されたアーパネットは多くのコンピュータとの接続が続いたが、やがてNSFネットにバックボーンとしての役割を譲った。インターネットの利用が増加するにつれ、大学や研究機関以外にも接続を提供する組織が出現してきた。1990年頃からインターネットの商用利用が本格的に開始され、1991年にはインターネット接続サービス提供業者間の相互接続のために協会(CIX)が設立された。1995年はインターネットのビジネス利用や一般利用も活発化し「インターネット元年」となり、ブームを経て大衆化されるようになってきた。
 第2節においては、インターネットの一般利用を活発化させたアプリケーションであるプラウザー(WWWシステム)の変遷を記述した。欧州の研究機関CERNの研究者が作ったWWWプラウザーは、米国でグラフィック表示機能などが加えられ、インターネットを利用する際の必須の基本アプリケーションとなった。やがて、1996年頃から2大ブラウザー(NetscapeとInternet Explorer)の競争が激化し「ブラウザー戦争」と呼ばれる状況となってきた。ブラウザーはインターネット利用に必須でしかも最初のアクセス先を設定するものであり、ブラウザーの競争は最初のアクセス先(入り口ということでポータルと呼ばれる)の競争と変化してきている。

 第2章では、世界的なインターネットの普及の状況について、各種の統計データを取り上げて明らかにしている。あまりにも急激なインターネットの発展を前にして、一部ではインターネットの崩壊を予告する声もあったが、現在までのところインターネットは相変わらずの高いペースで拡大を続けているといえる。
 しかし一方で、インターネットの世界的な普及状況には、国や地域の間で大きな偏りがあるのも事実である。米国で開発が進められたインターネットにおいては、現在でも米国が他の国々を引き離して圧倒的な影響力を持っている。一方でアジアやアフリカの国の中には、インターネットの利用がごく僅かしない国が数多く存在している。こうしたインターネットに関する情報格差の是正は、今後の大きな課題となっている。

 インターネットは、現在さまざまな経済活動の在り方を変容させている。第3章では、人々の生活全般、そして企業や政府の活動に強い影響を与えつつある、2つのインターネット・アプリケーションについて、欧米主要国における現状を分析するとともに、その発展の方向性を展望する。
 第1節では、1995年頃から利用がはじまった「インターネット電話」について記述した。現在、インターネット電話は、パソコンや電話機を利用してかけることができる。パソコンからかけるインターネット電話は、単なる格安な通話手段ではなく、文字や映像なども同時に送信できるマルチメディアの通信手段に発展しており、電子商取引での応用も始まっている。また、電話機からかけるインターネット電話も、通話品質や使い勝手を改善するための開発が進められている。本節では、まず、インターネット電話の利用に必要な「インターネット電話機器」別に、特徴や開発状況について記述した。その後、これらのインターネット電話機器を利用してサービスを提供する「インターネット電話サービス事業」について、海外の状況も含めて記述した。
 インターネットを活用しての電子商取引は急速に普及し、あらゆる業種における商取引でインターネットが利用されるようになってきている。これによって、経済活動は活性化し、資本規模に関係なく、グローバルな商取引が可能になった。第2節では、この電子商取引の現状を、特に米国の動きを中心に分析する。

 第4章は、インターネットに関する法的問題を取り上げる。
 まず、第1節で、本章の目的を確認した後、第2節においてインターネットを利用した契約の問題について取り上げる。特に、契約の成立の時期と場所の特定は重要な関心事項である。
 第3節は、デジタル認証システムとそれに関する各国の立法動向について紹介する。デジタル認証システムはインターネットを利用したコミュニケーションにおいて、相手方本人の確認手段として欠かせないものである。
 第4節は、不正アクセスの問題について取り上げる。特に不正アクセスによる法的侵害の類型と、これに対する諸外国の対応の現状について整理する。また多発する種々のネットワーク犯罪に対して、国際的な取り組みの現状について紹介する。
 第5節は、ネットワーク・プライバシーの問題について述べる。特に1995年に発せられた欧州委員会指令は、欧州連合加盟国以外の第三者にもプライバシー保護に関する施策を求めていることから国際的なインパクトが大きかった。
 第6節は、インターネットを利用する際の著作権の問題についてふれる。特に、著作権に関する国際的な動向について把握する。
 最後の第7節では、現状での法的問題点を整理し、インターネット時代に向けた法制度の展望について述べる。

 第5章では、現在さまざまな形で行われている、将来に向けたインターネットの技術的あるいは制度的な改善に向けた動きをまとめている。インターネットは、その開発当初からさまざまな改良を加えながら展開してきた。しかし、近年の急激なインターネットの利用者の増加は、大幅なシステムの変換を迫る状況も生んでいる。
 まず第1節では、こうしたインターネットに関する問題を検討する場となる、各種の組織や団体についてまとめている。ISOCを中心に、技術的あるいは制度的なテーマについて決定していく組織を紹介している。
 第2節では、技術的問題に関するものとして、インターネット・プロトコルの改良の動向についてまとめている。現在利用されているIPアドレスは、32ビットのものであり、インターネット利用者の急激な拡大の中でその枯渇が危惧されていた。現在、128ビットのIPv6が標準として採用することが決まっており、実用化に向けた評価実験が行われてつつある。
 第3節では、制度的問題として、ドメイン・ネームの管理体制に関する問題を取り上げる。gTLDの拡大に端を発したこの問題は、米国政府の関与をきっかけに、インターネットの管理システムについてあらためて浮かび上がらせることとなった。これまでセルフ・ガバナンスをポリシーに発展してきたインターネットが、規模の拡大の中で、国際的な協調を通じてどのような管理体制を構築していくのかが問われているといえる。


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