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研究員レポート


中国における条件付きの放送市場開放と中国放送メディアの海外進出戦略

マルチメディア振興センター 情報通信研究部 非常勤研究員 劉 雪雁

1. はじめに

 2008年4月2日、「メディア王」という異名を持つニューズ・コーポレーションのCEO、ルパート・マードックは、米ワシントンD.C.にあるジョージタウン大学で講演し、政府規制が厳しい中国のメディア市場について、「時とともに物事は変わっていく。中国の市場も自然に開放されると信じている」「次期政権下では、徐々にメディア市場が開放され自由になっていく」などと述べ、中国メディア市場の将来性への期待を示した。ちょうどその1週間後の4月9日、中国の現地新聞に「星空衛視撤退準備、マードックは中国で敗北」という見出しが踊った。
  星空衛視はニューズ・コープ傘下のスター社が中国市場向けに設立したエンターテイメントチャンネルであり、マードックの中国市場進出の橋頭堡でもある。星空衛視の撤退準備を報じた記事によると、星空衛視上海本部の職員数は、すでに30数名までに削減され、近いうちにチャンネルの運営権は香港にあるスター社に回収されるという。数日後、星空衛視は「不実な報道。中国から撤退する予定なし」という声明を出したが、人員削減の理由には触れなかった。
  中国のメディア市場にいちはやく関心を示し、進出するために積極的な活動をしてきたマードックの動向は、国内外から注目されている。星空衛視は撤退を否定したが、これまでの軌跡を振り返ってみると、マードックの中国市場進出は思うように行かなかったことが明らかである。角度を変えてこの事実を見てみると、WTOに加盟して6年あまりが経った今でも、中国放送市場の開放度合が、いぜん極めて限定的であるといえよう。


2. 外国資本や番組に対する規制および衛星放送の受信規制

 中国は2001年11月11日にWTO加盟し、貿易自由化やサービス領域の市場開放など具体的な措置やスケジュールを約束した。その中に、文化およびメディア領域に関連する項目も含まれている。ほかの産業に比べ、文化、言論の担い手として社会的な影響が大きいメディア市場の対外開放は、どの国においても慎重に行われてきたが、ましてメディアが情報伝達、言論表現以外に、共産党と国家の宣伝道具としての役割も果たしている中国にとっては、なおさら敏感な分野である。中国政府は、WTO加盟を中国の経済躍進と国際的地位の向上につながる画期的な出来事であると位置付けたが、同時に外国からの「不良な思想文化」の衝撃を如何に防ぎ、文化の主体性と政治の安定を如何に確保するかについて神経を尖らせている。WTOに加盟した直後、十数年間の加盟交渉に参加していた政府関係者は、「文化市場における開放の約束は放送業界に関係せず、国は依然として放送業界を厳しくコントロールしている」と強調した1。しかし、音楽・映像製品の流通や広告、通信領域における市場開放が承諾された以上、特に放送業界が影響を受けることはもはや回避できない現実となりつつある。
  中国では、以前から外国資本や番組の中国メディアへの浸透を警戒し、厳しい規制が敷かれてきた。「海外(外国および香港、マカオ、台湾を含む)テレビ番組の導入および放送に関する管理規則」、「ケーブルテレビ管理規定」、「ラジオ局、テレビ局、ケーブルテレビ局における放送管理強化に関する通知」、「放送管理条例」などの規定では、いずれも海外資本の参入や、番組の輸入・放送を規制する条項がある。
  一方、衛星放送の受信に関する規制の拠り所は、1993年に国務院によって発布された「衛星テレビ放送地上受信施設の管理規定」とその「実施細則」(1994年)である。この管理規定および実施細則では、衛星地上受信施設の生産から市場まで、すべてが許可制度の下に置かれると規定している。また、海外番組が受信できる部門や場所を、ハイレベルで大規模な教育、科学研究、報道、金融、経済貿易などの機関や部門;三つ星以上のホテル;外国人および香港、マカオ、台湾人が執務または生活するオフィスや住宅等に限定した。
  2001年12月末、国家ラジオ映画テレビ総局は「海外衛星テレビチャンネルのランディングを審査・管理する暫定方法」を発布した。この暫定方法によると、中国での放映権を申請する衛星チャンネルは、次の五つの条件を満たさなければならない。
 1) 放送内容が中国の法律、法規および関連の規約・制度に違反しないこと。
 2) 本国(地域)の放送メディアにおける総合力および視聴率が上位3位以内を占める実績を有すること。
 3) わが国と互恵協力を行う実力を有し、中国の放送番組を海外で放送することを承諾し積極的に協力すること。
 4) わが国に対して友好的であり、双方の放送分野における交流と提携を積極的に推進すること。
 5) 国家ラジオ映画テレビ総局指定の機関を通じて番組を一括伝送することに同意し、それ以外のルートによる中国国内での放送をしないことを承諾すること。
 この暫定方法には、国家ラジオ映画テレビ総局は放映権の申請について年1回審査を行う、ニュース類のチャンネルを批准しない2、放映権を取得した衛星チャンネルは、無許可に中国国内で番組や受信設備に関するキャンペーンを行ってはいけない、1年の間に中国の法律、法規に3回違反する場合、資格が取り消される、資格が取り消されたチャンネルは、3年以内に再申請することができない、などの条項も設けられている。
  このように、中国政府は放送場所、放送内容、代理会社、伝送路などに条件をつけて、海外の衛星チャンネルの進出をコントロールしている。さらに、2002年1月1日より、国家ラジオ映画テレビ総局は統一の衛星放送プラットフォーム方式を導入した。すなわち、すでに三つ星以上のホテルや渉外機関、外国人住宅区などでの放映権を持つ海外チャンネルには、すべての衛星信号をいったん中広影視衛星会社が運営するプラットフォーム――CBTVに送らせる。そこでスクランブルがかけられてから、各地の受信地に転送される。この方法は、海外チャンネルの内容を管理し、違法受信を排除することに役立つほか、各チャンネルから受託料が支払われるため、経済的収益も得られる。
  2008年2月現在、33の海外チャンネルが限定された場所での放映権を持っているが(図表1)、これからはより多くの海外チャンネルが中国市場への進出を図り、より多くの地域で放送への要望が出されることが予想されるため、統一の衛星放送プラットフォームの構築は、こういった流れを見据えた上での戦略といえよう。

図表1 三つ星以上のホテルなどで受信可能な海外チャンネル(2008年度)
チャンネル名
会社名やグループ名
国や地域
CNN International
AOLタイムワーナー
米 国
HBO
AOLタイムワーナー
米 国
Cinemax
AOLタイムワーナー
米 国
CNBC Asia Pacific
NBC/GE
米 国
MTV Mandarin
バイアコム
米 国
NGC Asia
ニューズ・コープ
米 国
Star Movies Int’l
ニューズ・コープ
米 国
Channel [V]
ニューズ・コープ
米 国
AXN
ソニー・ピクチャーズエンタテイメント
米 国
Discovery
TCI
米 国
Hallmark
NBC/GE
米 国
BBC World
BBC
英 国
NHK World Premium
NHK
日 本
Phoenix Movie
フェニックスTV
香 港
Phoenix TV
フェニックスTV
香 港
TVB8
TVB(香港)
香 港
TVB Galaxy
TVB(香港)
香 港
NOW
PCCW(香港)
香 港
MASTV
澳亜衛視
マカオ
TV5
フランス国営放送
フランス
Phoenix Infonews Channel
フェニックスTV
香 港
Bloomberg
ブルームバーグ
米 国
XING KONG WEI SHI
ニューズ・コープ
米 国
Eurosportsnews
ブイグ・グループ
フランス
CETV
タイムワーナー
米 国
Horizon Channel
WHARF/HKCE
香 港
SUNTV
陽光文化網絡電視
香 港
Celestial Movies
ASTRO
マレーシア
Channel Newsasia
MediaCorpグループ
シンガポール
Cuba Vision International
キューバビジョンインターナショナル
キューバ
KBS World
KBS
韓 国
ESPN
ESPN/ニューズ・コープ
米 国
Star Sports
ESPN/ニューズ・コープ
米 国
出所:http://www.sarft.gov.cnのデータをもとに作成

3. 「メディア特区」:珠江デルタ

 現段階において、中国で複数の海外チャンネルが日常的に受信できる唯一の地域は、広州、汕頭、深?、珠海、佛山を中心とする珠江デルタ地域である。香港に隣接するこの地域は、改革開放を実行した最初の地域であり、香港経由の海外情報や文化が中国大陸に流入する際の玄関口でもある。
  珠江デルタ地域の住民は、政府の禁止を尻目に、1980年代からすでにアンテナあるいは簡単なケーブル網を利用し、香港のテレビ番組を受信していた。このような受信行為は、度重なる取り締まりに遭いながらも、取り締まりが弱くなると再び活発化するということを繰り返していたのである。1992年、共産党広東省委員会宣伝部は、香港2大地上テレビ局――TVBとATVの計4チャンネルの番組を、設立されたばかりの広東省と広州市のケーブルテレビ網に流すことを許可した。そのため、広東省の人々は、ケーブルテレビ網の加入者であれば、香港の番組を合法的に見ることができる。1993年8月の時点で、広州市63%の世帯が香港のテレビを受信することができ、1998年になると、受信できる比率は97%に達した3。このような環境の中で、香港の地上波テレビ以外の番組も入りやすかった。
  2001年10月以降、国家ラジオ映画テレビ総局はフェニックスTV、CETV、星空衛視、ATVなど海外チャンネルの番組を、広東のケーブルテレビ網で放送することを正式に決定した。このような地域限定の市場開放は、中国が改革開放の初期にまず深?など四つの地域で「経済特区」を設けたという方式と似ているため、珠江デルタ地域は「メディア特区」と呼ばれるようになった。


4. 海外メディアグループの動き−−ニューズ・コープの場合

 中国市場に進出しようとする海外のメディア企業が多数存在する中で、特に目立っているのが、マードックが率いるニューズ・コープの動きである。図表2からも分かるように、マードックの中国市場進出は、1980年代までにさかのぼることができる。1985年春、マードックは中国を訪問し、「まるで新しい資本主義の神様であるかのように歓待された」4という。マードックは巨大な中国市場に潜むビジネスチャンスに関心を示し、視聴者が特に欲しがっているのは娯楽であることを感じ取った。市場参入の突破口として、当時まだ経済的な余裕がなかった中国に対して、マードックは傘下の20世紀フォックスの映画200本を、中央テレビ局に無償で提供した。
  1993年、マードックは香港財閥李嘉誠一族所有のスターTVの株を半分以上取得し、中国進出の最前線として準備を進めた。しかしこの年に、スターTVは毛沢東の私生活を取り上げたBBC制作のドキュメンタリーを放映し、マードックも「衛星放送やその他の先端技術が、世界各地の専制国家にとって脅威になる」と発言したことで、中国政府は衛星放送に対し強く警戒するようになった。その翌年、中国政府は衛星放送の受信に規制をかけ、個人による衛星放送の受信を厳しく取り締まった。
  その後、マードックは中国政府の怒りを買ったBBCをスターTVの北向きビームから除外したり、中国政府に批判的だったパッテン元香港総督の回顧録の出版を白紙に戻したりして、中国政府との関係改善に努めてきた。1999年、スターTVは海外のメディア企業として、初めて北京で事務所を開設することが許可され、翌2000年に、上海でも海外メディア企業事務所第1号を勝ち取った。図表2は、マードックが中国メディアに関わった主な動きをまとめたものである。この年表から、マードックが中国市場に進出するためのさまざまな試みが見られた。しかし、本稿の冒頭にも取り上げた星空衛視の規模縮小の動きからも分かるように、「メディア特区」の珠江デルタ地域と三つ星以上のホテルなど限られた区域を除いて、外資が放送市場に進出することはまだ難しい。

図表2 ルパート・マードックと中国メディアの関係年表
1985年 20世紀フォックスの映画200本を中央テレビ局に無償提供
1993年 スターTVの63.6%の株を取得。マードック、「衛星放送が世界各地の専制国家にとって脅威になる」と発言
1994年 スターTV、北向きビームの番組編成からBBC放送を除外ハーパー・コリンズ、ケ小平の娘ケ榕著作のケ小平回顧録(英語版)を出版
1995年 スターTVの残りの株をすべて購入400万ドルを投じ、人民日報と合弁で情報技術会社設立し、中国語ITサイトChinaByteを開設
1996年 スターTVが38.25%の株を所有するフェニックスTVスタート
1998年 ハーパー・コリンズ、パッテン元香港総督の回顧録出版計画を白紙に
1999年 3月、スターTV北京事務所開設。中国で事務所の開設が認められた最初の海外メディア企業
2000年 スターTV上海事務所開設。上海初の海外メディア企業事務所フェニックスTVが香港GEMに上場、スターTVの株式所有率は37.6%に変更
2001年 ニューズ・コープ、中国網通の12%の株を購入NDSのインタラクティブシステムは四川デジタル放送に採用される中国語ITサイトChinaByteを売却12月、スター、広東省内で新規娯楽番組チャンネルの放送権を獲得
2002年 新規娯楽番組チャンネルが「星空衛視」と命名され、3月28日より珠江デルタ地域で放送開始12月、「星空衛視」は湖南ラジオ映画テレビグループと戦略的パートナーシップ結成を発表。中国放送メディアとの全面的に協力することが許可された最初の海外メディア企業
2003年 1月、「星空衛視」は中国全土の三つ星以上のホテルおよび外国人中心の団地で受信可能に
2004年 「星空衛視」、「潤徳劇場」という間接的な方法で、海外で制作された番組を青海衛視経由で全国向けに放送。「星空衛視」は6,000万ドルを投じたといわれる
2005年 9月、青海衛視経由で視聴地域を拡大する試みが国家ラジオテレビ総局に摘発され、中止11月、所有する網通株をすべて売却
2006年 6月、所有するフェニックスTV株の19.9%をチャイナモバイルに売却
2007年 懲罰として、ESPNとStar Sportsの2チャンネルは三つ星以上ホテル等での受信可能リストから外された5月、中国版Myspaceスタート
2008年 ESPNとStar Sportsの2チャンネルは再び受信可能に4月、「星空衛視」、中国市場撤退を否定
出所:各種報道資料等をもとに作成

5. 中国放送メディアの海外進出戦略

 国内市場を条件付きで開放することと併行して、中国政府は放送メディアの海外進出にも力を入れている。
  1964年に開かれた第8回全国放送会議で、中央テレビ局は国内向けの宣伝だけではなく、対外報道も担うべきという方針が打ち出されて以来、対外宣伝は放送メディア、とりわけ中央レベルの放送メディアの重要な仕事となった。初期段階では、中央テレビ局は各国に駐在する中国大使館や、提携関係が結ばれている外国放送機関、北米に住む華人が経営する中国語テレビ局などに、番組のテープを送付する方法を取っていた。1991年7月1日、中央テレビ局は総合チャンネルCCTV-1の信号を東経96°5′に位置するロシア静止衛星に送り、さらに同年9月1日より、アジアサット1号を利用しNTSC方式で放送を開始し、カバーエリアがオーストラリア、インドネシア、東南アジア、中東、東アフリカ、東欧および旧ソ連などの国や地域に及んだ5
  この時期から、中国放送メディアの海外進出の動きが活発になってきたが、その背景には二つの理由があると考えられる。一つは、1989年の天安門事件、およびその後の東欧、旧ソ連の激変といった一連の出来事の中で、中国政府が米国をはじめとする西側諸国による「和平演変」(資本主義は平和的な手段で社会主義を転覆させようとしている)を強く警戒するようになった(外国衛星放送の中国上陸を厳しく制限する原因もここにある)と同時に、衛星放送の威力を身に染みて感じたことである。1990年の全国対外宣伝会議では、テレビによる対外宣伝の重要性が強調され、対外放送の力をより増強することが確認された。二つ目は、1980年にまとめられたユネスコ「マクブライド委員会」報告――「多くの声、一つの世界」でも提起された国際的な情報の流れの不均衡状況への抵抗である。すなわち、放送メディアの海外進出には、西側メディアに独占されている輿論構造を打破しようという願いも込められているのである。1999年、江沢民は全国対外宣伝会議での談話の中で、対外宣伝の政策性、政治性がともに強いことを指摘し、「国際社会でわが国の地位と声望に相応しい強大な宣伝・輿論力を形成せよ」と強調した6。ここからも、中国政府の対外宣伝への重視ぶりを窺い知ることができる。
  中国メディアが海外進出を展開する際に対象となるのは、いわゆる「外国人」とは限られていない。香港、マカオ、台湾の住民や、海外で生活している3千数百万人の華人と華僑は、もう一つの重要なターゲットである。そのため、中央テレビ局は1992年10月1日に、こういった視聴者を対象とする国際チャンネルCCTV-4をスタートさせた。
  一方、2000年に英語チャンネルのCCTV-9、2004年にスペイン語フランス語チャンネルのCCTV-E&F(2007年にCCTV-EとCCTV-Fに分割)を放送開始し、現在は計4チャンネルで対外放送を行っている。

図表3 CCTV対外放送の衛星カバーエリア
図表3 CCTV対外放送の衛星カバーエリア

 WTO加盟後、海外からの中国市場進出が加速される中、中国政府は「対等開放」という新しい方法を取り入れている。すなわち、海外の衛星チャンネルの中国上陸を許可する代わりに、中央テレビ局の番組を海外メディアグループの伝送網で放送するのである。2001年12月26日に発布された「境界外衛星テレビチャンネルのランディングを審査・管理する暫定方法」に、中国での放映権を申請する衛星チャンネルに対し、「わが国と互恵協力を行う実力を有し、中国の放送番組を海外で放送することを承諾し積極的に協力する」という条件が設けられたのは、この方法の明確化だといえよう。
  2001年10月以降、四つの海外チャンネル――CETV、星空衛視、フェニックスTV、ATV――が珠江デルタ地域での放送を許可されたのも、それぞれ交換条件があったからこそ実現されたのである。
  CETVの上陸が認められた代わりに、タイムワーナーは、中央テレビ局英語チャンネルCCTV-9を、2002年1月1日よりニューヨーク、ロスアンゼルス、ヒューストンにあるタイムワーナー傘下のケーブルテレビ網で24時間放送することを決めた。星空衛視が上陸する交換条件として、ニューズ・コープは米国のフォックス・ネットでCCTV-9を流すことを約束した。フェニックスTVは、中央テレビ局と対等出資で持ち株会社を作り、全世界の中国語テレビ市場を開拓する「戦略的提携協定」を結んだ。この合弁会社は、世界の華人に向けたテレビ番組の共同制作や、双方のチャンネルの米国上陸を推進し、海外中国語衛星プラットフォームを構築することを目指している。ATVは地元香港のチャンネルで、CCTV-9の観光、金融、エンターテイメント番組を放送することになっている。
  中央テレビ局の統計によると、2007年4月の時点で、CCTV-4は海外1,500万世帯をカバーし、CCTV-9は海外のケーブルテレビ網経由で4,350万世帯に入っている。CCTV-E、CCTV-Fは米国、キューバ、チリ、モーリシャスを含む6カ国でランディングすることを実現した7
  国内放送市場の条件付き開放と、海外への積極的な進出をめぐる一連の動きから分かるように、中国政府にとって、衛星放送はまさに両刃の剣である。米国をはじめとする西側メディアの強力な浸透を如何に防ぎ、それと同時に自分の声を如何に効果的に世界へ届けるのか。1970年代以降にヨーロッパが経験した状況に、中国がいま直面しているのである。しかも、西側メディアの浸透には文化のみならずイデオロギーへの影響も含まれているため、中国政府は国内市場の開放に対し慎重な態度を取りつづけるのであろう。


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1:「中国文化傳媒業面臨衝撃」(李坤暉報道)、『文匯報』(香港)2001年11月19日。
2:実際はCNNインターナショナルとBBCワールドが限られた地域での放送を許可されている。図表1参照。
3:陳懐林、郭中実、祝建華「浸而不淫、自取所需:析香港電視対広州市民的影響」、中華傳播年会(2001年7月、香港)発表論文参照。
4:William Shawcross 1992,1997. MURDOCH, Greene & Heaton Ltd., LONDON.ウィリアム・ショークロス著、仙名紀訳『マードック 世界のメディアを支配する男』文芸春秋、1998年。
5:于広華主編『中央電視台簡史』人民出版社、1993年、252頁参照。
6:『人民日報』、1999年2月27日、一面トップ参照。
7:http://cctvenchiridion.cctv.com参照。

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