リオデジャネイロ - 恐ろしさは後からやってきた。飛行機は南ブラジルのクリチバ市をひょう混じりの嵐の中を離陸してすぐ、乱気流にぶつかり、同市の建物の屋根に墜落した。後になって乗客は、危険な状態にいたことがわかった。飛行機の機首が無くなっていたのだ。「多分、ひょうのためだろう」と、乗客のブルーノ・ロドリゲスは振り返る。彼は、携帯電話で事故の写真を撮る機会を逃さなかった。
その写真は2006年3月末の数日間、数種類の新聞とインターネットのサイトに掲載された。彼はその写真で400米ドル相当をもらった。ブルーノはフォトジャーナリストのグループ、FotoReporter のメンバーである。FotoReporter は新聞社2社と、通信社、ポータルで構成されるGrupo Estadoによって設立され、本部はサンパウロにある。
このグループに所属するフォトジャーナリストは、すでにブラジルと24カ国総勢で7000人いる。Grupo Estado の写真担当の共同編集長兼プロジェクト・コーディネーターであるジュカ・バレラ氏によると、会員は写真を1日当たり平均60枚送ってくる。サンパウロで洪水がある日には倍近くになる。彼によると、会員は地方新聞のプロの写真家、学生、それに写真をとることが好きな退職者、ブラジリア周辺を動き回る公務員など、ほとんどが普通の市民である。
海外からくるのは、ブラジル人の旅行者や住民からの写真で、この国に関係のあるスポーツや行事、事故などの出来事を撮る機会があった人が送ってくるのである。
写真は選ばれた後、ごまかしがないかチェックされると、写真を撮った人にお金が支払われる。彼らの作品はGrupo の出版物「Estado de São Paulo」か「Jornal da Tarde」のどちらかに掲載されるか、通信者を通じて他の新聞社や出版社に売られる。バレラによると、送られてくる写真の半分は携帯電話で撮られたものである。それらの写真はだいたい、解像度は低いが、(デジタルカメラで撮られた)もう半分より、「ジャーナリストとしての質」が高い。
実際、ブラジルではカメラ付きの携帯電話が最近になって広まった。低所得の消費者でさえ、買うようになっている。携帯電話事業者と小売チェーンは、クリスマスや「母の日」のようなイベント前など競争が激しい時に、積極的なキャンペーンを展開し、購入を促す。携帯電話事業者が提示する月プランの契約にサインし、支払えば、解像度は低いが、カメラ付きの携帯電話を100ドルと少しで買うことができる。この場合、電話機の費用の支払いについては10ヶ月から12ヶ月に分割される。これはブラジルの商法で共通して使われるやり方で、商品をどの家族の予算でも手の届くものにするが、同時に高い利子が掛かる。
食品卸会社でマーケティング部長を務めるブルーノ・ロドリゲス氏(26)は、年に平均1回、携帯電話を買い換えている。既に6台の携帯電話を買ったが、最後に買い換えたものだけにカメラが付いていた。「写真が好きですが、撮り方のレッスンを受けたことはないのです」と認める。彼は写真を撮る機会があれば携帯についたカメラを使う。音楽を聴き、メールを交換し、接続可能な限られたインターネットのサイトに接続する。しかし、彼は技術革新の愛好者ではない。彼にとって携帯電話は、レジャーのためより仕事のため、機動性が必要な時に使うためのものである。彼が撮った航空機の墜落写真が世界中で放送されたことは、「日常とは違う出来事であったが、満足感を味わえるものではなかった」と言う。そして、FotoReporter のプロジェクトを「情報を集め、すぐに広げるために幅広い資源を有効に使うもの」として賞賛する。
マルチメディア携帯電話のもうひとつのタイプの利用者は、化粧品業界で24年間の経験のある企業家のエドワード・パッソスである。目新しさを追求するため、これまで何台の携帯電話を買ったか忘れてしまった。「新しい技術が好きなんです」と告白する。彼は仕事で、通話とメールの通信に、そして写真を撮るために使いやすく持ち運びの便利な機種を使っている。彼が次にねらっているのは、写真メッセージが送れ、ビデオを録画して送信し、MP3で音楽を聴けるノキアのN90スマートフォンだ。ブラジルでは第3世代(3G)の携帯ネットワークがないために、彼はまだTV付き携帯は持っていない。ブラジルでは2007年か2008年に規則が決まり、免許が下ると見られている。
しかしそれでも、そうした制限が、ブラジルにおける「付加価値サービス」(音楽、ラジオ、インターネット、ゲーム、ビデオなど)の急速な拡大の妨げになってはいない。そうしたサービスは、十分な収入があり技術革新に敏感な少数の利用者のために、携帯電話をマルチメディア化させている。CDMA システムの開発者によると、ブラジルでは携帯電話事業者Vivo が3G携帯電話と同等のサービスをすでに行っているという。Vivo はスペインの「Telefonica」の傘下にある携帯電話事業者で、ブラジルにおいて3Gの使用を広めることに最も関心を持っている。 |