FTTH網構築
アメリカ
大手通信事業者が牽引する光ファイバによるブロードバンド接続
米国では、大手通信事業者であるAT&TとVerizonが光ファイバ網への投資を活発化していることから、光ファイバ網の加入世帯数は増加傾向にある。
ファイバ・トゥ・ザ・ホーム(FTTH)評議会の調査によると、2011年3月現在、エンド・トゥ・エンドに光ファイバで接続されている世帯は709万世帯となった。 また北米でFTTH回線が到達している世帯も2011年3月末現在で2,091万世帯に増加した。
AT&Tの光ファイバ網によるブロードバンド接続サービス「U-Verse」の加入者数は、2011年9月現在で320万となっている。 また、同社では、敷設した光ファイバ網を利用して、2006年1月からIPTVサービスである「U-Verse TV」を提供している。 同サービスの加入者総数は360万人に達しているものの、加入者数の伸びは鈍化傾向にある。 AT&Tでは、IPTVのサービスの付加価値を向上させるため、2011年10月末に、STB(セット・トップ・ボックス)とTVの間を無線で接続可能な端末の提供を開始している。 なお、U-verseネットワーク構築はほぼ完了しており、約3,000万世帯に達している。
また、Verizonの光ファイバ網によるブロードバンド接続サービスである「FiOS」は、2011年9月の加入者数は462万である。 同社でも、光ファイバ網によるIPTVサービスの「FiOS TV」を提供しており、同加入者数は、398万となっている。 FiOSネットワークは2011年6月末現在で1,610万世帯に到達している。 最終的にVerizonの光ファイバ網は、営業地域の約3分の2に該当する1,800万世帯をカバーする見込みとなっている。 光ファイバ網を敷設しない営業地域については、LTE方式による無線ブロードバンドの提供を行い、DSLによるブロードバンド・サービスとのバンドルを行う計画である。
フランス
事業者はようやくFTTxネットワーク投資を本格化
フランスでは2006年から政府が「超高速ブロードバンド網整備」をデジタル経済活性化計画の中心に掲げ、旧国営事業者の管路開放や、建物内の複数事業者の回線共有等、様々な政策的対応をとってきたにもかかわらず、FTTxサービスの普及は進んでいない。
政府は2008年に2011年までに400万世帯を光ファイバに接続するという目標を掲げていたが、2011年9月現在、サービス地域は大都市圏のみで、加入者数はまだブロードバンド加入者全体の2%程度である。 光ファイバ回線が設置可能な建物数は135万に過ぎない。
FTTx普及の遅れについては、既存のADSL網でのサービスで、IP電話やIPTVが支障なく利用できるため、消費者の高速化要求が低い、ネットワーク敷設にかかる費用の回収期間が長い(30年以上)ため、事業者が投資に消極的である、等の理由があげられてきた。
しかし2011年に入って、政府の「超高速ブロードバンド計画」の枠組みでの助成環境が整い、事業者のプロジェクトへの貸付のための基金が設定されると、各事業者はようやく大都市以外の地域でのネットワーク構築計画を始動させたように見える。2011年2月、フランス・テレコムは2015年までに20億ユーロを投じて1,000万世帯をカバー、さらに2020年には全国の1,500万世帯にサービスを提供する計画を発表した。同社の2011年の光ファイバ網構築への出費は約1億5,000万ユーロであったが、2012年にはこれを3億~3億5,000万ユーロまで増加させるという。
フランス・テレコムはまた、人口密度が比較的低い地域では、複数事業者の共同基盤構築によるカバレッジ拡大が望ましいという政府の指針に従い、2011年7月に固定通信市場第3位の事業者フリー、11月には同第2位の事業者SFRと協約を結んでいる。この協約に基づいて構築されるネットワークは、合計で1,600万世帯をカバーする予定である。
中国
通信事業者三社、ブロードバンドの高速化を図り、FTTH網の構築に取組む
通信事業者三社は、ユーザの固定ブロードバンドに対する堅調なニーズに応えるために、光ファイバ網の整備に積極的な姿勢を示している。
中国電信は念願のモバイル通信サービスの運営権を手に入れたが、現時点での事業ウェイト的には依然固定通信が大きい(固定とモバイルの売上比は78:22)。中でも特に固定ブロードバンドが大きな稼ぎ頭となっている。 今後の目標について、中国電信は2011年2月に「ブロードバンド中国・光ネットワーク都市」プロジェクトを発表した。 それによれば、今後3年間で中国南部の都市においてFTTHの接続サービスを提供し、3~5年以内にブロードバンド接続速度を現在の10倍以上に向上させるとしている。
具体的な目標として、まず、2011年に都市部においてFTTH(注)ユーザを新たに3,000万世帯増やし、総数を4,000万世帯に引き上げる。南部の都市及び県レベルの町には、すべて8Mbpsで接続でき、 70%が20Mbpsの接続速度を実現する一方、東部の大規模都市及び中部、西部の省都都市は、80%以上で20Mbpsの接続速度を実現する。 次に、2013年に南部の都市及び県レベルの町にある個人ユーザに20Mbpsの接続サービスを提供し、8,000万世帯のFTTHユーザ獲得を目指す。 さらに、2015年末に南部都市における個人、政府、企業に光ファイバの接続を提供し、FTTHユーザは1億以上の達成を実現する。
中国聯通の場合は、2010年におけるブロードバンド収入の年間伸びが約24.8%に達し、同サービスは同社にとっても一大事業分野である。 2010年末時点におけるブロードバンド加入者数は4,722万で、このうちの86.8%は2Mbpsに達する接続速度のサービスを利用し、前年に比べて3.6ポイント上昇したという。 中国聯通は今後、さらに通信速度の高度化を目指し、2011年には8Mbpsのサービスを利用できるようにするとしている。
中国移動は、かつての鉄道通信を主事業とした旧レールコムを吸収したが、固定通信インフラが不十分のため、家庭向け固定通信サービスは現時点では思うように展開されていない。 それを補うために、2010年以降、大々的な光ファイバ・ブロードバンド網構築計画を打ち出し、ブロードバンド分野での新規参入者として、中国電信と中国聯通に攻勢をかけている。 江蘇省、福建省、雲南省、湖南省など南部の省においてEPONを中心に既にFTTx網を構築し始めた。2010年には600万回線、最終的には全国をカバーする目標を掲げている。 サービスの提供として、2012年までに家庭や法人向けに2Mbps、20 Mbpsのサービス、5年後には、100Mbpsのサービスを提供可能にする。
(注)Fiber to the Home:一般家庭への通信回線を光ファイバ化し、電話、インターネット接続、デジタルテレビ視聴等のサービスを提供する。 光ファイバケーブルの終端の場所によりFTTB(Fiber to the Building)、FTTCab(Fiber to the Curb)等の方式もあり、FTTxと総称される。