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音声対応デジタル・アシスタント市場の主導権争うテクノロジー大手各社

音声対応のデジタル・アシスタント市場の競争激化にテクノロジー企業各社も戦力強化を急いでおり、アマゾンは、「Alexa」開発チームを数百人増員した。

Alexaやグーグルの「Google Assistant」にシェアを奪われつつあるアップルは、Siriの責任者をエディ・キュー上級副社長からトップ・ソフトウェア・エンジニアであるクレイグ・フェダーリギ氏に変更している。

デジタル・アシスタントを利用する消費者デバイスの数は、2017年中に40億台を超えるとの予想もあり、アップル、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、サムスン等が、いかに多くの端末に自社デジタル・アシスタントを搭載できるかを競っている。

デバイスの数では、世界36か国で3億7,500万台以上が存在するアップルが依然有利だが、3年近く前にAlexaを搭載するスマートスピーカー「Echo」を発売したアマゾンは新たな市場を開拓している。

アップル、グーグル、サムスンは、それぞれのデジタル・アシスタントの学習にスマートフォンから集める膨大な量のデータを利用できるというのが強み。

一方、アマゾンは、オンライン・ショッピング・サイトからデータを集めているが、これはユーザーのショッピングや関連するタスクの処理という面では同社を有利にしている。また、スマートスピーカーに限って言えば、アマゾンのEchoは、2016年末までに1,100万台超を販売し、米国市場の4分の3のシェアを獲得。さらに、フォードやシアーズなどとも提携し、Alexaを搭載する製品の幅を広げようとしている。

他方、グーグルも、自社アシスタント技術をソニーやLGのスピーカーや家電製品に提供していくことを発表している。

スマートスピーカー分野では、アップルも2017年6月に「HomePod」という製品を公開。年内の発売を予定している。

(2017年9月)

FCC、AT&Tとベライゾン・ワイヤレスのゼロレーティング・プログラムがネット中立性規則違反であるとの判断を撤回

2017年1月に、連邦通信委員会(FCC)委員長に就任したアジト・パイ新体制の下、FCCは、同年2月3日、AT&Tとベライゾン・ワイヤレスの提供するゼロレーティング・プログラムがネット中立性規則に違反しているとの判断を撤回した。

FCC無線電気通信局は、AT&T、ベライゾン、T-モバイルの3社に対して、調査の終了とともに、これまでの調査期間中に出されたいかなる結論も今後効力を持たないと通達した。

また、FCC有線競争局も、コムキャストに対して、同社「Stream TV」サービスへの調査の終了を伝えた。

AT&Tとベライゾンは、それぞれの運営するストリーミングサービスで利用されるデータ量を毎月のデータ使用量から除外しており、FCCは、トム・ウィーラー前委員長時代に、これは他の動画配信サービスが両社が自身で提供するサービスと競争することを不当に阻害するものと結論付けていた。

T-モバイルのゼロレーティングについても調査を行ったが、こちらは他社のサービスも毎月のデータ使用量から除外していることから、ネット中立性規則に違反するものではないとしていた。

なお、パイ新FCC委員長は、当時、ゼロレーティングは消費者の支持を得ているとし、FCCの決定に反対していた。

(2017年2月)

アップルのApp Store、2016年総売上高は285億ドル超

アップルは1月5日、2016年のApp Store総売上高が285億ドル超を記録したと発表した。アップルの取り分は、その30%の約85億ドルとなる。

前年度の売上は200億ドル以上とのみ発表されており、その内訳はアプリ開発者が14億ドル以上、アップルが60億ドル超と推測される。これを基にすると、2016年の売上成長はおよそ40%増となり、iPhoneの販売台数が低下する中、2015年とほぼ同等の成長率を維持したことになる。

これには、中国でのアプリ売上が昨年は90%増加したことや、新しいゲームアプリの登場、サブスクリプション・サービス売上増等が貢献している。アップルによると、任天堂の「Super Mario Run」はリリースから4日間で4000万件以上のダウンロードを記録した。また、ネットフリックスやTinderといったサブスクリプション・サービス系アプリからの売上は74%増加し、27億ドルに達している。

なお、App Storeの12月期売上は30億ドルを突破した。2017年1月1日の売上も2億4000万ドル近くと、1日の売上記録を塗り替える好調な滑り出しとなった。

(2017年1月)

米国大手IT企業4社が4月~6月期決算を発表

米国の大手IT企業4社が2016年の4月から6月期の決算を発表した。グーグル、フェイスブック、アマゾンが大幅な増収増益となった一方で、アップルはiPhoneの販売不振で減収減益となった。

◇アップル、iPhoneの販売不振が影響
アップルは、売上高が前年同期比15%減の423億5800万ドル(約4兆4300億円)、純利益が27%減の77億9600万ドル(約8200億円)となった。

これは、同社の売上全体の約6割を占めるiPhoneの販売が不振だったことが主な要因である。同四半期のiPhoneの販売台数は15%減の4039万台で、売上高は23%減の240億4800万ドルだった。また、MacとiPadの販売台数も前年割れとなり、Macは11%減の425万台、iPadは9%減の995万台だった。スマートフォンやタブレットの普及が一巡したことや、中国メーカーとの競争が激化したこと、今年秋に新型iPhoneの発売が予想されるためユーザが買い控えしたことが影響したものと思われる。

昨年販売したアップルウォッチや、アップルTVなどの新デバイスも、iPhoneの不振を補うほどの人気は得られておらず、これらを含む「その他」の売上高は16%減の22億1,900万ドルだった。

同社にとって明るい材料としては、アップストアやアップル・ミュージック、iCloudなどのサービス事業が好調だったことで、売上高は19%増の59億7,600億ドルとなり過去最高を記録した。

アップルは、iPhoneの不振をカバーするものとして、今後、インド事業に注力するとともに、クラウドサービスや電気自動車の開発など新規事業の開拓に取り組むことが予想される。

◇グーグルとフェイスブックはモバイル・動画広告が好調
アルファベット傘下のグーグルと、フェイスブックは共に、モバイル広告および動画広告が好調で、大幅は増収増益となった。

アルファベットの売上高は、21%増の215億ドル(約2兆2600億円)で、純利益は24%増の48億7700万ドル(約5100億円)。グーグルの広告収入は19%増の191億4300万ドルとなり、売上高全体の約90%を占めた。また、グーグルプレイやクラウドなど「非広告」事業も好調で、収入は21億7200万ドルで、前の年を33%上回った。

ブロードバンドや自動運転など「その他」部門の収益は2.5倍の1億8500万ドルとなったが、先行投資がかさみ、営業損失は8億5900万ドルに拡大した。

グーグルに対する懸念材料としては、欧州委員会が同社の検索広告事業やアンドロイドOSに対して、EU競争法違反の疑いがあるとして調査を開始。違反が確定されれば、巨額の罰金支払いや、抜本的な商慣行の変更を命じられる可能性があり、同社のビジネスに大きな影響が出る可能性も指摘されている。

フェイスブックはスマートフォン向けの動画広告が好調だったことから、売上高は59%増の64億3600万ドル(約6800億円)で、純利益は2.9倍の20億5500万ドル(約2200億円)だった。

主力事業の軸足をモバイルに移行することを進めてきたフェイスブックは、その目標をほぼ達成。同社の売上高の大部分が広告収入で63%増の62億3900万ドルで、そのうちモバイル広告が84%を占めた。

月間ユーザ数(MAU)は前の年より15%多い17億1000万人に増え、モバイルからのMAUは20%増の15億7000万人だった。この他にも傘下のチャットアプリ「WhatsApp」のMAUも10億人、写真共有アプリ「インスタグラム」のMAUは5億人にもぼる。

同社は今後、発展途上国におけるネット接続事業や、人工知能および仮想現実の開発などに注力する方針を示している。

◇アマゾン、クラウド事業が好調
一方、アマゾンは主力事業であるネット通販に加え、クラウド事業が好調だったことから、売上高は31%増の304億ドル(3兆2000億円)、純利益は9.3倍の8億5700万ドル(900億円)となった。クラウド事業の収入は58%増の28億9000万ドルで、売上高全体の約10%を占めるまでに成長した。

同社のジェフ・べゾスCEOは今後の事業方針について、約30億ドルを追加投資し、インド事業を強化すると同時に、プライム会員向けの新商品開発も継続して実施すると語った。独自コンテンツ制作や、IoTサービス「ダッシュボタン」、生鮮食料品宅配サービス、ドローン配送サービスの拡充を図る。

(2016年8月)

グーグル、モバイルからの検索がデスクトップからの検索件数を超える

「Alphabet」という新体制をスタートさせたグーグルは、10月8日、「Recode Mobile」カンファレンスで、世界的なモバイル端末からのグーグル検索総件数が今年の夏にデスクトップからの検索件数を初めて上回ったと発表した。

グーグルのサーチ事業部門トップを務めるアミット・シンハル氏は、世界的なモバイルシフトへの影響により、同社主要事業である検索連動型広告のあり方が見直されていると説明。モバイル端末や自動車、ウェアラブル機器などはそれぞれ新たな検索手段を必要としていると語った。

同社サーチエンジンの検索件数は月1,000億件に達しており、今年5月には、米国、日本など10か国でモバイル端末からの検索がデスクトップからの検索件数を上回った。

モバイル端末での検索では、これまでのような検索ワードを基にした広告を表示できるスペースが少ないため、グーグルは今年に入り、画像、製品のスペック、価格といったデータを基にしたモバイル・フレンドリーな新しいタイプの広告を提供するようになっている。

10月7日には、モバイルWebページの高速表示を実現するための取り組み「Accelerated Mobile Pages」(AMP)を発表した。グーグルのようなテクノロジー企業にとって、スマートフォンでのウェブページの表示速度の向上は、ユーザーが自社サービスを使い続ける上で重要な材料となる。また、多くのユーザーが広告ブロック・ソフトを導入するようになっている現在、広告が表示速度の低下を招かない配慮も必要になっている。

AMPでは、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、BBC、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナル、バズフィード、Voxメディアなどが記事を試験的に配信する予定で、近く正式提供が開始されることになっている。

また、今年4月には、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末向けの検索結果の表示方法を変更。モバイル端末用ページを用意しているサイトが優先的に上位に表示されるようにした。民間調査会社コムスコアの調べでは、2014年にウェブ・トラフィック全体の60%はモバイル・トラフィックが占めるようになっており、グーグルの広告収入もモバイル・トラフィックに頼るようになっている。

(2015年10月)

大手携帯電話事業者、2月11日よりSIMロック解除に完全対応

米国の大手携帯電話事業者が2013年末にトム・ウィーラーFCC委員長と合意していたSIMロック解除に関する原則が、2月11日に全面的に適用開始となった。

この合意の下、携帯電話事業者には、契約期間が終了し、端末のローン、違約金なども払い終えたポストペイド加入者に、SIMロック解除が可能であることを通知し、要求に応じて2営業日以内にSIMロックを解除、または解除に必要な情報を提供することを義務付けられる。

また、プリペイド加入者についても、支払いや利用規定を満たしていることを条件に、サービスの初期アクティベーションから1年後に加入者の求めに応じてSIMロック解除に応じなければならない。

AT&T、ベライゾン・ワイアレス、スプリント、T-モバイル、USセルラーなど大手携帯通信事業者は、専用のWebサイトでSIMロック解除に関するポリシーを開示している。

(2015年2月)

FCC技術諮問委員会、スマートフォン窃盗問題に関するレポートを発表

FCCの技術諮問委員会(TAC)は、12月4日、増加するスマートフォン窃盗に関するレポート「Mobile Device Theft Prevention」を発表した。携帯電話業界に対して、司法当局やその他のグループと協力し、盗まれたスマートフォンの利用を困難にすることで窃盗を抑制するよう呼びかけた。

同レポートは、FBIや警察署など司法当局のデータを基に、2013年に米国内で発生した窃盗・強盗事件の10%以上にモバイル端末が関連していると推定。トム・ウィーラーFCC委員長は、同諮問委員会会合で、スマートフォン窃盗を国による対策が必要な「国家の問題」と位置付けている。

TACは、窃盗を防止する上で大きな障壁となっているのは、データの不足に加え(現時点でスマートフォン盗難に関する正式なデータは存在しない)、携帯電話事業者がアクティベーションやサービスに持ち込まれた端末が盗まれたものかどうかの確認を義務づけられていないことにあると指摘。

また、盗まれた端末を追跡するために作られたデータベースがすべての携帯電話事業者に利用されておらず、司法機関の間でもその利用が広がっていないことも問題視。TACは、その上で、盗まれた端末を遠隔的にロック、あるいは全てのデータを抹消できるようにする「kill switch」のような機能やソフトウェアの搭載を、携帯電話事業者に義務付けることを勧告。また、端末固有の識別番号をユーザーと結び付けて窃盗犯が利用できないようにすることも提案している。

(2014年12月)

スマートフォン盗難防止機能「キルスイッチ」搭載が2015年7月から必須に

米国で「キルスイッチ」と呼ばれる、スマートフォンの盗難防止機能の標準搭載を法制化しようとする動きが、州および連邦政府で進んでいる。キルスイッチ法案は、2014年5月に国内で初めてミネソタ州で施行開始され、カリフォルニア州、イリノイ州、ニューヨーク州でも審議されている。キルスイッチとは、スマートフォンを盗まれたり紛失したりした場合に、遠隔操作でスマートフォンの中のデータを消去し、操作不能にする機能をいう。

この背景には、スマートフォンの盗難が米国で大きな社会問題となっていることがある。高価なスマートフォンを標的とした盗難が増加し、その手口が凶悪化している。FCCによると、米国で発生する強盗事件の3件に1件はスマートフォン絡み。また、米モバイルセキュリティ企業Lookoutによると、2013年に米国全土で約310万台のスマートフォンが盗まれ、前年の160万台から2倍近くに急増した。さらに、盗難スマートフォンや個人データを売買する国際的なブラックマーケットの規模も拡大しているという。

キルスイッチ法案では、端末メーカー、モバイルキャリアに対して、2015年7月以降に製造、州内で販売される全てのスマートフォンにキルスイッチ機能搭載を義務化。また、ブラックマーケットの取締強化として、中古スマートフォンの現金取引禁止、本人確認・取引記録の作成・保持を義務付けることも視野に入れている。

一方、業界は法制化に反対。アップルやグーグルなどは既に独自のスマホ盗難防止機能を導入していることもあり、業界の自主規制で十分と考えている。また、大手キャリアとFCCは、盗難にあった携帯電話を追跡するための共通データベースを構築しており、2014年4月から稼働を開始していると指摘。

さらに、こうした法制化の動きをけん制する目的で、業界団体CTIAは、2014年4月、スマートフォンの盗難防止対策を自主的に進めていくことを発表。2015年7月以降に製造される米国内の端末すべてに、盗難に遭った端末のデータを抹消し、機能をロックできる機能をプリインストールするか、無料で配布することに、アップル、グーグル、マイクロソフト、サムスン、ファーウェイなどの端末メーカー、ベライゾン、AT&T、スプリント、T-モバイルの大手携帯5社が合意した。

(2014年6月)

クラウド、ビッグデータ、コネクティッド

ネスレやユニリーバがブロックチェーンの可能性探るIBMのプロジェクトに参加

コンピュータ関連製品およびサービスを提供するIBMは8月22日、ネスレ、ユニリーバ、タイソン・フーズ、クローガー、ドール・フードカンパニーなどの大手食料品製造・小売販売10社が、食料品サプライチェーンの管理や安全性の改善にブロックチェーン技術を応用するIBMのプロジェクトに参加することを発表した。

このプロジェクトには既に米最大手スーパーマーケットチェーンのウォルマートが参加しており、昨年10月からIBMとともにブロックチェーン技術を用いて食料品の流通を追跡している。

なお同社は、大企業がブロックチェーン技術を使うアプリケーションを開発するためのプラットフォームを立ち上げることも計画している。

(2017年9月)

IBMとMIT、AI基礎研究で協力

IBMとマサチューセッツ工科大学(MIT)は9月7日、人工知能(AI)の基礎研究で10年間協力していくことで合意した。

MITキャンパス内に設けられた「MIT-IBMワトソンAI研究所」で、総額2億4,000万ドル(約265億1,520万円)の共同研究が進められる。

目標は、「AIハードウェア、ソフトウェア、ディープラーニングやその他の分野に関連するアルゴリズムを進化させ、医療やサイバーセキュリティ等の分野でAIの影響力を拡大させ、さらに、社会におけるAIの経済的・倫理的影響を調査すること」だという。また、成果の商用化を見据えた上で基礎研究を行っていく。

IBMによると、今回の提携の背景には、AI分野での主導権拡大にMITの研究者の力を借りたいというIBMの意向もあるという。

(2017年9月)

ホワイトハウス、AIの発展が貧富の格差を拡大させる可能性を警告

ホワイトハウスは、2016年12月20日、人工知能(AI)が経済に与える影響を調査した最新レポートを発表し、「AIの発展が米国民から雇用を奪う可能性がある」と警告した。

オバマ政権が2016年10月に発表したレポート「AIの未来に備えて」では、AI分野の技術開発が進んでいることを賞賛し、その発展が官民セクタに様々な恩恵をもたらすことへの期待を見せていた。

一方、今回のレポートでは、AI技術の進化により、現在人手に頼る仕事の多くがオートメーション化されれば、貧富の格差が拡大することもあり得ると指摘している。

上院商業委員会科学小委員会は、2016年11月の公聴会で、米国がAI分野での競争力を失いかねないと警告し、議会が同分野での技術開発を後押しできる手段が検討されたが、それが雇用に与える影響にまでは踏み込んでいなかった。

ホワイトハウスは、上述の新たな報告で、AIが雇用に与える悪影響を軽減するために議会、次期政権が取れる対策についても勧告した。社会的セーフティネットの強化や給与引き上げ、変容する労働需要に対応する再研修及び教育への投資などを挙げている。

(2017年1月)

Uber、GMとカーシェアリング・サービスで提携

Uberは、11月1日、ライバルであるLyftの支援者であるゼネラル・モータース (GM)とカーシェアリング・サービスで提携。サンフランシスコでは、Uberのドライバーが、GMのカーシェアリング・サービス「Maven」から車を借りられるようになる。

これは、当面90日間のテストとして実施される予定だが、GMはその後もUberとサービスを拡大するつもりはあるという。同テストで提供される車種は、Chevrolet Cruze、Malibu、Trax。一週間の料金は、179ドル(税別・保険料込)で、個人用に利用する場合には追加料金は不要。

Mavenは、今年から提供開始されたサービスで、既にLyftとは事業提携し、ドライバーがMavenの車を短時間レンタルできるようになっている。

GMは、今後もLyftのドライバーへの自動車レンタルは継続する予定で、両社は自動走行車の実験でも協力している。

(2016年11月)

人工知能(AI)大手5社がAIに関する非営利法人(NPO)を設立

Amazon、フェイスブック、グーグル、IBM、マイクロソフトは、9月28日、急速に進化するAIから人間とその雇用を守る基本的なルールを定める「パートナーシップ・オン・AI(Partnership on Artificial Intelligence to Benefit People and Society)」という非営利法人(NPO)を設立した。

同NPOは、AIに対する社会の不安を和らげることを目標としているが、その背景には、AIがもたらす社会的影響にいち早く対応することで同技術に対する規制を回避しようという意図もあると見られる。

新NPOは、その発足にあたり、5社が合意したAIの技術開発、科学的研究における基本的信条(tenet)も発表しているが、テクノロジー企業に自主規制を求める執行団体となることは意図しておらず、あくまでもAIに関する一般市民の理解を深め、この分野でのベストプラクティスを収集することが目標としている。

今回発表されたtenetは8項目からなり、その中には、兵器や人権を侵害するようなツールへのAIの利用に反対を呼びかける項目も含まれている。

(2016年10月)

Teslaのイーロン・マスク氏ら、非営利のAI研究機関を設立

米シリコンバレーの著名なベンチャーキャピタルや投資家が集結して、「OpenAI」という非営利の人工知能(AI)の研究機関を設立することが、2015年12月に明らかとなった。OpenAIは、営利企業が直面する利益追求や学術機関の補助金集めといったプレッシャーに追われることなく、社会に貢献し得るAI技術を研究することを目指している。

OpenAIの共同会長には、Tesla Motor及び宇宙開発企業SpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏と、Airbnb、Dropbox、Twitchの立ち上げを支援したベンチャーキャピタル「Y Combinator」社長のサム・アルトマン氏が就任する。これにPayPalの共同創業者であるピーター・ティール氏、Y Combinatorの創業パートナーであるジェシカ・リビングストン氏、フィンテック系サービス「Stripe」の元CTOであるグレッグ・ブロックマン氏らを加えた5人が発起人となり、Amazon Web Services、Infosys(インド)、YC Researchといった企業も参加して、最低でも10億ドルを出資する。

OpenAIは今後、学術機関や商業機関とも協力していく方針であり、研究の成果やデータはオープンソースとして公開し、誰もが利用できるようにする計画である。

(2016年1月)

次世代ICT

グーグル、新製品発表で「人工知能(AI)ファースト」を強調

グーグルは、10月4日、同社スマートフォン「Pixel」の新モデル2機種、スマートスピーカー「Google Home」の大小2機種、Chromeベースのラップトップ、新たな仮想現実(VR)ヘッドセット、ワイヤレス・ヘッドフォンを発表した。その発表会見では、製品の詳細よりも、同社が人工知能(AI)の研究開発にどれだけ力を入れているかが強調された。

スンダー・ピチャイCEOは、製品発表の冒頭10分間をかけて、AIがいかにグーグルマップやグーグル翻訳の機能向上に役立っているかを力説。

グーグルは「AIファースト」企業であり、今はハードウェア、ソフトウェアとAIを組み合わせることで、コンピューティングのあり方が劇的に変わっているとした。

また、ピチャイ氏は、より大きくて優れた画面のようなハードウェアの革新は徐々に困難になってきているとし、大きな進歩は急速に開発が進むAIソフトウェアから生まれるだろうと述べた。

グーグルは、昨年から、Pixelを筆頭に「Made By Google」と銘打ったハードウェア製品ラインを提供開始。新製品発表では、すべての製品がAIによる画像認識や音場調整等を活用するものであることが重点的に説明された。

(2017年10月)

FTCと国家道路交通安全局(NHTSA)、コネクテッドカーに関するワークショップを開催

連邦取引委員会(FTC)と国家道路交通安全局 (NHTSA) は、6月28日、コネクテッドカーのワークショップを開催した。

モーリーン・オールハウセンFTC委員長代行は冒頭で、コネクテッドカーが今後どのような開発過程をたどるか予想するのは困難とし、行政当局がインターネットに接続する車両のプライバシー/データ・セキュリティの規制を検討する際には自重が必要との考えを示した。

なお、グランドビュー・リサーチの調べでは、世界コネクテッドカー市場は2022年には、1803億ドル規模に成長する見込みだが、オールハウセン委員長代行は、FTCはコネクテッドカーの開発を支援しながら、消費者のプライバシーやデータ・セキュリティが実際に侵害された事例や侵害される可能性が高い事例に対応を進めるべきとする。

また、FTCはコネクテッドカーの監督で、NHTSAと役割が重複、衝突することは望んでいないとも語った。

NHTSAのテリー・シェルトン事務局長代行もこれに同意。コネクテッドカーの開発促進とプライバシー、セキュリティ保護でFTCと協力していく姿勢を見せた。また、NHTSA関係者からは、メーカー側がコネクテッドカーの抱える問題に責任を以て対処することを望むとの意見も出された。

ゼネラル・モータース(GM)のジェフ・マッシミラ製品サイバーセキュリティ最高責任者は、コネクテッドカーをサイバー攻撃から守るためにはメーカー、FTC、NHTSAを含む関係各方面の協力が必要と指摘した。

また、フューチャー・オブ・プライバシー・フォーラムの政策顧問、ローレン・スミス氏は、自動車製造業者連合、世界自動車製造業者協会やそのメンバー等が自主規制基準「Privacy Principles for Vehicle Technologies and Services」を策定し、2016年1月より導入していることを紹介した。

(2017年7月)

様々な分野への応用が図られるブロックチェーン

ビットコインの基盤技術として使われているブロックチェーン技術は、今はまだ知名度が低いが、広く普及すれば世界を大きく変えるほどの力を持つと期待されている。

金融機関はこの技術の導入にいち早く乗り出しているが、その応用範囲は決して金融業界だけに留まるものではなく、ロジスティクスや交通、医療など様々な分野で実証実験などの取り組みが活発に行われている。ここでは、いくつかの例を紹介する。

◇ウォルマートがブロックチェーンをドローン配達に応用
米国小売り大手のウォルマートが、ブロックチェーンとドローンを活用した配達管理システムに関する特許を出願した。米特許商標庁(USPTO)が明らかにした。消費者へのラストマイルをロボット技術やセンサー、ブロックチェーン技術によって改善することが目標とされている。

ウォルマートが出願した特許は、「安全な場所への無人機輸送」と題されており、配達ドローンのロジスティクスを自動化するプロセスが説明されている。それによると、宅配ボックスに近付いたドローンは一種の暗号鍵である「ブロックチェーン識別子」を用いて自らの認証を行い、確認が取れれば宅配ボックスが開き、荷物を受け取る仕組みとなっている。また、荷物が到着すると通知が顧客のモバイル端末に送信されるという。

ブロックチェーン技術は、ドローンの認証だけでなく、小包の配送状況追跡などにも使われる。例えば、ブロックチェーン・ベースのデータベースは発送日時や場所、担当者名、配達日、温度、受取手続きといったデータを改ざん困難なフォーマットで保管しておくことができる。

ウォルマートは、以前よりブロックチェーン技術の応用に取り組んでおり、2016年10月にはIBMと協力して、中国で豚肉の配送追跡にブロックチェーン技術を使う計画を発表している。

◇トヨタとMITメディアラボ、自動走行技術開発に応用
トヨタ・リサーチ・インスティテュートは2017年5月、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボや他5社と、自動走行技術開発へのブロックチェーン技術応用を共同研究していくと発表した。

トヨタによると、このプロジェクトは、企業・消費者が自動走行車の試験や走行についてのデータの安全な共有や、自動走行車の共用を可能にすることが目的。また、車両に搭載されたセンサーから運転データを収集し、ブロックチェーンで保管することで保険料の設定に役立てることも考えている。

◇米国保健福祉省、医療分野への応用を検討
米国保健福祉省(HHS)は、ブロックチェーン技術の医療分野への応用を検討している。ブロックチェーンは、発生した取引を事後に改変できない点が特長の1つで、医療分野では、患者と複数の医療機関のやり取りを記録し、一元的に管理できるようになると見込まれている。

HHSの医療IT全国連絡室(ONC)は、ブロックチェーンを推進する団体「チャンバー・オブ・デジタルコマース」とともに、ブロックチェーンをベースにした医療分野向け製品の開発を競うコンテスト「Code-a-Thon」を2017年3月に開催した。

コンテストの結果、病院が医療画像を他の医療機関と共有できるシステムや、患者側から簡単に医療記録を医療機関に伝送できるアプリなどが受賞している。

◇米国郵便庁(USPS)がブロックチェーン採用を検討
米国郵便庁(USPS)は2016年5月、コンサルティング会社のスイス・エコミクスの協力を得て、郵便サービスにブロックチェーン技術の採用を検討する報告書を発表した。この中で、USPSは同技術を応用できる4つの方向(金融サービス、デバイス管理、IDサービス、サプライチェーン・マネジメント)を示している。

金融サービスでは、USPSがブロックチェーン技術で自らビットコインのような電子通貨を作る可能性を示唆した。ここでは、「Postcoin」と呼ばれる仮想通貨が銀行口座を持たない層の世界的な決済サービスとなり得るとしている。

ブロックチェーン技術とIoTを組み合わせたデバイス管理を提案。例えば、配達車両のパーツ消耗度監視・消耗パーツの交換と支払いまでを全て自動化するといったことが想定できる。

ブロックチェーンによる身元確認を郵便物の追跡に応用することも提案。これにより迅速な通関を促し、決済・ロジスティクス・発送を全て1つのプラットフォームに統合することができるとしている。

(2017年6月)

アマゾンが自動運転の技術開発に参入

アマゾンは、物流革命を主導する目的で、自動運転技術に特化した専門チームを創設した。専門チームは十数人の社員から成り、約1年前に水面下で創設された。同社は今のところ自社で自動運転車を製造する計画はなく、このチームは自動運転技術をいかに活用していくかを検討する社内シンクタンクとして機能している。

自動運転技術に対する同社の取組みはまだ早期の段階だが、将来的には、輸送トラックやフォークリフトも含めた自動運転車やドローンが商品配達の効率化に寄与すると期待している。

グーグルの自動運転車部門であるウェイモやゼネラル・モータース、テスラ、Uberなど自動運転車の開発を進める大手テクノロジー企業、自動車メーカーは多いが、アマゾンも同分野への関心を見せており、2017年1月には、自動運転車のための車線指定支援システムに関する特許を取得している。また、アマゾン・ロボティクス部門が倉庫ロボットの研究開発に取り組んでいる。

アマゾンは、数年前からサプライチェーン/ロジスティクス・ネットワークの自社構築も進めており、自社ブランドの輸送トラックを数千台保有しているが、自動運転技術は、同じ経路を定期的に走るトラックが初期の導入ターゲットになるとしている。

長距離トラックの自動運転技術を開発するEmbark(2016年8月にUberが買収)の共同創業者、アレックス・ロドリゲス氏は、人がトラックを運転する場合、1日10時間までという規制があるが、自動運転車であれば夜を徹しての走行が可能で、これまで4日かかっていた東海岸から西海岸への輸送時間を1日半に縮められるという。

アマゾンは、ドローンの開発にも力を入れており、今後は、自動運転技術とドローンの組み合わせや、音声認識機能AI「Alexa」など同社サービスとの連携などが図られる可能性もあるとしている。

(2017年5月)

自動走行車の開発競争と企業間連携の動向

近年、自動走行の技術開発競争が激しくなる中、IT企業と自動車メーカー間での連携や企業買収が活発化している。例えば、マイクロソフトは、2017年3月に、同社が保有する一連の特許をトヨタにライセンス提供する契約を締結した。これは、自社の知的財産を活用してコネクテッドカー技術プロバイダの一角を占めようとする同社戦略の一環として行われたものとなっている。

マイクロソフトは、自社で提供するクラウド・コンピューティング・サービス「Azure」をコネクテッドカー・サービスの基盤にするよう自動車メーカーに働きかけており、今回の契約を発表するにあたってもAzureを用いたナビゲーション、予防的メンテナンス、エンタテインメント、音声認識機能にスポットライトを当てている。

その他、2017年4月には、ボッシュとメルセデスの自動走行車共同開発が発表されている。また、インテルによるモバイルアイ買収、BMWのインテル/モバイルアイ・システム採用などの動きがある。

完全な自動走行車の製造が開始されるのは、2020~2021年頃と予想されているが、広く利用されるようになるのは2030年以降と見られている。その開発には、人工知能(AI)、ロボティクス、コンピュータ/プログラミング、デジタル・ネットワークといった分野の専門家が必要とされるが、これらの分野の人材は自動車産業の外にいることが多い。

このため、自動車メーカー各社は人材獲得でもそれぞれの手段を講じており、ボッシュ/メルセデスの提携には人材を得るという面もある。また、GMのように、自動走行車技術を開発する新興企業を買収し、独自の技術開発を推進しているところもある。

ウェイモやデルファイは、自ら自動走行車技術の開発に投資しないことを選んだフィアット・クライスラーなどに自動走行車を実現する技術を提供。BMWも同様に、自社で開発した自動走行システムの他社への供給を計画しており、メーカーと部品供給会社が今後、競争相手になる可能性もある。

(2017年4月)

米運送業界、自動運転やロボット、ドローンの実用化へ

米国でも運送業界の人手不足、長時間労働は深刻な問題となっている。FedExやUPSなど物流大手は、この問題解決手法の一つとして、自動運転やロボット、AI(人口知能)、ドローンといったテクノロジーを配送業務に取り込むために、実証実験を開始している。また、州レベルでは、配達ロボットの法整備が進んでおり、実用化に弾みがつくと期待されている。

◇UPSがドローン配達をテスト
UPSは、2月20日、フロリダ州で配達ドローンの実証実験を行った。今回のテストでは、UPSの配達車両の屋根からドローンが飛び立ち、目的地まで自動飛行し、荷物を落としてから、他の荷物の配達を続けている車両に戻るまでの一連の行程がテストされた。

UPSによると、都市部は人口密度が高く、近辺にある複数の配達経路をまとめることがそれほど難しくないが、ルーラル地域の配達経路は拡散しており、まとめるのが難しく、コストもかかるとのことで、特にルーラル地域でドローン配達を行うことによるコスト削減に期待を寄せていると説明。

また、UPSは、配達サービス以外にも、在庫管理や、輸送機及び配達車の検査などにドローンを使うことを検討しているが、米連邦航空局(FAA)の規則策定がまだ続いていることもあり、ドローンの広範な利用を開始する明確なタイムラインを明らかにしていない。

◇FedExが自動運転やAI、ロボットの導入を検討
FedExは、自動運転やAI、ロボットといった分野への投資を拡大する計画だ。同社のロバート・カーターCIOは「FedExは小規模な地域内での配達に自動運転車両を利用する可能性を検討している」と述べ、運送業界は今後10年以内に自動運転技術を取り入れるだろうとの考えを示した。

FedExは、半自動運転車両の開発でPeloton Technologyと、完全自動運転車両の開発でダイムラーとトラック子会社のFreightliner、ボルボ等と提携している。

またFedExは、AmazonのAI搭載音声アシスタント「Alexa」と統合したアプリも開発。このアプリはスマート端末に、例えば「Alexa、荷物発送の準備を」などと話しかけるだけで、発送の準備を始めることができ、荷物のピックアップから配達の確認まで音声命令で行える。

一方、カーター氏は「ドローンによる荷物配送にはあまり積極的ではない」と語り、重い荷物も扱え、配送距離が長く、帰路に荷物をピックアップすることもできる地上を走るロボットに期待していると語った。

◇自律型配達ロボットの法整備へ
ロンドンに本社を置くStarship Technologiesは、米国で自律型配達ロボットの実証実験を開始した。この配達ロボットは、移動速度が歩行者程度で、配達可能距離は半径およそ2マイル以内。周囲にその存在を知らせる機能を装備している。

同社の配達サービスは、ロボットが配達先に到着すると、メッセージと荷物を格納しているカーゴベイを解錠するリンクが、受取人のスマートフォンに送信される。カーゴベイは、スーパーの買い物袋3つ分ほどの大きさで、約20ポンドまでの荷物が積載可能。配達状況をスマートフォンで追跡することもできる。

米国では、この様な配達ロボットの法整備が州政府レベルで進んでいる。バージニア州では、米国で初めて「電動式パーソナル配達デバイス(Electric Personal Delivery Device)」の公道での使用を認める法案が成立し、今夏より施行を開始する。同様の法案は、アイダホ、フロリダなどいくつかの州も検討されている。

バージニア州の新法では、配達ロボットの定義・規則として、1)歩道、共用道路、横断歩道を移動し、主に財産を輸送することを想定、2)貨物を除いた、重量50ポンド以下、3)最高速度10マイル/時以下、4)人間による操縦・監視の有無に関わらず運用できる技術を搭載することを挙げている。その他の条件として、ロボットの操縦者は16歳以上、ロボットは少なくとも遠隔的に監視されていなければならないとされている。

(2017年3月)

アップルとグーグル、プログラミング教育関連の取り組み強化

アップルは、毎年恒例の子供向けワークショップ「Apple Camp」で、ゲームの基本的なコーディングとロボットのプログラミングを学べるコースを今夏初めて開催する。

Apple Campは毎年7月と8月にアップル・ストアで行っている、同社製のハードウェアとソフトウェアを使った子供たちを対象にした無料ワークショップであるが、今年は、「iMovie」と「iBooks Author」の使い方を学ぶ既存のコースに加えて、ゲーム制作ソフト「Tynker」とボール型ロボット「Sphero」を使いゲーム感覚でコーディングやプログラミングを学ぶコースが新設された。

各ワークショップでは、90分間のセッションを3日間にわたって開催する。子供たちは、最初の2日間で各自のプロジェクトに取り組み、最終日には保護者らとともに、完成した作品を発表する。

アップルの子供向けサマーキャンプは、米国をはじめ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、中国などでも提供されているが、コーディングのコースは米国、カナダ、イギリス、中国でしか提供されない。

子供たちのコンピュータサイエンス教育に力を入れているアップルは、この発表の少し前には、コーディングの基礎を学びたい子供たち向けに「Swift Playgrounds」というiPad向けアプリを発表した。SwiftはiPhoneやiPad、Macなどで利用できるアプリを開発するためにアップルが作った新しいプログラミング言語で、プロフェッショナルなデベロッパはこのオープンソースの言語を使って、実際にアプリを作成している。Swift Playgroundsは、生徒やプログラミング初心者でも楽しく簡単にSwiftを学べるようにしている。

Apple Campは8歳から12歳向けの子供たちを対象にしたものであるのに対し、Swift Playgroundsは12歳以上の子供を対象としている。

◇グーグルの「Scratch Blocks」「Project Bloks」
グーグルは今年5月にMITのメディアラボと提携し、次世代の子供向けプログラミングブロックを開発すると発表した。教育用プログラミング言語として人気の高い「Scratch」に、グーグルのビジュアルプログラミング言語「Google Blockly」を統合した「Scratch Blocks」をリリース。AndroidやiOSなどのモバイル端末にも対応できるようにする。

また、グーグルは、プログラミング言語の概念を学習する「Scratch Blocks」に続き、実際に触れて学ぶプログラミング教育用ハードウェアプラットフォーム「Project Bloks」を発表した。

Scratch Blocksがパソコンとマウスを使ってウェブ上でプログラムを作るのに対し、Project Bloksは物理的なブロック(モジュール)を使い、それらを組み合わせてプログラムを作成し、実際にデバイスを動かすことができる。

具体的には、「Brain Board」「Base Board」「Puck」という3つの目的の異なるブロックで構成される。Brain BoardはCPUの役割を担い、Puckの命令を処理し、無線で接続したデバイスを動かす。Puckはダイヤルやスイッチ、ボタンなどの形をしており、オン/オフ、左/右に移動などの命令を発する。Base Boardは、Puckからの命令をセンサーで読み取り、Brain Boardに伝える役割を果たす。

このプロジェクトは、グーグルのクリエイティブラボ、デザイン企業のIDEO、スタンフォード大学などが共同で開発を進めている。ブロックのプロトタイプはIDEOが作成したが、グーグル自身がこれを製品化することはないという。同社は、ハードウェアプラットフォームをオープンソース化することで、教育者や研究者、玩具メーカーなどが自由に教材を開発できるようにしたいと考えている。

◇マイクロソフトの「Minecraft」
マイクロソフトも子供向けプログラミング教育に積極的に取り組んでいる。マイクロソフトは、2014年に25億ドルで買収したMinecraftへの投資を拡大している。同社は今年4月にプログラミング教育を検討している教育機関向けに「Minecraft:Education Edition」をリリースした。Minecraftは子供たちにゲームデザインやプログラミングなどの学習を促すツールで、現在世界40カ国以上、7,000以上の教室で使われている。

(2016年7月)

伝統的な自動車メーカーからの脱却を図る米自動車メーカー

伝統的な米自動車メーカーは、グーグルやアップルなどのIT企業、新興EVメーカーのテスラ・モーターズ、配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズといった異業種からの参入脅威にさらされている。自動車メーカー各社は事業戦略の見直しを迫られる中で、ソフトウェア企業やインターネット企業との提携を加速させている。

◇ハードウェアからソフトウェアへの事業転換を図るフォード
フォード・モーターは2016年5月5日、PaaS向けソフトウェア企業のピボタル・ソフトウェアに1億8,220万ドルを出資すると発表した。ピボタルは2013年4月にEMCとVMware、GEの出資で設立されたEMCのグループ企業。今回の資金調達では、フォードに加えて、マイクロソフトや既存の株主であるEMCとVMware、GEも参加し、総額2億5,300万ドルを調達した。

自動車メーカーの枠を超えて次世代モビリティ分野への進出を図っているフォードは、2016年3月にモビリティサービスの提供や投資を目的とした「フォード・スマート・モビリティ」という子会社を設立した。コネクティビティ、モビリティサービス、自動運転、新たな顧客体験、ビッグデータの5分野においてさらなる発展を目指すとしており、2016年4月にはスマートフォン・アプリ「FordPass」を提供開始している。

また同社は、2016年1月にスマートカーとスマートホーム分野での技術開発でアマゾンと提携した。ユーザは車中から音声認識によるスマートホーム家電の遠隔操作が可能になる。

◇GMが配車サービスLyftとの提携で自動運転の普及拡大
GMとLyftは、5月5日、自動運転機能を搭載した新型電気自動車「シボレー・ボルトEV」による配車サービスの公道テストを1年以内に開始する計画を発表した。自動運転技術の開発で先行するグーグルやテスラ・モーターズ、米配車サービス大手Uberに対抗する。

同社は2016年1月、Lyftへの最大5億ドルの投資計画を発表し、自動運転によるオンデマンド配車サービスのネットワークを共同開発することで合意していた。GMは自動運転車の普及は、配車サービスでの導入を足掛かりに拡大すると見込んでいる。先ずは「レンタル・ハブ」と呼ばれる車両の貸し出し施設を複数の都市に設け、Lyftドライバーに「ボルトEV」を貸し出すことで市場拡大に弾みを付けたい考えだ。

2012年6月に設立されたLyftは現在米国内の約190都市でサービスを展開しているが、ライバルのUber(2009年3月設立)は世界58か国・地域の300都市で展開するなど大きく引き離されている。このためLyftは2015年12月に同業の中国大手Didi Kuaidi、インドのOla、東南アジアのGrabTaxiと戦略的パートナーシップを締結し、Uber包囲網を築いている。Lyftには中国のアリババ、テンセント、日本の楽天といったインターネット企業も出資している。

またGMは、2016年3月には自動運転関連の技術開発を手掛けるCruise Automationを約10億ドルで買収している。

◇クライスラーがグーグルの自動運転のテスト車両を開発
フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグーグルは、5月3日、自動運転車の開発で提携すると発表した。FCAはグーグルの自動運転機能を搭載した実験用ミニバンを100台製造する。完成車メーカーが自動運転技術の開発で、グーグルと提携するのは今回が初めてのケースとなる。

グーグルはこれまで自動運転の公道実験に、レクサスを改良した車両とハンドルやアクセルペダル、ブレーキペダルがない人工知能が完全制御する自社設計のプロトタイプを使用していた。FCAは年内に新型クライスラー「パシフィカ ハイブリッド」を100台提供し、グーグルのコンピュータやセンサーなどの自動運転システムを搭載しやすいように設計する。公道テストの自動車の数を2倍に増やし、自動運転技術の開発を加速させる狙いがある。

FCAがグーグルとの提携に踏み切った背景には、同社が自社単独で自動走行車開発を進めるだけのリソースを持っていないことがある。また、グーグルも自動運転車を自社で製造するつもりはないとし、提携する自動車メーカーを探していた。

(2016年5月)

グーグルの自動運転車、過去14か月間で13件の「ニアミス」

グーグルが開発をすすめる自動運転車は性能が向上しているが、完全な自動運転はもう少し先になりそうだ。グーグルが2016年1月12日にカリフォルニア州車両管理局(DMV)に提出した報告によると、過去14か月間の公道でのテスト走行で、即座にドライバーのマニュアル操縦に切り替えねばならない危険を車載ソフトが検知した例は272件。このうちドライバーが操縦しなければ衝突が起きたと考えられるケースは13件あった。

このような自動操縦の解除が起きる頻度は、テストの進行に伴い低下しており、テスト開始直後の最初の3か月間では走行距離約1,260kmごとに発生していたが、最近では約8,560kmごとに減っているという。

グーグルは、ドライバーの操縦を必要としない完全自動運転車を作ることを目標としているが、今回の報告は、あらゆる場面で自動操縦に任せられる段階にはまだ至っていないことを示している。

カリフォルニア州の車両管理局(DMV)が昨年12月に発表した自動運転車に関する交通規則の草案では、自動運転車にも必要時に運転を代われるよう、運転免許保有者の搭乗が義務付けられる見込み。また自動運転車が交通違反を犯した場合は、運転手がその責任を負うことになる。

一方、自動車メーカーは、第三者機関による安全テストの実施や、自動運転車を一般販売ではなく、リースする形で提供することが義務付けられ、そのための許可を取得しなければならない。さらに発生した事故についての定期的な報告、ハッカー対策の策定、安全を確保する以外の目的で収集したデータの搭乗者への通知なども義務付けられる。

カリフォルニア州では、3年前に自動運転車が公道を走るための車両、性能、安全に関する規則を策定するようDMVに求める法律が施行された。DMVは、2015年9月にその一環として、自動運転車の公道テストを許可するための一連のガイドラインを発表している。

他方、運輸省のアンソニー・フォックス長官は1月14日の北米国際オートショーで、自動運転車の実用化に向けて10年間で40億ドル近くを投入する政府計画を説明した。

フォックス長官は、今後6か月の間に国家道路交通安全局(NHTSA)が他の省庁とともに自動運転車のテスト・分析手法を制定する方針であること、連邦レベルでのポリシーにもなり得る州ポリシー・モデルの作成で州運輸当局と協力していくことを明らかにした。

運輸省はこの過程で、自動運転車の到来に伴い新法が必要かどうかについても検討する。自動車メーカーは、完全な自動運転が可能な車両が2020年には公道を走れるようになると見通している。同省によると、2月9日発表される2017年度大統領予算教書では、自動運転車や他車との通信機能付車両のテスト・パイロットプログラムに今後10年間で39億ドル近くの予算が割り当てられる見込みだ。

◇ビッグデータが決める自動車保険料
保険業界では自動車保険料は1年の走行距離を基に算出されることが通例だったが、最近は技術の進化で実際の運転習慣を示すデータを収集できるようになっており、これらのデータを基に保険料を決める保険会社も増えている。

米国損害保険業界3位のリバティ・ミューチュアルは今年1月、スバルとの提携を発表し、2016年後半よりスバルの車載ネットワーク接続システム「Starlink」を利用するドライバーは急加速・急ブレーキといった危険運転について警告してくれるアプリを自分の自動車にダウンロードできるようになる。

このアプリはリバティ・ミューチュアルが自動車保険プラン「RightTrack」の一環として提供しているもので、同プランを選択した加入者は保険料が5%割引され、アプリの安全運転指示に従うとさらに最大30%の割引が適用される。

米国ではプログレッシブやオールステート、ステートファームといった他の保険会社も同様のプランを提供するようになっており、このような運転習慣をベースにした保険料の算出はうまく行けば安全運転を促すことにもつながると期待されている。

(2016年1月)

顔認証技術の普及と伴に、強まるプライバシー侵害への懸念

グーグルやフェイスブックなどの民間企業や、米連邦捜査局(FBI)や米国土安全省(DHS)などの政府機関が、顔認証システムの開発に取り組んでいるが、その認識率がここ数年で飛躍的に向上している。

例えば、グーグルの「FaceNet」アルゴリズムの認識率は99.63%に達している。また、フェイスブックの「DeepFace」アルゴリズムの認識率も97.25%に達し、これはFBIの85%を上回り、人間の認識率である97.5%に近い高精度が得られている。

さらに、最先端の技術は、正面を向いている画像でなくても、髪やひげ、マスクなどで遮蔽されていたとしても、十分に個人を認識できるように進化している。フェイスブックによると、同社の最新の技術「Pose Invariant Person Recognition:PIPER」は、人の姿勢や顔の特徴の一部などから83%の精度で個人を認識できるという。

この技術の効果が最も発揮される分野は、犯罪・テロ対策の分野といわれており、既に導入が進んでいる。この他に、身近なところではスマートフォンのセキュリティロック解除や、小売店での販売や広告、公共施設や公共交通の「顔パス」、健康管理など幅広い分野で応用が期待されている。

ただし、顔認証技術の普及には課題も多く、その一つがプライバシーの問題である。米国では現在、連邦レベルの法整備が遅れており、州が独自に規制を行っている。イリノイ、テキサス両州では、本人の同意なく顔認識技術を使って身元を識別することを禁じる法律が制定されており、イリノイ州では、これに違反したとしてフェイスブックが訴えられている。イリノイ州の法律では、顔認識情報など生体情報を収集する際にはユーザにその目的と情報の保管期間を説明し、ユーザから書面で同意を得る必要がある。

オバマ大統領は2012年2月、「プライバシー権利章典」を発表。どのような個人情報が企業・団体によって収集・利用されるかを管理する権限は消費者にあると宣言し、民間主体のマルチステークホルダープロセスによる行動規範策定を指示した。2012年10月には、米連邦取引委員会(FTC)が顔認証技術の利用に関するガイドラインを公表。FTCのガイドラインに法的拘束力はないが、顔認識技術を使用する企業は、個人情報を保護するための適切な措置を講じること、ユーザに簡潔な形で選択肢を与えること、透明性を確保すること等の方針が示された。

これらを受けて、電気通信情報庁(NTIA)の呼びかけにより、小売業界、ネット広告業界、プライバシー擁護団体等が参画し、2013年12月より協議が開始された。しかし、初期設定で顔認識機能をオンの状態にしておきたい業界と、ユーザの事前同意(いわゆるオプトイン方式)を求めるプライバシー擁護団体の意見が対立し、2015年6月には団体が協議から脱退する事態になっている。

(2015年7月)

ソーシャル・サービス

米税務当局、フェイスブックを脱税の疑いで調査

米国税局(IRS)がフェイスブックを資産隠しの疑いで調査を開始。7月6日には、フェイスブックが2010年に資産をアイルランドへ移した当時の関連文書提出を求めて同社を連邦地裁に提訴した。

訴状によると、フェイスブックは2010年9月、米国・カナダ以外の「オンライン・プラットフォーム」「マーケティング関連無形資産」をアイルランドに移すことで子会社のフェイスブック・アイルランド・ホールディングスと合意。また、将来の開発費分担でも両社の間で合意が締結された。フェイスブックはその後、移管する資産の評価を会計事務所アーンスト&ヤングに依頼している。

このように、資産を各国に振り分けることは多国籍企業の節税対策としてよく見られるもので、特にテクノロジー企業では顕著。アイルランドの法人税率は12.5%と、米国の35%と比べるとかなり低い。しかし、フェイスブックの場合、アイルランド子会社からの収入を過小評価することで税金を逃れようとした疑いが持たれている。

IRSは、フェイスブックが情報提供請求に応じず、調査の期限が7月31日に迫っていることから、今回訴訟に踏み切った。また、同局は訴状の中で、これまでの調査でアーンスト&ヤングの資産評価方法に問題があったことが明らかになったとしている。

フェイスブックの広報担当者はIRSの調査に関し、「事業を展開する各国で、すべての法令を順守している」と反論している。

過度な節税手法を巡っては既に、フランスとスペインの検察当局がグーグルに対する強制捜査に着手したことも判っている。

◇グーグルを脱税容疑で家宅調査、スペインとフランス捜査当局
スペインの捜査当局は6月30日、脱税などの容疑で米グーグルのマドリッド支店を家宅捜索したと発表した。租税回避手法を使って法人税やVAT(付加価値税)の納付を不当に免れていたとしてグーグルを非難した。

グーグルは欧州事業の売上のほとんどを法人税率が12.5%と低いアイルランドで処理している。同社は声明で、「事業を展開しているすべての国と同様に、スペインの税法を遵守している」と述べている。

グーグルは今年5月、行き過ぎた節税策で課税を逃れたとして、フランス検察から家宅捜索を受けたばかりだった。フランス財務省は2014年3月、グーグルに対して約16億ユーロ(約2,000億円)の追徴課税を命じたが、同社はこれを拒否。財務省の訴えを受けて、検察が捜査を進めていた。

今年1月には、グーグルは英国歳入関税庁(HMRC)と2005年以降の法人税の滞納分として1億3,000万ポンド(約175億円)を追加で納税することで合意しており、また2016年以降も従来より高い税率で法人税を納める方針を明らかにした。

なお、6月21日には、EU加盟国が、租税回避手法を排除するための包括的な新法令について合意した。新法令は法的拘束力を有しており、昨年10月にOECDが採択した新たな国際ルール「税源浸食と利益移転(BEPS)」を土台にしている。

(2016年7月)

オンデマンド経済、2016年は様々な課題に直面

2015年はオンデマンド経済が行政機関や立法府、大統領候補等の関心を集めたが、2016年は同分野への注目がさらに高まると予想される。UberやAirbnbをはじめとするオンデマンド経済事業者は、既存サービスとの摩擦も激しく、2016年は新たな課題にも直面すると考えられている。

その1つが集団訴訟。Uberなどは労働力を独立契約者に頼っているが、これが十分に労働者の権利を保護していないとして提訴されるケースが増えつつある。例えば、2015年9月、Uberのビジネスモデルに異議を申し立てていた運転手による訴訟を米連邦地方裁判所が集団訴訟に認定した。

連邦取引委員会(FTC)は、オンデマンド経済の台頭が消費者保護や市場競争に与える影響について報告(ガイドライン)を発表する予定で、率先してこの分野へ介入していくことが予想される。FTCのイーディス・ラミレス委員長は、この分野ではターゲットを絞った規制が必要かもしれないと語っており、FTCが示すガイドラインが特に厳しいものになる可能性は薄い。また、そのガイドラインは、法的拘束力は持たないが、これはオンデマンド経済に関わる企業に対して行政がどのような姿勢を求めているかを示すものにもなるであろう。

この他、オンデマンド経済は今年の大統領選で争点の1つとなる可能性が高い。既にヒラリー・クリントン、ジェブ・ブッシュといった民主・共和両党の有力候補各氏がオンデマンド経済について発言。共和党候補者は概ね、この分野は規制すべきではないとの立場で、民主党候補者はオンデマンド経済の効用を賞賛しながらも労働者の保護は改善すべきと主張している。

またオンデマンド経済と既存事業者の争いが州・地方自治体レベルで生じることも想定される。裁判所や州・地方レベルでは、従業員を契約者扱いするビジネスモデルに対して規制しようとする動きが急速に高まっている。

(2016年1月)

ブロードバンド

アマゾン、4月より全米で売上税の徴収開始

アマゾンは、2017年4月1日より全米50州のうち売上税を設定している45州全てで売上税の徴収を開始する。実書店「Amazon Books」、レジなしスーパー「Amazon Go」、ドライブスルー型スーパー「AmazonFresh Pickup」など実店舗戦略を進めるアマゾンにとって、売上税の徴収は避けられないものとなってきた。

ただし、これは、あくまでアマゾンが販売する商品についてのみで、マーケットプレイスを利用する外部販売業者や個人は対象外。外部販売業者は、アマゾンの売上の半分以上を占めるようになっているが、これらの外部販売業者はこれまで通り5~9%程度の売上税を徴収せずに済む。

しかし、ニューヨーク州やワイオミング州などは、アマゾン、eBayなど第三者に商品販売の場を提供する企業が外部販売業者に代わって売上税を徴収するか、あるいは外部販売業者に売上報告を義務付けるよう求める措置を講じており、同様の措置は現在少なくとも6州が導入を検討している。小売りに占めるネット通販の割合は1割に迫っており、州も財源としてネット通販の売上を見過ごせなくなってきているという。

現行の連邦法では、売上税の徴収が義務付けられるのは、小売業者が物理的な事業拠点を持つ州だけに限られている。

(2017年4月)

米国のインターネット通信速度、3年半でほぼ3倍に

オバマ政権では、ブロードバンドの高速化を図っているなか、規制当局の連邦通信委員会(FCC)は、2015年12月30日に発表した報告で、米国インターネットの平均下り速度が、2011年3月から2014年9月までの3年半の間に約10Mbpsから31Mbpsにまで向上したことを明らかにした。

この速度向上はネット動画視聴やオンラインゲームの普及でより高速な通信が求められるようになったことが背景にあると見られる。

米国内ではグーグルが9都市で1000Mbpsのサービスを提供。AT&Tも同様の速度を20都市で提供しており、2016年にはさらに36都市を追加する予定となっている。また、コムキャストはフィラデルフィアで1000Mbpsサービスをテストしており、2016年内には提供地区を拡大すると発表している。

FCCの報告によると米国インターネット・トラフィックの60%以上は動画が占めており、この割合は2019年には80%に増える可能性もある。

しかし、2013年の世界的な通信速度順位では米国は39ヵ国中25位にとどまっている。

大手ISP別の平均通信速度はケーブルビジョンが60Mbpsでトップ。ベライゾン、チャーターがそれぞれ50Mbps前後でこれに続き、以下コックス (40Mbps)、コムキャスト (35Mbps) となっている。

州別ではニュージャージーの下り速度が平均57Mbpsで国内トップ。最低はアイダホで14Mbpsだった。

FCCは5,000以上のボランティア世帯に機器を設置し、インターネット通信速度を計測しているが、現在の下り速度は2011年よりも宣伝広告されている数値に近くなっているという。

(2016年1月)

事業者のM&A・国際展開

コムキャストとチャーター、移動通信事業で提携

米2大ケーブルテレビ事業者であるコムキャストとチャーター・コミュニケーションズは5月8日、移動通信事業で提携することを発表した。この提携の下、両社は今後1年間お互いの同意なく移動通信分野での買収・合併は行わないことで合意した。

ケーブルテレビ事業者にとって移動通信は、自社サービス・バンドルの価値を高め、既存加入者を引き止めるための武器となる。

コムキャストは既に移動通信サービスを提供する計画を発表しており、政府のオークションで周波数も落札している。チャーターも、来年初め頃の移動通信サービス提供を予定している。

(2017年5月)

米ケーブルテレビ業界、再編の動きが活発化

米国では、ケーブルテレビ加入世帯の減少が続いている。FCCが5月6日に発表した映像サービス市場の競争現況年次報告によれば、前年に引き続き加入者が減少傾向にある多チャンネル映像番組配信事業社のなかでも、ケーブルテレビ加入者の減少は顕著で、2013年末の5,510万世帯から2014年末の5,370万世帯に推移したという。一方、Netflixをはじめとするオンライン映像配信業界は成長傾向にある。同時期の電気通信市場者による動画配信サービス加入者は、1,180万世帯から1,320万世帯に増加している。

このような動画配信サービスという新たな動きに対し、ケーブルテレビ事業者は合従連衡を通じた生き残りの道を模索している。

米ケーブルテレビ業界第4位のチャーター・コミュニケーションズは、2015年に同2位のタイム・ワーナー・ケーブル(TWC)および同6位のブライトハウス・ネットワークスの買収を発表し、2016年5月6日に米連邦通信委員会(FCC)、12日にカリフォルニア州公益事業委員会の承認をそれぞれ受けた。これにより、チャーターはTWC及びブライトハウスの買収完了に必要な承認を全て取得したことになる。買収は5月中に完了する見込みで、この合併により、米国第2位のISP、第3位のケーブルテレビ事業者が誕生することなる。

ただし、同合併が反トラスト法に抵触するのではないかとの懸念もあり、司法省はオンライン動画配信事業者による番組の調達を保護するため新会社に条件を課すことを決定している。他方FCCは、新会社がオンライン動画配信サービス市場の成長を阻害する動機を持ち得ると判断し、この危害を防止することを目的に、高速ブロードバンド網の拡大のほか、データ使用量上限の禁止、ネットフリックスなどのサービス事業者との無償ネットワーク相互接続などを合併承認の条件とした。

そのほかのケーブルテレビ事業者による合従連衡の動きとしては、5月3日にFCCが承認した、欧州の電気通信事業者であるアルティスによる米ケーブルテレビ事業者、ケーブルビジョンの買収がある。FCCは、アルティスがケーブルビジョンのブロードバンド網アップグレードへの投資を約束していることなどをあげ、この買収が公益に寄与すると判断した。買収が成立すれば、アルティスは米国第4位のケーブルテレビ事業者となる。

また、4月28日には、米ケーブルテレビ最大手のコムキャストが、映画制作会社であるドリームワークス・アニメーションを買収することを発表した。この買収については、今後、司法省またはFTCが反トラストの観点から審査することになるが、FCCの認可は不要。買収は2016年までに完了する予定で、これにより米ウォルト・ディズニーに匹敵する巨大メディア娯楽企業が誕生する。

(2016年5月)

AT&T、衛星放送事業者のディレクTV買収を完了、新サービスを発表

大手通信事業者のAT&Tは、2014年5月に、衛星放送事業者のディレクTVの買収を発表していた。この買収について、規制当局の連邦通信委員会(FCC)の審査結果が注目されていたところ、2015年7月24日に、FCCは、AT&TのディレクTV買収を条件付きで承認すると発表した。これを受け、AT&Tは、同日付で、ディレク買収の手続きを完了した。合併後の有料TVサービス加入者は2,600万以上となり、最大手のケーブル事業者であるコムキャストを抜いて業界トップとなる新会社が生まれることになった。

メディア業界では、この他にも大規模な合併計画が複数発表されており、チャーターはタイムワーナー・ケーブル(TWC)、ブライトハウス・ネットワークの買収を発表している。欧州のケーブル事業者Alticeは、サドンリンクの経営権買収を提案しており、業際再編が進展することが見込まれている。

FCCは、買収を認可するにあたり、AT&Tに光ファイバ・ベースのブロードバンドサービスを1,250万世帯、及び、一定の条件を満たす学校・図書館に拡大することや、低所得層への割引価格でのブロードバンドサービス提供を義務付けた。また、AT&Tが他のオンライン動画サービス事業者を自社ネットワークのデータ上限設定において不利に取り扱う差別的な行為に従事することを禁止した。また、AT&Tは、ネットワーク相互接続協定についてもFCCに報告することや、これら条件が遵守されているかどうかを確認するため、内部コンプライアンス責任者と独立の外部コンプライアンス責任者を置くことが義務付けられた。これらの条件は、合併完了から4年間有効となる。

その後、ディレクTV買収の行政承認を取得したAT&Tは、2015年8月から携帯電話サービスと衛星放送サービス、U-verseインターネット/TVサービスを1つにまとめる「All in One」バンドルを提供開始している。なお、このバンドルを利用できるのはディレクTV、U-verseの新規加入者のみである。一方、ディレクTV新規加入者は、「DirectTV TV Everywhere」アプリを使って、自宅にサービスが導入される前から携帯端末で番組を視聴することができる。

(2015年8月)

放送・メディア

グーグル、YouTube広告の監視を強化

ヘイトスピーチに満ちた動画や過激派の動画と共に広告が配信されたとして、スーパーマーケットや銀行、消費者団体など、複数の企業がYouTubeへの広告掲載を停止していることを受け、グーグルがYouTube広告の監視強化に乗り出した。

グーグルは3月17日に事態の調査を開始し、20日に謝罪を発表、21日にはヘイト動画監視スタッフを増員するほか、企業が広告の表示についてより細かく管理できるよう動画広告に関する方針を改定したことを明らかにした。

具体的には、広告検証作業の迅速化や人工知能(AI)を活用した不快なコンテンツの検知といった新しい方針が採用されたほか、広告を流すことができる動画の資格要件基準の厳格化やより多くの動画から広告をブロックするためのガイドラインの拡張が発表された。同社によれば、これまでは特定の人種、宗教、性別に対する暴力を奨励する動画への広告配信を停止していたが、今後はこういった特定のグループを中傷・攻撃する動画全般について広告配信を停止するという。

さらに4月3日には、外部の広告効果測定事業者がYouTube上での広告表示場所を監視し、広告主に状況を報告できるようにすることが発表された。グーグルは広告がユーザ画面上に実際に表示されているかどうかを確認できる機能を既に広告主に提供しているが、第3四半期には広告と一緒に表示された動画を具体的にリストアップし、広告がどの動画と何回表示されたかを確認できる機能も提供する予定だという。加えて4月6日には「YouTubeパートナープログラム(YPP)」が改訂され、再生回数が1万回以下の動画チャンネルへの広告配信中止が明らかになった。

広告が不快な動画とともに表示されたとして同サイトへの広告出稿を控える企業が相次ぐ中での方針変更は広告主に配慮したものと見られるが、動画クリエイターからの反発も予想される。YouTubeは、今回の方針変更は他者のコンテンツを盗用しているチャンネルへの利益還元を防ぐもので、昨年11月から検討していたとしている。これまでのYouTubeの方針では、全ての動画投稿者が自分の動画に広告を表示するかどうかを選ぶことができ、ほとんどは広告表示の資格を満たしていると判断されていた。

(2017年4月)

増加するインターネットTVサービス

YouTubeは、2月28日、40チャンネル以上の地上波・CATVネットワークを月35ドルで提供するインターネットTVサービス「YouTube TV」を発表した。

このパッケージには、ABC、CBS、NBC、Foxの4大地上波ネットワークの他、ESPN、FX、USABILITY、MSNBC、Fox Newsといった主要なCATVネットワークが含まれる。

同社の新サービスは、従来の有料TVサービスを解約する「コードカッター」、有料TVサービスに加入したことがない「コードネバー」をターゲットに、より厳選したチャンネルをインターネットで配信するサービスを提供する事業者は増えており、代表的なものとしては、ディッシュ・ネットワークのSling TVや、AT&TのDirecTV Now、ソニーのPlayStation Vueなどがある。

また、Huluも月40ドルを切る料金で近くインターネットTVサービスを提供開始する予定で、Amazonも同様のバンドルを提供するためメディア企業と話し合っていると伝えられている。

しかし、いずれのサービスも、TVネットワークとの配信契約が大きなハードルとなっており、YouTube TVの場合も、Comedy CentralやMTVなどのバイアコムが所有するネットワーク、CNN、TNT、HBOといったタイム・ワーナー所有ネットワークは含まれておらず、ディスカバリー・コミュニケーションズ、AMCネットワークス、スクリップス・ネットワーク系のネットワークも見当たらない。

YouTube TVでは、動画コンテンツを視聴できる端末はスマートフォンからTVまで多岐にわたり、また、最長9か月までクラウド上で無制限に番組録画できるDVR機能も提供される。

同サービスは、数か月以内に大都市でまず提供され、漸次提供を拡大していく予定である。どの都市から提供が開始されるのかは明言されていないが、ニューヨーク、ロサンジェルス、シカゴ、フィラデルフィアの各ローカルTV局とは提携が合意されているという。

YouTube TVでは、最大6アカウントを利用でき、ログイン情報は別々に提供されるが、同時に番組を視聴できるのは3アカウントまでとなっている。

(2017年3月)

AT&T、新たなストリーミング・サービス「DirecTV Now」を開始

米通信大手AT&Tは、豊富なチャンネルをブロードバンド経由でCATVよりも安く提供するストリーミングTVサービス「DirecTV Now」を発表した。サービスの提供は11月30日に開始し、TV番組の生配信はモバイル端末やタブレット、PC、テレビ向けに配信される。

同サービスの料金は60チャンネルで月35ドルからとなっており、パッケージにはESPNやTBS、AMC、Disney Channelなどが含まれる。年間契約やケーブルボックスの設置、工事のアポ入れ、加入に際する信用調査はすべて不要で、解約はいつでも可能である。ブロードバンドに加入しているが有料TVサービスには加入していない「コードカッター」や「コードネバー」と呼ばれる数百万世帯をターゲットにする。

ただし、高視聴率番組を多く抱えるCBSやNFLサンディ・チケットといった有料チャンネルが含まれていないため、NFLの試合やNCAAバスケットボール・トーナメントを視聴することはできない。また、同サービスは同時に2つの端末にしか配信することができず、4K解像度にも未対応となっているほか、一部市場ではABC、Fox、NBCのローカル系列局へのアクセスもできない見込みである。DVR機能への対応は2017年以降となっている。他方、HBOやシネマックスには追加5ドルでそれぞれ加入できる。

ケーブル事業者や衛星事業者の有料TVサービスは月100ドル以上で提供されており、これより大幅に安い料金で提供される「DirecTV Now」は、スリングTVやPlayStation Vueと競合することになる。現在、スリングTVは20ドルで31チャンネルを提供し、PlayStation Vueは30ドルで48チャンネルを提供している。そのほか、単体のHBO Nowは月14.99ドル、CBSは独自のストリーミング・サービスをCMなしの場合は月9.99ドル、CMありの場合は月5.99ドルで提供している。

なお、AT&Tの移動通信サービス加入者には、「DirecTV Now」をモバイル視聴する際のデータ消費量を毎月割り当てられるデータ量に含めないという特典が付与される。ベライゾンやスプリントはこのようなサービスを行っておらず、メディア企業と電気通信事業者の合併に対する反対が強まることも予想されるため、タイム・ワーナー買収を進めるAT&Tにとっては逆風となる可能性もある。

(2016年12月)

AT&T、タイムワーナーを買収へ

通信最大手のAT&Tは10月22日、テレビ・映画番組制作大手のタイムワーナーを854億ドルで買収することに合意したと発表した。AT&Tは、タイムワーナー株1株に対して107ドル50セントを支払い、タイムワーナーの負債を含めた取引額は1087億ドルとなる。

エンタテイメント市場への参入を拡大しようとしているAT&Tは、この買収により、CNN、HBO、ワーナー・ブラザースといった有名メディア・ブランドを獲得することになる。ベライゾンがグーグルやフェイスブックと競争するためにターゲティング広告インフラを作ろうとしているのに対し、AT&Tは、エンターテイメント・ビデオ産業に注力する道を選んだといえよう。タイムワーナーのジェフ・ビュークス会長兼CEOは、AT&T傘下になることでタイムワーナーのコンテンツを消費者により迅速に提供することが可能になるとしている。

今回の買収発表を受けて、議会やアナリスト、消費者保護団体等からはすでに懸念の声が挙がっている。買収に対する最大の懸念事項は、移動通信やブロードバンド、ディレクTVを通じて1億人超の加入者を持つAT&Tが、タイムワーナーのコンテンツを提供するにあたり、自社加入者を優遇するのではないかという点にある。

ヒラリー・クリントン、ドナルド・トランプ両大統領候補や民主・共和両党の議員等が電気通信・メディア業界の一層の統合に対し懸念を表明しているほか、元FCC委員/委員長代行で現在はコモンコーズの特別顧問を務めるマイク・コップス氏も今回の買収について「考えられない」とし、メディア業界のさらなる統合はイノベーションを阻害し、消費者の経済負担を増すだけで行政はこれを却下すべきだとしている。また、上院司法委員会反トラスト小委員会委員長の共和党のマイク・リー議員、民主党幹部のエイミー・クロブチャー議員は、この買収について公聴会を開くとの共同声明を発表した。

なお、買収には行政の認可が必要で、FCC、司法省の両方が審査を行う可能性が高い。

(2016年11月)

有線テレビ技術者協会(SCTE)がインターネット・オブ・シングス(IoT)作業部会を創設

有線テレビ技術者協会(SCTE)のInternational Society of Broadband Experts(ISBE)は、10月6日、標準策定グループ内にインターネット・オブ・シングス(IoT)作業部会を設けることを発表した。

作業部会では、ケーブル・ネットワーク上でIoTサービスを提供する優位性について検討し、同ネットワークをIoT関連の技術、製品、サービス提供の軸となるチャンネルにすることを目指すとしている。

SCTE/ISBE規格技術委員会は、先月の「Cable-Tec Expo」で作業部会創設を承認し、作業部会議長にインテルのゲートウェイ・ソリューションズ・アーキテクトであるクリス・コーラス氏を任命した。

SCTE/ISBEの副社長兼最高技術責任者であるクリス・バスティアン氏によれば、「IoT作業部会は、新しいサービスの標準化と最良の運用方法を決定するために、今後ネットワーク事業者とベンダーとを結集する」予定であるという。

(2016年10月)

NBCユニバーサルのリオ五輪中継、デジタル配信はミレニアル世代に人気

世界の代表的なメディア・コングロマリットで2032年までの全米五輪放映権を持つNBCユニバーサル(NBCU)は、8月23日、米国におけるリオ五輪コンテンツの消費量に関する調査結果を報告した。

調査は、NBC、Facebook、Snapchat、Google/YouTube、調査会社であるシェアラブリー及びニールセンが共同実施したもので、調査対象はNBC Sports Groupの一部門であるNBC Olympicsがテレビ、デジタル・プラットフォーム、ソーシャルメディア上で提供したリオ五輪コンテンツである。

調査の結果、NBCUが配信したデジタル・コンテンツがミレニアル世代(2000年以降に成人した世代)を中心にかなりの視聴者を集めていたことが明らかになった。五輪開催中にライブ・ストリーミングされたデジタル・コンテンツは27億1,000万分に上り、過去五輪中継全てのライブ・ストリーミング分数を12億分も上回った。また、デジタル・コンテンツは、ウェブやモバイル端末、コネクテッド機器経由で5,000万人近くの人により34億分が視聴されたが、そのうち半数以上の視聴者が35歳以下であった。

一方、Facebook、Snapchat、Google/YouTube上でNBC Olympicsによる五輪コンテンツにアクセスした人の三分の二が35歳以下と、ソーシャルメディアがミレニアル世代の五輪観戦を後押ししたこともわかった。NBCUによれば、五輪コンテンツをソーシャルメディア上で視聴したミレニアル世代の90%が満足しており、77%はソーシャルメディア上でコンテンツが配信されたことで以前よりも五輪が身近になったと回答している。

各ソーシャルメディアに関する調査結果は以下のとおり。
  • Facebook
    • 1億6,000万人がFacebook上で五輪コンテンツにアクセスし、そのうち7,000万が18~34歳だった。
    • NBC Olympics公式Facebookページでは、2,000件を超える記事が投稿され、そのうち900件は動画だった。
  • Instagram
    • 1億3,100万人がInstagram上の五輪コンテンツに9億1,600万回アクセスした。
  • Snapchat
    • 約3,500万人がSnapchat上で五輪コンテンツにアクセスし、その大部分が35歳以下であった。
  • Google/YouTube
    • YouTubeでは10億分以上の五輪コンテンツが視聴され、そのうち70%が35歳以下によるものだった。
    • 70%以上の視聴者がモバイル端末から五輪コンテンツにアクセスした。
    • NBC Sports公式YouTubeチャンネルへの加入者は、五輪開催中に7倍増加した。
(2016年9月)

ネットフリックス、今秋にも日本進出へ

ネットフリックスは、2月4日、アジア進出の第1歩として2015年秋より日本でストリーミング配信サービスの提供を開始すると発表した。

ネットフリックスは、現地コンテンツ制作者や家電メーカーとの関係構築のため、ストリーミング・提携最高責任者であるグレゴリー・ピータース氏をネットフリックス・ジャパンのゼネラル・マネージャーに任命。同社が国外でゼネラル・マネージャーを任命するのは今回が初めてとなる。

日本では3,600万近くの世帯がブロードバンドに加入しており、ネットフリックスが米国外で進出する市場としては最大規模の1つとなる。ネットフリックスのリード・ヘイスティングCEOはステートメントで「その豊かな文化と高名な独創的な伝統のゆえ、日本は、世界中の人々をその人達が愛する物語に接続するというわれわれの計画の重大な部分を担う」としている。

日本では、同業のHuluが3年近くを費やした後、2014年2月に、日本法人を日本テレビに売却するなど、事業展開にあたっては課題も多い。

なお、同社が1月に発表した2014年第4四半期決算によると、米国外の契約者数が同期に過去最高の243万人増加し、1,830万人に達した。国内契約者数は190万人増えて3,910万人となり、この結果、世界全体の契約者数は5,740万人となった。

同期の売上高(DVDレンタルを含む)は26%増の14億8,000万ドル、純利益は8,300万ドル。動画配信サービス単体では、米国外の売上高が3億8,000万ドルで、米国内は9億1,700万ドルだった。

同社は、2016年末までに200か国に事業を拡大する計画を明らかにしている。現在は50か国でサービスを提供。米国での成長が鈍化し始めている同社にとって、世界的な事業拡大は重要で、ヘイスティングスCEOは、国際事業の拡大が、売上高100億ドルという目標を達成することを後押しするだろうと述べた。

(2015年2月)

ブロードバンド・ICT基盤整備

トランプ大統領、インフラ諮問委員会を設置を発表するも中止

トランプ大統領は、7月19日、「大統領インフラ諮問委員会」を設置する命令を出し、自ら構想するインフラ計画にブロードバンドも含む意向を示したが、翌8月17日には同委員会設置の中止が発表された

なお、委員会のメンバーは、不動産、金融、建設、通信・テクノロジー、運輸・ロジスティクス、労働、環境政策、地域・地方経済開発といった分野からトランプ大統領が任命。また、これら以外でも、価値をもたらすと大統領が判断した分野でメンバーが選ばれることとされていた。

委員会は最大15人で構成され、地上輸送、航空、港湾、水道、再生可能エネルギー、電力供給、ブロードバンド、パイプライン等の分野でのインフラ計画に対する連邦政府の資金提供や支援について範囲や効果を検討し、その結果を勧告とともに大統領に提出することになっていた。

また、その検討の中には、インフラ構築の優先順位付け、承認手続きの迅速化、継続的な資金調達メカニズムの策定、官民連携の具体化、調達と納入に関するベストプラクティスの策定、イノベーションの促進も含まれる。委員会のスタッフや施設、支援業務の提供は、商務省が担当するとした。

しかし、ホワイトハウスは、8月17日、トランプ大統領がインフラ諮問委員会の創設計画を中止したと発表した。8月16日には、すでに創設されていた米国製造業委員会、戦略・政策フォーラムという2つの諮問委員会も、シャーロッツビルで起きた白人至上主義に対するトランプ氏の発言への抗議で委員が辞任したために解散することが決まった。

(2017年8月)

連邦通信委員会(FCC)、ネット中立性規則改正案の全文を発表

規制当局の連邦通信委員会(FCC)のアジト・パイFCC委員長は、4月27日、無線ブロードバンドを含むISPを通信法Title II下に分類した規則を撤回し、ネットワークの相互接続に関する規制権限も手放す規則制定提案公示(NPRM)の全文を公開した。

同NPRMは、5月18日の定例会合で採決にかけられる予定。採択された後は、7月17日までコメント、8月16日までリプライ・コメントを受け付ける。

同NPRMでは、ブロードバンド・インターネットを情報サービスとして再分類することは、過去の事例、とりわけマイケル・パウエル元委員長時代の決定に、強固に根付いていると主張している。

今回の提案の主な内容は、以下のとおり。

1)ブロードバンド・インターネット・アクセス・サービスの分類を「情報サービス」に戻す

2)無線ブロードバンド・サービスは商用モバイルサービスではないという判断を復活させ、ネット中立性規則で通信法第332条の解釈を修正した部分を再考する

3)ISPのプライバシー保護監督権をFTCに戻す

4)曖昧なインターネット行動規範を廃止する

5)ネット中立性規則の「明白なルール(Bright-line rules)」の維持、修正、廃止についてコメントを募集する

6)市場に対する事前規制が必要かどうかを分析するために、FCCの規則執行制度を再検討する

7)この手続の一部として、費用対効果分析を実施する

また、ISPによる通信のブロック、通信速度のスロットリング、特定ウェブサイトの優遇を禁じた「明白なルール(Bright-line rules)」についても廃止する考えがあることを示した。

加えて、インターネット行為基準、規則違反への苦情に対応するオンブズマン職も廃止を検討する。

ネット中立性については、パイ委員長は、現行規則が施行される前に大手ISPが特定サイトをブロックしていた事実はなく、規則は不要としており、通信ブロック等を禁止するルールは寄せられるコメントを見た上で維持・廃止を決めるとしている。

今回の提案は、こうした自由を保護するためにブロック禁止規則が必要かどうか意見を求め、また、スロットリング禁止規則については、とくに小規模事業者にとって依然必要かどうかを尋ねている。有償優遇禁止規則については、明らかに存在していない問題に対応するための議論としている。

(2017年5月)

共和党のアジト・パイ氏、FCC新委員長に

トランプ大統領は1月23日、連邦通信委員会(FCC)の共和党委員を務めてきたアジト・パイ氏を新たなFCC委員長として任命した。翌24日には、パイ氏によってFCC部局のトップが任命された。

エンジニア・トップのジュリー・ナップ氏やインセンティブ・オークション・タスクフォース議長のゲイリー・エプスタイン氏が残留した一方、メディア局長のビル・レイク氏は1月末で退任し、副局長のミシェル・ケアリー氏が局長代行となる。執行局局長代行には消費者・政府局の副局長だったマイケル・キャロウィッツ氏、公共安全・国土安全保障局局長代行には執行局副局長代行のリサ・フォールクス氏をそれぞれ起用する。このほか、無線通信局長代行にはニシ・ゲンデルスバーガー国際局副局長が、有線競争局長代行にはクリス・モンタイス同局副局長が、国際局長代行にはトム・サリバン国際局長補兼チーフ・オブ・スタッフが、戦略立案・政策分析室長代行には無線通信局上級エコノミストのウェイン・レイトン氏が、立法室長代行にはティモシー・ストラチェン同室法務顧問が任命された。

なお、パイ氏は職員への初訓示で「デジタル・デバイドの解消」をFCCの最優先課題に挙げた。同氏は民間セクタに多くを任せることを示唆し、必要なのはネットワークを構築する民間セクタを支援することだと語った。

同氏は以前からネット中立性規則をはじめとする不要な規則をなくすべきと主張しており、オバマ政権下で制定された規則を度々厳しく批判していた。そのため、前オバマ政権の電気通信/インターネット政策の多くは見直されることが予想される。また、同氏は企業合併についてもFCCが条件を課すことに反対しており、その方針は今後の企業合併審査に大きな影響を与えると考えられる。

コムキャストやAT&T、ベライゾン、フロンティア、T-モバイル、チャーター等、メディア事業者や通信事業者が同氏のFCC委員長任命に歓迎の意を表しているのに対し、フリープレスは批判的な姿勢をとっている。

パイ氏のFCC委員長就任に上院の承認は不要だが、現行の任期は今年一杯で、引き続き委員長を務めるには再承認が必要となる。

(2017年2月)

NTIA、IPv6普及策についてパブリックコメントを募集

IPv4が割り当てられるアドレスは約43億件。世界的に見ても割り当てられるアドレスはほぼ残っておらず、今後のインターネット・オブ・シングス(IoT)の普及にはとても対応できない。これに対し、IPv6は約340澗件のアドレスを割り当てることができる。IPv4に代わり、ほぼ無制限にアドレスを割り当てることができるIPv6は、既に導入が開始されているが、その導入はなかなか進んでいないのが現状である。

米国政府の「ITダッシュボード」(IT投資可視化サイト)によると、政府省庁のパブリックドメインの約54.92%は既にIPv6に移行。ただし、その導入率は省庁によって大きく異なり、米航空宇宙局(NASA)や社会保障庁(SSA)はドメインの100%が移行を完了しているのに対して、農務省(USDA)と国防総省(DOD)のドメインでIPv6に移行したものはそれぞれ4%と10%にとどまっている。

DODは、2008年にバックボーンのIPv6対応を完了したが、以後の移行計画は遅々として進んでいない。DOD監察長官室(OIG)はその理由として、同省CIOをはじめとするIT担当高級官僚がIPv6への移行を優先度の高い課題と考えていないことを指摘している。

こうしたなか、国家電気通信情報庁(NTIA)は、2016年8月18日、IPv4アドレスがほぼ枯渇している現状でIPv6の導入を如何に後押ししていくかについて、10月3日までパブリックコメントを募集すると発表した。

しかし、現在IPv6の運用を開始しているのは国内のサービスの3分の1程度に過ぎない。IPv6の普及促進を図るため、NTIAは特にIPv6を既に導入している組織から、導入を決めた要因や、行政がどのような支援策を提供できるかについて意見を求めている。また、IPv6導入に求められるプランニングやコスト、想定している投資への見返りなどについても考えを聞いている。

(2016年9月)

連邦控訴裁、ネット中立性規則を支持する判決

2010年から連邦通信委員(FCC)が策定を続けてきた「オープン・インターネット規則」(ネット中立性規則とも呼ばれる)は、2015年2月に内容が公表された。

同規則では、ISPによるインターネット接続を「通信法」第2編に分類を変更し、電気通信サービスとして扱うことが盛り込まれた。これにより、ISPが特定のウェブサイトに有償で優遇措置を与えることが禁止され、ISPが自社系列のトラフィックを優遇することも禁止されるが、商業的恩恵が考慮されない「合理的なネットワーク管理」については寛大な対応を取るものとなっている。また、FCCは、インターネットが日々変化しており、将来の不正行為に対応する広範な基準を必要とするとして、ISPが消費者、コンテンツ・プロバイダに害を与えることを防ぐ「開放的なインターネットのための全般的な行為基準」も策定するほか、ネットワーク相互接続についての苦情を審査する権限も確立する。同規則案では、固定回線ブロードバンドだけでなく、モバイル・ブロードバンドも適用対象となる。

FCCは、インターネットの分類変更にあたって第2編で適用されている多くの規則は施行を差し控えるが、合法的なウェブサイトやサービスへのアクセス・ブロック、通信速度の引き下げ、有償優遇措置を禁止する「不公平で不当な行為」の禁止規則のほか、消費者からの苦情処理やプライバシー保護、障がい者保護、電柱や導管への公平なアクセスに関する規則は適用する。なお、新規則は、ブロードバンド・プロバイダのユニバーサルサービス基金への納付は義務付けない。

同規則について、ブロードバンド事業者らが、連邦控訴裁に提訴していたが、2016年6月14日、DC連邦控訴裁は、FCCのネット中立性規則が合法であるとの判決を下した。同判決では、「通信法」第2編への分類と、モバイル・ブロードバンド・プロバイダも規則適用対象としている点について問題がないと判断し、同規則が憲法、行政手続きを定める法律に抵触するところはないとした。また、原告は、規則の一部は憲法修正第1条項に抵触する等を主張していたが、控訴裁は、原告の主張を全て退けた。

FCCトム・ウィーラー委員長は、同判決はウェブ全体への制限のない自由なアクセスを享受する消費者とイノベーターのための勝利とし、インターネットが比類のないイノベーション、表現の自由、そして経済成長の土台としてあり続けることを保証するものとしている。

(2016年6月)

FCC、低所得層向けブロードバンド補助金プログラムを採択へ

FCCは3月8日、低所得層向け電話料金補助プログラム「Lifeline」の改革案を発表。補助対象を有線または無線ブロードバンド接続に拡大し、月当たり9.25ドルの補助金を交付する。改革案は3月31日のFCC会合で採決にかけられ、承認される予定だ。

トム・ウィーラーFCC委員長によると、年収15万ドル以上の世帯では95%超がブロードバンド・サービスに加入しているのに対して、年収2万5,000ドル未満の世帯のブロードバンド普及率は48%だという。また、米国民の約5人に1人はオンライン上で作り出される機会の恩恵を請けられていない。高額な利用料が低所得世帯におけるブロードバンド加入の最大の障害となっていると指摘した。

「Lifeline」プログラムは、1985年に低所得世帯の固定電話サービス利用を援助するために創設されたもので、2008年には携帯電話サービスを補助対象に拡大されているが、長年にわたる浪費に対する批判や効率性についての疑問も多く寄せられている。

今回の「Lifeline」改革案では、補助金上限額を年22億ドル5,000万ドルに設定。これまで通信事業者が行っていた受給資格審査を第三者機関に任せ、同プログラムに関する登録者数などのデータも公表するなど浪費・詐欺を防止するための対策も盛り込まれている。

一方、オバマ大統領は9日、この改革案を支持する勧告をFCCに提出しており、「社会がインターネットに依存する割合は増えており、低所得層がインターネットを利用できない状況では貧富の格差が拡大するばかり」と指摘した。

今回の勧告は、2020年までにブロードバンド加入者を2,000万人追加することを目標とする「ConnectALL」イニシアチブに沿ったもので、補助対象をインターネットに拡大する、加入資格を審査する第三者機関を創設する等、FCCの策定した改革案とほぼ内容を一にしている。大きな相違としては、FCCにブロードバンド・サービスの最低条件を課すことを考え直すよう求めている点である。

FCCは下り10Mbps/上り1Mbpsを補助金が受給できるサービスの最低条件としており、モバイル・データ通信プランにも基本的な基準を設けているが、ISPはこのような最低条件を課されるとプログラムに参加しにくくなるとしており、オバマ大統領もこれに同意。ISPが参加を躊躇すればルーラル地域などで情報格差が広がるとし、FCCに慎重な対応を求めている。

(2016年3月)

ICANN、米国の監督権移管計画の最終案を提出

ICANNは、3月10日、モロッコ・マラケシュで開催されていた国際会議でインターネットの管理権限移管計画について、最終案を米商務省の国家電気通信情報庁(NTIA)に提出した。

同案はまだ米国政府の承認を必要とするが、ICANNは、今年9月に米国の商務省との契約が失効するまでに移管手続きを完了させたいとの意向を明らかにした。

一方、NTIAのローレンス・ストリックリング長官は、インターネット・ドメインを管理するIANA機能の監督権を米国からマルチステークホルダー・モデルに移行するICANNの計画案について、今年6月までに承認の是非を決定したいと述べた。米国は、2014年にドメイン制度の監督権を放棄する方針を決定。NTIAはICANNの計画案提出を受け、審査手続きを開始。計画案がNTIAの提示した条件を満たしているかどうかを90日以内に判断したいとしている。

ディズニー、フェイスブック、グーグル、ベライゾン、TWC等が加盟するインターネット・ガバナンス・コーリションは、今回のICANN案を「インターネット・ガバナンス、インターネット全体にマルチステークホルダー・モデルをもたらす重要な一里塚」と賞賛した。

米国の監督権放棄については、ロシアや中国など抑圧的国家によるネット検閲を許すことになると、米国の議会共和党の一部が懸念しているが、ICANN案支持派は、同案ではICANNの大きな体制変更には各国がコンセンサスを形成することを条件にしており、マルチステークホルダー・モデルが悪用を防止すると主張している。

移管計画に反対する声も、監督権放棄が発表された2年前に比べると弱まっているが、今年11月の大統領選までに計画が最終的に承認されずに、共和党から大統領が選ばれた場合、次期大統領が計画の実施を阻もうとするのではとの懸念も出ている。

(2016年3月)

「インターネット税」の導入を検討する州・地方自治体

DVDやTVゲーム等のパッケージ化されたソフトの売上減少で、税収が減っている州・地方自治体は、ストリーミング動画やクラウド・コンピューティングなどに課税できないか検討している。

しかし、従来の売上税を、具体的な形を持たないデジタル商品に適用するには困難がともない、州毎にまちまちの課税方針が施行されている。

例えば、テネシー州は今年7月、7%の売上税をリモート・アクセスされるソフト、デジタルゲームに拡大することを決定。アラバマ州は数ヶ月にわたる調査の結果、ストリーミング動画への課税法案を棚上げ。バーモント州もクラウド・コンピューティングへの課税を検討していたが、これが商品というよりはサービスに近いと判断し、課税を断念した。

一方、シカゴは今年7月から全米で初めてネットフリックスやHulu、Spotifyなどのオンライン・ストリーミング配信サービスに9%の「遊興税」を導入した。また、クラウド・コンピューティング・サービスや加入制オンライン・データベースなども個人資産リース取引税という形で課税対象とした。

この新税は、市議会が導入したものではなく、市財政局が既存の遊興税、個人資産リース取引税の定義を明確化する形で課税対象を広げたもの。市関係者は、この新税が年間1,200万ドルの増収につながると主張しているが、インターネット税反対派によると、この課税で料金が値上がりすることでサービスの解約が増えると予想されるため、実際の増収は1,200万ドルを下回るであろうと反論。また、著作物に対する海賊行為を助長するという予期せぬ結果を引き起こす可能性もあると懸念を示した。

一方、非営利団体リバティ・ジャスティス・センターは、市財政局に新たな課税に相当する決定を下す権限はないとして、クック郡巡回裁判所に不服を申し立てた。同団体によると、これが新たな税に相当するにも関わらず、市議会の審議・採決を経ていないため違法だと主張している。

(2015年9月)

モバイル

連邦控訴裁、iPhoneユーザがアプリ販売巡ってアップルを提訴することを認める判決

米国の連邦第9巡回控訴裁判所は、1月12日、アップルはiPhoneユーザが自社で運営する「App Store」以外からアプリを購入できないようにすることで、iPhoneアプリ市場を独占し、アプリ料金の高額化を招いていると判断した。これに基づき、iPhoneアプリ購入者がアップルを提訴することを認めた。

App StoreだけをiPhoneアプリの提供窓口とするアップルの方針が反競争的だとするiPhoneユーザ・グループの訴えは、元々2012年に提起されたものである。

これに対して、アップルは、同社は単に開発者がアプリを販売できるスペースを貸しているだけで、アプリの売買は開発者とユーザの間で行われているものだと説明。ユーザがアップルを訴える根拠はないと主張していた。

一審では、アップルを支持する判決が出されたが、控訴裁は、アプリの売買はアップルとユーザが直接的にやり取りするものだとし、ユーザにアップルを訴える権利があるとした。

(2017年2月)

運輸省、運転中のスマホ機能制限を要請

運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、11月23日、任意のガイドラインとして、iPhoneやアンドロイドなどの端末メーカーに、ドライバーの注意を逸らすような特定のアプリや機能を運転中は使えないようにする「ドライバーモード」を追加するよう要請した(注)。

米国では、過去2年間に交通死亡事故件数が増加しており、スマートフォンを操作しながらの運転が要因となっているとの声も出ている。

今回のガイドラインでは、スマートフォンなどのモバイル端末やカーナビなどのアフターマーケット製品も対象となる。ドライバーのスマートフォンを車載システムとペアリングすることで、運転中はドライバーの注意をそらすようなスマホの操作は一切できないようになる可能性がある。例えば、動画再生や画像表示、文字のスクロールのほか、メールやブラウザ、SNS、電子ブックの使用など、テキストベースのあらゆる情報の表示がブロックされるかもしれない。

NHTSAはあらゆる関係各所への働きかけを行っており、スマホと車載システムのインターフェイスを簡素化するよう呼びかけている。

(2016年12月)

著作権法の新たな適用免除、タブレットや自動車のソフトウェアに拡大

連邦議会図書館著作権局は、10月27日、3年ごとに行われるデジタル世紀著作権法(DCMA)の改定で、適用免除項目を拡大した。

今回の改訂では、ロックを解除できる無線通信機器も増え、スマートフォンだけでなく、タブレットやモバイルWi-Fiルーター、ウェアラブル端末、スマートメーター等も合法となった。また、著作権を侵害しない範囲で、スマートフォンやタブレット、スマートTVの「ジェイルブレイク」を行うことも認められた。

この他に、研究者が自動車に搭載されたソフトウェアのセキュリティ面での欠陥を調査するためにソフトウェア分析を行うことはDCMAに抵触しないとの見解を示した。

自動車メーカーや一部の行政機関は、自動車のソフトウェアをDCMAの適用免除とすることに反対していたが、自動車のソフトウェアに多くの脆弱性があることが知られつつある現在、DCMAによって研究者の調査を阻むことは望ましくないとの声は高まっており、現行法がなければフォルクスワーゲンの違法ソフト使用ももっと早くに判明していたはずとの意見も出ていた。

(2015年11月)

オバマ大統領、携帯電話SIMロック解除合法化法案に署名

オバマ大統領は、8月1日、上院および下院を通過した携帯電話のSIMロック解除合法化法案「Unlocking Consumer Choice and Wireless Competition Act」に署名し、同法案は有効となった。これにより米国の携帯電話ユーザは、キャリアの乗り換え時に端末を変えずに済むようになる。

SIMロック解除は、2012年までデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の免除対象となっていたが、著作権局は当時の規則見直しでこの免除措置を更新しなかったため、キャリアの許可なく消費者がSIMロックを解除することは違法となっていた。

これに抗議するホワイトハウス宛のオンライン嘆願サイト「We the People」には11万4,000人の署名が集まり、ホワイトハウスは、SIMロック解除支持の姿勢を表明していた。

争点の一つであった、多数の端末のロックをまとめて解除する、いわゆる「バルク解除」については、下院の最終案ではバルク解除を禁止する条項を削除したうえで可決された。

これに対し、携帯電話各社は2013年12月に自主的にロック解除に応じており、この新法が効力を持つのは、DMCAの見直しが予定されている2015年までの間のみとあって、その効果について疑問を投げかけている。次回見直しでSIMロック解除合法化法案が更新されなければ、ロック解除は再度違法となるという。

(2014年8月)

クラウド、ビッグデータ、電子政府

オバマ大統領、大統領府技術革新フェロー・プログラムを恒久化

オバマ大統領は、2015年8月17日付大統領令(Executive Order on August 17, 2015)で、大統領府技術革新フェロー(PIF)プログラムを恒久化した。PIFでは、試験プログラム開始から恒久化時点までに96人の民間研究者等がフェローに就任し、Data.govのアップグレードやopenFDA等のプロジェクトに携わった。同大統領命令により、PIFプログラムは、連邦調達庁(The General Services Administration: GSA)の管轄下となり、創設される諮問委員会(Advisory Board)がプログラムの優先順位等のアドバイスを行う。
同プログラムは、2012年に第1弾が、2013年に第2弾が実施された。第1期から第3期の同プログラムの概要は以下のとおりである。

  • 大統領府技術革新フェロー・プログラム第1弾(2012年5月発表)
    同プログラムは、民間や非営利組織、大学等、政府外からイノベーターを募集し、政府と協働して6か月から1年で成果につなげることを目標としており、オープンデータ・イニシアチブ、ブルー・ボタン・フォー・アメリカ、MyGov等の5分野でイノベーターが募集された。
  • 大統領府技術革新フェロー・プログラム第2弾(2013年1月発表)
    同プログラムでは、政府の重要な役割についてプラットフォーム提供(データ、ツール、ネットワーク、アーキテクチャ、標準、資金提供方法等含む)にあるとして、米国の強化のための個人や小規模企業の創造性拡大のために、5分野での継続プログラム(MyUSA、RFP-EZ、オープンデータ・イニシアチブ、ブルー・ボタン・フォー・アメリカ、Better than Cash(旧20%キャンペーン))を含む10分野でフェローが募集された。
  • 大統領府技術革新フェロー・プログラム第2弾(2014年3月開始)
    オープンデータ・イノベーション、プラットフォーム・イノベーション、クラウド・ソーシング・イノベーションの三つの分野において14のプロジェクトが実施されている。
(2015年12月)

コンピュータ・サイエンスを初等中等の教育課程に組み込む新法成立

オバマ大統領は、12月10日、小学校や中学校の教育課程にコンピュータ・サイエンスを数学や英語などと同じく重要な科目に指定する「Every Student Succeeds Act」に署名した。連邦補助金を州・地方自治体が分配する際には、コンピュータ・サイエンスが従来の重要科目と同等に扱われることになる。

学生のプログラミング教育支援団体Code.orgによると、ここ2年の間に大都市の100学区のほぼ全てでコンピュータ・サイエンス分野の授業が行われるようになっているが、全国的に見るとコンピュータ・サイエンス授業がある学校は4校に1校程度で、27州ではコンピュータ・サイエンスの授業で数学・科学単位を取得できないとのこと。

新法は2001年成立の「No Child Left Behind Act」に取って代わるものであり、授業にコンピュータ・サイエンスを取り入れる学校をさらに拡大することが期待されている。テクノロジー業界は慢性的な人材不足に悩まされていることから、新法の成立は同業界にとっても朗報になる。

(2015年12月)

スマート社会

上院「自動運転車普及を後押しする法案」提出

共和党のジョン・スーン、民主党のゲイリー・ピーターズ両上院議員は9月28日、自動運転車の普及促進に関する法案が提出。10月4日には、上院商業・科学・運輸委員会が同法案を全会一致で可決した。

「The American Vision for Safer Transportation Through Advancement of Revolutionary Technologies Act」は、自動運転車に関する総合的な連邦法を定めるもので、自動運転車の普及を支援することを目指す。

自動車メーカーがその安全性が現行の自動車と同等であると実証することを条件に、1社が販売できる自動運転車を初年度1万5,000台、3年以内に年8万台にまで引き上げる。また、4年後にはこの上限は廃止される。

法案では、運輸省に自動運転車の安全基準を定める権限を与え、各州が異なる規則を定めることを防いでいる。一方、州と地方自治体は、交通安全、車両登録、司法捜査関連の規則を定めることは認められる。

この他、運輸省は、自動運転車メーカーとサイバーセキュリティ基準を策定することが義務付けられる。

(2017年10月)

運輸省、V2V通信義務化に関する規則案を発表

運輸省国家道路交通安全局(NHTSA)は2016年12月13日、全ての新車に「車車間通信(V2V)」機能の搭載を義務付ける規則案を提案した。

米国では、2015年に3万5,000件超の交通死亡事故が発生しており、その90%以上が人為的ミスによるものと見られているが、当局関係者は、V2V通信が行われることで事故全体の80%までは防げると期待している。

V2V通信では、前方に故障車が停まっている、あるいは見えないところから別の車が交差点を突っ切ろうとしているといった情報をやり取りすることで、運転手に潜在的な危険を事前に警告することが出来る。

今回のNHTSA案では、規則が正式に策定されてから2年以内に全軽車両の半分、4年以内に全ての軽車両がV2V通信機能を搭載することを義務付けられる。この規制が認められれば、自動車メーカーは、通信技術を標準化し、全ての車両の通信機能に互換性を確保することが求められる。

一方、連邦道路管理局(FHA)は信号や停止標識などインフラ側の情報を車に受信させる「路車間通信(V2I)」に関するガイドラインを間もなく発表する予定だ。

自動車メーカーの業界団体、「Alliance of Automobile Manufacturers」によると、既にV2V通信はミシガン州の公道でテストされており、2017年発売予定のいくつかのモデルで搭載される見込み。

しかし、V2V通信で利用予定である5.9GHz帯の周波数を巡っては、他の携帯端末等でも利用できるよう開放を求めるケーブルテレビ事業者・電気通信事業者と、それによる干渉を恐れる自動車メーカーとの間で争われているところ。現在FCCは、安全にこの周波数帯の共用を行うことが可能かどうかテストを行っている。

(2017年1月)

国土安全保障省、新しい洪水警報システムを実験

国土安全保障省(DHS)は現在、水位計測センサーとテキスト・ベースの警報システムを組み合わせることで、差し迫った洪水の危険に直面する市民や緊急事態対応機関を選別し、スマートフォンに警報を発信できる技術の試験を行っている。

このプロジェクトは、DHS科学技術局が実施するもので、6~12か月の期間を予定。DHSは、「Small Business Innovation Research」プログラムを通じて、小規模企業3社と警報システムに関わる技術設計契約を結んでおり、その内、メッセージング・システム開発を請け負っているPing4社は、既に警報を受信するためのアプリも配布している。

DHSによると、このようなネットワークを構築するための試験は連邦政府で初。研究段階では、関係者以外にも利用されるか、システムが誤って作動しないか、センサーが水位の上昇・下降以外で反応することがないかなど、課題を明確にしていく。

この洪水警報システムは、最終的には地震早期警報システムに似た形になる可能性があり、第一応答機関のためのブロードバンド・ネットワークであるFirstNetとも互換性のある技術が用いられる可能性もある。しかし、DHSによると、実際に常に情報を収集し、自動的に市民に通知を送るような全国規模のネットワークにはならないだろうとしている。

DHSは、試験段階が終わった後は、洪水が起きやすい地域を選び、センサーを構築して素早く情報を集める実証を行っていく予定。

今回使われているPing4のメッセージング・システムは、現在1分間当たり20万通のメッセージを送信可能だが、最大で1分間当たり100万通まで対応できるように設計され、利用者の情報は、その時点における位置情報以外を集めることはない。また、設定を変えれば、火事が起きたときに近くの消防署のみに関連情報を送ったり、テロが起きたときに現場に近い利用者のみに通知を送ったりすることもできるという。

(2016年10月)

ホワイトハウス、ドローン利用を促進する計画を発表

ホワイトハウスのドローンと航空の将来に関するワークショップの中で、ホワイトハウスは、8月2日、日常生活や商業でのドローン利用を促進するための計画を発表した。この中で、任意のプライバシー保護対策などを提案した。

具体的には、ホワイトハウスは、CTIA、米国商工会議所、商用ドローン連盟などが、プライバシー保護のベストプラクティスについてはタウンホールミーティングやワークショップを通じて啓発活動を行っていくとしている。

また、全米科学財団(NSF)が5年間で3500万ドルを費やしてドローンの有効活用法を研究すること、内務省が捜索・救助活動にドローンを導入すること、科学・技術・工学・数学(STEM)分野の教育にドローンを使っていくこと、そして、USPSがドローンによる小包配達について新たな知見を発表することなども明らかにされた。

ホワイトハウス科学技術政策室(OSTP)によると、この計画は、重量55ポンド以下のドローンの商業利用に関する連邦航空局(FAA)規則が先頃、発表されたことを受けてのものとなっている。

同規則はプライバシーについては言及していないが、FAA、運輸省は、航空撮影やリモート・センサーからのデータ収集の前に自治体や州の条例・法律を確認するようドローン運用者に呼びかけている。

なお、ホワイトハウスは、商用ドローン産業は2025年までに最大820億ドルの経済効果と10万人の雇用を創出することが期待されるとしている。

(2016年8月)

米国規制当局、テスラのオートパイロットモード中の死亡事故について調査開始

テスラモーターズは、6月30日、同社の「モデルS」がオートパイロット作動中にトラックと衝突し、運転手が死亡した事故について、国家道路交通安全局(NHTSA)が調査を開始したと発表した。

モデルSがオートパイロットモード中に死亡事故を起こすのは今回が初めて。NHTSAは現在、この機能を備えた2万5,000台のモデルSを調べている。調査の結果、最終的に車両の安全が確認できなければ、大がかりなリコールを要請する可能性がある。

フロリダ州ハイウェイパトロールの報告によると、事故が発生したのは晴天の日で、現場は見通しの良い道路。モデルSは、左折しようとして目前を横切ったトレーラーの下に潜り込み、車両の上部を破壊しながら通過し、最終的に30メートルほど道路を外れた地点で電柱にぶつかり止まった。テスラによると、晴天のためオートパイロット・システム、運転手のいずれも白色のトレーラーに気づかず、ブレーキがかけられなかったという。

翌1日には、NHTSAがペンシルベニア州で発生したテスラのSUV「モデルX」の横転事故について、同州警察に情報提供を要請していることが明らかになった。この事故では、車が中央分離帯に激突し、横転。運転手の77歳の男性が怪我を負った。運転手は、オートパイロットモードの使用中に事故にあった証言している。

一方、テスラは、今回の事故はオートパイロットとの関係はないと否定。その根拠について、同社では、事故が起きた場合、事故車からテスラに自動的に警告が届く仕組みになっているが、今回の事故については車両制御に関する詳細データが記録されたログにはオートパイロットの作動を示す証拠がなかったことを挙げている。

自動運転は、その安全性などを巡って議論が続いているが、テスラはオートパイロットモードはあくまで「ベータ版」であることを強調している。その後、YouTube上でオートパイロットモードのモデルSが危うく接触事故を起こしそうないくつかの動画が投稿されたことで、手離し運転制限など安全手順を見直している。

(2016年7月)

運輸省の「Smart City Challenge」、最終候補7都市を発表

米国では、自動走行車の技術開発が進む一方、地方自治体の取り組みは遅れており、2013年中盤時点で25大都市の都市計画組織の内、長期的展望で自動走行車に言及したのは1組織だけ。しかし、ここのところ状況が急速に変化しており、運輸省が2015年12月に発表した「Smart City Challenge」もその変化に拍車をかけることが期待されている。

「Smart City Challenge」は、全国の中規模都市に対して、自動走行車やインテリジェント・インフラ、ストリートセンサーなどを活用して安全性や機動性を高めるアイデアを募集するコンテスト。3月12日には、運輸省は、応募のあった78都市の中から最終候補7都市(テキサス州オースティン、オハイオ州コロンバス、コロラド州デンバー、ミズーリ州カンサスシティ、ペンシルベニア州ピッツバーグ、オレゴン州ポートランド、カリフォルニア州サンフランシスコ)を選出した。

これら7都市は、最終案を練るための資金として10万ドルを受け取り、今後1か月の間に最終案を提出する。最優秀賞には連邦政府から4,000万ドル、プロジェクト・パートナーのバルカンから1,000万ドルの賞金が贈られる。

アンソニー・フォックス運輸長官は、このコンテストの目標について、単なるコンセプトにとどまらずに、実際の都市環境で使えるモデルを作り出すことだと述べ、運輸省が図面作成ソフトウェア大手オートデスクと提携したことも発表した。最終候補に残った自治体は、オートデスクの予備設計ソフトウェア「Infraworks 360」を利用して、3Dや現実世界のリアルデータを使って都市計画のシミュレーションを実施する。

運輸省は、2015年前半から始まった今後30年の交通基盤整備を見据えた「Beyond Traffic」イニシアチブの中でも、交通手段多様化の必要性を強調。自動走行車のパイロットプロジェクトに10年間で約40億ドルを投資する計画であり、今夏までに自動走行車の運行に関する指針をまとめる予定である。

(2016年3月)

大統領予算教書、コンピュータ・サイエンスの正式科目化等を優先課題に

オバマ大統領は、STEM教育分野(科学(science)、技術(technology)、エンジニアリング(engineering)、数学(math))の強化に取り組んできたが、2016年2月に公表した2017年度予算案でコンピュータ・サイエンスを学校の正式科目とする総額40億ドルの計画に4000万ドルを割り当て、その後5年間で予算額を増やしていくことを求めた。
「Computer Science for All」と名付けられたこの計画は、幼稚園から高校でコンピュータ・サイエンスを取り入れるもので、教師の研修や学校のインフラ更新、オンライン授業の提供等に予算が必要。また、民間セクタからの協力も仰ぐ。既に以下の民間企業が協力を表明している。

  • Apple:ワークショップの開催等子どものコーディング機会の提供。
  • Cartoon Network:3,000万USDのコーディング・キャンペーンを実施。
  • Facebook:親や保護者にもコード学習の機会を提供。
  • Microsoft:Make CS Countキャンペーンに7,500万USDを拠出。
  • Salesforce.org:2016年に1,300万USDをCSとSTEM教育に投資。
  • Qualcomm:Virginia Techと協力して中等教育向けのThinkabit Labを設立。
  • Code.org:コンピュータ・サイエンス関連のワークショップを開催、さらに2万5,000名の教師を支援。

2017年度の大統領予算案では、同計画に対する予算は2018年度には7億2000万ドル、2019、2020年度にはそれぞれ10億ドル超、2021年度には6億6000万ドル、2022年度には2億8000万ドルを割り当てることになっている。
また、この他に、コンピュータ・サイエンス授業を女生徒やマイノリティにも拡大するための予算として1億ドルを要求した。オバマ大統領にとって最後となる2017年度の予算教書は、同大統領の希望リストともいえる内容で、テクノロジー関連としては、サイバーセキュリティ予算の大幅増、自動走行車開発への投資、NASA予算の小幅増などが含まれている。

(2016年2月)

グーグルの自動走行車、AIが「ドライバー」‐米運輸省見解

米運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)は2016年2月4日、グーグルに送付した書簡で、同社が開発する自動走行車には従来の意味での「ドライバー」が存在しないという同社の考えに同意を示し、法律上は自動車を実際に操縦しているSelf-Driving System(いわゆる人工知能:AI)が「ドライバー」として扱われるとする見解を示した。

自動車の安全基準(Federal Motor Vehicle Safety Standards)を定める当局が、AIをドライバーとして認めたことで、ドライバーレスカーの実用化を目指すグーグルにとっては追い風となる。

自動走行車は、グーグル以外にも自動車メーカー各社が開発を進めているが、グーグルの車両は自動車メーカーのものと違い、ハンドルやペダル類など人間が操縦に介入できるような装置は一切搭載しないようになる見込み。このため、同社は2015年11月、NHTSAにこのような自動走行車の「ドライバー」についての見解を質す書簡を送っていた。

一方、現行規則では、自動車には手あるいは足で操作できるブレーキを搭載することが義務づけられており、これらも搭載しないグーグルの自動走行車は、新しい規則が策定されるまでは現行規則の適用免除を申請しなければならない可能性がある。

(2016年2月)

FAA、娯楽用ドローンの登録受付を開始

連邦航空局(FAA)は2015年12月14日、ほぼ全ての娯楽用ドローン所有者に全国データベースへの登録を義務付ける新規則を発表した。12月21日には、オンラインでのドローン登録窓口を開設し、12月23日までの2日間で4万5,000人あまりがオンラインでドローンの登録を行った。

ドローン登録規則によると、登録費は5ドルだが、登録が開始される2015年12月21日から2016年1月20日までの30日間は無料。登録は3年間有効で、所有者の名前、住所、電子メールが登録される。

対象となるのは250グラムから25キログラムまでの非商用ドローンで、既存所有者は2月19日までの登録が義務付けられている。また登録者に対して、所有する機体に登録番号を貼り付けることを義務付けており、運用の際には登録カードを携行するよう求めている。違反者には、最長3年の禁錮刑もしくは2万7,000ドルの罰金が科される。

ドローン登録制については、メリーランド州のドローン愛好家がこの新規則廃止を求めてDC連邦控訴裁に提訴した。原告側は、FAAが娯楽用ドローンを規制することは連邦法で禁じられていると主張している。

この新規則に対してはこれまで、十分なパブリックコメント募集期間が設けられていない等の批判があったが、FAAは制度の合法性について、米国領空を飛行する全ての「航空機」について規制する権限が同局にはあり、また「航空機」の定義に娯楽用かどうかに関わらずドローンを含めることについては、議会が決めていると説明している。

なおドローンについては、欧州でも規制対策の検討が進められているが、議会とFAAが飛行物、飛行可能範囲を定める権限を持っている米国と比べると、EUの権限は狭い。

欧州議会は昨年10月、欧州委員会に対してドローンの安全性やプライバシー保護に関する全欧州規模のガイドライン策定を求める決議案を可決。同案では、ドローンにIDチップを搭載し、登録を義務付けることを提案している。

(2016年1月)

運輸省、ドローンの登録義務化へ

アンソニー・フォックス運輸長官は、10月19日、民間航空機や公共の場所に危険を及ぼす悪質なドローンの飛行を防止するため、所有者にドローンの登録を義務付ける方針を発表した。

今年のホリデーシーズン中には100万台以上のドローンがプレゼントとして購入されると予想されており、政府はクリスマス前に登録簿を立ち上げたい意向。

10月29日、FAAはドローン登録制度を策定するタスクフォースのメンバー26名を発表。議長には、連邦航空局(FAA)ドローン統合室のアール・ローレンス室長、グーグルXのデイブ・ヴォス氏が就任した。

3DロボティクスやAmazon、ウォルマート、ベストバイ、航空機パイロット協会、国際ヘリコプター協会、国際警察署長協会、州航空管制官全国協会、小型UAV連合などの代表が委員として参加する。

11月6日には、最初の会議を開催し、ドローン登録システムのための勧告について話し合いが行われた。複数の出席者によると、重さ0.5ポンド(約220グラム)以上の娯楽用ドローンはオンラインで登録するよう所有者に呼びかける方針が固まった。

登録は、メーカーなどが提供するアプリやウェブサイトで行えるようにし、販売店に購入時の登録手続きの負担がかからないようにする。登録される情報には、所有者の名前、住所などが含まれるとのことで、もし悪質なドローンの飛行があった場合、連邦航空局(FAA)が所有者を突き止めやすくする。

会議では、社会保障番号や誕生日などより詳細な情報の登録を義務付けることも検討されたが、これらは登録すべき情報に含めないこととなったという。登録されたドローンは、登録番号の表示が義務付けられる。また、登録は無料で行えるようにする。

FAAは、タスクフォースに対して、11月20日までに勧告を完成させるよう求めている。

◇グーグル、ウォルマート、数年内にドローン配達サービスを開始
ドローンを使った商品配達は、グーグル、アマゾン、ウォルマート等が計画している。

グーグルは、ドローン配達プロジェクト「Project Wing」について、2017年にもサービスを開始したい考えであることを明らかにした。「Project Wing」を指揮するデビッド・ヴォス氏によると、同社はFAAをはじめとする利害関係者等とセルラー通信やインターネット技術を使って500フィート(約150m)以下でのドローンの飛行を調整する管制システムを立ち上げることを協議しているという。

世界最大の小売量販店の米ウォルマートは、同社店内や一般住宅への商品配達や沿道での荷物収集、倉庫での在庫チェックにドローンを使用するテストの許可をFAAに申請したことを明らかにした。同社は、数か月前から屋内での小型ドローンのテストを行っており、今回は屋外でのテストを計画している。テストには、中国のSZ DJIテクノロジーが製造するドローンを使用する予定。

◇FAA、期限内にドローン運用規則策定できず
ドローン配達サービスが実現するには、FAAがドローンの運用規則を正式に策定するまで待たねばならない。

米連邦議会は、FAAに対し、9月30日までに商用ドローンの米国内での利用を合法化するよう義務付けていたが、FAAは期限内に運用規則を完了することはできなかった。

FAAは、これまで個別に2,100件以上のドローンの商用利用を許可しているが、包括的な運用規則についてはまだ発表する準備が整っていない。

10月6日には、FAAは、シカゴやニューヨークなどで空撮のために無断でドローンを飛ばしたとして、スカイパン・インターナショナルに190万ドルの罰金を科すことを発表した。FAAによると、ドローン会社に対する罰金としては過去最高額となる。

10月7日には、FAAは、選定された一部の空港から半径5マイル以内での悪質なドローン飛行を防ぐための対ドローン技術のテストを実施すると発表。同技術を開発したIT企業のCACI社とその機能を評価するテストを実施することで合意した。この技術では、空港近くでドローンを操縦する無線信号を検知し、ドローン操縦者の位置を割り出し、ドローンを強制着陸させることができる。

FAAによると、民間機パイロットがドローンを視認する件数が2014年全体の238件から今年前半だけで650件に増加しており、空港近くを飛ぶドローンの急増が新たな問題を生み出している。

(2015年11月)

オバマ政権、総額1億6000万ドルのスマートシティ・イニシアチブを発表

オバマ政権は、9月14日、複数の連邦省庁、地方自治体、大学、民間企業等が参画する広範なスマートシティ・イニシアチブを発表した。

ホワイトハウスが出したファクトシートによると、交通渋滞や犯罪への対策、経済成長支援、気象変動からの影響対策、公共サービスの提供改善といった課題に取り組むために、政府が拠出する総額は1億6,000万US$に達するという。

このファクトシートは、スマートシティを「住民の生活を向上するデータ収集・集積・活用を継続的に改善するインフラを構築するコミュニティ」と定義している。また、データ革命、安価なセンサ、共同研究の成果を安全とプライバシーを保護した上で取り込むことでこれを実現するとしている。

イニシアティブでは、主要戦略として、IoTのためのテストベッド構築、市民のテック・ムーブメントとの協力と都市間連携との協力、既存の連邦政府の取り組みの活用、国際的な協力を挙げている。

今回発表されたイニシアティブには、全米科学財団(NSF)からのスマートシティ・プロジェクトに対する3,500万US$以上の補助金交付も含まれており、2016年にはさらなる資金拠出も計画されている。

この他、米国標準技術院(NIST)も、スマートシティ・プロジェクトや新たな「Global City Teams Challenge」に500万US$を拠出する。

国土安全保障省は、高度な緊急事態対応技術を開発するために5年間で5,000万US$を投資する。

運輸省は、輸送分野の開発に4,000万US$、エネルギー省はスマートシティの省エネ、CO2排出量削減に1,000万US$を拠出する。

商務省経済開発庁は、「Regional Innovation Strategies」から1,000万US$を交付する。

環境保護庁(EPA)は、データ主体の公害対策に450万US$を拠出し、国勢調査局は自治体などにデータを提供するオープンソースの「CitySDK」プロジェクトを拡大する。

他方、民間からは、IBMやAT&T、シーメンスなどが、リソースやツール、テスト環境などを提供する。

(2015年10月)

「シェアリング・エコノミー」に関する議論が活発化

ラミレスFTC委員長は、10月2日に開催されたフォーダム大学法学部主催の反トラスト問題カンファレンスで基調講演を行い、UberやAirbnbなどに代表される「シェアリング・エコノミー」(米国では「オンデマンド経済」とも呼ばれている)企業に対しては、一定の規制が消費者保護のために必要かもしれないとの見解を示した。

同委員長は、「規制は、この新たなビジネスモデルの発展を妨げないように慎重に検討し、適切な消費者保護とのバランスを取らねばならない」と語った。また、シェアリング・エコノミーの台頭は、宿泊、輸送といった業界の既存企業を不利な立場に置かず、新たな企業もどう成長させていくか、という公共政策面での複雑な難問を生み出しているとした上で、規制が勝者と敗者を決めることは望ましくないと述べた。

FTCは、今年6月に初めてシェアリング・エコノミーに関するワークショップを開催しており、この時に寄せられた数千件に及ぶコメントを吟味している最中で、シェアリング・エコノミーに関するガイドラインを策定すべきかどうか、まだ結論はでていない。

一方、9月29日には、下院エネルギー・商業委員会の商業・製造・貿易小委員会が「シェアリング・エコノミー」の経済と雇用への影響についての公聴会を開催。複数の連邦議員から規制強化が雇用創出を阻害しかねないとの懸念が示された。

小委員会委員長を務める共和党のマイケル・バージェス議員は「安全が問題となる場面では政府による限定された監督は必要だが、現状ではシェアリング企業には他の企業と同じく連邦、州がつぎはぎした規制が課されている」と述べ、新たな規制を考えるより現行の規制が雇用に悪影響を与えていることを考えるべきと述べた。

エネルギー・商業委員会委員長を務める共和党のフレッド・アップトン議員は、「発展中の市場については場当たり的な規制がイノベーションを阻害する危険を認識しなければならない」とし、規制を急いで雇用創出を阻む危険を冒すべきではないと述べた。

民主党幹部のジャン・シャコウスキー議員は、シェアリング企業がもたらすものは必ずしも肯定的なものとは限らないとし、労働者が下請業者扱いされ、従業員と同等の手当・給与が得られていないシェアリング・エコノミーの現状に疑問を呈した。

(2015年10月)

カリフォルニア州知事、ドローン規制法案に拒否権発動

連邦行政は、3年前から商用ドローンの運用規則策定に取り組んでいるが、正式な規則決定には未だ至らず、申請に応じて現行規制を免除するという対応にとどまっている。

この状況に対して、独自のドローン運用規則を制定する州が増えており、将来的には連邦規則と州規則が衝突する可能性も懸念されている。

全米州議会議員連盟の調べでは、過去2年間に26州がドローン関連の法律を制定している。例えば、アーカンソー州とミシシッピ州ではドローンによる「のぞき」を禁止、フロリダ州は私有地の建物や人を許可なく撮影することを禁止する法律が制定されている。

カリフォルニア州では、今年8月、州議会が私有地上空の高度350フィート以下でのドローン飛行を禁止する法案を可決したが、ジェリー・ブラウン州知事が同法案に対して拒否権を発動したため、成立には至らなかった。同知事は、ドローンが種々の新たな問題を生み出すことを承知しているとしながら、この法案がドローン愛好家や連邦航空局(FAA)の承認を受けた商用ユーザーが訴訟される可能性をもたらすと、署名を拒否した理由を説明した。

また、ドローン業界もこの法案がイノベーションや雇用創出を阻害すると主張。全米報道写真家協会も、撮影用ドローンが私有地上空に逸れただけで訴訟されかねないとして法案に反対を表明していた。

(2015年9月)

商用ドローンの暫定規則定める法案、上院で提出

共和党のジョン・ホーベン、民主党のコリー・ブッカー両上院議員は12日、米国内でドローンを商用利用するための暫定規則を設定する法案(Commercial UAS Modernization Act)を提出した。

米国では、一部の例外を除き、ドローンの商用利用は禁じられている。連邦航空局(FAA)は現在、商用ドローンの運用規則策定を進めているが、両議員は、その完了にはまだ数年かかる可能性もあると指摘。今回の法案で定める暫定規則は、その間のドローン商用利用及び飛行テストを可能にするものだとしている。

ブッカー議員は、「アメリカが最も優れた能力を持つ分野で他国に差を付けられることを見過ごせない。この法案は、技術的イノベーションで世界を牽引するアメリカの伝統を維持するために欠かせない」と述べた。

暫定規則の概要は以下の通り。
  • 操縦者がFAAの制定したテストに合格すること
  • ドローンが定められた規格・検査基準に合致すること
  • 飛行は日中のみ、高度500フィート以下、操縦者の目視内
  • 一部の地区では航空管制局の許可を必要とし、事故が発生した場合は全てFAAに報告すること
  • 規則の違反者に対しては、運輸長官が民事的措置を取ることができる
  • FAA内にドローン運用を監督する責任者を置く

FAAの規則案に対しては、アマゾン・ドット・コムなどがドローンによる商品配達への応用ができないと不満の声を上げており、これを受けてFAAは先頃、制限緩和を民間企業と協議するプログラムを開始する計画を発表した。

(2015年5月)

FAA、商用ドローンの運用規則案を発表

連邦航空局(FAA)は、2月15日、商用ドローンの運用規則案を発表した。今後、60日間のパブリックコメント募集を経て、1~2年後に正式に採択される見込み。

ドローンメーカーは当初、運用規則に正式なパイロット免許の取得や時間のかかる許認可手続きが義務付けられるのではと憂慮していたが、実際の規則案はかなりシンプルな条件を課すのみとなった。

<FAAによるドローンの商業利用に関する規則案>
  • 重さ25キロ(55ポンド)以下
  • 高度150メートル(500フィート)以下
  • 時速160キロ(100マイル)以下
  • 操縦者(17歳以上)は2年ごとに筆記試験に合格し、証明書を取得
  • 飛行は日中に限られ、夜間の飛行は禁止
  • 操縦士が視認できる範囲に限られる
  • 関係者以外の人間の頭上の飛行を禁止
  • 空港の周辺や一般の航空路に近づくことを禁止

FAAは、2キロ以下のマイクロドローンの商業利用については、これとは別に条件の緩い規則を定める可能性も検討している。

人の上を飛行させたり、操縦者の視界外での飛行を禁止したことから、ドローン推進派は、米国がドローンの商業利用で他国から後れを取ることを懸念。オーストラリア、カナダ、イギリスでは既にドローンの規制緩和に着手しており、EUも2015年に法改正し、ドローンの商用利用の道を開くことを決定した。また、ドローン配送システムを開発しているアマゾンは、2015年の国内での実用化が困難になったことから、英国のケンブリッジなど海外に研究開発拠点を拡大する可能性を示唆した。

これに対し、FAAマイケル・フエルタ長官は、25キロ以下の無人飛行機運用規則としては世界で最も柔軟な枠組を与えるものだと述べた。

オバマ大統領は同日、商務省に対して、プライバシー、説明責任、透明性に関する民間及び商用ドローン向けガイドラインを策定するよう要請。3月4日に、国家電気通信情報庁(NTIA)は、商業ドローンのプライバシー保護に関するベストプラクティスを策定するためのマルチステークホルダー手続きについてコメントを募集した。

NTIAによると、第1回目のステークホルダー会議は90日以内に開かれる予定。今回のコメント募集では、マルチステークホルダー手続きの構造や、検討すべき問題について意見を募る。

(2015年3月)

セキュリティ、プライバシー

米国政府、中国にサイバーセキュリティ法の施行中止を要請

WTOが9月26日に公表した文書によると、米国政府は、中国で新たに施行が予定されているサイバーセキュリティ法について、国際貿易に悪影響を与える懸念があるとして、中国側にその施行を中止するよう求めている。

中国政府は今年6月、在中外国企業に打撃を与えるのではないかという批判を受けながらも、新たに厳格なサイバーセキュリティ法を制定した。この新法では、国内外の企業にセキュリティ検査と利用者データの国内保管が義務付けられる。

これに対し米国は、同法が現在の形のまま予定どおり2018年末までに施行開始された場合、サービスの国際貿易が打撃を受けるとし、WTOサービス貿易理事会に異議を申し立てた。同理事会に提出された文書では、米国政府がその懸念を中国政府高官に直接伝えていることを明らかにしているほか、この施策が貿易に与える影響についてWTO加盟国間で注意喚起することを求めている。

米国が懸念の対象に挙げている中国の新法には、2016年11月に採択されたサイバーセキュリティ法、2015年7月に採択された国家安全保障法などが含まれている。

(2017年10月)

運輸省が自動車のサイバーセキュリティ・ガイドラインを発表

運輸省・国家道路交通安全局(NHTSA)は、2016年10月、自動車のサイバーセキュリティ・ガイドライン(注1)を発表した。

ガイドラインでは、近年ネットワークに接続する部分が増える自動車へのサイバー攻撃や不正アクセスを防止するための対策を詳細に説明。

具体的には、設計段階から自動車のサイバーセキュリティ面での脆弱性について検討すること、重要な安全機構や個人データが攻撃にさらされないようその露出を制限すること、攻撃からの迅速な復旧手段を内蔵させること、総合的なサイバーセキュリティ・テストを実施することなど、多層的なアプローチを取るよう呼びかけている。

2016年9月には、NHTSAが自動運転車開発に関する指針(注2)を発表。自動運転車の設計・開発に関する15項目の安全評価基準を示し、州に対して統一規則を策定するよう呼びかけ。また、現行規則をどのように自動運転車に適用していくか、さらに新たな規則の策定について提案している。

15項目の安全評価基準については、データ記録(及びその共有)、適切なプライバシー保護、冗長性とシステムの安全性、サイバーセキュリティ、人と機械のインターフェース、耐衝撃性などが含まれている。

運輸省は、安全性に問題があると判断された半・完全自動運転車についてはリコールをかける権限を行使する方針も明らかにした。

フォックス運輸長官は、運転免許の交付は今後も州の管轄下に置かれるが、自動運転車に使われるソフトウェア技術については運輸省が監督権を持つと明言。これは、州法の継ぎ接ぎ状態が生まれることを避けるためとしている。

ただし、当該指針はあくまでガイドラインという位置づけであり、新たな規則ではなく、現行の自動車に対する規則ほどの具体性は有していないという。

(2016年11月)

悪質なロボコール撲滅に動き出した政府、通信業界

米国では、自動音声通話を使った電話勧誘、いわゆる「ロボコール」(Robocall)が近年急増しており、ある調査によると一月あたり20億以上のロボコールが発信されているという。連邦取引委員会(FTC)によると、2016年1月から5月までの間にFTCに寄せられたロボコールに関する苦情は、過去最高の144万件と前年から50%近く増加した。この中には無料旅行の当選や債務の減免を持ちかけるものや、米国国税庁(IRS)を騙るものなど、詐欺まがいの電話も多い。この様な詐欺的なロボコールにより、2015年に米国消費者の11%が何らかの金銭的被害を被り、被害総額は年間74億ドル(約7,880億円)に達している。

米国で電話勧誘を規制する基本法には、連邦通信委員会(FCC)の「Telephone Consumer Protection Act of 1991」、FTCの「Telemarketing Sales Rule」などがあり、緊急性を要する通話や事前の書面による同意がある場合を除いて、固定電話及び携帯電話(テキストメッセージも含む)への自動音声通話による電話勧誘を行うことを禁止している。また、これらの法律に基づき、「電話勧誘お断りリスト」(National Do Not Call Registry)が2003年より運用されている。このリストの維持管理はFTCが行い、法の執行はFTC、FCC、そして州政府が行っている。

ただし、この電話勧誘お断りリストについて、効果は限定的との声が出ている。その理由として、技術の進展により発信者情報を偽装(Caller ID Spoofing)する技術が安く簡単に入手できるようになったこと、海外に拠点を置き虚偽のIDを用いて電話するケースが増加していること、そもそも詐欺グループはこのリストを気にも留めていないことなどが指摘されている。

この様な状況を受けてFCCと政府は、ロボコール規制強化に向けて検討を開始し、米国の大手通信事業者に協力を呼び掛けていた。2015年7月には、FCCのトム・ウィーラー委員長が、通信事業者は、加入者の求めに応じてネットワークレベルでロボコールをブロックできるツールを導入することは何の規則にも抵触しないと明言。大手通信事業者に対して、加入者にロボコール・ブロックツールを無料提供するよう強く要請した。

AT&Tやベライゾンなどの大手通信事業者やグーグルやアップル、アマゾンなどの大手テクノロジー企業等30社は悪質なロボコール撲滅に取り組む連合体「Robocall Strike Force」(RSF)を結成。RSF議長にAT&Tのランドール・スティーブンソンCEOが就任し、FCCとの第1回会合を8月19日に開催した。RSFは、①ロボコールのブロックを目的とした広範なソリューションの開発及び普及促進、②発信者情報の偽装を防止する技術標準規格の策定、③米国外から発信されるロボコールを特定する「Do Not Originate」の作成などに合意し、10月19日までに具体的な計画をFCCに報告するという。

(2016年9月)

NTIA、ドローン利用によるデータ収集のガイドラインを発表

国家電気通信情報庁(NTIA)がオバマ政権の提案するプライバシー権利章典の具体的な内容を検討するために招集したマルチステークホルダー会合は5月19日、商用目的及び個人の趣味目的のドローンによるデータ収集のガイドラインを発表した。ここでは、報道の独立と憲法修正第1条項に鑑み、ニュース収集者・報道機関にはこのベストプラクティスを適用しないことを決めた。

同会合は、報道機関はそれぞれの倫理規定や連邦・州法を遵守した上で、公共空間におけるデータ収集、映像撮影、保管、利用のための類似技術と同様にドローンを使うことができるとした。

今回発表されたガイドラインでは、ドローンを飛ばす前にできる限りの事前通知を行うことや、本ガイドラインが対象とするデータの収集・利用・保管を制限し、保護すること、そして、州法を遵守することなどを定めている。

◇学生のドローン使用を容易にするガイドライン
連邦航空局(FAA)は5月4日、学生が学問上の目的のためにドローンを使用することを容易にする新たなガイドラインを発表した。

同ガイドラインによると、正式認可を受けた教育機関に所属する学生は、今までどおり模型飛行機のガイドラインを遵守する必要はあるものの、ドローン使用にFAAの承認や既存規則の免除を申請する必要はない。また、教員のドローン使用についても、生徒・学生の支援が目的との前提で追加承認は不要としている。

FAAのマイケル・フエルタ長官は、今回の新たなガイドラインについて、「学校・大学は、未来の優れたアイデアが生み出される場所であり、このガイドラインはイノベーションを大いに活性化させるだろう」と語っている。

◇人口密集地でのドローン飛行に関する規則案
FAAの諮問委員会は4月6日、小型商用ドローンの利用を拡大する規則を提案した。報道機関の空撮や電力線の検査などの目的で都市部、人口密集地の上空をドローンが飛ぶ際のリスク評価を行う規制枠組み案などを提示した。

今回の規則案では、ドローンを操縦者の視界の範囲内に置くことを義務付けているが、人口密集地域でのドローン飛行を許可するものであるため、将来的なドローン配達への道も開かれる。

諮問委員会の提案は、小型ドローンを主に安全面から4つのカテゴリーに分類。250g以下のドローンはFAAの規制を受けずに人口密集地域上でドローンを飛ばすことができ、操縦者の身元確認やテストも行われない。

暫定的あるいは偶発的に口密集地域上を飛ぶ場合は、業界全体で採用される製造・安全基準を満たすことも求められ、継続的に大規模な群衆上を飛ぶ場合には、詳細なリスク緩和プランを離陸前にFAAに提出する等の最も厳しい規制が課される。

FAAが今回の諮問委員会の提案を受けて、正式に規則案を提示するのは、早くとも年末以降になる見込みで、規則案の多くが実現するにはまだ数年かかる可能性もある。

(2016年6月)

FCC、ISPのプライバシー保護規則草案を発表

連邦通信委員会(FCC)は、3月10日、ISPによる顧客データ使用・共有を規制するプライバシー保護規則草案を発表した。同案では、ISPがインターネット・サービスを提供するために顧客のデータを利用することについては自動的に顧客の同意が得られたとみなし、他のインターネット・サービス・パッケージの売り込みのために同データを利用することが認められる。

また、系列会社が提供する異なる種類の通信サービスの売り込みのために顧客データを共有することについては、顧客が明確な拒否(オプトアウト)を示さない限り認められる。しかし、他の企業との顧客データの共有や、上記目的以外での利用については、顧客の明確な同意(オプトイン)がない限り禁止される。

同案では、データ流出時に速やかに顧客、FCC、場合によっては司法当局へ通知する義務が含まれ、消費者データ保護に取るべき手段の基準も定めている。

FCCは、「顧客が自分のデータの扱われ方について不満がある場合、検索エンジン、SNSやストリーミングサービスであればすぐに利用をやめることができるが、ISPを変更するのは容易ではない」としている。

今回の草案は、FTCよりも厳しい規制をFCCに求める消費者側にとっては、少なくとも部分的な勝利と言える内容となっている。これに対して、消費者保護団体パブリックナレッジの弁護士は、同案の発表及び今後の法制化手続きについて、すべての要望が認められたわけではないが、実質的な消費者保護の前進を表すとして支持する声明を出した。

一方、産業界は、FCCに対して、グーグルやフェイスブックのようなオンラインサービスに対するFTCの規制と同じものとすべきだと主張している。
FCCは、3月31日の公開会合で本件を採択するかどうか投票にかけることを意図しており、両陣営のグループはそれまで、それぞれの立場からこの案や関連問題についてコメントすることができる。

(2016年3月)

オバマ大統領、サイバー脅威に対応する国家戦略を発表

オバマ大統領は2016年2月9日、「Cybersecurity National Action Plan(CNAP)」を発表。連邦政府のサイバーセキュリティ強化計画の詳細を明らかにした。

CNAPは、2015年10月に文民機関向けに公表された「サイバーセキュリティ戦略及び実行計画(CSIP)」を土台として構築されており、短期・長期の両面からサイバー脅威に対応するもので、以下の4つを骨子とする。

第一に、政権メンバーや議会幹部が指名する業界人等で構成される、長期的なソリューションに焦点を当てる超党派の「国家サイバーセキュリティ強化委員会」を設置し、今後10年間にわたる官民セクター横断的なサイバーセキュリティ啓発と保護を強化するための勧告を提供する。

第二に、連邦政府のコンピュータ・システム刷新に30億ドルを割り当てる。また、刷新作業を指揮する「連邦情報セキュリティ最高責任者(CISO)」職を新設する。

第三に、サイバー脅威への注意を喚起し、より多くの国民がパスワードだけでなく、指紋や携帯電話に送られて来るコードといった新たなセキュリティ・レイヤーを追加することを奨励する新たな国家的啓発キャンペーンを開始する。

第四に、サイバーセキュリティ強化に向けて2017年度予算案に前年比35%増となる190億ドルを割り当てる。

オバマ大統領は、2017年度の予算教書を同日公表し、サイバーセキュリティを米国経済・安全保障上の最優先課題の1つとすることを強調。CNAPを通じてサイバーセキュリティへの投資を大幅に増加するとし、2017年度予算案に190億ドルのサイバーセキュリティ関連費用を盛り込んだ。

(2016年2月)

ホワイトハウス、「サイバーセキュリティ戦略及び実行計画」を発表

ホワイトハウスは、10月30日、「サイバーセキュリティ戦略及び実行計画(Cybersecurity Strategy and Implementation Plan:CSIP)」を発表した。サイバーセキュリティを国家的最優先事項とするもので、サイバー空間上での不正侵入を早い段階で食い止めるための対策に焦点を当てている。

政府は、連邦人事管理局(OPM)で発生した大規模な個人情報流出を受け、セキュリティ対策の見直しを進めており、今回の新たなガイダンスも、連邦政府が持つ高価値な情報及資産を保護することを目的としている。

CSIPは2015年6月に実施された連邦資産及びネットワークの「30日間のサイバーセキュリティ・スプリント(評価)」を受けて策定されたもので、各省庁の副長官の監督の下、年内にその初期段階が完了することになっている。

CSIPは、ベストプラクティスの確立や優秀なサイバー人員の確保のための手続きに加え、既存技術や新たな技術を最大限に活用するための官民提携の必要性も強調。2006年から1100%の増加を見せている連邦省庁でのサイバーインシデントに対応する。

国土安全保障省(DHS)は、ネットワークへの不正侵入を検知するシステム「EINSTEIN」による保護体制を拡大し、全省庁は最新のメール及びネットワークの監視技術「EINSTEIN 3A」によって、悪意ある活動から保護されることになる。また、各省庁はすべてのサイバーセキュリティ担当者をOPMに報告することが義務付けられ、各省庁のCIOで新たに登場する技術の迅速な導入に専念する特別小委員会も創設される。

さらに、年内に国家情報長官主導でサイバー攻撃のターゲットとなるリスクの高い政府資源の評価作業が行われ、これとは別に、DHSが国防総省や情報機関等の代表から構成されるチームを率いて高価値資源のサイバーセキュリティ対策を継続的に診断していく。

◇CSIPでは、ToDoリストも提示した。

11月13日 全省庁は、重要な機密データを保管するシステムを高価値資産とし、その保有状況を国土安全保障省(DHS)に報告。
12月31日 国家情報長官の主導で各省庁の高価値資産が直面する脅威の評価を実施。また、国土安全保障省(DHS)が開発した侵入検知システム「EINSTEIN」を全ての連邦非軍事省庁に導入。また、各省庁のCIOがITのセキュリティ分野で人材が不足している部署を特定するとともに、連邦人事管理局(OPM)がサイバーセキュリティ人材の雇用に利用できる既存の特別権限をリストアップする。さらに、CIO会合の下に先端技術の迅速な活用に焦点を当てた委員会を設置。
2016年1月31日 行政予算管理局(OMB)は、サイバーセキュリティの共有サービス導入プランを公表。
3月31日 OMBは、個人情報保護に関するガイダンスを改訂。
4月30日 一般調達局(GSA)は、データ流出時に連邦省庁が活用できるインシデント対応サービスの契約手法を決定。また、省庁が調達過程におけるサプライチェーン内のリスクを認識・管理するためのサービスも開発。さらに、新たな「サイバーセキュリティ人材戦略」も公表。
6月30日 米国標準技術院(NIST)は、連邦省庁が様々なサイバーインシデントから復旧するための新たなガイダンスを策定。
9月末 DHSの進める「Continuous Diagnostics and Mitigation」プログラムの導入促進。9月末までに同プログラムの第2段階となるアクセス管理・認証制度を導入。
(2015年12月)

米上院、サイバーセキュリティ法案を可決

米上院は、10月27日、官民のサイバー脅威情報共有促進を目的とする法案「Cybersecurity Information Sharing Act(CISA)」を74対21の賛成多数で可決した。この日の法案可決により、企業にサイバー脅威に関する情報を米国土安全保障省と共有させようとする、長きにわたる苦闘は終わりを迎えようとしている。

同法案は、米国商工会議所や米国銀行協会といったビジネス業界団体等から強い支持を得ていたが、ハイテク企業やプライバシー保護団体等からは国家安全保障局(NSA)など政府機関が個人情報を入手しやすくなるとの懸念が示されていた。

同法案は、企業に法的免責を与えることで、情報共有を奨励するもので、サイバー攻撃に関する情報は国土安全保障省を通じて、他社や連邦省庁と共有される。また、プライバシー保護対策として、企業が共有する情報から個人を特定できるデータを削除し、政府がそれを確認することを義務付け。政府がサイバー犯罪捜査以外に共有された情報を利用することを大幅に制限するなどの対策も盛り込まれている。

下院は4月に同種の法案を可決しており、数週間内に下院案との摺り合わせが開始されることが見込まれ、早ければ年内成立の可能性も残されている。

(2015年11月)

米国政府、中国のハッキングに制裁検討

連邦人事管理局(OPM)は、9月1日、2,150万人の連邦政府職員の個人情報が流出した事件で、被害者に対するなりすまし防止やクレジットモニタなどの対策サービスの提供で、セキュリティ会社ID Expertsと1億3,300万ドルの契約を結んだことを発表した。

被害者への対策サービスは3年以上にわたって無料で提供される予定で、2018年12月までの契約総額は3億2,980万ドル以上に達すると見られている。この事件と関連するハッキングでは、別に420万人の個人情報が流出。こちらは、CSID社がクレジット監視サービスを提供している。

オバマ大統領は、一連のサイバー攻撃を中国によるスパイ活動の一環とみており、米国政府は、自国の政府機関や企業組織をターゲットにサイバー攻撃を行うロシアや中国の個人・企業に対して、制裁を科すことを検討し始めている。

9月25日の米中首脳会談で、両政府は、サイバー攻撃で企業機密などの知的財産を盗んだり、攻撃を支援したりしないことで合意した。また、サイバー犯罪対策に関する閣僚級対話を創設し、年末までに最初の会合を開催することを明らかにした。

(2015年9月)

自動車のハッキング防止法案提出

民主党のエドワード・マーキー、リチャード・ブルメンサール両上院議員は、7月21日、自動車のコンピュータ・システムに対するハッキングを防止するための法案を提出した。

「Security and Privacy in Your Car Act(通称:SPY Car法案)」は、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)とFTCに、自動車のコンピュータに対するハッキングを防ぐ基準を策定するよう指示。また、ドライバーが自分の運転する車がどの程度、サイバー攻撃から守られているかを評価する「サイバー・ダッシュボード」を作るよう求めている。

同法案には、(1)重要な車内ソフトウェア・システムをハッキングから守るため、他のシステムと隔離し、コンピュータに保管される全てのデータを保護するとともに、ハッキングをリアルタイムで検知・報告できる技術の搭載を義務付け、(2)自動車の所有者にどのようなデータが運転中に収集・転送されているかを開示し、所有者がデータ収集・保管を拒否できる仕組みを導入、(3)収集したデータを所有者の同意なく広告、マーケティング目的に用いることを禁止など、が盛り込まれている。

7月24日には、フィアット・クライスラー・オートモービルズがハッカーの攻撃により車載システムが遠隔操作されるおそれがあるため140万台をリコールすると発表。研究者によるクライスラー車を乗っ取る実験で、クライスラーのソフトウェア「Uconnect」に複数の脆弱性が発見された。「Uconnect」は、車内エンタテインメント、ナビゲーション・システムを制御したり、通話、Wi-Fi通信を提供するもの。研究者は、ラップトップと携帯電話を使って自動車の操縦システムをハイジャックする実験に成功したという。

一方、米国自動車工業会(Alliance of Automobile Manufacturers)と国際自動車工業協会(Global Automakers)は、7月14日、メンバー企業がサイバー脅威に結束して対応するため情報共有・分析センター「Auto ISAC」を創設することに合意した。Auto ISACは、サイバー脅威情報や自動車の電子部品、車載ネットワークに関連する脆弱性についての情報を適時共有するための中心的存在になるという。

この他、NHTSAは、7月20日、グーグルなどの自動運転車の公道走行を念頭に、連邦自動車安全基準(FMVSS)の見直しを検討していると発表。NHTSAのマーク・ローズカインド局長は、「テスラの自動操縦システムやGMのスーパークルーズ・システムなどの実用化に影響を及ぼす可能性がある規則がリストアップされ、見直しが行われている」と述べた。さらに、自動運転に対する連邦、州の規則の境界がどこにあるかはまだ明確ではないが、最終的にNHTSAが自動運転車の安全性を監督し、どのような規則が適用されるかを判断することになると強調した。

ミシガン大学の自動運転試験場が開設
ミシガン大学は、7月20日、自動運転を試験するための試験場を開設したと発表。「Mcity」と名付けられた32エーカー(おおよそ東京ドームの2.8倍)の試験場は、高速道路から市街路まで備えた小さな町を模しており、全ての自動運転開発者に開放される。

ミシガン大学とミシガン州運輸省が総額1,000万US$をかけて設立した同試験場には、フォード、GM、トヨタ、日産、ホンダなどの大手自動車メーカーの他、ベライゾン、クアルコム、ゼロックス、デンソーなどの通信・IT企業も資金提供(3年間で各社100万US$)している。

ミシガン州南東部やミシガン大学は、多くの有能な研究者や企業技術センター、テスト施設を抱えており、ミシガン大学のあるアナーバー市では車両間通信機能を搭載した3,000台の車のテスト走行も行われている。

(2015年8月)

ホワイトハウス、政府サイトのHTTPS導入を義務付け

行政予算管理局(OMB)は、6月8日、連邦政府ウェブサイトの脆弱性緩和を目的に、公開されている全ての連邦政府機関のウェブサイトで2016年12月31日までにHTTPS暗号化を導入することを義務付けた。

この数日前には、人事管理局(OPM)から連邦政府職員の個人情報およそ400万人分がハッカーにより流出した可能性があることが判明しており、オバマ大統領はサイバー防衛を積極的に強化していくことを表明した。

現在、連邦政府機関サイトは1,200ほど存在するが、そのほとんどはHTTP通信を使用しており、HTTP通信を使用して提供されるサイトおよびサービスは、データ等の盗聴や改ざん、なりすましによる被害を受ける危険が高くなっている。

今回の措置は、民間企業のサイトと同等の保護機能を提供することによって、インターネット全体でのHTTPS導入を加速させるとともに、サイト訪問者のプライバシー保護を強化することが狙い。また、全面的に政府サイトのHTTPS暗号化を義務付けたことで、各省庁がどのコンテンツをHTTPSに移行すべきかを判断する手間も省けるという。政府が先ごろ立ち上げたサイト「pulse.cio.gov」では、どの「.gov」サイトがHTTPSを導入しているかを確認できる。

今年3月19日には、国家安全保障局(NSA)と米国サイバー司令部のトップを兼任するマイケル・ロジャース海軍大将が上院軍事委員会公聴会で、サイバー攻撃抑止には防御態勢整備だけでは限界があるとして、米国はサイバー攻撃能力を強化しなければならない時期に来ていると証言。

4月23日には、カーター米国防長官が新たなサイバーセキュリティ戦略を公表。米国の安全保障を脅かすサイバー攻撃への報復として、米国がサイバー兵器を利用する決意があることを示した。

さらに、4月1日、オバマ大統領はサイバー攻撃への制裁を強化する大統領令を発表。米国の安全保障や外交政策、経済、財政的安定を脅かすオンライン攻撃に関与する組織および個人に経済的制裁や渡航制限を課すことを決めた。

(2015年6月)

オバマ政権、サイバー脅威情報統合センターを創設へ

オバマ政権は、2015年2月、情報機関によるサイバー空間上の脅威に関する情報分析をその他省庁と共有することで、オンライン・プライバシーや機密情報の保護を強化するための新組織「サイバー脅威情報統合センター(Cyber Threat Intelligence Integration Center:CTIIC)」を国家情報長官(Director of National Intelligence:DNI)室内に創設すると発表した。CTIICは、国民、外国人の情報を収集するのではなく、既存の権限で収集された情報を分析・統合する役割を担う。

サイバー情報の共有ハブは、国土安全保障省の全米サイバーセキュリティ・通信統合センター(NCCIC)、DNIの情報共有環境などが既に存在するが、CTIICは、サイバー空間上の脅威に関する分析を政府全体がほぼリアルタイムで共有するという点が既存の組織とは異なる。約3,500万US$の予算が割り当てられる同組織は、「Intelligence Reform and Terrorism Prevention Act」法の下、連邦議会の承認手続きを経ることなく、大統領命令によって創設される。

(2015年3月)

FTC、IoTのプライバシーとセキュリティに関するレポートを発表

米連邦取引委員会(FTC)は、1月27日、「モノのインターネット(IoT)」のプライバシーとセキュリティに関するスタッフ・レポートを発表した。

この中でFTCは、企業が収集するデータやその保管期間を最小限に抑えることを勧告。また、プライバシーやセキュリティについての具体的な法律を制定するのは時期尚早であるが、セキュリティやプライバシー保護、データ流出時の報告義務に関する全般的な法律は必要だとしている。

FTCは、収集データを最小限に抑えるために、全くデータを収集しない、サービスに必須のものだけ集める、慎重な取扱いを要さないデータを集める、収集したデータを匿名化するという選択肢を提示。

また、FTCは、データセキュリティに関するベストプラクティスとして、以下を勧告している。

  • 機器設計段階からセキュリティを確保する措置を講じる。
  • セキュリティの重要性について従業員を訓練し、適切なレベルのセキュリティを確保する。
  • 外部サービス事業者を使う場合、それらの事業者が適切なセキュリティを維持できることを確認し、監督する。
  • セキュリティ面でのリスクが発見された場合、複数層のセキュリティを設ける「ディフェンス・イン・デプス」対策を検討する。
  • 消費者の機器、データ、個人情報へのアクセス権を持たないユーザーの不正アクセスを防ぐ対策を講じる。
  • ネットワークに接続された機器を推定される寿命期間中監視し、判明したリスクに対応するセキュリティパッチを配布する。
(2015年2月)

FTC委員長、コネクテッド機器のデータセキュリティに警告

イーディス・ラミレスFTC委員長は、2015年1月6日、CESでのスピーチでウェアラブル機器やスマート家電などが収集する消費者のデータを保護する必要性について言及した。

FTCはテクノロジー業界のデータ収集について注意を強めており、ラミレス氏もこれまで製品開発当初からプライバシー保護を考慮する「デザイン段階でのプライバシー保護」の利点について語っている。同氏は今回のスピーチで、2015年は「スマートホーム」に対するハッキングが現実的な脅威となり得る年だとし、インターネットに接続するあらゆる機器はハイジャックされるリスクを持つと警告。

モノのインターネットとして増加するネット接続機能を持つ健康器具や医療機器を開発するのは新興企業が多いが、同氏はこれらの企業の一部にはセキュリティ保護対策の経験に欠けているところもあると指摘。また収集する個人データは必要最小限にとどめるべきとし、膨大なデータを収集することで新たな活用法が生まれるかもしれないというテクノロジー業界の考えに釘を刺した。

(2015年1月)

電波関連

アップルやフェースブック等が6GHz帯での免許不要帯域の拡大を要求

2017年10月2日、アップル、シスコ、グーグル、フェースブック、ブロードコム、インテル、クアルコム、ヒューレットパッカードエンタープライズを含む約30社が、6GHz帯での免許不要利用の帯域を拡大するよう、FCCに要求した。これはFCCが2017年7月に発表した3.7GHz-24GHzのミッドバンド周波数の柔軟な利用の拡大に関する情報提供要請に対する意見となっている。

具体的には5925-7125 MHz帯を次世代無線ブローバンドサービスの需要に対応するために免許不要で利用する。これによってコンシューマー機器、インターネットメディア、ソフトウェア、クラウド、セミコンダクター、エンタープライズ、サービスプロバイダー、ルーラルアクセスといった幅広い産業分野での利活用が期待されている。

FCCへの提案では、6GHz帯に複数のサブバンドを設け、当該帯域で運用されている既存免許人を適切に保護するために、各セグメントの技術条件や干渉保護規定を定めることをFCCに要請している。提案されているサブバンドは以下のとおりである(注1)。

  • U-NII-5: 5925-6425 MHz
  • U-NII-6: 6425-6525 MHz
  • U-NII-7: 6525-6875 MHz
  • U-NII-8: 6875-7125 MHz

(略語)
U-NII: Unlicensed National Information Infrastructure

(2017年10月)

業務用無線に配分されている900MHz帯の再編について検討開始

米国連邦通信委員会(Federal Communications Commission: FCC)は2017年8月4日、情報提供告示(Notice of Inquiry: NOI)を発表し、896-901/935-940MHz帯(900MHz帯)での次世代技術・サービスの導入に向けて、FCC規則を改正するための検討手続きに着手した(注1)。

900MHz帯は、ビジネス/産業/陸上交通(Business/Industrial/Land Transportation: B/ILT)免許人及び特殊移動無線(Specialized Mobile Radio: SMR)プロバイダー向けに、自営陸上移動無線(Private Land Mobile Radio: PLMR)として1986年に配分されたもので、399の狭帯域(12.5キロヘルツ)の周波数ペアで構成されている。周波数ブロック(10チャンネルのブロック)は、SMRが地域単位(Major Trading Area: MTA)で、B/ILTはサイト単位で割り当てられ、それぞれが交互に配置されている。また、SMRサービスは、商用ベース(利益目的)での陸上移動通信のサービス提供が可能であるが、B/ILT無線システムは、公益事業、製造業、石油化学産業、緊急業務を含む免許人の多様な自営通信ニーズに資するものとなっている。さらに、1996年の通信法改正によって、SMR免許人は商用移動無線サービス(Commercial Mobile Radio Service: CMRS)プロバイダーとして再分類されており、競争入札による免許付与がFCCに認められている。

FCCは、こうした狭帯域のPLMR(いわゆる業務用無線)においてB/ILT免許人とSMRプロバイダーが併存する既存の900MHz帯の制度枠組みについて見直すことが、公共の利益にかなうか否かを検討するため、以下を含む論点について広く意見を求めている。

  • LTE等のブロードバンドの導入を可能とするためのバンドプランの再編
  • 既存のB/ILT向け周波数の商用目的への割当て変更
  • 商用周波数の割当て拡大によって想定される新たなIoTサービス
  • 商用プロバイダーによるB/ILT周波数を活用した自営通信ユーザへのサービス提供 等
(2017年8月)

バージニア州が全米で初めてFirstNetへの参加を表明

バージニア州のテリー・マコーリフ(Terry McAuliffe)州知事は2017年7月10日、商務省FirstNet(First Responder Network Authority)が進める全国公共安全ブロードバンド網(Nationwide Public Safety Broadband Network: NPSBN)の整備に向けたバージニア州内の網計画について承認する公式文書に署名した(注1)。FristNetは政府予算65億米ドルを投じてLTE技術に基づいたNPSBNを700MHz帯で整備する計画で、請負事業者としてAT&Tが2017年3月に比較審査によって選定されたところである(注2)。

バージニア州のFirstNetへの参加表明により、FirstNetとAT&Tは、今後25年間、バージニア州の公共安全機関(消防、警察、緊急医療サービス等)のために、高度にセキュアな無線ブロードバンド通信網の構築・運用・維持管理を、無料で行う(ただし、公共安全機関はAT&Tに対してネットワーク利用料としてユーザ料金を支払う義務を負う)。また、バージニア州の公共安全機関は、AT&Tの既存のLTE全国網上で音声やデータの優先接続のサービスを受けることができ、必要な時や場所において優先的な利用が常時確保される。

FirstNetの設置を定めた「2012年中間層課税控除及び雇用創出法(Middle Class Tax Relief and Job Creation Act of 2012)」では、FirstNetのNPSBN整備計画を受け入れるか否かの選択権が州知事に付与されており、バージニア州が全米で初めて受入れを表明した州となった(オプトイン方式)。これに対して、整備費用含めて自らの責任において州内のLTE無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)を構築する選択肢もあり(オプトアプト方式)、ニューハンプシャー州、アリゾナ州、コロラド州、ミシガン州、アラバマ州、ウィスコンシン州、カリフォルニア州、ロードアイランド州が、オプトアウト方式を検討中とされている(2017年6月現在)(注3)。

(2017年7月)

ベライゾンがストレートパス買収でAT&Tに競り勝ち

2017年4月25日付のロイターの報道によると、ベライゾンコミュニケーションズは、AT&Tによる買収に既に合意していたストレートパスコミュニケーションズ(Straight Path Communications)に対して、1株95ドル63セントというAT&Tのオファーを上回る、1株104ドル64セントでの買収オファーを提示した(注1)。AT&Tは2017年4月10日に、総額16億ドル相当の株式交換でストレートパスを買収する計画であることを発表していた(注2)。

2017年5月8日付のストレートパスの発表によると、多国籍電気通信事業者(Multi-National Telecommunications Company)から1株184ドル(総額31億ドル相当)での買収オファーがあったとし、AT&Tに対して3日間以内に対抗オファーを提示するか否かを求めていた(注3)。多国籍電気通信事業者は、AT&Tとの交渉が成立しなかった場合にストレートパスがAT&Tに支払う違約金3800万ドルを負担することでも合意していた。最終的に、ベライゾンコミュニケーションが1株184ドルでストレートパスを買収することで正式に合意した(注4)。

ストレートパスは、全米上位40市場を含む米国のほとんどをカバーする28GHz帯と39GHz帯の周波数免許を868件所有しており、39GHz帯では上位30市場で平均620MHz幅を保有している。これらは連邦通信委員会(Federal Communications Commission: FCC)が第5世代移動通信システムでの使用を認めた帯域となっている。同社によると、2017年1月時点で、商用利用可能な39GHz帯免許のおよそ95%を所有する最大の免許人で、ニューヨークやサンフランシスコといった大手市場では28GHz帯免許の多くを所有している。

なお、ストレートパスは2017年1月に、免許条件を順守していなかったことから、①1億ドルの罰金、②39GHz帯の196件の免許のFCCへの返還、③残る免許の売却、④売却益の20%の追加罰金に応じるとして、FCCと和解していた(注5)。罰金1億ドルのうち1500万ドルは前払いとなっているが、残る8500万ドルについては1年間の猶予期間が設けられている。もし2018年1月までに免許が売却できなかった場合には、8500万ドルを支払うか、あるいは、全ての免許をFCCに返還することになっていた。

(2017年5月)

米FirstNetが第一応答者向け無線ブロードバンド網構築でAT&Tを選定

米国の第一応答者ネットワーク庁(First Responder Network Authority: FirstNet)は2017年3月30日、第一応答者専用の全国無線ブロードバンド網(FirstNetネットワーク)の構築で、AT&Tを選定したことを発表した(注1)。FirstNetネットワークは、全米50州と5つの領土及びコロンビア特別区における数百万以上の公共安全ユーザに特化した高速ネットワークで、既存の第一応答者の通信網を近代化し、現在の無線ネットワークでは利用できないような特殊な機能を提供する。また、災害対応・復旧や大型イベント等での安全確保において、警察、消防、救急医療サービス(emergency medical services: EMS)等に対して、管轄区域を超えたシームレスな通信能力を提供できることが重要な要素となっている。

AT&TはFirstNetとの官民インフラ投資契約によって、向こう2年間で1万人以上の雇用を生むとし、2017年後半からネットワーク整備を開始する計画である(注2)。FirstNetとAT&Tとの間の契約は25年間に及ぶもので、以下の内容を含む。

  • FirstNetが700MHz帯の20MHz幅(Band 14:758-768/788-798MHz)の高価値の電波を付与し、ネットワーク構築に必要な向こう5年間の設備投資費用として65億米ドルを供与する。
  • AT&Tはネットワークの構築・展開・運用・維持管理に、25年間で400億米ドルを投じ、公共安全ユーザのために安定したカバレッジを保証する。
  • AT&TはFirstNetユーザに対して、同社の通信ネットワーク資産(1,800億米ドルの価値に相当)への接続を可能とする。

なお、AT&Tによれば、各州政府によるFirstNetネットワークへの積極的な参加が、米国の通信インフラ投資を呼び込み、雇用の創出にもつながるとしている。

(2017年4月)

AppleのiPhone 7はバンド66(AWS-3)には未対応

米国のAppleは2016年9月7日、新型スマートフォン「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」を発表した(注1)。LTEへ対応した周波数帯の数は合計23バンドで、そのうちFDD-LTEが19バンド、TD-LTEが4バンドとなっている。米国では、高度無線サービス(Advanced Wireless Services: AWS)に配分されているAWS-3がiPhoneに対応するかが注目されていたが、今回発表されたiPhone 7ではAWS-3への対応が見送られた。

AWS-3は、1695-1710MHz(アンペアバンド)と1755-1780 MHz/2155-2180 MHz(ペアバンド)で構成され、2014年11月13日から2015年1月29日にかけて周波数オークションが実施された。落札総額は448億9,900万米ドルとなり、米国の周波数オークション史上、過去最高額を記録した。

標準化団体の3GPPは、AWS-1(1710-1755 MHz/2110-2155 MHz)、AWS-3、AWS-4のダウンリンク(2180-2200 MHz)を含む帯域をバンド66として標準化を実施し、2015年12月に承認した。このうち2180-2200 MHzは、キャリアアグリゲーションを行う際にダウンリンクでのLTE運用に制限され、このような非対称型のペアバンドの規格化はバンド66が初めてとなっている。

バンド66の規格化には、該当する周波数を相当量保有しているDishが深く関与していたとされるが、同社は依然としてLTEサービスの提供には至っていない。DishはAWS-3オークションで、グループ企業を通じて約100億米ドルを投じていた。AWS-3オークションではT-Mobile USも約18億米ドルを投じたが、同社はAppleによるiPhone 7の発表に先立ち、AWS-3周波数を使用したLTEサービス開始は、早くても2016年末になるとの見通しを示していた。また、同じくAWS-3オークションで約182億米ドルを投じたAT&Tは、2015年の段階で、AWS-3を使用するLTEネットワークの展開は、2017年度初頭になるとの予測を示していた。

このような状況から、iPhoneのバンド66への対応は、2017年9月になると見られている。

表 「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」のLTE対応バンド
バンドクラス 上り回線(UL) 下り回線(DL) 備考
FDD
1 1920 MHz–1980 MHz 2110 MHz–2170 MHz 3G帯域
2 1850 MHz–1910 MHz 1930 MHz–1990 MHz
3 1710 MHz–1785 MHz 1805 MHz–1880 MHz GSM1800帯域
4 1710 MHz–1755 MHz 2110 MHz–2155 MHz 米AWS-1対応
5 824 MHz–849 MHz 869 MHz–894MHz
7 2500 MHz–2570 MHz 2620 MHz–2690 MHz
8 880 MHz–915 MHz 925 MHz–960 MHz GSM900帯域
12 699 MHz –716 MHz 729 MHz –746 MHz T-Mobile、AT&T等へ対応
13 777 MHz –787 MHz 746 MHz –756 MHz Verizon対応
17 704 MHz –716 MHz 734 MHz –746 MHz AT&T対応
18 815 MHz –830 MHz 860 MHz –875 MHz
19 830 MHz –845 MHz 875 MHz –890 MHz
20 832 MHz –862 MHz 791 MHz –821 MHz
25 1850 MHz–1915 MHz 1930 MHz–1995 MHz
26 814 MHz –849 MHz 859 MHz –894 MHz
27 807 MHz –824 MHz 852 MHz –869 MHz
28 703 MHz –748 MHz 758 MHz –803 MHz アナログTV放送の跡地
29* 717 MHz –728 MHz
30 2305 MHz–2315 MHz 2350 MHz–2360 MHz
66 1710 MHz–1780 MHz 2110 MHz–2200 MHz AWS-3は未対応
TDD
38 2570 MHz – 2620 MHz
39 1880 MHz – 1920 MHz
40 2300 MHz – 2400 MHz
41 2496 MHz – 2690 MHz
* キャリアアグリゲーションを行う際にはダウンリンクでのLTE運用に制限される。
出所:https://portal.3gpp.org/ChangeRequests.aspx?q=1&versionId=49395&release=187
(2016年9月)

全米科学財団が高度無線研究プラットフォーム(PAWR)を4都市で構築

オバマ政権は2016年7月15日、21世紀型インフラストラクチャーに求められる次世代モバイル技術の開発に向けて、全米科学財団(National Science Foundation: NSF)が主導する「Advanced Wireless Research Initiative」(注1)に、向こう10年間で4億ドルを投じると発表した(注2)。これは前日の7月14日に連邦通信委員会(Federal Communications Commissions: FCC)が発表した5G周波数の割当て規則について規定した「周波数フロンティアに関する報告及び命令並びに追加の規則制定提案告示(Spectrum Frontiers R&O(Report and Order)and FNPRM(Further Notice of Proposed Rulemaking))」(注3)を踏まえたもので、NSFは今後10年間で、5G周波数を活用した高度無線研究プラットフォーム(Platforms for Advanced Wireless Research: PAWR)の試験網を4都市で構築する。

PAWR試験網は、基本的に既存のセルラー網を高度化するもので、ソフトウェア定義型の無線アンテナによるネットワークを市内全域に構築して、学術研究者、起業家、ワイヤレス企業などが、各自の技術やソフトウェアアルゴリズムを試験・証明・改善することを可能とする。

NSFと民間セクターによる、4都市でのPAWR試験網の構築への投資総額は8,500万ドルで、向こう5年間で5,000万ドルが投じられる。そのうちの500万ドルが、NSFと業界団体との協力の下に、試験プラットフォームの設計・開発・構築・運用を管理するプロジェクトオフィスに投じられる。

民間セクターからは、20以上の企業や団体(注4)がPAWR試験網の構築に参加を表明し、資金提供は3,500万ドル以上にのぼる。加えて、設計支援、技術的なネットワークの助言、ソフトウェア定義型ネットワークのスイッチやルーター、クラウドコンピューティング、サーバー、試験端末やデバイス、ソフトウェア、無線ネットワーク試験機器・測定器の提供などの支援が行われる。

またNSFは、PAWR試験網を活用した高度無線技術プロジェクトの基礎研究に対しても、今後7年間で3億5000万ドルを投じる。

(2016年8月)

米国における5.9GHz帯の免許不要利用への開放に向けた検討

◇検討の背景
連邦通信委員会(Federal Communications Commission:FCC)は2016年6月1日、5.9GHz帯の75MHz幅(5.850-5.925MHz)を免許不要利用に開放する案について公開諮問を発表し、意見募集を開始した(注1)。5.9GHz帯は1999年に、路車間通信(vehicle to infrastructure:V2I)や車車間通信(vehicle to vehicle:V2V)向けにDSRC(Dedicated Short Range Communications)用途として割り当てられたものの、これまで利活用が進んでいなかった。

図1 既存の5.9GHz帯のDSRCバンドプラン
出所:FCC

そのため、全米ケーブル・電気通信協会(National Cable & Telecommunications Association:NCTA)等は、スマートフォン等によるWi-Fiへの依存度の高まりに対応するため、DSRCの帯域をWi-Fiにも開放するようホワイトハウスに求めていた。これに対して自動車業界は5.9GHz帯のWi-Fiへの開放に反対する書簡をホワイトハウスに送り、運輸省長官のAnthony Foxx氏はWi-Fiとの周波数共用によってDSRCへの混信が引き起こされないことが技術的に検証されるまではWi-Fiへの開放は控えるべきとの考えを表明していた。

◇二つの共用提案
FCCの公開諮問文書には、DSRCとWi-Fiの共存方法について、二つのアプローチが提案されている。一つが「検知及び回避(detect and avoid)」アプローチで、DSRC信号の存在を検知した場合、Wi-Fiの使用は認められない。もう一つが「チャンネル再編(re-channelization)」アプローチで、既存のDSRCバンドプランを再編して、上の帯域の30MHz幅(5.895-5.925MHz)を衝突防止等の安全に係る通信向けにDSRC専用に割り当て、下の帯域の40MHz幅(5.855-5.895MHz)は交通情報やナビゲーション等の非安全アプリケーション向けに割り当ててWi-Fiとの共存を認める。「検知及び回避」アプローチはCiscoが提案するもので自動車業界の支持を得ている一方、Qualcommが提案する「チャンネル再編」アプローチは特にケーブルテレビ業界の支持を得ている(注2)。

図2 「チャンネル再編」アプローチに基づいたDSRCバンドプラン
出所:FCC
(2016年6月)

米国における全国公共安全LTEの建設に向けた最新動向

◇FirstNetの創設
米国では、2012年に成立した「2012年中間層課税控除及び雇用創出法」に基づき、第一応答者(First Responder)及びその他公共安全職員が使用するための、管轄区域を超えた相互運用可能な最先端のブロードバンド全国網構築のため、「第一応答者ネットワーク庁(First Responder Network Authority: FirstNet)」が創設された。FirstNetは、700MHz帯(Band 14:758-768/788-798MHz)を使用したLTEベースの「全国公共安全ブロードバンド網(Nationwide Public Safety Broadband Network: NPSBN)」の建設の責務を追っている。

◇官民パートナーシップの活用
NPSBNの構築は官民パートナーシップ(Public Private Partnership)に基づいて実施される。FirstNetのパートナー事業者(NPSBN構築の請負事業者)が、NPSBNのコアネットワーク、RAN(Radio Access Network)、バックホール等を構築・運用するが、一部のRANについては各州の自治体が保有するものが使用される。NPSBNの建設コストを節減するため、既存インフラの活用が推奨され、携帯用途、公共安全用途、政府用途等に使用されている既存の基地局サイトにRANをコロケーションすることが期待されている。

◇提案依頼書の公表
FirstNetはNPSBN構築に関する500頁以上にのぼる提案依頼書(Request for Proposal:RFP)を2016年1月13日に発表した。これに対する質問が同年2月12日に締め切られ、400件以上もの質問が寄せられた。入札に関心のある事業者は、2016年3月31日までにその旨を表明し、同年5月13日までにRFPに対する提案書を提出しなければならない。パートナー事業者は、2016年11月1日までに決まる予定で、落札者は2017年に建設を開始し、5年(2021年)以内に全国整備を完了させなければならない。また、RFPによると、落札者が決まった後、2年以内(2018年後半)までに、ミッションクリティカルプッシュツートーク(Mission Critical Push to Talk:MCPTT)の機能を組み込む必要がある。

◇想定される入札参加者
2016年1月28日現在、AT&TとRivada Networksの2社が入札に関心があることを表明しているが、Intel Security、 Motorola、Harris、Northrup Grumman、Seybold、Verizon等も関心があると見られている。Rivada Networksは、国土安全保障省の元幹部等が役員を務める企業で、緊急時に1ミリセカンド単位で瞬時に優先接続を提供するコア技術のDSATPA(Dynamic Spectrum Arbitrage Tiered Priority Access)を持っているのが強みとされている。また、落札者は、一つの企業ではなく、複数の企業や組織で構成されるコンソーシアムが想定され、例えば、人口密度の低い地域のカバレッジ義務の達成のために、小規模ルーラル事業者や衛星事業者の協力が欠かせないと見られている。加えて、落札後6か月以内に、700MHz帯のBand 14以外の周波数で、全国カバレッジを提供することが求められていることから、携帯の全国事業者の参加が期待されている。落札者に対しては、NPSBNの建設コストとして65億US$が補助金として支払われるが、総工費は100億~150億US$の規模になると見積もられている。そのため、既存資産を活用するなどして、建設コストをいかに節減していくかが極めて重要となっている。

(2016年3月)

スプリント、インセンティブ・オークションに不参加

米携帯電話大手スプリントは、9月26日、来年3月に実施する予定の600MHz帯周波数インセンティブ・オークションへの不参加を表明した。同社は、前回のAWS-3オークションにも参加していない。

インセンティブ・オークションでは、AT&T、ベライゾンの大手2社と競合する事業者の参加を促すため、大手2社以外の事業者だけが入札できる周波数も用意される予定だが、スプリントは、「既存のネットワーク改善に集中するつもりで、そのために必要な周波数は確保している」と不参加の理由を説明した。

スプリントが不参加を表明したことで、一部の地上放送事業者から周波数の落札額が低いレベルに落ち着くのではとの不安が広がっている。これは、FCCが特定の周波数を小規模事業者だけが入札できるようにしているためで、これらの周波数がT-モバイルに与えられたも同然と、FCCの決定を批判する声も出ている。

T-モバイルは、インセンティブ・オークションで米国全土をカバーできるだけの低周波数を入手することを目指しており、そのために最大100億US$を投入する。

T-モバイルは2014年にベライゾンから700MHz帯Aブロックの周波数を買収しており、米国人口の半分以上をカバーできるだけの低域周波数は既に保有している。今回のオークションでは、その残りをカバーするための周波数確保が目標となる。

オークションでは、各地区で最大30MHz分の周波数を低周波数保有量が少ない事業者に限定して割り当てられる予定となっており、これにより、T-モバイルは、AT&T、ベライゾンとの競争を避けられると見ている。

◇ディッシュ、AWS-3オークションで落札した35億ドル分の周波数を返還
ディッシュ・ネットワークは、10月1日、関連会社のノーススター・ワイヤレス及びSNRワイヤレスが2016年1月に終了したAWS-3周波数オークションで小規模事業者向け割引の適用を受けられなかったことから、落札した周波数免許のうち、約35億US$分を返還すると発表した。ただし、約98億US$分の免許はそのまま維持する。

両社は、ディッシュの支援を受けてAWS-3オークションに参加。その落札額は総額133億US$に達したが、FCCは7月、ディッシュが両社を実質的に支配しており小規模事業者に適用される25%の割引を受ける資格はないと判断した。両社はこの決定を不服として連邦控訴裁に上告している。

(2015年10月)

米国FAA、航空機内電子機器の使用緩和を検討

米国連邦航空局(Federal Aviation Administration:FAA)は、航空機内での電子機器の使用について数か月以内に緩和する方向で検討中である。FAAの航空機に関する規制条件は、全世界で採用されており、今回の緩和により、世界の航空機内での電子機器の使用が活発化すると期待される。

現在、航空機内の電子機器使用は高度1万フィート(約3000メートル)以下で禁止されている。しかし、スマートフォンやタブレットの発達により、航空機内での電子機器の要望が高まり、さらに航空機は最近の技術進歩により、電波干渉を避ける飛躍的な進歩を遂げてきていることから、高度1万フィート以上では電子機器の使用が既に緩和されているところであるが、さらに、条件付きで離着陸時においても電子機器の使用を認めるよう検討が開始されている。

FAAが離着陸時において電子機器の使用を認める条件としては、次のとおり。
  • 飛行や通信を管理するアビオニクスシステムについて、電子機器が出す電波に対応できるか航空機の型式やモデルについて解禁(旧式や小型の航空機では緩和不可)。
  • 視界不良の中、誘導システムを使って着陸する場合には、電子機器の電源を切る。
  • ノートパソコンやDVDプレーヤーといった比較的大きな機器は従来通り、離着陸時に収納。
参考:主な航空機内WiFiサービス
  • Gogo社:米国内において、地上の携帯電話基地局からの電波を受けて、航空機内にWiFiサービスを提供。米国内航空デルタ、アメリカン、ユナイテッドなどで採用。
  • パナソニック・アビオニクス社:米国ボーイング社が開発したシステムで、通信衛星を経由して地上と結ぶWiFiサービスを提供。ルフトハンザ、日本航空などの国際線で採用。
(2013年10月)

FCC、新たに4つの周波数帯を、2014年秋にオークションで割り当てる計画を発表

米国の連邦通信委員会(FCC)は、2013年7月23日、新たに4つの周波数帯(AWS-3)を、2014年秋に、オークションで割り当てるため、「規則制定提案及び命令に関する告示」を公表した。

今回、オークション規則案の公表に至った背景には、国防総省が、無人航空機(「Drone」)の操縦訓練などに使用している周波数を商用向けに明け渡すことを、受け入れたことが大きい。また、今回提案されたオークション計画は、ローカルTV局から回収予定の600MHz帯を携帯事業者に割り当てるためのインセンティブオークションに先立って実施されるもので、全国公共安全ブロードバンド網の整備費用の確保のために、少しでも多くのオークション収入を、予め確保しておくことが期待されている。

FCCは、上述の告示について、2013年10月16日までパブリックコメントを募集し、2014年春には、正式なオークション規則を公表する予定である。

以下に、オークション対象となる4つの周波数帯などについて示す。

(1)オークション対象帯域(Advanced Wireless Services:AWS)

[1] 連邦政府用帯域
 1. 1695-1710MHz(15MHz幅):アップリンク/携帯

  • 連邦政府機関の周波数移転が困難な場合、「プロテクション・ゾーン」内では、連邦政府機関と共用ベースで運用。
  • 「プロテクション・ゾーン」外での民間利用は、連邦政府機関との周波数調整は不要。

 2. 1755-1780MHz(25MHz幅):アップリンク/携帯

  • 連邦政府機関(主に国防総省)の周波数移転が困難な場合は、連邦政府機関と共用ベースで運用。
  • FCCは、2010年3月に議会に提出した「国家ブロードバンド計画(National Broadband Plan)」で、2155-2180MHzとのペアバンドとして割り当てることを提案。
  • 2013年8月、上院商業委員会は、所属議員全員及び軍事委員会所属議員の一部が署名した書簡をFCC、国防総省、及び商務省に送付し、1755-1780MHzを2155-2180MHzとペアバンドとするFCC案を支持すると表明。
  • 国防総省によれば、周波数移転費用は約36億米ドル。

[2] 非連邦政府用帯域(商用帯域)
 3. 2020-2025MHz(5MHz幅):アップリンク/携帯
 4. 2155-2180MHz(25MHz幅、AWS-3):ダウンリンク/基地局

  • 2012年2月成立の「ミドルクラス減税及び雇用創出法(Middle Class Tax Relief and Job Creation Act of 2012)」に基づき、2015年2月22日までにオークションを実施することを規定。

(2)オークション実施時期
FCCは、2014年9月までに、オークションで割り当てる計画をNTIAに通知済み(2013年3月)。

(3)オークション収入の使途
全国公共安全ブロードバンド網である、FirstNet(First Responder Network Authority)整備費用に必要な70億米ドルを調達するため、オークション収入を「公共安全信託基金(Public Safety Trust Fund)」へ繰り入れ。なお、インセンティブオークションを含め、70億米ドルを超過したオークション収入は、赤字削減などに充当される。

(4)追加バンドの検討
FCCは、無線業界団体(CTIA)の要請を受けて、現在、放送補助業務(Broadcast Auxiliary Service: BAS)に使用されている2095-2110MHz(15MHz幅)を、1695-1710MHz のペアバンドとして割り当てることについても、パブリックコメントを募集。

(2013年8月)