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シンガポール

市場トレンド

モバイルブロードバンド

モバイル

4Gサービスのシェアが拡大を継続、他方、2Gはネットワーク閉鎖へ

シンガポールの移動体通信市場はSingTel、StarHub、M1の設備事業者3社により構成されており、M1が2011年6月に、SingTelが2011年12月に、StarHubが2012年9月にLTEサービスの提供を開始、3社とも2013年内までに全国カバレッジを達成している。2016年12月現在でシンガポール全体でのLTEサービス加入数は約486万であり、移動体加入総数(約840万)の約58%にまで及んでいる。

市場シェアについては、4Gサービス開始以前にはSingTelが40%台半ば、StarHub が30%弱、M1が20%台半ばと安定的に推移してきたが、4Gサービス開始以降は最大事業者SingTelのシェア増大が顕著となり、2014年度末には50.4%と過半数を占めるに至っている。なお、この傾向は4G単独での統計により明らかであり、2014年度以降、SingTelは50%後半の市場シェアを維持している。

他方、上記3事業者は2017年4月1日より自社2G網の閉鎖を開始、利用者に対して3Gまたは4Gサービスへの切り替えを促している。この場合、各社の料金プランは再契約なしに維持できる。なお、2G網の閉鎖は4月18日までに完了する予定である。

(2017年4月)

ブロードバンド

NGNBN稼働によりFTTHが固定ブロードバンドの主力サービスに、通信速度は10Gbps級へ

シンガポールの固定ブロードバンド市場(DSL、ケーブルモデム、FTTH)における総加入数は2016年3月末(2015年度末)で約146万5,000であるが、同市場の世帯普及率は2010年度には101.8%に達し、全世帯普及を達成していることから、以降、市場の成長は鈍化している。

他方、2010年9月に次世代全国ブロードバンド網(NGNBN)が稼働を開始した以降、FTTHの加入者増加が顕著であり、2011年度から2015年度における同サービス加入数の平均成長率は65.1%と甚大な値となっている。

結果、2011年度末にはDSLが39.7%、ケーブルが50.2%、FTTHが10.0%であった接続種別のシェアは、2015年度末にはDSLが9.0%、ケーブルが23.5%、FTTHが67.5%と劇的な変化を示している。

また、NGNBNによるFTTHサービスでは広帯域化も顕著であり、サービス開始当初には100Mbpsであった標準サービスの通信速度は、2016年10月現在、1Gbpsにまで増大している。加えて、2016年2月には世帯向けとして通信速度10Gbpsでのサービスも開始されている。

なお、固定ブロードバンドの市場シェアは2015年度末で旧国営事業者シングテルが49.6%、ケーブルテレビ事業者のスターハブが39.2%、新興の移動体通信事業者のM1が11.3%となっている。

また、NGNBNを使用したFTTHサービス事業者として、MyRepublic(2011年)、ViewQwest(2015年)等も市場に参入しており、加入者の選択肢は今後さらに増加することが見込まれる。

(2016年10月)

ブロードバンド・ICT基盤整備

次世代全国ブロードバンド網(NGNBN)の全国展開

シンガポールでは政府が主導し「次世代全国ブロードバンド網(The Next Gen National Broadband Network: NGNBN)」と称する超高速ブロードバンド網が2012年以降、全国展開されている。NGNBNはGbpsレベルでのFTTHサービスを提供可能な光ファイバ網として構築され、現行では最大で通信速度10Gbpsのサービスが提供可能となっている。

NGNBNは、①ネットワークの設計、建設、設備運用を担う事業者「Network Company(NetCo)」、②卸売サービスの料金等設定・運用を担う事業者「Operating Company(OpCo)」及び、③小売サービス事業者「Retail Service Providers(RSPs)」の3種の事業者により提供され、NetCo及びOpCo双方に政府により、相互接続約款の作成が義務付けられている。

情報通信開発庁(IDA)は2008年9月にNetCoとしてシングテルも参加するJVである「オープンネット(OpenNet、現NetLink Trust)」を、 加えて、2009月5月にOpCoとしてスターハブの完全子会社「ニュークリアス・コネクト(Nucleus Connect)」をそれぞれ選定し、2010年9月から NGNBNによるFTTHサービスの提供が開始された。

(2016年8月)

モバイル

TPG Telecomが第4の移動体通信事業者に

情報通信メディア庁(IMDA)は2016年12月、移動体通信市場への新規参入を目的とした4Gオークション「新規参入者周波数オークション(New Entrant Spectrum Auction: NESA)」を実施し、TPG Telecomが国内第4の移動体通信事業者になることが決定した。

TPG Telecomの事業者免許は2017年4月から発効し、同社には18か月以内に屋外で、30か月以内に屋内及び道路トンネルで、54か月で地下鉄路線での全域カバレッジにより、4Gサービスを提供することが義務付けられた。

なお、IMDAは2017年4月、700MHz帯、900MHz帯及び2.3GHz帯を対象に既存事業者であるシングテル、スターハブ、M1も入札可能な「一般周波数オークション(General Spectrum Auction : GSA)」を実施し、上記の帯域がTPGも含む4事業者に割当られた。IMDAは700MHz帯については2018年初頭から、900MHz及び2.5GHz帯については2017年7月からサービスを開始することを各社に求めている。

(2017年5月)

スマート社会

情報通信メディア開発庁、「情報通信メディア産業におけるトランスフォーメーション・マップ」を公表

情報通信メディア開発庁(IMDA)は2017年12月、「情報通信メディア産業におけるトランスフォーメーション・マップ(Infocomm Media Sector Industry Transformation Map: ICM ITM)」と称する、同産業でデジタル・トランスフォーメーションを推進するためのロードマップを公表、以下の4項目を主要政策として位置づけた。

  • 情報通信メディア産業の付加価値額を年間約6%成長させ、2020年までに1万3,000件以上の雇用を創出
  • AI、データ・アナリティクス、サイバーセキュリティ、没入型メディア等の最先端領域4分野への投資拡大
  • 情報通信メディア産業で中核となる企業及び高度職能者の育成強化
  • 生産性向上および効率化を目指したデジタル技術導入の支援

なお、シンガポールでは2017年予算審議において国内経済の約8割を占める23の産業部門でデジタル・トランスフォーメーションを推進する計画が発表されており、上記のロードマップはこの計画の一環である。

(2017年12月)

デジタル化を柱に据えた将来の経済戦略

2017年2月9日、シンガポール政府は、財務大臣が議長を務める「将来の経済委員会(Committee on the Future Economy: CFE)」の最終報告書(1)を公表した。7つの主要な戦略によって、シンガポールの経済・社会の競争力を維持することが報告の骨子で、その、4番目の戦略として「デジタル・ケイパビリティ」をとりあげた(2)。

デジタル化には、新たな産業の創出のみならず、既存の産業を転化させる能力があるとして、スマート・ネイションを実現するためには、デジタル経済による機会の活用が不可欠であるとした。そのためには、デジタル技術に関する能力、特定のデータ分析能力、およびサイバーセキュリティに関する能力の確立が必要だとしている。

報告書では、4番目の戦略に関し、3つの重要な勧告を示している。それらは、まず、専門家派遣や資金援助によって、中小企業がデジタル・ケイパビリティを獲得するために援助を行うことである。そして、官民共同によるラボの設立や、サイバーセキュリティ従事者の公務員化を通じた、データ分析とサイバーセキュリティに関する洞察力あるケイパビリティを構築することである。また、専従の職員を抱えて施策を展開して、資産としてデータを活用することである。

5番目の戦略のキーワードは、国内外とのコネクティビティで、当然、デジタルのコネクティビティ強化を含んでいる。また、その他の戦略についても、様々なICT関連の施策を含んでいる。

(1) 報告書全文https://www.gov.sg/microsites/future-economy/the-cfe-report/read-the-full-report

(2)7つの戦略は以下の通り。1. Deepen and diversify international connections 、2. Acquire and utilise deep skills、 3. Strengthen enterprise capabilities to innovate and scale up、 4. Build strong digital capabilities、 5. Develop a vibrant and connected city of opportunity、 6. Develop and implement Industry Transformation Maps (ITMs)、 7. Partner each other to enable innovation and growth

(2017年2月)

新・情報通信基本計画に資するため情報通信開発庁とメディア開発庁が統合へ

シンガポール国会は2016年8月、通信部門の規制機関である情報通信開発庁(IDA)と、メディア部門の規制機関であるメディア開発庁(MDA)を統合し、新たに「情報通信メディア開発庁(IMDA)」を設置することを承認した。

政府は2015年8月、2006年から2015年までの情報通信基本計画であった「iN(インテリジェント・ネイション)2015」に代わる、新たな情報通信基本計画「インフォコム・メディア2025(Infocomm Media 2025)」を立ち上げている。

新計画は、iN2015の基本ビジョンを継承しつつ、同時期のコンテンツ振興政策であった「シンガポールメディア融合計画(Singapore Media Fusion Plan)」を統合、ICTインフラ及びアプリケーションとコンテンツのエコシステム構築を強調する内容となっている。

IMDAは、IDA及びMDAが所掌してきた電気通信法や放送法等の法令や、「個人データ保護委員会」が所掌してきた個人情報保護法令について、改めて総合的に所掌し、新計画の円滑な実施に資することが期待されている。

また、新たに「政府技術庁(Government Technology Agency: GovTech)」が設立されることも承認され、首相府が推進するスマート・ネイション・プロジェクトにおいて不可欠となる公的ICTインフラを構築する役割をIDAから継承することになった。

(2016年9月)

セキュリティ、プライバシー

「国家サイバー・セキュリティ戦略」

2016年10月、リー首相はサイバー・セキュリティ週間の冒頭で、長期的にサイバー空間を安全な場所とするための青写真を提示し、この「国家サイバー・セキュリティ戦略」は、シンガポールがスマート・ネイションを確立するために、国家的に重要なものとなるとした。

戦略は、4本柱で構成されており、それらは
  • 政府システムとネットワークの強化
  • 活力あるサイバー・セキュリティ・エコシステム
  • サイバー・セキュリティ開発のための雇用創出
  • サイバーな脅威に対抗するための国際的なパートナーシップ強化
となっている。

シンガポール政府は、政策目標を達成するために、極端な手法を通じて一直線に進むことがある。たとえば、すでに政府の半分のコンピュータが、インターネットから切り離されており、2017年中には全てのコンピュータが切り離されることになっている。

来年上程される「サイバー・セキュリテイ法案」は、こうした施策について法的根拠を与えるものとなる。予算面では、ICT関連予算のうちの8%をセキュリティに対して支出することになっている。

こうした戦略の実施や法案を所掌するのは、首相府に設置され情報通信省の監督下にあるサイバー・セキュリティ庁(Cyber Security Agency)である。

この動きを受けて、ヤーコブ情報通信大臣は、ASEANのサイバー・セキュリティ会合において、加盟国間の更なる連携強化を呼びかけ、シンガポールは1000万SGD規模のASEANサイバー能力プロジェクトを立ち上げることをコミットした。

(2016年10月)