ドイツ
スマートフォン
ドイツでは携帯電話の3台に1台がスマートフォン
独情報通信業界連盟(Bitkom)によると、2011年のスマートフォン販売台数は同36%増の1,010万台に伸び、売上高も同24%増の21億ユーロに拡大する見通しだ。 現在、国内で販売されている携帯電話の3台に1台がスマートフォンとなっている。
iPhoneは、T-Mobileの独占販売体制が終わり、Vodafone、O2 Germany、E-Plusなどからも販売されるようになり、高いシェアを得ている。 元々ドイツではT-Mobileが2007年11月から2年間の加入契約を条件にiPhoneを独占販売していたが、Vodafoneがこの独占販売を不服として裁判所に提訴した。 裁判所はこの訴えを受理し、T-Mobileに対して加入契約の義務付けを禁止する仮処分判決を下した。 その後、この仮処分命令は撤回され、加入契約とのセット販売が可能となった。
Androidスマートフォンも機種が増えてシェアを急速に拡大している。 2011年7月現在のドイツにおけるAndroidスマートフォンのメーカー別シェアは、韓国のSamsungが32.4%で首位。 2位は台湾のHTCで29.8%、3位はSony Ericssonの14.6%となった。(「comScore MobiLens」調べ)
スマートフォンと言えば、上位モデルで多機能な高価格帯のものが多かったが、中国通信機器大手の華為は2011年9月に約100ユーロ前後の低価格帯のスマートフォンを販売すると発表した。 ドイツ市場でのスマートフォンの平均価格は約226ユーロ(2010年11月時点)。 華為の格安スマートフォン投入が引き金となって、スマートフォンの低価格化が進み、それによってフィーチャーフォンが淘汰される可能性もある。
Bitkomによると、スマートフォン向けアプリケーション市場は急成長しており、2009年に4億2,500万件だったダウンロード件数は2010年に2倍強の9億件に拡大した。 このうちの約1割(1億1,000万件)が有料アプリで、売上高は前年比88%増の3億5,700万ユーロに拡大した。
急成長するスマートフォン・ビジネスから新しい収入源を確保したい携帯電話事業者の新たな動きとして、Android Market内にキャリア独自のマーケットプレイスを立ち上げて、 キャリア決済サービスの提供を検討する事業者が増えている。 2011年8月、Vodafoneは顧客の利便性を高めるため、Android Marketで独自のコンテンツチャンネルを構築し、キャリア決済サービスを提供開始した。 携帯電話事業者は、課金プラットフォームの提供で新たな収益が期待できるほか、高品質でローカルニーズに応えるアプリを提供できたり、コンテンツやアプリの著作権に対応することなどが可能になる。 同様の動きは、T-MobileやO2 Germanyにも見られる。
クラウド・コンピューティング
新分野へ事業展開するドイツテレコム
持続可能かつ収益性のある成長を目指すドイツテレコムにとって、新しい分野への事業展開は、極めて重要な意味を持っている。 特にスマートグリッド、次世代テレマティクス、ヘルスケア・ネットワークの分野においてクラウド・コンピューティングの利活用が進むと考えている。 既存サービスとクラウド・コンピューティングの統合により、クラウド・サービス市場における革新的なリーダーになることを目指している。
ドイツテレコムは、スマートメーター向けの無線技術や、スマートグリッド・アプリケーション、消費者の節電をサポートするモバイル・ アプリケーションなどの開発・商用化に取り組んでいる。2010年8月、ニーダーザクセン州エムデン市の電気・ガス供給会社と共同でスマートメーターの 試験運用を開始すると発表した。2010年12月には、ノルトライン=ヴェストファーレン州デュイスブルク市を本拠とする電気・ガス・水道等の公共サービスを 提供するStadtwerke Duisburg AGと、スマートメーター導入プロジェクトについて提携した。さらに、電力メーター管理会社VOLTARISと協力し、 ラインラント・プファルツ州とザールランド州で最大10万世帯を対象にスマートメーターを導入する。
次世代テレマティクスの分野では、ダイムラーと共同で、ドイツ南部ウルムでモバイル・コミュニケーションを利用したカーシェアリング実証試験「Car2Go」を行っている。 携帯電話やパソコンからホームページにアクセスし、ユーザー登録と予約が行える。またBMWと共同でテレマティクス・ソリューション「ConnectedDrive」を開発。 ConnectedDriveは携帯電話や無線LANを利用して、交通情報やナビゲーション、緊急通報、車両の遠隔診断、グーグルの各種オンライン・サービスを提供する総合ドライバー 支援システムである。さらに、自動車関連部品メーカー大手のドイツContinental社と、「Android OS」をベースとした車載向けインターネット・プラットフォーム「AutoLinQ」、 ドイツの大型トラック・バスメーカーとして知られるMAN社と、輸送業界向けロジスティックスサービス「MAN TeleMatics」も開発した。
医療・保険の分野でもドイテレコムはクラウド・ベースのICTソリューションを提供している。医療機器メーカーのBIOTRONIK社やBodyTelに対して無線による高度患者管理システムを提供している。 また、バーデン=ヴュルテンベルク州・フリードリヒスハーフェン市で実施されているIT未来都市創造プロジェクト「T-City」の一環として、「テレメディシン」の実証試験を実施している。
大手事業者の合併・買収・国外進出
ドイツテレコム、米国の携帯電話事業を売却‐FTとの協力関係を強化
ドイツテレコムは2011年3月、米国の携帯電話事業であるT-モバイルUSAを、米国第2位の携帯キャリアAT&Tに390億ドルで売却することに合意した。 米国の規制当局の承認が得られれば、2012年上半期にも完了する計画だ。
ドイツテレコムは現金250億ドルを受け取るほか、AT&T株式の最大8%と取締役会の1席を得ることになる。 同社は2001年に米VoiceStreamとPowertelを計280億ドルで買収し、その後T-モバイルUSAに改称した。 通信網の拡充に多額の投資を実施したものの、最近では利用できるエリアが限られていること、人気のスマートフォンを獲得できなかったことなどを理由に顧客離れが進み、 株式上場や、米国第3位のSprintへの売却が噂されていた。
2011年8月現在、米国司法省は競争上の理由からこの買収計画の差し止めを求める訴訟を起こしている。 同省によると、「Verizon、AT&T、Sprintの3社で米携帯電話市場の9割以上を占めることになり、寡占化が進むことで競争が著しく低下する恐れがある」と指摘。 また司法省とは別に同買収の可否を審査しているFCCもこの買収に懸念を示す声明を発表している。 これに対してAT&Tは徹底抗戦する構えを見せている。
ドイツテレコムは、業績不振が続いていた英国の携帯電話事業について、フランステレコム(FT)と共同で合弁会社を立ち上げることに合意し、 2010年4月に両社がそれぞれ50%の株式を保有する新会社「Everything Everywhere」を設立している。 また、同社はT-モバイルUSA売却後、経営資源を中欧・東欧エリアの事業に集中する方針を示しており、ポーランド、オーストリア、ルーマニアでの携帯ネットワーク共有に関してFTと提携した。
さらにドイツテレコムとFTは協力関係の強化を図り、2011年2月に両社の業務提携の範囲を、欧州地域内でのネットワーク共有、Wi-Fiローミングサービスの向上、通信機器の統一化、M2M通信に関する標準の開発、 成長分野(ホームメディアサーバ/医療サービス/高度道路交通システム/動画配信サービスなど)での技術協力に拡大すると発表した。
モバイルトレンド
増大するモバイルトラフィック対策‐インフラ強化と通信量抑制
独情報通信業界連盟(Bitkom)によると、ドイツ携帯電話ユーザの3人にひとりがスマートフォンユーザである。 2011年度のスマートフォン販売台数は1,180万台となり、前年から31%増えた。 2012年度には販売台数が1,590万台に達し、携帯電話販売の55%を占めると予測している。 このように、スマートフォンの普及はモバイルデータのトラフィック増加を引き起こしており、都市圏でネットワークの混雑が目立つようになっている。
最近のトラフィック増加による通信障害の事例としてはO2のケースがある。 2011年11月、O2は全国の主要都市とその郊外でネットワークの通信速度が遅い、つながらないなどの通信障害が発生していることを発表した。 原因はネットワークのオーバーロードである。同社のサービスに不満を感じた顧客がSNSやオンラインフォーラムに書き込みをしたことから、問題が発覚し、O2が対応に追われる事態となった。
スマートフォンによるトラフィック増加への対策として、携帯各社はインフラの強化とデータ通信量の抑制を挙げている。 インフラ強化策では具体的にはデータオフロードと次世代通信システム(LTE方式)への移行、一方のデータ通信量抑制策では速度制限措置を採っている。
例えば、ドイツテレコムは、Wi-Fiアクセスポイントを利用したデータオフロード対策を実施している。 現在、独自のWi-Fiアクセスポイントを国内8,000ヶ所に設置しているが、今後さらに増加させる一方、スマートフォン側にも3GとWi-Fiを自動切換えするアプリケーションを用意している。 同社のスマートフォン料金プランはWi-Fiを無制限で利用できるオプションがバンドルされている。 また、同社はLTEネットワークへの移行を推進している。 2011年7月よりLTEサービスをケルンで開始し、2011年末現在、対象地域をハノーバー、ブラウンシュバイクなど10都市に拡大している。
Vodafon D2は光インフラ事業者euNetworksと提携し、ベルリン、フランクフルト、ハンブルク、ミュンヘンにおいて、euNetworksの光ケーブルネットワークをバックホール回線として利用することに合意している。 今回の提携によりVodafoneは、euNetworksの大規模な光ケーブルネットワークに接続して、国内のLTEカバレッジを拡大する。 2011年末現在、1,800基のLTE基地局が設置され、LTEカバレッジはおよそ800万世帯に達する。 2010年12月から開始したLTEサービスには約10万人が加入している。
O2はドイツテレコムと携帯電話ネットワーク共有に関する長期契約を締結している。 O2は携帯電話基地局へのバックホール回線にドイツテレコムの光ケーブルネットワークを利用し、同社ネットワークの高速化、大容量化、カバレッジ拡大を図る。
データ通信量抑制について、米国の携帯キャリアが従量課金制へ移行するのとは異なり、ドイツでは従来から速度制限が採られている。 データ通信量が基準量に達した場合に、通信速度が遅くなる仕組みとなっている。 例えばドイツテレコムでは、1GB定額プランを利用しているスマートフォンユーザが1GBを超えるデータ通信を行う場合には通信速度を64kbps(ダウンロード)/15kbps(アップロード)に抑えている。 Vodafoneも同様の方策を行っており、500MB超えた場合は64kbpsの速度制限をかけている。
ネットサービス
ドイツテレコムのスマートハウス
ドイツテレコムは、スマートハウス向けプラットフォーム「スマート・コネクト」を2012年夏より本格的に市場投入する。 スマートハウスとはICT(情報通信技術)を活用した賢い住宅のこと。 その中核技術となるドイツテレコムのスマート・コネクトは、多様なホームマネージメントシステムを統合し、 カーテンや窓やシャッターやブラインドの開閉、照明のON/OFF、警報システム、家電機器や設備機器等を、 スマートフォンやタブレットを使って遠隔制御するソリューション/サービス。 顧客宅に「スマート・コネクト・ボックス」と呼ばれるデバイスを設置し、家庭で利用しているブロードバンド回線経由でクラウドサービスとの連携も図っている。
電力会社のE.ONとEnBW、家電メーカーのeQ-3とMieleがこのパートナーエコシステムに参加。 E.ONとEnBWは、家庭へエネルギーを効率的に供給することが可能になる。
ドイツテレコムは、電力分野を新たな戦略の柱とする方針を明らかにしており、現在、ドイツ南部の都市フリードリヒスハーフェンにおいてT-City「未来都市」創造プロジェクトを推進中、 その一環としてスマートグリッドの実証実験を実施している。
また、ドイツテレコムはスマートメーターの普及に向けた政策的な支援を政府に要請し、具体的なロードマップの策定と補助制度の創設を提言している。 ドイツでは、エネルギー経済法(EnWG)の改正を受け、2010年1月から新築及び大規模改修する建物にスマートメーターの設置が義務付けられた。 一方、EUでは2020年までに域内全世帯の80%にスマートメーターを設置するという目標を掲げている。
スペインなどは既に目標達成に向けた具体的なロードマップを策定しているが、ドイツにおけるスマートメーター設置は、 一部の都市で実施されている運用試験の段階にとどまっているのが現状で、目標期限までに国内の約4,000万世帯にメーターを設置することは難しいとされている。
ブロードバンド
800MHz帯LTEサービスはルーラル地域から開始
(1)ボーダフォン
ボーダフォン・ドイツは2010年9月に国内で初めてLTE商用サービスを開始した。
同社は2010年4月の周波数オークションで800MHz帯の無線免許を取得し、免許条件に応じて、固定ブロードバンドの未整備地域から優先的にLTEネットワークを構築している。
その後、デュッセルドルフなどの都市部でもLTEネットワークの構築を進めている。 これは、自社のDSL顧客のうち、数百万人をLTEに移行させる構想に従ったもので、同社によると、現在ドイツテレコムに対し多額の固定回線使用料を支払っており、 その使用料を回避すれば自社ネットワークへの投資ができると見通している。 また、LTEベースのTVサービスの提供も計画しているという。 2011年9月現在、同社のLTEカバレッジは国内の500万世帯で利用可能となっており、5万2,000人がLTEサービスに加入している。
2011年1月には、独エネルギー大手RWEとブロードバンド網整備に向けて協力することで合意。 RWEが持つガス・電力インフラ網を使って光ファイバー回線を敷設するもので、ブロードバンド空白地帯の解消に役立てる。 ボーダフォンは、RWEと共同で敷設した有線インフラに接続して基地局を設置することでLTEサービスを提供することが可能になる。 一方、RWEはスマートグリッドの通信ネットワークにボーダフォンの技術を活用できるメリットがある。 さらに、2011年7月には、光インフラ事業者euNetworksと提携し、ベルリン、フランクフルト、ハンブルク、ミュンヘンにおいて、euNetworksの光ケーブル回線をバックホールとして利用することに合意した。
(2)ドイツテレコム
LTE網の展開ではライバルのボーダフォンに独走を許しているドイツテレコムは、2011年7月、ケルンでLTEの商用サービスを開始した。
年内にベルリン、フランクフルト、ハンブルク、ミュンヘンなど100都市にサービスを拡大する計画である。
同社によると、500万ユーロを投資して、ケルン市内に100カ所の基地局を設置し、全長約120キロメートルにおよぶ光ケーブルを敷設。
ケルンのLTEネットワーク構築には1.8GHz帯が使用された。月額料金は最初の3カ月限定で74.95ユーロ。
なお、秋からサービスが始まるそのほかの都市では月額89.95ユーロとなる。
(3)E-Plus
国内携帯電話サービス第3位のE-Plusは2011年2月14日、3月末までにTD-LTEネットワークの実証試験を実施すると発表した。
この実証試験ではチャイナ・モバイルから技術ノウハウの提供を受け、無線基地局の設置はZTEに委託する。
また、LTE-FDDとTD-LTEの共存の可能性、TD-LTE用に最適な周波数帯の選定について検討する。
その後、E-Plusは、2011年3月14日に、LTEの実証試験を開始し、1.8GHz、2.1GHz、2.6GHzの3つの周波数帯について試験を行った。LTEサービスの開始時期については今のところ未定。 同社はLTEの本格導入に先駆けHSPA+ネットワ−ク構築を優先的に推進するとしている。
(4)テレフォニカ
国内携帯電話サービス第4位のテレフォニカO2は2011年10月にルーラル地域向けに800MHz帯を使用したLTEの商用サービスを開始した。
当面はブロードバンドゼロ地帯でDSLの代替サービスとして提供する予定で、ゼロ地帯の解消について連邦ネットワーク庁が求める条件をクリアした後、都市圏にサービスエリアを拡大する。
「O2 LTE for home」は、政府の国家ブロードバンド計画の一環として、ルーラル地域向けに価格を抑えたLTEのデータ通信プラン。最初の1年間は月額14.90ユーロ、それ以降は月額39.90ユーロとなる。 通信速度は最大7.2Mbpsだが、上限データ通信量の10GBを超えた場合、384kbpsに落とされる。
同社は2012年半ばまでにベルリン、ハンブルク、ミュンヘンにLTEネットワークを拡大し、同年第3四半期にはさらに10都市を追加すると見通している。またネットワーク構築コストを削減するために、 LTE用バックホール回線の共用について、他社と交渉中であることを明らかにした。
(5)800MHz帯の免許条件
連邦ネットワーク庁は、800MHz帯の免許条件として、ネットワーク事業者(免許人)に対してまずブロードバンドサービスの提供がほとんどされていない農村地域から優先的にLTE網を構築することを義務付けた。
2016年1月1日までにこれら農村地域での人口カバー率を90%に引き上げなければならない。
この際のLTE網の構築は人口5,000人以下の市町村から開始し、人口に合わせて段階的に実施される。
5,000人以下(第1ステージ)、5,000人~2万人以下(第2ステージ)、2万人~5万人以下(第3ステージ)、5万人以上の市町村(第4ステージ)と、順次エリアを拡大し、各ステージにおいて人口カバー率90%を達成した場合、次のステージに移ることができる。
なお、ネットワーク事業者はLTE網の構築で協業したり、周波数リースなどの2次取引が認められている。
国家ブロードバンド計画
2014年までに50Mbsp以上のブロードバンドが全世帯の75%で利用可能に
ドイツ政府は2009年2月に第2次景気対策パッケージの一環として、全国ブロードバンド網整備計画を発表した。 2014年までにブロードバンド世帯普及率を75%に拡大することにより、2015年までにIT業界で3万人の新規雇用を目指すとしている。
ルーラル地域など固定ブロードバンド網の構築が困難な地域には、地上デジタル放送への移行によって利用が可能になったアナログ跡地 (790~862MHz)を割り当て、ワイヤレス・ブロードバンド・アクセスの普及を促進する。
具体的な目標は、(1)2010年までにブロードバンド・ゼロ地域を解消する(ドイツでは約2%に当たる約60万世帯がブロードバンド未整備地域にある)、 (2)2014年までに全世帯の75%で50Mbps以上のブロードバンドを利用可能にする。
政府は2009年6月にアナログ跡地利用の一環として、790-862MHzをワイヤレス・ブロードバンド・アクセスに割り当てることを承認しており、 2010年4月には周波数オークションを実施し、ドイツテレコム、ボーダフォン、O2に800MHz帯の周波数ライセンスを付与した。
800MHz帯の落札者には、LTEサービスの事業展開に関して、「ホワイトスペース」と呼ばれるブロードバンドサービスが提供されていない地域から 優先的に展開してからでなければ、人口密度が高い大都市でサービスを提供開始してはならないとこが義務付けらた。2016年初頭までにブロードバンド・ カバレッジをホワイトスペースの人口の約90%にまで引き上げることが求められている。なお、ボーダフォンは2010年12月から、 ドイツテレコムとO2は2011年夏からLTEの商用サービスをルーラル地域で開始している。
ICT利活用
ICT利活用の基本戦略「ドイツデジタル 2015」
2010年11月、連邦政府は2015年までのICT分野の基本戦略となる「ドイツデジタル2015」を閣議決定した。 ドイツデジタル2015では、ICT利活用やブロードバンド推進のための政策目標や具体的な施策が示されており、 その中の政策目標の柱の一つとして、「デジタル化を通じた新たな成長・雇用確保」(2015年までにICT分野において3万人の雇用の確保等)を掲げている。
そして、この目標達成に向けて、特に重点的に取り組むべき分野として、エネルギー、電気自動車、テレマティクス、クラウドコンピューティングなどを挙げている。
エネルギー分野ではスマートグリッド(次世代送電網)導入より、2020年までに電力供給全体に占める再生可能エネルギーの比率を30%以上に高める。電気自動車の分野では、2020年までに電気自動車を100万台普及させる。 クラウド分野では、「クラウド・コンピューティング・アクション・プログラム」を策定している。
このほかICT利活用に関連する政策として、ICT技術に基づいた未来のエネルギーシステムの開発・構築を目指す官民共同プロジェクト「E-Energy」(注1:2006年12月)、 国家エネルギー戦略に位置づけられる「エネルギー・コンセプト2050」(注2:2010年9月)、「e-mobility国家前略」(注3:2009年8月)などがある。
注1:経済・技術省が4,000万ユーロ、環境省が2,000万ユーロ、経済界が8,000万ユーロを投資する。2008年に全国6ヵ所のスマードグリッド導入のモデル都市を選定しており、2012年にはこの実地テストの結果に基づいてスマートグリッドの具体的提案を行う。
注2:エネルギー消費全体に占める再生可能エネルギーの割合を2030年に30%、2040年に45%、2050年に60%まで段階的に増加させる。特に電力供給に占める再生可能エネルギーの割合は2020年に35%、2030年に50%、2040年に65%、2050年に80%まで高めるとした。
注3:2020年に100万台、2030年に600万台の電気自動車の普及を図る。2009年1月、「第2次景気対策パッケージ」の施策の一つとして、2009~2011年間に5億ユーロの拠出を決定。2010年5月、産学官連携機関「National Electric Mobility Platform」を設立し、 2011年5月、同プロジェクトに対し、2013年度までに10億ユーロを追加投資することを閣議決定した。
- EUの情報通信政策動向の整理――欧州デジタル・アジェンダを中心に (PDF:別ウィンドウで開きます)
支配的事業者規制
固定ブロードバンド市場の競争状況
(1)市場競争の現状
ドイツの固定ブロードバンド市場は、1998年に通信市場が自由化された後も、依然としてドイツテレコムが重大な市場支配力を有している。
これを懸念した連邦ネットワーク庁は2001年頃からドイツテレコムに対するドミナント規制を強化するなどしたため、2006年には競合事業者のシェアがドイツテレコムのそれを一時的に上回ったが、2008年以降はVDSL回線、FTTx回線の全国整備を進めているドイツテレコムのシェアが再び上回っている。
最近ではボーダフォンやテレフォニカといった通信事業者も独自のDSL/VDSL回線を敷設したり、またケーブルテレビ事業者が自社ケーブル網のデジタル化を積極的に実施してトリプルプレイサービスの提供に乗り出すなど、これら競合事業者のシェアも拡大しつつある。
2011年9月現在、固定ブロードバンド市場においてドイツテレコムは約45%の加入者シェアを獲得しており、これにボーダフォン、ドイツテレコムのDSL再販業者であるUnited Internetが共に12%、テレフォニカが9%と続き、CATV最大手Kabel Deutschlandのシェアは5%に留まっている。
(2)CATVインターネット市場の問題点
ドイツではケーブルテレビの視聴世帯が全世帯の約5割を占めるが、CATVインターネット・アクセスは普及していると言えない。
2010年末現在、DSLの加入者シェアが87.8%あるのに対し、CATVインターネット・アクセスのシェアは11%に留まっている。
これは、通信事業者がADSL2+、VDSL、FTTx回線の敷設を積極的に進めきたのに比べて、ケーブルテレビ事業者はケーブル網のデジタル化に出遅れ、IP電話やインターネット接続などの付加価値サービスの提供を怠ったことが考えられる。
デジタル化が遅れた原因として、2003年までケーブル網を所有していたドイツテレコムが競争上の理由からケーブルテレビ事業を売却しなければならなかったこと、ケーブルテレビ事業者が地域毎に分散し、全国規模のケーブルテレビ事業者が存在しなかったこと、 ドイツのケーブルテレビ伝送経路がネットワークレベル1~ネットワークレベル5まで細分化されていることなどが指摘されている。
(3)次世代通信網に対する規制
次世代アクセスネットワーク(NGA)市場において、連邦ネットワーク庁は、ドイツテレコムに対しNGAを競合事業者に開放することを義務づけ、これにより一層の競争促進を図り、ブロードバンドサービスの普及を促進するとしている。
このため、同庁は、2007年6月、ドイツテレコムに対し、同社のダーク・ファイバー並びにケーブル管路を、一定の条件の下(技術的又は容量的な理由によりケーブル管路へのアクセスが不可能な場合)、競合に提供しなければならないとした。
2009年3月には、新規のクロスコネクト・キャビネットへのアクセスを競合に提供するよう義務付けた。
2011年1月には、同社が新規に敷設する光ファイバーについても競合に開放するよう決定した。
放送・メディア政策
放送受信料、2013年から世帯単位で徴収へ
ドイツ全州議会は2011年12月、ドイツ放送受信料制度を改革する「放送州間協定」の第15次改正案を批准した。 受信料の徴収方法が現行の受信機単位から世帯単位へと変更される。 これにより、2013年1月から、受信機所有の有無にかかわらず、すべての世帯に一律の支払い義務が課されることとなった。
現行の受信料は、「放送受信料に関する州間協定」に基づき、ラジオ、インターネットを通じて放送サービスを利用できるパソコンや携帯端末、 テレビが徴収対象となっており、料金は受信機の種類に応じて異なる。 ラジオ、ネット接続可能なパソコンや携帯端末のみを所有する世帯は月額5.76ユーロ、テレビ所有世帯は月額17.98ユーロ(ラジオ・PC・携帯端末の受信も含む)を支払うことになっている。
新制度では世帯の人数や受信機の所有台数に関係なく、すべての世帯から一律月額17.98ユーロが徴収される。 事業所はその規模(従業員数)に応じて受信料が徴収される。 なお、受信料の徴収業務はこれまで通り放送料金徴収センター(GEZ)が行う。
■ドイツ放送受信料制度の概要
ドイツの放送行政は各州政府が権限を有している。
だたし、公共放送の受信料改定に関しては、「放送州間協定」第14条に基づき、公共放送の財源需要審査委員会(KEF)が行っている。
受信料は4年ごとに見直されているが、州政府は政治不介入の観点から、正当な理由がない限りKEFの決定を拒否することができないとされている。
ドイツの公共放送は、ARD(ドイツ公共放送連盟)、ZDF(第2ドイツテレビ)、ドイチュラントラジオが実施している。 公共放送の財源は、受信料、広告収入、スポンサーシップから成り、受信料収入の約70%がARDへ、約27%がZDFに分配されている。 受信料はARD/ZDF収入の約86%、広告収入はARD/ZDF収入の約6%を占めており、残りの約8%がスポンサーシップである。