フランス

モバイル

2社が2014年6月からLTE-Advancedの商用サービス開始を計画

仏移動体通信市場シェア第3位のブイグ・テレコムは2014年2月21日、同社が2013年10月から2都市で行っているLTE-Advanced試験が順調に進行、最大接続速度が182Mbpsに達したと発表した。

ブイグ・テレコムの予定するサービスの利用周波数帯は、2.6GHz帯、1,800MHz帯、800MHz帯のうち2つの帯域の合計25MHzである。基地局設備については、既存のものの再利用が可能であり、新規に設置する必要はないとされている。同社は4月から6月の間に、試験で使用したLTE-Advanced対応設備の接続状況データを公開し、6月から商用サービスの開始を計画しているという。

LTE-Advancedについては、市場シェア第2位のSFRもブイグ・テレコムと同時期にラボラトリー試験を開始、6月までの商用サービス開始を目指している。また、市場シェア第1位のオレンジは、2月19日、電子通信・郵便規制機関から、LTE-Advanced試験実施の許可を取得した。オレンジの試験の実施期間は2月18日から12月31日まで、場所は南西部の中心都市ボルドーで、対応周波数帯は2.6GHz帯と3.5GHz帯のそれぞれ2×20MHzである。

なお、全国周波数庁(ANFR)が3月1日に発表した月次基地局統計では、仏国内で同庁の認可を受けたLTE基地局の数は1万3,599(前月比5.1%増)で、3G対応基地局の3分の1強である。使用帯域別には、800MHz:4,940(うち1,962がSFR、1,143がブイグ・テレコム)、1800MHz帯:6,373(ブイグ・テレコム)、2.6GHz帯:8,388(うち4,239がオレンジ、1,712がフリー・モバイル)であった。

(2014年3月)

LTE網の拡張とともに各社はスマートフォン向けのサービス充実を図る

フランスのモバイル端末利用者のスマートフォン所有率は、2013年前半に40%を超えた。2012年からの市場競争激化により、各社が基本的なパッケージのデータ利用量の上限を引き上げたこともあり、各種情報検索、ゲーム、ビデオ視聴等、データサービス利用が活発化している。また、モバイル端末上でのソーシャルメディアサービス(SNS)利用が顕著に増加、スマートフォンユーザの69%が何らかのSNSサービスに加入している。

スマートフォンの普及とデータサービス利用の増大に伴い、移動体通信各社はLTEネットワークの整備を急ぐとともに、新規サービスの導入により、他社との差別化を図っている。

旧国営で市場シェア第1位のオレンジは、2013年10月末、自社ブランドのAndroid端末「Orange Hiro」の発売を予告した。この端末では、国内のスマートフォンユーザが、マルチメディアサービスのうち最もよく利用しているというビデオ視聴を重視し、音声や画質の向上が図られているのが特徴である。11月に入ってからは、それまでスマートシティのモデル都市でのみ試験的に行っていたNFC技術によるモバイルキャッシュサービスの本格的商用展開に向け、Visaとの提携を発表している。国内の商店はこのサービスの将来性を見越して、既に20万の店舗がモバイル端末向けのリーダを設置しているとされている。

一方、市場シェア第3位のブイグ・テレコムは、11月に、LTE対応スマートフォンのポータルに仏事業者として初めて「LINE」を置き、コミュニケーション・サービスの充実による加入者の増加に期待している。「LINE」のフランス語版は2013年3月に発表され、フランスでのサービス開始は9月末であった。新聞報道等では、隣国スペインの利用者がサービス開始後1年未満で1,500万を超えたことから、フランスでも同様の現象が起こるであろうと予測されている。

(2013年11月)

クラウド、ビッグデータ、コネクティッド

IoT事業者SIGFOXの世界展開

仏地方都市ツールーズを本拠とするSIGFOX社は低速接続を専門とするネットワーク構築事業者で、仏政府のベンチャー支援計画「French Tech」の代表的な参加企業である。2015年1月の国際家電ショーにおいては、低コスト、低エネルギーでの双方向接続デモを実施し、世界の大手ICT事業者の注目を浴びた。

2015年前半には、通信事業者及び通信機器メーカーの同社への投資活動が活発化し、2月には、テレフォニカ、NTTドコモ、SKテレコムという世界の主要通信事業者が、総額1億EURを超える支援基金を創設している。また、6月には韓国のサムスン電子が、同社を含む仏ベンチャー3社に対し、2015年内に合計1,000万US$を出資すると発表した。

SIGFOXの創業は2014年であるが、サービス開始当初から欧州を中心とする国際展開に積極的であり、2015年始めには、スペイン、オランダ、英国の主要都市でサービスを開始している。

2015年9月には、サービス地域は欧州9か国に拡大し、ネットワークに接続するデバイス数は約500万に達した。同社は北米でそれまでにボストンとサンフランシスコに事務所を開設していたが、同15日、米国全土へのサービス展開計画を発表した。2016年3月までに、10大都市(サンフランシスコ、ニューヨーク、ボストン、ロサンジェルス、シカゴ、オースティン、ヒューストン、アトランタ、ダラス及びサンホセ)でのネットワーク構築を開始するという。

SIGFOXはさらに、新興国でのM2Mサービスへの関心が高まっていることに注目し、同社が提供する低コスト・省エネルギー型のネットワークへの潜在的需要は高いとして、10月にはドバイに駐在員事務所を設置、中東・アフリカへの進出拠点とすると発表した。

(2015年11月)

大手通信事業者2社が政府支援の下でクラウド・コンピューティング会社を設立

仏国内では、2009-2010年に固定通信の大手事業者が相次いでクラウド・サービスを開始、企業向けのデータセンター・サービスを今後の事業の中核に位置づけており、2016年までの市場規模は30億ユーロに達すると見込まれている。

また、仏政府は先端産業育成計画「未来への投資」の中で、クラウド・コンピューティングをデジタル利活用サービス重点9項目の一つに置き、2011年から助成対象プロジェクトの募集が行われている。 「未来への投資」計画では、FTTHを中心とした超高速ブロードバンドと先進的なデジタル利活用サービスの推進を目的に「デジタル会社のための国家基金(FSN)」を設け、公共事業を中心対象とする国の融資機関である預金供託金庫(CDC)から、大規模プロジェクトへの融資を実施している。

2012年4月20日、フランス・テレコムのインターネット部門オレンジはFSNの支援の下で、国内の大手電子機器メーカーThalesと共同で、クラウド・インフラ会社を設立すると発表した。 設立資金2億2,500万ユーロのうち、7,500万ユーロがFSNより出資され、新会社の株式所有は、オレンジ:44.4%、Thales:22.2%、CDC:33.3%となる。 主なサービス内容は欧州圏内の企業あるいは行政機関向けのIaaSとされている。

同年5月10日には、ブロードバンド市場でフランス・テレコムに次ぐ市場シェアを有するSFRも国内のシステム開発大手Bullとともに同様の計画を発表した。 設立資金及びFSNからの出資額はオレンジの場合と同額で、株式所有は、SFR:47%、Bull:20%、CDC:33%とされている。 新会社は全国にある両社のデータセンターを統合し、数か月内にサービスを開始、5年以内に年間売上高を5億ユーロまで引き上げるという目標を掲げている。

(2012年5月)

ソーシャル・サービス

Orange Horizonsが米国とメキシコで電子商取引事業を開始

仏旧国営総合通信事業者オレンジは、2013年に設立した「Orange Horizons」を通じて、通信市場への非参入地域にネットサービスを提供している。サービス地域は欧州を中心に30数か国で、主にハイエンドのモバイル端末の消費者向け販売を実施している。

2014年7月7日、Orange Horizonsは米国とメキシコで電子商取引サイト「store.orange.com」を開設したと発表した。store.orange.comの販売商品は、SamsungやSonyのスマートフォンや各種タブレット等100機種を超える。支払はクレジットカード、銀行振込のほか、Paypalでも可能である。オレンジは、米国及びメキシコの全域で、消費者は発注後3日以内に対応商品を受け取ることができ、30日以内であれば返品も受け付けるとしている。

なお、メキシコでは、スペイン語圏向けサービスポータル子会社starMediaがサイト運用を行うという。

(2014年7月)

ブロードバンド

観光客向け高速Wi-Fi接続サービス開始

パリを本拠とするWi-Fi接続事業者Travel Wi-Fiは、仏通信市場シェア3位のBouygues Telecomと提携し、旅行者向け高速Wi-Fi接続サービス(有料)を開始した。

サービスの利用方法は、利用前にオンラインで注文と支払を済ませ、指定の空港、ホテル、郵便局でポケット型のワイヤレスモデム(Personal Hotspot)受け取りと返却を行うというものである。Wi-Fi接続機能を持つ端末を用いれば、任意の場所でBouygues Telecomの3G/LTE網へのWi-Fi接続が可能になる。料金は利用期間により、1日あたり6ユーロ(30日以上)~15ユーロ(2日間)。データローミングについては、10MB/10EURの従量制である。バッテリーは1回の充電で6時間程度持続し、利用期間中は何度でも充電できる。このモデムとサービス地域はほぼ全国の都市とされている。

仏政府の2014年11月の報告では、フランスはWi-Fi接続の整備状況では世界をリードしており、国内のWi-Fiスポット数は約1,300万である。そのほとんどは通信キャリアがカフェ、ホテル、商店等との提携により運用しているもので、90%以上の自治体をカバーしている。これらのスポットへの接続は、非加入者であっても事業者のサービスポータルからの対応アプリケーションのダウンロード(無料)により可能であるが、利用の際には、従量制のパスを購入する必要があり、最大手のオレンジの場合、料金は接続時間30分で1.5ユーロである。特定の事業者とのかかわりなしに無料接続を実施している店舗はあり、マクドナルドやスターバックス等、米国系の飲食チェーンでは、ほぼ無料での利用が可能とされている。

一方で、2014年初頭には、パリをはじめとする国内の大都市の多くが、デジタル環境整備計画の一環として住民向けの無料サービスを実施しており、非居住者でも利用可能である。この場合、アクセスポイントは市庁を中心とした公共施設である。

(2015年6月)

事業者のM&A・国際展開

2015年夏の仏事業者M&A動向

近年総合通信市場シェア第1位のオレンジ(旧フランス・テレコム)とメディア・コングロマリット・グループVivendiは、それぞれの子会社の株式の売却や他社の株式の取得を年に数回の割で実施している。2015年7~8月にも、国外の事業者との間で、幾つかのM&A関の動きがあったが、2つのグループの意図する進出地域は対照的である。

オレンジは、近年欧州市場での業績が沈滞気味であるのに対し、中東・アフリカ地域での加入者と売上高の伸長が順調であるところから、この地域での進出国の増加に期待をかけている。7月20日には、印Bharti Airtelのアフリカ事業子会社Bharti Airtel Internationalと、4か国の移動体通信事業買収について排他的交渉を開始した。対象地域はブルキナファソ、コンゴ共和国、シェラレオネ及びチャドである。一方では2009年に市場参入したものの、投資に見合う加入者数や収益が得られなかったアルメニア子会社の売却を決定、8月3日に現地ISPのUcomと同社株式100%の買収について合意が成立した。

Vivendiはオレンジとは逆に、メディア・コンテンツ市場での地位固めという見地から、欧州市場への集中化を進行させている。Vivendiは子会社であったブラジルのブロードバンド事業者GVTの全株式を5月28日にスペインの旧国営通信事業者テレフォニカに売却したが、契約の一環として、テレフォニカが有していたテレコムイタリア株式14.9%強のうち、8.24%分を取得した。Vivendiはこの取引に先立って、上場されていたテレコムイタリア株式から、全体の6.66%を入手しており、合計の持分は14.9%、テレフォニカに代わり、テレコムイタリアの筆頭株主となった。

7月30日には、VivendiはGVT株式の売却と交換で所有していたテレフォニカ・ブラジル(ブランド名Vivo)の7.5%分をすべて手放した。7月29日に3.5%分がテレフォニカ本体の株式0.95%分と交換、30日には残りの4%分が8億7,700万US$で同社に売却され、Vivendiはブラジル通信市場から撤退した。Vivendiが2013年から続けてきた欧州外の子会社の売却はこれでほぼ完了したといえる。

(2015年8月)

放送・メディア

IPTV加入世帯が30%を超え、有料放送のトップに立つ

2012年6月に仏放送事業者規制機関CSAは2011年後半のテレビ市場レポートを発表した。2011年12月末には、仏国内の99%の世帯が何らかの形でデジタルテレビサービスを利用している。利用デジタルサービスの方式別割合は、地上デジタル:61%(1,630万世帯)、衛星:22.5%(270万世帯。有料放送に限れば12.5%)、ADSL:30.8%(830万世帯)、ケーブル:8%(220万世帯)。

2011年の特徴はADSLを通じたIPTVの伸長で、3年間に114%の増加を示している。衛星及びケーブルについては、3年間の増加率はそれぞれ20%、30%であるが、2011年に有料衛星放送とケーブルは約1%の減少を見ている。

デジタルテレビサービスを1種類しか利用していない世帯での各サービスの利用割合の順位は、1 地上デジタル(56.1%)、2 ADSL(20.3%)、3 衛星(17.2%)、4 ケーブル(6.4%)である。2種類を利用している世帯では、地上デジタル+ADSLが42.4%を占め、2位の地上デジタル+衛星の28.9%を大幅に上回っている。

IPTVの加入割合が特に高いのは首都圏(39-47%)と地上デジタル受信で周波数干渉が起こりやすいドイツ国境地域(29-37%)であるが、他のどの地域でも3年前と比較すれば10%以上の伸長を見ている。なお、フランスでは2000年代後半から、固定ブロードバンド事業者の提供するプランの中心が、ADSL接続+IP電話+IPTVをセットにしたトリプルプレイになっており、実際の利用の有無にかかわらず、IPTV利用可能なプランへの加入者は、2011年12月末現在、約1,225万5,000で、ADSL加入者の58.4%である。

(2012年7月)

ブロードバンド・ICT基盤整備

ARCEP、イノベーション開発支援のため、通信事業者としての義務の一時的な緩和を認める制度を開始。希望事業者を募集

通信規制機関の電子通信・郵便規制機関(ARCEP)は、11月28日、イノベーション開発支援のため、通信事業者としての義務の一時的(2年間)な緩和を認める制度「Regulatory Sandbox」と、同制度の利用を希望する事業者の募集を開始したと発表した。

同制度の実施はフランスでは初めてである。この制度は、それを望むスタートアップや新サービスの実験を準備しているあらゆる事業者に、周波数割当等に関連する義務の緩和による恩恵を提供する。また、このチャンスをスタートアップに知らせるために、ARCEPはスタートアップ施設「Station F」で11月29日にこの制度について発表する。また、2018年の3月21~22日にパリで開かれる「IoT World」と、4月4~5日にリヨンで開かれるIoTイベント「SIDO」でも、この制度を紹介する。

(2017年12月)

オレンジ、PSTNの廃止計画を規制機関等に通達

2016年2月、通信事業者のオレンジは、規制機関の電子通信・郵便規制機関(ARCEP)、ならびに競争事業者に対して、公衆交換電話網(PSTN)を順次廃止しIP網に切り替えていくと通達した。

PSTNの廃止についてオレンジは、関連設備が老朽化し、設備の供給を行う事業者もPSTN技術への対応を終えており、ネットワークの維持が困難であると説明している。そして、将来的に重大な機能不全や故障が発生する恐れがあるとも述べている。

規制機関のARCEPも2014年にPSTNからIPへの移行に関する決定を行っており、オレンジの計画に異議を唱えることはないと見られる。ただし、オレンジがPSTNの廃止時期を明示していないことから、ARCEPはオレンジに対してPSTNを廃止する5年前には対象地域に事前通知を行うよう求めていく。

(2016年3月)

首相が「国家デジタル化戦略」を発表

仏首相Valls氏は6月18日、経済成長、雇用の伸長及び国際社会での地位強化の鍵は官民双方のデジタル・サービスの発展にあるという認識の下、「デジタル共和国」を目指す戦略計画を発表した。この計画は、4つの主目標の下に14の政策とそれぞれの政策の実現のためのアクションを提示している。主目標と各政策の概要は以下のとおりである。

主目標
  • イノベーションの自由:成長の原動力としてのデジタル産業の活力を最大限に引き出す。
  • デジタル社会での権利の平等:市民とその個人情報の保護。
  • デジタル・ディバイドの解消:年齢、居住地、収入にかかわらず国民すべてにデジタル・サービスを提供。
  • デジタル・サービス提供モデルとしての国家:公的サービスの改善のため、政府機構をデジタル化。
政策
  • ICTベンチャー支援プログラム「French Tech」の強化と国際化:デジタル化庁と国営の企業融資機関の連携により、プロジェクト助成や国際見本市への出展等支援等を実施するとともに、優れた国外ベンチャーの誘致を活発化
  • 公益に資するデータの開示:公的機関のみならず、一般企業からも公益性の高いデータを提出、利用層に合わせて多様なアクセス方法を提示
  • 大企業とベンチャーの協力によるオープン・イノベーションの推進:様々な規模の企業がICT関連の起業を積極的に支援、提携を推進し、リスクを共有
  • 中小企業のデジタル化:デジタル・サービス事業者の中小企業向け商品開発を支援、中小企業のインターネット・サービス利用を活発化
  • 科学研究成果・データの流通の自由化:科学技術論文・データのアーカイブを作成。アクセスを自由化
  • 途上国の技術革新プロジェクトの支援:フランス語圏を中心に途上国の技術開発プロジェクトへの専門家派遣、研修サービス等を通じて、デジタル化の国際エコシステムを形成
  • 建造物のデジタル化:2,000万ユーロの基金を設置、地方自治体等との協力に基づき、低コストで既存の建造物をデジタル化する技術の開発や普及を推進
  • イノベーションを阻害しない消費者保護プラットフォームの構築:国レベルでデジタル・サービス提供の原則を規定し、適宜関連法典を改正
  • 社会的弱者のデジタル・サービス利用推進:高齢者や求職者がデジタル・サービスを利用できる場を随所に設け、それぞれの場所にインストラクターを派遣
  • 教育デジタル化計画の展開:自治体予算で小中学校へのデジタル機器設置を推進(2015年は200の中学校と340の小学校が対象)、デジタルスキル習得環境を整備
  • 政府のデジタル・サービスへのベンチャー手法導入:小規模チームによる短期間での効率的なビジネスというベンチャー型手法で、2017年までに12の政府サービスのデジタル化プロジェクトを達成
  • 未来型医療計画の展開:デジタル化、テイラーメイド医療、バイオセラピーに関する普及プロジェクトを一本化、2015年秋に今後3年間のロードマップを完成
  • 求職者向けサービスプラットフォーム「雇用ストア」開設:求職者と雇用に関するアプリ開発者の便宜のため、求人、関連プログラム開発、就労情報交換、企業との連絡に関する4つのプラットフォームを構築、無料で開放
  • デジタル関連高等専門学校の設立:出身地や学歴にかかわらず若年層に無料で高度なデジタル専門技術を教授する専門教育機関を設置

なお、首相の戦略と同時に、政府のデジタル化関連政策の諮問機関である国家デジタル化委員会は、70項目の提言を含む報告書「デジタル化への意思」を提出した。この報告書は、インターネットを公的な場と位置付け、オープンデータ、オープン・イノベーション推進の方向性を明らかにしている。

また、仏電子通信・郵便規制機関(ARCEP)は6月25日、「国家デジタル化戦略」に合わせて、今後の規制の中心を競争市場調整からデジタル化への投資振興にシフトする方針を明らかにした。今後の政策的重点分野として、ARCEPはIoT及びスマートシティ、移動体通信網の事業者間共有、地方自治体の主導するFTTHサービスのアクセス料金、銅線網の相互接続料金、中小企業との対話の推進、個人情報保護機関との連携、ネットワークカバレッジの一般への周知、「欧州単一市場」への協力を挙げている。

(2015年7月)

モバイル

デジタル経済担当相は移動体通信事業者数の減少を志向するも、事業者間での合意はならず

仏経済・デジタル化担当相Montebourg氏は、6月4日の元老院経済委員会で、携帯ネットワーク事業者を現在の4社から3社にすることで、通信市場の投資環境を改善するという構想を述べた。

同氏は3月に外資系ケーブル会社ニュメリカブルによる仏第2の総合通信事業者SFRの合併決定から、移動体通信市場での料金引下げ競争による通信事業者のインフラ投資資金減少と、経営の悪化した事業者の外資による買収を危惧している。同氏によれば、この事態を打開するには、国内事業者同士の統合により、過度の料金引下げ競争を抑制するとともに、インフラの維持コストを下げることが望ましく、インフラの統合により浮いた資金は新たなインフラ構築に回せるであろうという。

具体的には、旧国営事業者オレンジによる、総合通信市場第3位で、移動分野での料金競争で業績が悪化しているBouygues Telecomの吸収合併が構想されている。同相の通信業界再編のプロセスは三段階に分かれている。

  • オレンジがBouygues Telecomを吸収合併する。
  • Bouyguesの移動体通信網及び対応周波数の一部を新規参入事業者フリー・モバイルに売却する。
  • フリー・モバイルの属するイリヤッド・グループが、オレンジから携帯ネットワークの再販を受ける代わりに、同社のルーラル地域におけるFTTH網構築プロジェクトに共同投資する。

経済相は、この計画により、ネットワーク投資を犠牲にして低価格競争をあおりたてていると評されるイリヤッド・グループに携帯ネットワークの維持管理と国家超高速ブロードバンド計画への参加を要求することができると考えている。

オレンジはこの計画に従い、5月からBouygues Telecomとの交渉を進めてきたが、株式買収額で折り合いがつかず、7月2日、交渉の中断を発表した。オレンジ社長によれば、同社が提示した株式買収額60億ユーロに対し、Bouygues Telecomは75億ユーロから80億ユーロを要求したという。

(2014年7月)

スマート社会

仏政府、2015年までのデジタル産業助成計画を発表

仏政府は2013年7月9日、新たな産業振興計画「フランスのための投資」を発表した。この計画の主目的は、2025年を目途とした仏企業の競争力強化とエコロジー社会への移行であり、鉄道、都市環境、エネルギー制御等の公共インフラのスマート化とされている。特にフランス電力公社(EDF)の配電部門ERDFの開発したスマートメーター「Linky」の普及が重点項目の1つで、2016年までに全世帯の1割にあたる300万世帯を対象にした試行プロジェクトの開始、2020年までの仏全世帯普及が目指されている。

2010年からの先端産業育成計画「未来への投資」には、新たな国債発行による収入から120億ユーロの追加資金が予定されている。このうち、「デジタル経済」分野への助成資金は約6億ユーロとされている。その使途については、4月に追加された新たな重点項目(ビッグデータ、コネクテッド・オブジェクト等)、従来からのICT利活用推進項目(eヘルス、電子教育、スマートシティ等)、及び地方自治体が地域の主要都市に整備する「デジタル街」のプロジェクト助成にそれぞれ3分の1ずつ割当てられると報道されている。

(2013年7月)

オランド政権のICT利活用政策

2012年5月に仏大統領に就任したオランド氏は、2013年3月、デジタル社会化ガイドライン「デジタル化に関する政府活動ロードマップ」を発表した。このガイドラインでは今後のデジタル社会化の主要政策として18項目が挙げられている。

サルコジ前政権も2011年末に包括的なデジタル社会化政策「フランス・デジタル2012-2020」を発表している。「デジタル化に関する政府活動ロードマップ」は、「フランス・デジタル」と基本的な目標を共有しつつも、昨今の社会情勢と政権(社会党)の基本方針に合わせて優先課題を絞り込み、各政策に具体的対応策を付記したものと位置付けられる。重点課題については、産業振興が前面に出ていた「フランス・デジタル」に比べ、欧州経済危機と雇用不安が広がる中で、教育・医療・電子政府等、国民の生活に直接関わる部門の充実が目指されているのが特徴である。

18の政策の表題は以下のとおりである。
(1) デジタル化による若年層の教育・就業機会増大
政策1:学校教育プログラムにデジタル関連教科を導入
政策2:義務教育の教諭へのICT研修
政策3:「デジタル大学」プロジェクトの開始
政策4:デジタル人材育成
政策5:デジタル技術による低学歴人材の就業機会増大
(2) デジタル化による国内企業の競争力強化
政策6:「デジタル街」の建設
政策7:デジタル関連の重要技術開発に総額1億5,000万ユーロの助成
政策8:中小企業のデジタル化に総額3億ユーロの貸付
政策9:10年間で全世帯を超高速ブロードバンドに接続
(3) 仏デジタル社会・経済の価値の向上
政策10:「公共デジタルスペース」の開発
政策11:デジタル機器取扱等に関する各種能力証明取得の推進
政策12:ICT企業に対する税及び付加価値税制の改革
政策13:デジタル社会における個人の権利と自由の保護を立法化
政策14:文化財のデジタル化
政策15:政府データのオープン化推進
政策16:電子身分証明書戦略の再構築
政策17:デジタル技術を用いた医療サービス提供体制改革
政策18:インターネット監視システムの流出の管理

「デジタル化に関する政府活動ロードマップ」発表後、最初に注目を浴びた分野は医療関係である。上記の政策17は、2010年からの先端産業育成プログラム「未来への投資」の枠組みで、3-5のパイロット地域での医療のデジタル化プロジェクト(インターネットを経由した在宅診療、疾患情報共有、病院運営における資源配分の最適化、医療情報セキュリティシステムの改善等)に総額8,000万ユーロの助成を行うと規定している。3月25日には、「未来への投資」のeヘルス分野で第2次のプロジェクト選定が終了、医療機器メーカーを中心とした遠隔診断や在宅医療機器関連の合計14のプロジェクトに対し、総額2,300万ユーロの助成が決定した。

4月25日には、上記政策7に基づき、「未来への投資」におけるこれまでの重点8分野(クラウド・コンピューティング、コンテンツのデジタル化、埋め込みソフトウェア、eヘルス、通信網のセキュリティ確保、インテリジェンス・システムを用いた輸送、デジタル都市計画、電子教育)に加え、新たに以下の4分野を総額は1億5,000万ユーロの助成対象とし、2013年中にR&Dプロジェクトの公募を開始するとした。

  • ファームウェア及びコネクテッド・オブジェクト技術開発
  • デジタル・シミュレーション及びスーパーコンピューティング技術開発
  • ビッグデータ利用ソリューション
  • 情報システムのセキュリティ確保技術
(2013年5月)

仏政府は先端産業育成の国家計画でICT利活用開発を支援

仏政府は、国債収入を財源に先端産業育成を支援するため、2010年に発足した「未来への投資」計画の一環として、ICT利活用推進につき、2017年までの予算として約25億ユーロを設定した。

計画実行に当たって中心的な役割を担う経済・財政・産業省は2011年3月、「未来への投資」のデジタル経済分野で、以下の8つを重点投資分野とし、 政府支援プロジェクトの財政管理に携わる預金供託金庫(CDC)への預託金から総額14億ユーロの政府投資基金を設置、民間資本の営利プロジェクトに関する貸付を実施すると発表した。

  • クラウド・コンピューティング
  • コンテンツのデジタル化
  • 埋め込みソフトウェア開発
  • eヘルス
  • 通信網のセキュリティ確保
  • インテリジェンス・システムを用いた輸送
  • デジタル都市計画
  • 電子教育

これに先立ち、上記8テーマにナノテクノロジーを加えた9分野で、2010年末から研究開発に関する助成対象プロジェクトの公募が行われている。 こちらについては、やはりCDCへの預託金から総額8億5,000万ユーロの助成金が設定されている。

「未来への投資」ではさらに、スマートグリッドに2億5,000万ユーロの予算が設定され、2011年7月には6つのパイロットプロジェクトへの助成(合計2,800万ユーロ)を開始した。 このほか、eヘルスに関しては、2011年6月に労働・雇用・医療省が国家戦略の概要を提示した。同省はeヘルスに関する技術の発展と普及を支援し、特に全国レベルでのプラットフォームの構築に注力するとして、以下のアクションを提示した。

  • 医療機関間での情報共有システムに関する専門委員会の設立
  • 個人の病歴や受診記録を記載し、複数の医療機関で利用できる電子カルテの普及
  • 自治体の遠隔診断プロジェクトに対する助成、2011年に3,200万ユーロ
  • 経済・財政・産業省のeヘルス関連システム開発プロジェクトへの支援

セキュリティ、プライバシー

「通信傍受法案」が国民議会で可決

仏国民議会(日本の衆議院に当たる)は5月5日、首相Valls氏が3月19日の閣僚会議で提出した「通信傍受法案」を賛成多数で可決した。この法案の目的は、テロ予防手段として容疑者捜査の許容範囲と利用技術の枠組みを定めることとされている。

法案では、仏国内でのテロ行為が疑われる人物への身辺捜査技術として、住居への盗聴器や監視カメラの設置、通信記録の入手といった従来の手段に、国際通信を含む通信回線上の交信の傍受を加え、通信内容がテロの実行に関するものであれば交信を遮断できるとしている。

一般の人々のプライバシー侵害の可能性については、通信傍受の適用を「それ以外の手段で情報を入手できない」場合に限り、捜査期間も限定される。傍受行為の是非の判断に際しては、国家通信傍受技術利用委員会(CNCTR)という新組織を創設する。通信傍受の実施を意図する機関は、その属する省を通して首相に申請を出し、首相はCNCTRへの意見聴取の後是非の判断を下すとされている。また、傍受の実施要件が十分でないとCNCTRが判断したにもかかわらず許可が与えられた場合、CTCNRは行政裁判所である国務院に提訴することができる。国務院はこの法に関する一般市民からの提訴も受け付けるとされている。

この法案については、国内のインターネット・サービス事業者協会が発表後直ちに反対の意を表明したのみならず、法案の発表に際して諮問を受けた政府関連機関も概して批判的な見解を発表した。

仏個人情報保護機関(CNIL)は、傍受記録ファイルの取扱につき、交信の記録や保管が、個人情報基本法が禁じる個人データコントロールに当たるのではないかと懸念し、国家デジタル化委員会(CNNumerique)は、傍受対象である「疑いのある人物」の定義や傍受実行期間が明確に示されておらず、条文の拡大解釈がマスコントロールに陥る事態を危惧しているという意見を述べた。

電子通信・郵便規制機関(ARCEP)も、政府の意見聴取に対して、傍受の実施に当たっては、通信事業者のネットワーク運用及び消費者サービスに支障を来たさないことに留意すべきであり、通信事業者には事前の通告が必要であること、傍受による通信網混乱の予防及び支障が生じた際の復旧に対する補償体制を確立することが必要という回答を返した。

国民議会は法案の審議中に、対テロ捜査の目的が「国益の維持」であることを明示する、傍受の方法について通信事業者等に事前に資料を請求する等、CNCTRの権限を強化する、傍受に関する情報の提供を拒否あるいは誤った情報を与えた通信事業者への処罰等、幾つかの改変を加えた。

この法案について、フランスのもう一つの議会である元老院(日本での参議院に当たる)での審議は6月2日に開始の予定である。

(2015年5月)

内務省、テロ関連サイトのブロックに関する政令を公布

仏内務省は2月5日、「テロ行為を誘発、あるいは賞賛する内容をもつ、あるいは児童ポルノに類する画像や描写を掲載する」サイトのブロックに関する政令を公布した。

この政令公布の背景には、過激派組織「イスラム国(ISIL)」による各国へのテロ行為の深刻化がある。仏首相は同組織によるとみられるパリ新聞社襲撃事件直後の1月13日、内務省に向けて、同20日までに、「テロ行為の実行を可能にする集団の結成、成員間の連絡、武器等の入手」がネット上で行えないようにするための提案を求めていた。

これに対して、仏国内の主なWebサービス事業者(Google、Facebook、Deezer、Dailymotion等の22社)が構成する仏インターネットサービス協会(Asic)は14日に、首相の発言はテロ防止を理由に政府がインターネット統制を行うことを是認するものであるとして反対の意を表明している。しかしながら、その後のISILによる日本のジャーナリストの拉致・殺害で、犠牲者の映像がネットに流される等の事件が、内務省が政令公布に踏み切る契機となった。

政令の内容は、サイトの編集あるいは運用主体が、テロリスムを扇動する内容のコンテンツの掲載につき、関連政府機関の警告を受けたにも関わらず、指摘されたコンテンツのサイト掲載を続けた場合、当該のサイトのアドレスのリストがネット接続事業者に通知される。サイトの指定やリストの作成等の担当部署は、内務省国家警察総局情報通信関連犯罪対応室である。通知に従い、事業者は24時間内に指定サイトへのアクセスをブロックする。なお、ブロック後に指定サイトへのアクセスを試みたユーザの画面には、サイトのブロックの主旨を記述した内務省の通知が表示される。

この問題に対して、この政令では、コンテンツのブロックの是非については、アドレスのリストが国家個人情報保護機関(CNIL)の指定する識者の元にも送付され、その意見を仰ぐという形式をとるという措置を提示している。

CNILは1月26日に、「ネット上に公開される莫大な量のファイルから、テロ関連のものを選別して事前に公開を禁止するのは不可能」という見解を表明しつつも、昨今の状況を鑑みて、何らかの規制が必要な状況に至っているとはしている。CNILによれば、「言論の自由」に抵触せずに、サイトの規制が有効に機能するためには、欧州全体の関連機関の協力に基づき、監督機関の権力濫用を防止し、透明性の高い枠組みを形成することが必要であるという。

(2015年2月)

個人情報保護機関がGoogleに罰金の決定

フランスで個人情報保護に関する規制活動を実施するのは、各省からは独立した国家機関である国立情報保護機関(CNIL)であり、同機関は通信分野をはじめとする各産業分野で、事業者に向けた個人情報保護に関する各種ガイドラインを発行するほか、スマートフォンやSNS利用における情報公開について、一般向けの啓発活動を実施している。

CNILは国内でネット関連事業者が一般のユーザの個人情報を侵害した場合、事実関係を調査のうえ、罰則を課す権限を有する。2014年1月3日には、Googleが欧州で行っているサービス利用者からの情報収集は、フランスの個人情報保護法が規定する以下の条件を満たしていないとして、同社に15万ユーロの罰金を科すと発表した。

  • ユーザにGoogleの個人情報収集の目的や使途に関する十分な情報を与えていない。
  • ユーザの端末のcookies設定に付き、事前の同意をとっていない。
  • 収集した情報の保存期間を決定していない。
  • 法的な裏付けなしに各種サービスから得た個人情報を組み合わせて処理している。

CNILはまた、Googleはこの通知に関するニュースを、通告から8日以内に自社サイトに最低48時間掲載し、自社の個人情報処理体制に関する政府機関の見解を周知すべきだとした。なお、Google Franceはこの決定を不服として、1月14日に行政訴訟の最高裁判所に当たる国務院への上訴を実施した。

国務院は2月7日、Googleの上訴要件の一部を却下した。国務院の決定内容は、CNILの科した罰則のうち、決定内容のサイト掲載に関するもので、Googleはこれに従い、仏語ポータル(www.google.fr/)に罰金措置に関する表示を掲載した。一方で国務院は、罰金措置の妥当性についてはなお審議の期間が必要であるとして、今回はその是非に言及していない。

(2014年2月)

放送・メディア

政府、フランス・テレビジョンの財政再建に苦慮

仏公共放送フランス・テレビジョンは2015年8月24日、前総裁の任期満了に伴い、前オレンジ副社長のErnotte Cunci氏を新総裁に任命した。同氏は就任に当たり、今後5年間の事業目標として以下を提示した。(1)傘下の6チャンネルの番組の内容充実、(2)ニュース専門チャンネルの開設、(3)地上放送とデジタル媒体の融合、(4)国外への番組輸出や国際番組制作の活性化。

新総裁は上記の目標のため、数年間赤字が続いているグループの財政再建が必要であるとし、年末にかけて組織再編に取り組むとともに、政府に給付金の増額を呼びかけた。

フランス・テレビジョンでは、前政権下で2009年から実施された夜間(20時~翌6時)の広告の廃止が、年間約1億ユーロの収入減をもたらし、毎年数千万ユーロの赤字を計上することになった。2015年も様々な経費節減策を打ち出しているものの、1,000万ユーロ程度の赤字は免れられないと見られている。

これに対して、放送部門の監督官庁である文化・コミュニケーション省は、8月に公共放送の財源確保策として、現在テレビ受像機所有に対する課税と位置付けられている受信料徴収の対象をネット接続デバイスに拡張することを提案したが、これには通信担当の経済・産業・デジタル化省が反対している。

9月13日の文化・コミュニケーション省発表では、2016年については、受信料は物価スライドに応じて各世帯平均1ユーロ程度の増加にとどめるとした。徴収対象については、機器の確定がまだ出来ていないという理由で、当面見送りとなった。

一方で「電気通信税(2009年からフランス・テレビジョンの広告収入の減少分の補完として設定されたインターネット接続事業者の売上高への課税)」については、徴収割合が売上高の0.9%から1.2%に引き上げられる。この措置について、通信事業者は強く反対の意を表明しているが、文化・コミュニケーション省では、この措置を公共放送の赤字を一般の人々が背負う事態を避けるためとしている。通信事業者が増税分を消費者料金に加算するのではないかという危惧については、この数年の料金競争の激化と契約期間なしのサービスプランの増加から、加入者が容易にプランを乗り換えるようになっているため、事業者は増税に従う料金引き上げで加入者を失うことは避けるであろうとしている。

なお、オランド大統領は、9月7日の報道関連者向けインタビューで、公共放送救済には受信料の徴収対象拡張よりも広告放送の増加が望ましいと述べた。同氏は財務相等とともにフランス・テレビジョンの夜間の広告放送復活について検討中であり、結果は2016年政府予算発表時に明らかにするという。

(2015年9月)

電波関連

移動通信事業4社、ルーラル地域のブロードバンド普及の加速化で政府と合意

2018年1月、移動通信事業4社(オレンジ、SFR、ブイグ・テレコム、フリーモバイル)は、無線ブロードバンドの普及を加速し、2020年までにフランス全土において高品質の無線ブロードバンド網を構築することで、フランス政府と合意した。マクロン仏大統領は、2017年7月に、全ての国民が高速インターネット(8Mbps)へのアクセスを保証し、また2022年までに国内全土での超高速ネットワーク(30Mbps)へアクセスできるようにする目標を明らかにしており、今回の合意は、同方針の一環として、政府、地方自治体、通信事業者が協議を進め、合意に至ったものである。

通信事業者の実施事項は、ARCEPなどが発表した文書「フランス全土への高品質モバイルカバレッジの実現に関する事業者義務の記載」(Description des engagements des opérateurs sur la généralisation d'une couverture mobile de qualité pour l'ensemble des Français)にまとめられている。同文書において挙げられている移動通信事業者の実施事項は以下の通りであり、通信事業者の投資額は、約30億ユーロと見積もられている。

  • 2020年までに4Gサービスの未提供地域を解消する。このために、各社5,000基の基地局を設置し、必要に応じて、RAN(Radio Access Network)型の設備共有を図る(*)。
    • * 全ての基地局設備を対象とした設備共有。基地局の共有には、ほかに敷地だけの共有、アンテナや鉄塔だけの共有がある。
  • 2020年までに、道路・鉄道の主要交通網55,000kmを4G網でカバーする。地方政府所在地を結ぶ高速道路(11,000km)及び1日当たり5,000台以上の車両交通がある道路(44,000km)を対象とする。
  • 2020年までに、既存の2G/3G網を4G網にアップグレードする。例外措置として、音声、SMS、3Gのサービス普及が遅れているルーラル地域のカバレッジを改善する「空白町村地区」(zones blanches - centres-bourgs)プログラムの対象地域については、2020年までに75%、2022年までに100%を達成する。
  • 2018年に、Wi-Fiを使った屋内通話機能を提供できるようにする。フリーモバイルは2019年末までにこれを実現する。
  • 既存の固定通信網で提供できるデータ通信の速度が8Mbps以下の地域においては、2018年に4Gによる固定無線ブロードバンド・サービスを提供する。

これらの事項は、2018年に各事業者の既存免許に書き加えられる。また、ARCEPは、これらの進捗状況の情報公開を進めるとしており、人口密度の低いルーラル地域におけるモバイルカバレッジの状況の四半期報告を公表するほか、ウェブサイト「monreseaumobile.fr.」などにおいてカバレッジのマップ情報を公開するとしている。

(2018年2月)

規制機関ARCEP、5Gへの3.5GHz帯の分配方針を発表

電子通信・郵便規制機関(Autorité de régulation des communications électroniques et des postes:ARCEP)は、2017年6月、第5世代移動体通信(5G)への3.5 GHz帯(3400 MHz-3800 MHz)の分配に関する方針を発表した。2017年1月から3月に実施されたパブリックコンサルテーション「地域、企業、5Gおよびイノベーションのための新たな周波数」(De nouvelles fréquences pour les territoires, les entreprises, la 5G et l’innovation)の結果報告を行った際に、ARCEPが明らかにしたものである。

ARCEPの計画では、5Gへの3.5 GHz帯の分配について、①同帯域における周波数の再編、②5Gトライアル用の周波数の分配を行うとしている。①は、同帯域上の周波数を途切れのない連続したものにし、2020年までに300 MHz幅を、2026年までに340 MHz幅を5Gシステムで連続して利用できる帯域に再編する、というもの。ARCEPは、3400-3600 MHz帯を中心に既存の免許帯域の入替え等を行い、そのための免許内容の改正を行う予定である。現在、既存の地域事業者約20社が同帯域を利用しており、ARCEPは、2017年末までに、これらの既存事業者との周波数調整を行うとしている。

②の5Gトライアルについては、3600 MHz-3680 MHz の80 MHz幅を分配することとしている。ただし、同周波数は、国内地域により規制状況が異なっているため、先ずは、リヨン(Lyon)、ナント(Nantes)、リール(Lille)、ル・アーヴル(Le Havre)、セイント・エティエンヌ(Saint-Etienne)、グルノーブル(Grenoble)の都市において、トライアル用の帯域を分配する。ARCEPは、2018年中に5Gサービスの国内提供を実現したい意向であり、5Gトライアル用の周波数帯域の早期利用を、事業者に呼びかけている。

なお、5G以外に、上記パブリックコンサルテーションでは、次の2つのサービスへの周波数利用に関する意見も求め、ARCEPは、これらサービスへの周波数分配についても迅速に対応する方針を明らかにしている。

  • ①固定無線による超高速アクセスサービスの普及
  • ②業務移動無線(Professional Mobile Radio:PMR)の超高速ネットワークへの移行

①については、特に、有線による超高速通信が利用できない地域における無線システムの利用を図るため、ARCEPは、3.5 GHz帯を、超高速無線ネットワーク用の無線ローカルループ(WLL)のアップグレードに利用する方針を明らかにした。3420 MHz-3460 MHzの40 MHz幅を分配し、更に、規制状況により追加分配が許容される地域では、3410 MHz-3420 MHz帯の10MHz幅を分配することを検討するとしている。

この方針について、ARCEPは、2017年7月13日から、コンサルテーション「フランスにおける超高速無線のための3410-3460 MHz帯の分配」(Attribution de fréquences de la bande 3410 - 3460 MHz pour le très haut débit radio en France métropolitaine)を開始しており、3410 MHz -3460 MHzの利用手続きの詳細や同帯域の利用を制限する場合の条件などについて、利害関係者のコメントを求めている(9月7日締切)。ARCEPは、同コンサルテーションの結果を踏まえ、同年9月中に同帯域の利用に関する決定を採択するとしている。

②のPMRは、現在、空港・地下鉄などのインフラ事業者や民間企業に広く普及しているが、多くの場合2G技術を使っており、これを超高速ネットワークにグレードアップするために、ARCEPは、2.6 GHz帯における時分割(TDD)用の40 MHz幅(2575 MHz-2615 MHz)を分配する方針を明らかにした。2017年秋にパブリックコンサルテーションを実施し、この結果を踏まえ、2017年末までに周波数分配手続きを開始する計画である。

図 2.6GHz帯及び3.4-3.6GHz帯の利用方針(イメージ)
(2017年8月)

5G、IoT、PMR等のための新たな周波数割当てに関する公開諮問を開始

フランス電子通信・郵便規制機関(Electronic Communications and Postal Regulatory Authority: ARCEP)は2017年1月6日、以下の周波数帯に対する将来の利用ニーズと、これらの帯域の割当て方法について、利害関係者に問うための公開諮問を開始した(注1)。
  • 2.6 GHz(TDDバンド:2570-2620 MHz)
  • 3.5 GHz
  • 1.4 GHz
  • 2.3 GHz
  • 700 MHz(FDDの下り専用バンド:738-753 MHz)
  • 400 MHz
  • 26 GHz
これらの帯域の用途としては、以下が想定されている。
  • 4Gや将来の5G向けの公衆モバイルサービス
  • 有線での超高速アクセス網の敷設が困難な地域における超高速無線インターネットアクセスの提供
  • 交通機関や電力会社などが使用する超高速アクセスが可能な業務用モバイル無線(Professional Mobile Radio: PMR)
  • 高まるIoT需要への対応
このうち2.6 GHz帯の40 MHz幅はPMRに、3.5GHz帯の40MHz幅はルーラル地域における超高速無線ネットワークにそれぞれ割り当てることが提案され、3.5GHz帯の残りの帯域については5Gでの利用が見込まれている。

パブリックコメントの締切は2017年3月6日で、これらの帯域の割当て時期は2017年下半期が予定されている。

(注1)http://www.arcep.fr/index.php?id=8571&no_cache=1&L=1&tx_gsactualite_pi1%5Buid%5D=2026&tx_gsactualite_pi1%5BbackID%5D=26&cHash=3ab7a1a13d8bf39703d2512143c5c62d

(2017年1月)

低出力IoT向けに新たに900MHz帯を配分する方針

フランスの電子通信・郵便規制機関(Autorité de Régulation des Communications Électroniques et des Postes: ARCEP)と全国周波数庁(L'Agence nationale des fréquences: ANFR)は、IoTの需要拡大に備えるため、国防省に割り当てられている862-870MHz、870-876MHz、及び915-921MHzを開放し、低出力機器が利用できるようにするため、技術的かつ規制上の諸条件について検討するための公開諮問を開催した(2016年6月3日~7月18日)(注1)。公開諮問の結果の概要は2016年10月19日に発表され(注2)、利用技術としてはLPWAN(Sigfox、LoRaWAN、Qowisio等)やWi-Fi HaLow(802.11ah)が、また、利用シーンとしては、新スマートシティ(水道・ガスメーター、駐車場、街灯等)、ホームオートメーション(警報装置、煙探知機等)、ヘルスケア等が提案されている。

今後、ANFRは、ARCEPと協力し、これらの帯域の欧州域内における周波数の共通化(ハーモナイゼーション)に向けて、欧州郵便電気通信主管庁会議(European Conference of Postal and Telecommunications Administrations: CEPT)における周波数管理作業グループの標準化会合において、フランスの立場を強調していく方針である(図参照)。また、ANFRは、2017年3月に採択される予定のSRD(Short Range Devices)向けの周波数の共通化に関する欧州委員会決定(EC Decision)を見据え、国防省とARCEPと協議して、これらの3つの帯域を低出力機器向けに配分するために、国家周波数分配表の改定提案の首相への提出に向けて準備する予定である。

図 欧州と日本における900MHz帯のRFID等向けの周波数配分の状況
注:欧州では既に863-870MHzがRFID/SRD向けに配分されているが、新たに870-875.6MHzと915-921MHzをSRD/TTDAとRFIDに配分することが検討されている。
略語:RFID: Radio Frequency Identification、TTDA: Tracking, Tracing and Data Acquisition、GSM-R: Global System for Mobile communications – Railway、MCA: Multi-Channel Access radio system
出所:各種資料をもとに作成

LPWANの無線システムを手掛けるSigfoxは、世界約30か国で事業展開しているフランスのスタートアップ企業であることから、フランス政府としてもこうした企業の海外展開を後押しするねらいがあると見られる。

(注1)862-870MHz、870-876MHz、915-921MHz帯の新たな利用機会(「Nouvelles opportunités pour l’utilisation des bandes 862 - 870 MHz, 870 - 876 MHz et 915 - 921 MHz」)に関する公開諮問

(注2)http://arcep.fr/fileadmin/uploads/tx_gspublication/synth-consultation-arcep-anfr-19102016.pdf

(2016年11月)

700MHz帯オークションで4ネットワーク事業者が落札

仏電子通信・郵便規制機関(ARCEP)は2015年7月9日、700MHz帯(703-733MHz/758-788MHz)のデジタル放送からモバイル・ブロードバンドへの移行計画に従い、同帯域の周波数利用許可(20年間)のオークション参加の受付を開始した。

オークションの対象帯域は2×5MHzずつ6ブロックに分けられ、1事業者が応札できるブロックは3ブロックまでであった。また既に800MHz及び900MHz帯の周波数利用許可を得ている事業者は、700MHz+800MHz+900MHzで2×30MHz以上の帯域を利用することはできないとされた。

各ブロックへの応札で、1ブロックの最低価格は4億1,600万ユーロに設定された。各事業者の希望ブロックが6件を上回った場合、ARCEPは段階的に価格を引き上げて応札者が希望件数を減らすのを待ち、希望件数が6件になった時点での最高額を落札額とするとしている。落札金額の支払については、落札時に4分の1、残りは1年ごとにまた4分の1と、4回の分割払とされている。また、各事業者は周波数管理料として、年ごとに前年の売上高の1%を徴収される。

ARCEPはまた、6ブロックの落札者が決定した時点で、改めてブロックの選択に関する補助的な入札を実施、高い金額を提示した事業者から順番に希望のブロックの利用許可を取得できるとした。

このオークションには仏移動体通信市場の4ネットワーク事業者(オレンジ、SFR(注)、Bouygues Telecom、フリー・モバイル)が参加、11月の開札で、オレンジとフリー・モバイルが2ブロック、SFRとBouygues Telecomが1ブロックを落札、12月9日に利用許可が付与された。

表 各事業者の落札帯域及び金額
(単位:ユーロ)
事業者名 帯域 落札金額
SFR 703-708MHz/758-763MHz 466,000,000
オレンジ 708-718MHz/763-773MHz 933,078,323
Bouygues Telecom 718-723MHz/773-778MHz 467,164,000
フリー・モバイル 723-733MHz/778-788MHz 932,734,001
出所:ARCEP
落札者の主なカバレッジ達成義務は以下のとおりである。
  • 全国:2027年1月 人口の98%、2030年末 人口の99.6%
  • 道路:2030年末 100%
  • 指定ルーラル地域 2022年末 人口の50%、2027年1月 人口の92%、2030年末 人口の97.7%
  • 鉄道路線:2022年1月 60% 2027年1月 80%、 2030年末 90%
(注)2014年にケーブル事業者のNumericableと合併して社名はNumericable-SFRとなったが、携帯サービスのブランド名はSFRを維持している。
(2015年12月)