イギリス

スマートフォン

スマートフォンが英国のモバイル市場・産業に与える影響

Ofcomが2011年8月に発表した英国通信市場の動向をまとめた報告書「2011年通信市場報告書(Communications Market 2011)」によると、 2011年の英国通信市場における最も重要な動きとして、スマートフォンの急速な普及が指摘されている。 同報告書では、GfKが集めたスマートフォンの販売実績のデータが提示されており、それによると、2009年第一四半期から2011年第一四半期までの間に、 スマートフォンの販売台数は約3倍にまで膨れ上がっており、2011年第一四半期までに携帯電話の新規販売端末の約半数がスマートフォンとなるまでに至っている。

スマートフォンの急速な普及は、モバイル市場・産業に大きな影響を与えている。オペレータ側から見ると、スマートフォンの増加は、 データによる収入の増加に貢献する一方で、トラフィックの増加によりネットワーク負荷が増大しており、それに対応するための料金プランの変更等が行われている。

英国のモバイル市場の売上高は2009年に3.3%減少したが、2010年に回復基調となった。 しかし、その伸びは、過去5年間の平均伸び率2.8%の4分の1の0.7%に止まった。最も伸び率が高かったのは、レンタル料金の売上高で2億ポンド増加しており、月額契約の加入者が増加している。 しかし、バンドル外サービス収入は、多くの利用者が音声、メッセージ、データの値引きを受けているため、落ちている。唯一の例外が、データ収入であり、7.6%増加している。 これはスマートフォン利用の増加による影響であり、特にプリペイド利用者にこの傾向が顕著で、データの値引きが小規模であり、消費者の間で予想外のデータ利用が行われたことも影響していると考えられる。

英国においては、2009年からモバイルデータサービスの利用が急増しており、PC・ラップトップに接続するドングルを通じたインターネット接続とモバイル端末によるデータサービス利用が増加している。 2010年にはモバイルデータ量が67%増加しており、この背景には、2011年3月時点で英国の人口の26%が所有し、2010年後半にはモバイル端末販売の40%を占めるまでにいたったスマートフォンの増加がある。

モバイルデータ利用の急激な増加は、モバイル・ネットワークに大きな負担をかけており、特にピーク時にその傾向が著しい。Ofcomの2010年第4四半期のブロードバンド実績調査では、 オフピーク時の下りの平均速度は1.9Mbpsであったが、ピーク時には1.4Mbpsに落ちている。 2007年第4四半期と2010年第4四半期のデータ伝送量を比較すると、3800%も増加している一方で、オペレータのデータ収入は46%しか増加していない。

モバイルデータ量の増加に対応するため、オペレータは利用者に対してデータ制限と段階的料金制の導入を行っている。 2010年1月にはT-Mobile(当時)がビデオのストリーミングとダウンロードに500MBの上限を設定した(ウェブブラウジングは無制限)。 2010年6月にはO2が、自社の全モバイル料金プランから無制限データプランを廃止し、料金プランによって毎月500MBから1GBまでの枠を設定し、追加料金として毎月500MBまで5ポンド、1GBまで10ポンドを課している。

クラウド・コンピューティング

英国政府のクラウドコンピューティングを活用したICT戦略

内閣府は、2011年10月、新ICT戦略を発表し、向こう4年間でICT支出を約14億ポンド(約1,680億円)削減する目標を示した。

新ICT戦略では特にエンドユーザ・デバイス、クラウドコンピューティング、ICT能力、政府のグリーンICT戦略の分野に力点が置かれている。

具体的な実施計画は以下の通りとなっている。

2011年10月:クラウドコンピューティング戦略を発表
2011年10月:エンドユーザ・デバイス戦略を発表し、実施プログラムを開始
2011年10月:グリーンICT戦略を発表
2011年12月:オープン・テクニカル基準(案)を発表
2011年12月:政府全体の情報戦略原則を発表
2012年3月:オープン・テクニカル基準を決定
2012年6月:オープン・テクニカル基準を省庁で利用開始

政府は2015年12月までに、中央政府の新ICT支出の50%をクラウドコンピューティング・サービスに移行する計画となっている。

この流れのなかで、2012年2月19日、公共機関向けオンラインICTアプリケーションストア「CloudStore」の提供が開始された。 これは、政府が進めている政府機関用クラウドコンピューティング・サービス「Gクラウド(G-Cloud)」提供プロジェクトの一環である。 Gクラウドのフレームワークは、公共機関におけるITサービスの購入、管理、デリバリーに大きな改革をもたらすもので、 従量制料金を設けることで、公共機関自らがシステムを開発することなく、必要なサービスを必要なだけ購入することが出来るようになる。

CloudStoreは、公共機関に対しより安く、素早く、透明性の高いICTサービスの購入を可能にするもので、eメールを初め、 ワードプロセッシング、システムホスティング、企業のリソースプランニング、電子レコードマネジメントなどのサービスが提供される。

政府は、このICT戦略のビジョンをいかに実際の成果につなげるかが重要であり、 同戦略の実現は市民、政府省庁、ビジネスに対して本質的な変化をもたらすとしている。

大手事業者の合併・買収・国外進出

Everything Everywhere、中国電信ヨーロッパとMVNOパートナーとして提携合意

Everything Everywhere(オレンジUKとTモバイルUKの統合会社)は2012年1月4日、 中国電信ヨーロッパ(China Telecom Europe)が同社のネットワークを利用してMVNOサービスを開始すると発表した。 中国電信ヨーロッパは、中国電信が100%資産を統括するEMEA(欧州中東アジア)地域向け子会社。

このパートナーシップで中国電信ヨーロッパは中国以外の国で初めてMVNOサービスを提供することになる。 両社の戦略合意は、Everything EverywhereのMVNOサービスアグリゲーター「Transatel」を通して結ばれたもので、 中国電信ヨーロッパは、2012年第1四半期中に、主に在英中国人・事業所や中国人旅行者や学生をターゲットにモバイルサービスを展開する予定となっている。

Everything Everywhereの卸・M2Mの副代表オーバトン氏はこの提携合意について、中国電信ヨーロッパが英国におけるMVNOパートナーとして同社が選ばれたことを喜んでいると説明している。

モバイルトレンド

英国のモバイル・ネットワーク事情-3G、Wi-Fi、LTE-

英国においては、2010年末時点で、モバイルコネクションの40.9%が3G接続可能となっている。 Everything Everywhereの誕生により同社は英国最大の3Gコネクションを抱えることになった。 3Gサービスのみを提供するオペレータの3UKは、2009年時点では最大の3Gコネクションを抱えていたが、 現在そのシェアは最小となっている。

2011年第1四半期には、英国でブロードバンドに接続している家庭の75%がWi-Fiルータを利用しており、 その多くがWi-Fiが利用できるモバイル端末(ほとんどがスマートフォン)で固定ブロードバンド回線を利用して、 契約プランのデータ上限を超えないようにすると同時に、より良好なブロードバンドのパフォーマンスを得ている (2010年第4四半期時点で、固定ブロードバンドの平均下り速度は6.2Mbps、モバイル・ブロードバンドは1.5Mbps)。

パブリックなWi-Fiホットスポットもモバイル端末のデータのオフロードに貢献している。 BTは英国最大のホットスポット・プロバイダで、BT FON 網は200万のアクセスポイントを持ち、 BTが自社で展開している公衆無線LANサービス「BT OpenZone」のホットスポット数は約4,000か所となっている。 BTのブロードバンド・サービス「BT Total Broadband」の契約者はBT FONと、BTが既に展開していた自社のホットスポット 「BT OpenZone」のサービスが利用可能で、iPhoneとAndroid端末で無料のアプリをダウンロードすると、BTのWi-Fi網にアクセスができ、 現在地に最も近いホットスポットがわかるマッピング・サービスが利用できる。 2010年10月時点で17万人がこのアプリをダウンロードしているという。

O2、Orange、Vodafone、Tesco Mobileも自社のモバイル料金プランにWi-Fiホットスポットへのアクセスサービスを含めている。 2011年1月にO2は自社独自のWi-Fi網を構築すると発表し、2013年までに1万5,000か所に拡大するという。 同じ時期にSkyもWi-FiオペレータのThe Cloud(英国全土で5,000か所のホットスポットを保有)の買収を発表しており、 モバイル網に依存しないコンテンツ伝送サービスの可能性を模索している。

なお、現在の英国のモバイル網は3G/HSPA標準となっているが、LTEネットワークの構築も試行されており、 Ofcomは2012年第1四半期に800MHzと2.6GHzの周波数オークションを実施し、2013年から商用LTEサービスの提供開始を計画している。

ブロードバンド

英国のブロードバンドサービス市場の概要

英国のブロードバンド市場は、2008年頃まで堅調な拡大傾向を続けていた。しかし、2009年以降、英国経済の停滞と市場自体の飽和傾向が重なり、伸びが鈍化する傾向にある。

英国のブロードバンド市場における接続技術別のシェアは、2011年3月末時点で、DSLが76.65%、ケーブルが22.13%、WiMAXが0.16%、その他(光ファイバや衛星ブロードバンド)が1.06%となっている。

ブロードバンド市場プレイヤーは、2011年3月末の加入者シェア順に、(1)BTグループ、(2)Virgin Media、(3)TalkTalk (Tiscali UKを含む)、(4)BSkyB(EasynetとUK Onlineを含む)、(5)Orange UK(2010年7月にT-Mobile UKと合併してEverything Everywhereとなる)、(6)O2 UKとなっている。

Ofcomが2012年2月に実施したブロードバンドスピード調査 によると、一般世帯のブロードバンド下りスピードは7.6Mbpsで、2010年10-11月比で約22%速くなっている。消費者がより速い商品に乗換える傾向があり、2011年11月時点で英一般世帯ブロードバンド接続の約58%が下り最大スピード10Mbpsまたはそれ以上の商品を購入している。

国家ブロードバンド計画

英国の国家ブロードバンド政策

現在の英国における国家ブロードバンド戦略の基本政策としては、2010年10月発表の財務省の「国家インフラ計画(National Infrastructure Plan)」と、 2010年12月の文化・メディア・スポーツ省(DCMS)とビジネス・イノベーション・技能省(BIS)の共同発表による「英国の超高速ブロードバンドの未来(Britain’s Superfast Broadband Future)」が挙げられる。

(1)財務省による「国家インフラ計画」
財務省は、2010年10月25日、英国のインフラの直面している課題と持続可能な経済成長のために必要な投資を示す「国家インフラ計画」を公表した 。 その中で、経済活動の基盤としてエネルギー、交通、デジタル通信、洪水、廃棄処理が取り上げられている。

デジタル通信に関しては、それがビジネスの生産性向上、公共サービス向上及び雇用創出に寄与するものとして、2015年までに欧州最速の超高速ネットワークを構築するとともに、 国民の誰もがブロードバンドにアクセスできる体制を目指すこととしている。そのために政府が講じる措置の概略は次のとおり。

●民間投資の促進
  • 多数の通信事業者がBTの既存ネットワークの管路・電柱の使用を希望していることから、OfcomにBTと共同で管路等の開放方針を策定させること
  • ブロードバンドに対応したビルの認証方法を2010年12月までに策定すること
  • 2011年度中にも次世代モバイル・ブロードバンドに適した800MHz及び2.6GHzの周波数帯のオークションを実施すること
  • 公共セクターが利用している5GHzのうち少なくとも500MHzを今後10年間の新たなモバイル通信分野に開放すること
●民間投資が期待できない地方の対策
  • 4地域においてパイロット事業を実施すること
  • 2010年中にも、地方の官民共同体(Local Enterprise Partnerships)や地方自治体、地域住民と共同でパイロット事業の具体的な方針を決定すること
●政府の公約
  • 2010年12月までにBISの担当下で国家ブロードバンド戦略(National Broadband Strategy)を策定すること
  • 2014年度までの間に(BTが予定している25億ポンド等の民間投資とは別枠で)5億3,000万ポンドを民間投資が期待できない地域への超高速ブロードバンド整備を実施すること

(2)DCMSとBISによる「英国の超高速ブロードバンドの未来」
DCMSのハント大臣は、2010年12月6日、「英国の超高速ブロードバンドの未来」を発表した。これは英国が2015年までに欧州一のブロードバンド網を整備するという政府目標の一環であり、 同計画が実施されれば8億3,000万ポンドの公的資金が投入され、国内の至るところで「デジタル・ハブ」が出現することが期待されている。

ハント大臣は、超高速ネットワークは経済に活力をもたらすもので、何十万もの雇用創出と数十億ポンドものGDP押し上げ効果があると述べるとともに、超高速ブロードバンドの便益は経済効果にとどまらず、 行政サービスのオンライン化などを通じて社会の繁栄と公平性確保に寄与するとしている。

同計画中の主な具体策としては下記が掲げられている。

  • すべての地方自治体に「デジタル・ハブ」を2015年までに構築
  • 地方部へのブロードバンド実証実験の第2段階として5,000万ポンドを投入
  • BTの管理する管路や電柱を開放
  • ブロードバンド敷設を前提としたビル建設を行うよう、建設事業者へのガイドラインを作成
  • 州政府等と協力して、道路下に光ファイバを敷設できるよう、道路制度を改定
  • 次世代携帯サービスを可能とするため、800MHz帯と2.6GHz帯の開放

キャメロン首相は、2010年前半に保守党マニフェストを発表した際に、情報格差の是正の重要性を説き、英国内が電子的につながりデジタル先進国となるための援助を実施していきたいとしている。

デジタルコンテンツ振興

DCMS、BISと共同でクリエイティブ産業協議会を立ち上げ

文化・メディア・スポーツ省(DCMS)とビジネス・イノベーション・技能省(BIS)は2011年7月13日、両省共同でクリエイティブ産業協議会を立ち上げると発表した。ケーブルBIS大臣を議長に置く同協議会は、 クリエイティブ産業から生の声を聞くことで、政府がその成長を後押しするために何ができるかを検討する場となる。テレビ、コンピューターゲーム、ファッション、音楽、アート、出版、映画の関係各社の トップを構成員としおり、DCMSからはベイジー通信担当大臣が出席した。

BISのケーブル大臣は、英国のクリエイティブ産業の国内経済に占めるシェアは5%に達し、輸出も順調に伸びていて欧州最大の規模をほこるものの、これを当然視せずに官民が連携する場が必要だと述べた。 DCMSベイジー通信担当大臣は、世界中で英国発の音楽やビデオゲーム、映画があふれるなど、有力な成長分野であるクリエイティブ産業に対し政府としてテコ入れを図っていきたいと語った。

協議会では、より詳細な議論に時間を割くことができるよう、テーマを絞りそれに対応したテーマ毎にワーキンググループ(WG)が設置される。 現在、俎上に載っているテーマは、産業内の技能・訓練方法、資金調達方法、産業規模の測定方法などである。WGでの議論の成果は2012年1月の次期総会で発表される予定である。

ネット利用の安心・安全

7つのメディア規制機関の共同運営によるウェブサイト「ParentPort」、不適切なコンテンツからの子どもの保護を促進

英国では、7つのメディア規制諸機関が共同で、不適切なコンテンツからの子どもの保護を促進するため、 ウェブサイト「ParentPort」(http://www.parentport.org.uk/home)を立ち上げて運営している。 これは、メディア・通信・小売り分野における広告、商品、各種サービスに関する保護者の意見を集めることを目的にしたもので、 2011年10月に8つの規制機関が共同で立ち上げた。

7つの機関は、Advertising Standard Agency(広告基準局)、Authority for Television on Demand(オンデマンドTV規制機関)、BBC Trust、British Board of Film Classification (英映画等級審査機構)、 Ofcom、Press Complaints Commission(プレス苦情委員会)、Video Standards Council(ビデオ基準審査協議会)。

同ウェブサイト設立の動きは、2011年6月に発表された「ベイリー報告書」(注)の勧告に基づいて行われたもので、 TV・ラジオをはじめ、オンライン、DVD、携帯、ゲームコンソール、新聞、雑誌、郵便、カタログ、チラシを通したコンテンツに関する苦情や意見を保護者から広く集める。

ウェブサイトでは、保護者が不適切なコンテンツ・サービスを見聞きした場合に、どのように苦情や危惧を関連規制機関に伝えることが可能かを説明しており、また同ウェブサイトからも直接、保護者のフィードバックを受け付けている。

受け付ける苦情の対象は、(1)プログラム(TV、ラジオ、DVD、携帯電話、ゲームコンソール等)、(2)広告(TV、ラジオ、野外広告、チラシ、カタログ、郵便、ゲームコンソール、 携帯、映画館、DVD等)、(3)映画(TV、映画館、DVD、携帯電話、ゲームコンソール等)、(4)ビデオゲーム(ゲームコンソール、PC、オンライン、携帯、DVD等)、(5)新聞・雑誌(記事、写真、コメント、広告等)、(6)その他(オンラインセキュリティ、おもちゃ、衣類等)となっている。

(注)「ベイリー報告書」
キリスト教の国際的慈善団体Mothers' Unionの代表であるReg Baileyによる独立見直し報告書「Letting Children be Children - Report of an Independent Review of the Commercialisation and Sexualisation of Childhood」。その主な勧告内容は下記のとおりである。
  • 子ども向けTV放送時間帯に、適切なコンテンツを放送する仕組みづくり:一般視聴者の意見ではなく保護者の意見を重点的に取り入れる必要がある。
  • 音楽ビデオへの年齢レーティングの導入
  • アダルト対象オンラインコンテンツを保護者が容易にブロックできる仕組みづくり

放送・メディア政策

BBC、2011年度の経営基本方針及び行動計画を公表

BBCは2011年6月3日、2011年度の経営基本方針及び行動計画を発表した。BBCは、BBCトラストとTV受信料負担者に対し開放性と透明性の向上を確約してきており、 2016年までにBBCトラストの設定した1)番組・サービスの差別化と品質の向上、2)TV受信料を支払っている視聴者の費用対効果の向上、3)透明性に関する新基準の設定、 4)全視聴者の満足度の向上の4つの目標を達成しなければならない。

この目標の実現に向け、2011年度に経営陣・職員がなすべきことを明記したものが経営基本方針及び行動計画であり、次のようなBBCの戦略、サービス改革及び予算のほか、 「2003年通信法」266条に基づく番組方針に関する文書から成っている。

<BBCの戦略>
  • BBCトラストの設定した4つの目標の具体化
  • オリンピック、地デジ化等に向けた組織内連携の強化
<サービス改革>
  • 発散しがちのオンライン番組の統一
  • ハイビジョン、アーカイブ、エンタメラジオ番組等の新サービス開始
  • 2012年に向けた準備(オリンピック、女王即位60周年記念行事)
<予算>
  • TV受信料の収入37億7,500万ポンドに対し、支出は38億7,600万ポンド
  • 放送局移転や地デジ化で支出増の一方で、オンライン番組の統一化や間接費削減で支出抑制
  • 地デジ基金の年度末の剰余金は2,000万ポンド増で、3億1,500万ポンドとなる予定
  • TVで5か国分、ラジオで7か国分の放送から撤退。多数の中短波放送を中止
<番組方針に関する文書>
  • TV全国放送で7つ、ラジオ全国放送で9つ、ラジオ地方放送で5つのチャンネルほか、英国内アジア人向け放送、 議会放送、ニュース、オンライン放送、双方向テレビ放送それぞれについての編集方針を提示

周波数関連政策

英国の800MHz及び2.6GHzの周波数オークション規定の概要

Ofcomは、800MHz及び2.6GHzの周波数オークションに関するコンサルテーションを2011年3月から5月にかけて実施し、以下の内容を含むオークションの規則案について検討を行った。

  • 周波数の総量規制:1事業者当たりの周波数総量は、2×105MHz(210MHz幅)。1GHz以下(800MHz、900MHz)については、1事業者当たり27.5MHz
  • 周波数の下限制限:オークションが終了した時点で、4事業者(Vodafone、O2、Everything Everywhere、3UK)の入札結果が、下限値に満たない場合、入札は無効
  • 800MHz帯落札者の義務:2017年までに、英国人口の少なくとも95%が居住している地域に、屋内の受信比率が90%で、2Mbps以上の、持続的な下り回線サービスの提供が可能な電子通信網を供給
  • 技術サービス中立:有害な干渉を管理するために必要となる最小限の技術的制約を除いて、提供されるサービス、並びに、使用される設備の技術又は種類を制限しない
  • 免許期間と免許期間満了後の措置:2013年1月1日から20年間とし、その間はOfcomによる免許の取消し権限を制限。免許期間満了後は、支払可能な免許料(licence fees)を課す(再免許)、 あるいは、政府による電波監理を根拠に、免許を取り消す
  • 周波数取引:無線電信免許の権利及び義務を、取引可能とする
  • 最低落札価格の基準値:(1)現在進行している周波数移転(デジタルTV、PMSE:ラジオマイク等)の最低限の見積費用額、(2)周波数の価値に相当する見積額、又は、(3)上記二つの組合せ

しかし、本コンサルテーションに対して、多数の重要かつ検討を要する意見が提出されたため、Ofcomは、2011年末までに第2回コンサルテーションを実施することを、2011年10月7日に公表した。 その結果、当初計画では、2012年第1四半期にオークションを開始する予定であったが、2012年第4四半期にずれ込む見通しが示されている。

英国政府は新たなローカルTV局の設立に向けホワイトスペースの割当てを検討

文化・メディア・スポーツ省(DCMS)は、2011年7月18日、「英国におけるローカルTVの新たな枠組み」(A new framework for local TV in the UK)に関する諮問文書を公表し、 ホワイトスペースを利用して、地上デジタル放送を実施するローカルTV局の設立に関する、新たな制度枠組みを提案した。

本提案では、「地理的なインターリーブ周波数」(geographically interleaved spectrum: GIS、いわゆるホワイトスペース)の8MHz幅を、ローカルTV向けのマルチプレックスに割り当てる方針が示されている。 しかし、ホワイトスペースは英国全土で等しく利用できるわけではないため、ホワイトスペースが利用できない地域では、ブロードバンドを早期に整備することにより、IPTV(TV over Internet Protocol)によってローカルTV番組の配信を行うことが期待されている。

ローカルTVの周波数割当てに向けた技術検討では、Ofcomは、ロンドン、エジンバラ、カーディフ、ベルファストを含む25の人口過密都市で、(1)GIS(ホワイトスペース)、(2)既存の放送局のチャンネルが共有しているマルチプレックス、 (3)アナログ跡地として開放される600MHz帯(550-606MHz)のそれぞれの帯域で検証し、600MHz帯に新たなマルチプレックスを設けることが最も効率的にカバレッジが稼げる結果となった。 しかし、600MHz帯は、高精細テレビ(HDTV)や3Dテレビなどの需要が見込まれることから、最終的にホワイトスペースを割り当てることが適当とされた。

ローカルTV向けの新たなマルチプレックス事業者は比較審査によって選定される予定で、設備投資コストや運用コストの低廉化や、ローカル番組が提供される地域の数の極大化が、評価基準に含まれる。また、マルチプレックス事業者による放送網の構築には、 EUの国家補助規定に従い、BBCが最大2,500万ポンドまで資本提供することとなっている。