[HTML]
H1

最新研究一覧

コンテンツ

一般財団法人マルチメディア振興センターでは、ICT分野の発展に資することを目的として、ICT分野の政策・制度整備、市場開拓・拡大、技術発展、社会での利活用といった視点からテーマを設定して、調査研究を行っています。主要な研究テーマについては、研究報告書としてとりまとめています。
各報告書は、販売もしておりますので、ご希望の方はこちらにご連絡ください。
当財団の賛助会員(法人)の方には、これらの研究報告書を送付しています。

お知らせ年度表示
掲載年選択
お知らせ表示

2017.10.01

  • 最新研究
  • 三澤 かおり

ピョンチャン冬季オリンピックにおける韓国のICT戦略

日本では2020年東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京オリンピック)開催に向けて、幅広いICTサービス環境整備に取り組んでいる。そのため、2018年2月に開催される韓国のピョンチャン冬季オリンピックにおけるICT分野のサービス戦略と環境整備に対する日本からの関心は高い。
ピョンチャン冬季オリンピックでは、5G、IoT、UHD放送、AI、VRの5分野の先端技術を活用したICTサービスを提供する。5Gの世界的主導権確保を目指す韓国では、2019年3月に世界初の5G商用サービス化に向けて準備を進めており、5Gへの注目度は高い。オリンピックでの5G試験ネットワーク活用サービスでは、VRやホログラム等のメディア系、自動走行等のリアルタイム制御系のサービスが提供される。IoTでは、AR活用道案内アプリ開発や多様なIoTサービスを体験できるIoT Street整備が進められる。UHDでは、世界初の地上波4Kによる大会中継を目玉としている。AIでは自動通訳アプリやAI活用コールセンター等が提供される。VRでは冬季オリンピック競技の追体験や大会競技中継等のサービスが提供される。これらのオリンピック大会向けICTサービスはパッケージ化して海外展開できるように、ICT輸出に向けた環境整備も並行して進められている。
さらに、オリンピック大会を支えるICT活用体制として、セキュリティ関連対策と無料Wi-Fi整備、周波数管理体制についても網羅した。緊急事態の備え、大会データ専用のデータセンターは二重構築体制をとる。大会開催地域ではPS-LTE方式の統合災害安全無線ネットワークが構築され、救助機関の連絡体系の一元化が図られている。統合災害安全無線ネットワークは2020年を目途にサービスエリアを全国拡大する計画である。大会開催自治体では、IoTを活用した救急支援システムを全国に先駆けて導入した。無料Wi-Fi整備については、政府が2013年から通信料金引き下げ政策の一環で進めてきた全国的な整備事業はオリンピック向け環境整備との連携は見られなかった。オリンピック向けWi-Fi環境整備は別事業で進められた。
ピョンチャン冬季オリンピックで戦略的に提供される5分野のICTサービスはいずれも発展途上の段階にあり、これまで開発されてきた基盤の延長上にある。従って、現段階でできることを見せるという通過点の位置づけである。本報告書ではピョンチャン冬季オリンピックのICT活用側面について、現時点の情報から把握できる限りを網羅した。本調査結果を、ピョンチャン冬季オリンピックのICT側面に注目する際の見取り図的マップとしてご活用いただければ幸いである。