米国の有料放送市場では、オンライン動画配信サービスが存在感を増しており、ケーブルテレビ離れが進行している。そのような市場環境の変化を受け、ケーブル業界は、オンライン動画配信サービスへ対抗するための競争力強化を目的とした業界再編に乗り出している。2015年以降、複数の大型M&Aが相次いでいるが、特に注目を集めたのが、タイム・ワーナー・ケーブルをめぐって繰り広げられたコムキャストとチャーター・コミュニケーションズによる買収劇である。両案件についてのFCC買収審査の焦点が、有料放送市場ではなくブロードバンド市場における競争環境、特にオンライン動画配信サービスの成長にあることが関心を呼んだ。近年のFCCは、競争政策上、オンライン動画配信サービスの存在を重要視しており、合従連衡を進めるケーブル事業者が勢いを増すオンライン動画配信事業者と競合できるのか、規制政策の方向性を含め、今後の動向が注目される。