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調査研究成果

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2017.10.01

  • 最新研究
  • 木賊 智昭

ICTの活用による製造業の高度化に関する政策動向

本報告書は、モノのインターネット(IoT)やビッグデータなど、近年、新技術として普及しつつある情報通信技術(ICT)を活用して、製造業の高度化を図る主要国の政策動向を調査したものである。

第1章では本調査の意図を述べている。主要国において製造業の国際競争力の強化が政策的課題となっており、IoT、ビッグデータ、アナリティクスなどのICTの新技術を全面に採用することによる、製造プロセスそれ自体のイノベーションを実現する政策が打ち出されていることを確認している。日本も例外ではなく、「日本再興戦略」において、ICT分野の進歩を活用して新たな産業革命を目指すとしており、日本にとっても本テーマには意義がある。

第2章は、ICTを活用することで製造業がどのように高度化されるか述べている。IoT技術は、製造設備・機械、現場作業員などの稼動や動作を、センサー・データとして、すべてリアルタイムで捉え、それらデータを活用することにより、製造プロセス全体の効率化、コスト削減、及びリードタイムの短縮を実現することができる。具体的には、ICTにより①設備稼働のモニタリング・保守、②製品品質の維持・向上、③自律的で柔軟な製造プロセス管理及びマスカスタマイゼーションへの対応、④シミュレーシンなどの高度化を期待することができる。

第3章では、ドイツ、英国、フランスの製造業の高度化政策を取り上げ、それらの中で、ICTを技術基盤に位置付けているプロジェクトの動向を取り上げている。ドイツについてはインダストリー4.0の概要と実施状況を述べている。英国では、カタパルト・プログラムを取り上げ、高付加価値製造カタパルト・センターの取組みを中心に取り上げ、ICT関連のプロジェクトを調査した。米国については、2015年に発表された国家イノベーション戦略について言及している。

第4章では、まとめとして、今後の製造業の在り方を展望している。IoTなどのICTを製造業に導入することで、①製造業の付加価値が、製品販売から製品機能の提供サービスに移行する、②製品の利用のビッグデータにより、マーケティングや製品設計の機会が拡大し、顧客の個別ニーズに能力が競争力の一部を担う、③マスカスタマイゼーションを可能にする製造能力の有無が競争力を左右する。④製造業におけるプラットフォーム戦略への対応を検討する必要が出てくる、ことを指摘している。